よぞら至上主義クラブ

とのずみ

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本編ー総受けエディションー

14:ゆゆ島よぞらは研究室へ行く2*

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 ソファーに固定されるように肩を掴まれ、押し付けられる。俺も男だが、相手とは体格差がある。非力差を痛感させられる間も無く体に影が覆い、視界には暗がりの中に浮かぶ虹緒の顔しか見えなくなった。
 
「先生」

 1回。声をかけたが返答は無い。今度は手首を掴まれ、ギシリとソファーが軋んだ。虹緒を見上げると、じぃ、と切長の涼しい目が俺を見ている。照明を背にしているため、影で見えないはずなのに目にはうっすらハイライトが瞬いていてそこから感じる熱量が凄い。俺の首筋からにじみ出るように汗ばんで興奮しているのを示した。
 
「……先生」

 2回。そう呼ぶと革靴が床を鳴らし差し込まれた太ももが俺の下半身に密着する。押し付けられた刺激にそっと目を伏せ声を出さないよう唇を噛み締めると、咎める様に食まれ、舌を吸われた。
 
「…………ぁう、ん、……っ」

 涎まで舐めとられ、彼の喉仏がごくりと動く。先ほどと同じ喉の動きに色が見えた気がして腹の奥が熱くなりビクビクと腰を擦り付けてしまう。

「…………――は、っ、……せ、んせ、ごめ……」

 何となくキスから気を逸らすために先生と呼んだ回数を数えていたものの、すぐに余裕が無くなってしまい崩れた声が出た。さっきの腰の揺れといい本末転倒すぎて、そしてまたおかしな声が出てしまう。
 そんな、喘ぎの混じったようにも聞こえる声に虹緒は苦笑いをして掴んでいた手首を離し、おもむろに俺のズボンに手をかける。目の前のスラックスとは違い、俺のジョガーパンツはウエストがゴム仕様だ。くい、と引くだけで簡単に腹が見えた。そのまま更に親指で強く引っ張られると下のボクサーパンツまで覗かれ、グレーの色味がカウパーで1箇所濃く滲んでいるのが俺にも、そして先生の目にも入った。分かってはいたが改めて確認すると、顔から火が出るほど恥ずかしい。

 それを見た先生は眉をしならせ、ぬるく片笑んだ。俺が謝ったから暴発したと思ったのだろう。先走りが出たくらいの小さな染み具合に「……残念ながら私の方がひどい有様だ」と自嘲し、苦々しく喉を鳴らした。
 俺からしたら、それさえも余裕ある態度に思える。何だかひどく大人に感じ、頬を赤らめたままに眺めていたら、虹緒は俺の首元に顔を寄せ汗が流れた首筋に口を這わせ、舌先を通して熱い息を吐き出した。腰を抱き寄せられ、二人の間の湿度が一気に上がる。
 衣擦れる中、熱くて硬いものがハッキリと伝わり、俺は人差し指を先生のスラックスへにじり寄るように動かした。フロントの盛り上がった部分に線を書くよう真っ直ぐすぅ、となぞると、怒張したしたままびくりと上下に痙攣する様に動いた。

「……出してもいいか」

 詰めた息を吐いた虹緒は、自身のスラックスのベルトを緩め、チャックを下ろすと勃ち上がりきった性器を取り出した。外に露出しきった反動と重さでぶるりと揺れるが、反り返った強さの方が強くどろりとした先走りが光を照り返していた。俺のシャツをたくし上げ腹にそれを擦り付ける。
 
「っ、……」

 へそ回りに先生のカウパーが塗り込まれるようにゆっくりと、上下に押し付けるように動く。透明な粘液が糸を引いて段々滑りが良くなるのを見ていたら変な気分になりそうで俺は逃げるように目を伏せてしまった。いやもう既に変なんだけども。
 自分のパンツの中がぐっしょりで糸を引いて……そんな想像で腰が疼き、思わず身じろぎをしてしまう。するとぎゅう、と指先に熱が伝わる。睫毛を震わせ瞼を開けると、握られた指先は持ち上げられていた。挙動を目で追いかけると、柔らかい感触と共に虹緒の赤い舌がちらりと見え、口元に寄せられた俺の指は、根元の指股まで丁寧に舐められた。

