継承スキルで下克上!

オリオン

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依頼の報酬

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クイーンローチを撃破して、俺達は勝者として帰還
では無く、満身創痍の状態でギルドに帰還した。
今回の報酬はかなりの高額で、最初の100マーズだった。

「…こ、この報酬額は…」
「……契約は絶対だとか」
「うぅ…」

あ、あんなに苦労したというのに…まさか100マーズだけなんて…
あぁ、このままじゃ、また依頼が来るまで…はぁ。
とは言え、金欠の俺達からして見れば、この100マーズは大きい。
洞窟の中に戦利品はなかったし、本当美味しくない依頼だった。

「うぅ、どうしよう…」
「ま、まぁ100もあればしばらく過せるし」
「割に合わないわぁ!」

それは俺も思った。とは言え、状況は一変する。
報酬を貰ってしばらく経った後に、俺は再びアンヌさんに呼ばれる。

「あ、新しい依頼ですか?」
「いえ、今回は違いますよ。僅か1週間ですし」

確かに前回の報酬は…でも、今も既に金欠状態だ。

「はい、こちらをどうぞ」

アンヌさんは俺へ小包を渡してくれた。
一体何が入っているのかと予想をしながら、その小包を開けてみた。

「あ、アンヌさん! この1000は!?」

小包の中には1000マーズもの大金が入っていた!

「クイーンローチの撃破は大きな戦果でしたからね。
 クイーンローチの危険度は突出していますので、この報酬は当然でしょう。
 そもそも、あれだけの戦いがあったのに僅か100とかいかれてますし」
「あ、ありがとうございます!」
「えぇ、私にお礼を言ってくださいね、私が説得したのですから」
「え!?」
「あのままだと、あなた達の報酬は100のままでしたからね。
 ったく、ギルドは本当に頭おかしいんじゃ無いですかね。
 クイーンローチの撃破をしたと言うのに、100程度とか馬鹿ですか」

あ、アンヌさんのお陰で、報酬に1000マーズが追加されたんだ。
ほ、本当に頼りになる人だ。

「まぁ、今回の件であなた達の名前も知られたでしょうし
 色々な依頼が来ると思いますが
 しばらくは戦いの疲れを癒やしてくださいね」
「ありがとうございます!」
「ほら、私は別の仕事があるんで、早く部屋に戻ってくださいな。
 一応、多額の報酬を貰ったと言う事をマリさんに伝えてあげてくださいな」
「はい、きっと喜んでくれますよ!」

俺は急いで自分達の部屋に戻った。

「うーん…もうちょっと薄味…いや、ノクってどんな味が好みなのかしら。
 えっと…濃いめ? だけど、前に食べたときは薄味だったし
 うぅ、料理人のノクに喜んで貰える料理って難しいわね…」
「マリちゃん、俺は薄味が好みだ」
「な! ノク!? い、いつの間に! あ、あなたの好みとかどうでも!」
「あはは、前も同じ様な反応してたじゃん」
「ち、ちが! てか! 結局何で呼ばれたのよ!」
「ふっふっふ、絶対に驚くぞ!」

俺はアンヌさんから渡して貰った小包をマリちゃんに見せた。

「小包?」
「ふふふ、見ろ!」

そして、小包の中に入っている1000マーズをマリちゃんに見せる。

「な、何よその大金!?」
「アンヌさんがギルドを説得してくれたお陰で追加された報酬だ!」
「マジで!? やった! もうお金が少なかったし、まさに奇跡よ!」
「これからも依頼が増えるかも知れないし、お金に困らなくてすみそうだ!」
「全くその通りよね! はぁ、良かった!」

マリちゃんはかなり安心したようで大きく胸をなで下ろした。
はぁ、本当に安心した…金欠状態だったしなぁ。
あんなに苦労して、報酬が少ないとか嫌すぎるし。

「はぁ、アンヌには感謝しないと」
「本当だよな、はぁ、これでやる気も回復だ!」
「そうね! さぁ、ご飯よ!」
「今日も俺が一緒に作るぞ!」
「ふふ、今日は私1人で作りあげてみせるわ!」

どうも、マリちゃんは本気のようだった。
よし、ここは何もしないで、ただ見ておくだけにしよう。

「よし、出来た…けど…形が」

マリちゃんが作った料理はオムライスだった。
しかし、卵の形が歪だし、チキンライスも少し焦げている。
マリちゃんも手応えはないようで、少し悔しそうな表情だった。
だが、俺はそんなのお構いなしにマリちゃんのオムライスを食べる。

「お、美味しい?」
「あぁ、美味しいよ。俺好みの味だ! ありがとう」
「よ、良かったぁ!」

マリちゃんの料理は美味しかった。
少し歯応えが固すぎたりするかも知れないけど
マリちゃんが頑張って作ってくれた料理ならどれも美味しい。

「む…むぅ…しかし、ノクの料理と比べると全然ね…」
「そんな事無いって! 本当美味しいよ」
「うぅ、も、もっと上手くならないと駄目ね。
 これからノクに料理を出すなら、美味しい料理じゃないと」
「美味しいって」

しかし、マリちゃんは納得はしていない様子だった。
でも、何となく俺にもその気持ちは分かる。
だって、俺も何かを作るとなれば徹底したいタイプだからな。
自分の物は徹底的に作りたいと感じるから自分に批判的になる。
マリちゃんもそんな感じなんだろう。
それなら、俺もしつこく言わない方が良いだろう。

「明日は料理の練習をするわ! 後は戦いの訓練かしらね」
「そうだな、ナイトローチの時、結構苦労したし」
「これからきっと、難易度が高い依頼が来るし
 もっと強くならないと! ノクも一緒に鍛えるわよ!」
「あぁ、分かった」

多額の報酬を貰えたことで、精神的な余裕も出来て
明日は訓練に集中できそうだ。
これから大変だろうし、ガンガン鍛えるぞ!
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