継承スキルで下克上!

オリオン

文字の大きさ
上 下
22 / 22

ついに来た新しい依頼

しおりを挟む
アンヌさんからある程度の技術を教えて貰ってしばらくして
とある依頼が俺達の元にやって来た。

「はい、今度の依頼がやって来ましたよ」
「やっと来たのね! 暇な時間に鍛えたんだから!」
「では、次の依頼です。今度の依頼はこちらとなっております」

アンヌさんが俺達に見せてくれた依頼内容は…あれ? 結構難しそう?
国の近くに出没したというアイアンメイデンの撃破。
アイアンメイデン、非常に高い防御力と攻撃力を持つ魔物。
俊敏性はそこまで高くないとは言え、攻撃力から脅威は間違いない。
更に攻撃がまともに通るタイミングは相手が攻撃してくる一瞬しか無い。

「正直、かなり危険な依頼ですよね」
「アイアンメイデンって何よ、処刑器具か何か?」
「魔物ですよ魔物、知らないんですか? ならノクさんに聞いてください。
 わざわざ説明するの怠いので」
「な! ま、マネージャーだとかそう言うんだったら教えてくれても!」
「いえ、あなたとしても私に教わるよりノクさんに教わる方が良いでしょ?
 やりやすいでしょう? 質問とかその他諸々」
「…ま、まぁ、確かに話しやすいけど」

でも、マリちゃんは何か戸惑っているように見えた。
何だろうか、俺に何かを教えて貰うのは嫌なのかな?

「俺が教えられることなら教えるよ。知ってるからさ」
「……そう、私は出来れば一緒に過ごしたくないんだけど」
「え!? 何で!?」
「わ、私の事情で…まぁいいや、どっちにせよ長く過ごすことになるだろうし…」

嫌がっている風には見えなかった…何か別の理由があるんだろう。
俺と一緒に過ごすのが嫌だというわけじゃ無い…何だ?

「あなたのその不安は杞憂でしょうから安心してください」
「あなたに何が分かるのよ」
「おや、分かるから手助けしてあげてるのですよ?」
「……ふん」

アンヌさんはマリちゃんの秘密を知っているようだ。
恐らくだけど、隠されていたあのスキルに何かあるんだと思う。
でも、話を聞くなら俺はマリちゃんから聞きたいと思う。
アンヌさんに聞くのは、マリちゃんのコンプレックスを盗み聞きしてる感じで
何だか抵抗あるからね…その内、話して貰えれば良いな…

「じゃあ、その…教えて」
「あ、分かった」

俺はマリちゃんにアイアンメイデンの知っている情報を全て話した。
マリちゃんは俺の話を聞きながら自分の動きをイメージしていた様に見えた。

「なる程ね、動きは遅いけど凄く硬いし凄く一撃が重いって事ね」
「そう言う事になるかな」
「分かったわ、ありがとう。攻撃のタイミングがちょっと恐いわね」
「あぁ、相手が攻撃をしてきたタイミングに攻撃をしないといけないからね。
 一撃で倒せない場合もあるだろうから、重すぎる攻撃は厳禁。
 すぐに撤退できるような軽い攻撃でジワリジワリと削るのが良いと思う」
「ま、私達なら余裕でしょ! ノクもあの訓練でかなり強くなったし!」
「あぁ、足を引っ張らないですみそうだよ」

あの訓練のお陰で召喚出来る道具の数も増えたからな。
更には完全なる支配空間の効果範囲が更に広がった。
最初は1㎝だったのが、今じゃ1mくらいになったからな。

父さん母さんから貰った継承スキルのお陰で俺のスキルは成長出来る。
本当に嬉しい限りだよ。成長する度に疲れも吹き飛んでたから
ガンガン鍛える事も出来たし、本当に嬉しいよ。

「今の私達なら余裕よね、そんな魔物程度」
「勿論だ、一緒に頑張ろう!」
「死なないでね?」
「マリちゃんの方が危なそうじゃ無いか」
「言えてるかもね、ま、やってやりましょう」

情報交換の後、俺達はアンヌさんからその依頼を受けた。
今回の依頼もアンヌさんが同行してくれるとの事。
俺達に何かあったら面倒だしという理由だけど
俺達の事を心配してくれているというのは簡単に分かる。
アンヌさんも結構何かを隠すのが下手だよな。

「はい、この周辺がアイアンメイデンが目撃された付近です」
「油断しないでいこう」
「ま、私なら油断しようとも余裕だけどね!」

マリちゃんはいつも通り自信満々だ。ちょっと危なっかしい様に見える。
マリちゃんの分まで俺が警戒して行かないとな。

「アイアンメイデンという名前から、この魔物は動かないと思われがちです。
 しかし、アイアンメイデンはその名に違い、かなり動きます。
 動きが鈍いとは言え、動けない訳では無いことをお忘れ無く」
「分かってるわよ、ノクから聞いたわ」
「でも、足音が大きいから不意打ちはそうそう喰らわないと言う話を聞いてます」
「その通りです、アイアンメイデンは足音が非常に大きい。
 ですので、知性のあるアイアンメイデンは…殆ど動きません」

俺達が森の中を回っているとき、マリちゃんの隣にあった木。
その木の陰に長細い大きな口を開けている魔物の姿があった。
その魔物は大きな口をマリちゃんに向けて動かしている。

「マリちゃん!」
「ふえ?」
「ほら、油断は禁物でしょ?」

俺の行動よりも早くアンヌさんは銃を抜き、マリちゃんに向けて口を伸ばしている
アイアンメイデンの口内に弾丸を叩き込む。
アイアンメイデンは弾丸が痛かったのか、すぐに口を引っ込みゆっくりと移動をした。

「な! 何よあれ!」
「ありがとうございますアンヌさん!」
「付いてきていて正解でしたね、警戒心が足りませんよ」
「……アンヌ、ありがとう…」
「おや、お礼を言えるのですね」
「ヘラヘラしながら言わないでよ! てか、お礼くらい言えるわ!」

強い言葉でアンヌさんに食い掛かるが、アンヌさんはその言葉を軽く流す。

「さて、無駄口はここまでにして、仕事の時間ですよ」
「く、何でこんなに居るのよ」

アイアンメイデン…確かに単体とは言っては居なかったが
ここまで居るとは聞いては居なかった。
どうやら、ここはあいつらの巣の様な状態になっているみたいだな。
油断しないで立ち回ろう。不意打ちじゃ無かったとしてもこの数は脅威だ。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...