「っぁ……、――……」

 見ちゃだめだってわかってるのに、自分の性器が舐められているように思えてぞくりと震えてしまう。まるで走ったかのように息が荒くなり始め、耳の奥で脈打つ音に顔を俯くと虹緒の性器が目に入った。今にもはち切れんばかりに腫れて、赤黒くて。自分の腹は汗と彼の体液でぐちょりとねばついて性臭が漂っている。
 俺の視線が視姦しているように感じたのか、虹緒の性器が熱を帯びた様にどくりと大きくなり、耐え切れないとばかりに彼は、空いている手で自分の陰茎をゆっくりと扱き始めた。
 にちにちと水音が響く。
 
 フッ、ッ、……――。
 
 彼の表情は窺えないが、伝わってくる鼓動と息遣いで俺も息が荒くなる。空調は効いているはずなのに、ひどく熱い。虹緒の手は段々と滑りが良くなり、じゅぷりと上下して速度を増した。
 
「ぅ、……っ、せんせ、…………、……イく?」

 一緒に腹が擦れ、俺も感情が高ぶる。涙声になりながら先生に尋ねると、それが引き金になったのか、腰が前後に強く動き、

「…………っ」

 くっと喉をしめた声を出す。
 びゅ、びゅ、と白い精液が腹へとかけられ、じわりと独特の臭いが立ち込めた。飛んだ体液は凍る手前のウイスキーみたいに少しトロトロしており、表面張力でへその窪みに留まっている。
 
 動いて射精したのは先生だけなのに、俺まで肩を荒く上下させる。過剰に呼吸をし、放心していると先生は一旦離れ、すぐにティッシュの箱とタオルを持ってきてくれた。俺の前にしゃがみこむと、腹に飛んだ生温かい液体はすぐに拭き取られ、ついでにとタオルで額の汗を拭ってくれた。
 
「目元がとろんとしているな……」

 上を向かせるように俺の顎をくい、と持ち上げる。目を閉じ、されるがままにじっと柔らかいタオルの感触にゆだねていると、
 
「……はぁ、きもちい……」

 つい、気持ちが漏れてしまう。

 そのまま睫毛を震わせていると、タオルに包まれたまま顔を寄せられ、ん……と、口に湿ったものが触れた。額が擦れてお互いの髪が絡まり、目を開けると、先生が柔い光の中にいて。
 
「……せんせ」
「……」

 しばし無言だったが、確かめるようにするりと鼻先が触れる。そうして、直ぐにタオルの中でキスをしたことを誤魔化す様に俺の服を整え肩を抱き寄せられた。
 
「…………胸元が見えていた」
「……そっすか? 確かにゆるゆるのたるん、ですけど……いいと、」
「良くない」

 虹緒の指が背中を優しく触れると、殊更優しく、なぞるように鎖骨の辺りまで手を移動させた。繊細な触り方に思わず腰の辺りにじいん、と痺れが走り、俺はうう……と唸り声を上げ背中を丸めた。
 
「……あー俺このままだと、ちんこ使う事なくなりそう」
「どういう事だ?」
「いや、だって……さーあ? ……もう下界との更新を絶ってからはご無沙汰なんっすもん……」
 
 つまるところ、ただでさえ男子校で女の子と縁が無かったのに、卒業後更に遠のきセックスしてない。と言う事だ。
 
「それなのにこんな気持ちいいオナニーでしょう?」

 なんだかんだで自分は達しなかったが、それでも極限ギリギリの到底一人ではたどり着けない快感を与えられた。勿論、挿れてへこへこ腰を振りたいのはかわいい女の子になんだけど、これだけ上手い、気持ちいが揃うと男にいいトコ擦って欲しくなる。
 処女膜ならぬ童貞膜が復活しそうだ。そんなくだらない事を考えていると、不意に虹緒が問い掛けてきた。
 
「――したい未来としたかった未来……君ならどう思う。いや、どうしようと考えてもしかたがない。最終的には各々、好きにした結果が今を作るだけだ。変えられる世界線は少なからずとも、ここには存在しない」

 どう思う、と問い掛けたのに答えさせないままに虹緒は話を自己完結させた。
 急にわけわからないこと言いだした先生に、俺は多弁は詭弁だな~なんて思っていると、

「――男、女。区別は所詮、生殖行為の付属品だ。昨今多様性とも言われているが、それとは異なり全て無いのだ」

 そう、聞いてもないのに付け加えられた。

「……それで? 先生」
「無ならば、動く。それが真理ではないだろうか」
「じゃあせんせは、さっき電波を受信したと。で、ちんこが勃ったと」
「いや、――あの教室から周波数を合わせて、ここにきて直ぐに受け取ったから時間としてはかなり前になる」

 言ってることは分かりにくいが、要するにずっとムラムラしていたと言う訳か。

「……スケベ」

 実は虹緒はバカなのかもしれない。呆れてジト目になる。

「自分を欺かないことほど難しいことはない、とはよく言うだろう」
「あっ……ちょ、…………はいはい、そっすね」

 そう言いながらまた不意打ちでキスしようとする顔を、俺は両手で押しのける。すると、先生の神経質そうな眉がわずかにゆがんだ。どうやら大変ご不満みたいだ。
 
「ってか、こんなことしてて誰か来たらどうするんですか」

 さっき俺がここへ来たみたいに。ばったり学生が訪ねてくることだってあるだろう。

「それは心配ない」
「は」
「ゆゆ島が入った後に鍵を閉めてある」
「………………ぬ、」

 抜かりない、このおじさん抜かりがなさすぎる。
 ぐぬぬと唸る俺を余所に、虹緒の腕がこちらに伸びてきたので「また」と咎めると、

「口の中に髪の毛が入りそうだったから。……じっとしてなさい」

 さっきのキスのくだりで乱れたであろう前髪が、先生の長い指によって掻き上げられる。視界がスッキリとし、目の前の輪郭がハッキリと捉えられるようになった。
 
 虹緒の顔は非常に教師然としている。
 
 俺のバイト先で出会い、彼の大学で再会した。別に俺はここの学生ではないけれど、構内では虹緒はそうとして扱う。そして不意に距離を近くし、こうして情欲を抱く。まるでタブラ・ラサ(白紙)を手にしたように、ぽつりぽつりと書き込み感情を記していく。……残念ながら、俺の新雪はとうの昔に踏み荒らされて白くは無かったのだけれども。
 
 ――ある種自分勝手で、その実ただただ真っすぐな、正直な彼と俺。

 ぼんやりと思考を浮かばせ先生を観察していたら、クイ、と首にかけたままにしていたタオルの両端を手綱のように引かれた。俺の焦点が虹緒に合い、お互いに見つめ合う。
 
「……ここは密室。君と、私二人しかいない」

 そう言うと、ソファーに座ったままの俺の顔を両手で包み込み、擦り合わせる様に唇が合わさった。
 
「ふ……ッ、ふ、ァ…………」
 
 先生の顔の位置に合わせるように顎を上げれば、ズレた所から唾液が曲線に沿って零れ落ちる。親指で拭い取られ、唇をやわやわと触られると、ぴくりと体が快感に震える。当然、密着していた虹緒が気づかない訳もなく。俺の腰の窪みに手を添え、抱き抱えるように先生もソファーへと乗り上げた。

「っ、……っ、ぁ! ――――っ……!」

 声にならない声でびくつく。
 気持ちよさにフゥ……、フゥ……と腹が上下すると、ウエスト部分の生地が腰を刺激してそれさえも敏感に拾い上げてしまう。無意識にずらそうと手を動かすが、阻む様に引き寄せられ、鼻先がぶつかりそうになり顔を背ける。虹緒は晒した頬を舐め、そのまま首まで流れていた涎の跡を追った。
 
「ま、まって、…………ひ、き……ん、っ、……ふ、んぅ――」
 
 息が上がって動けない。
 待ってと言おうとした口は塞がれ、舌が絡めとる。先生の触れている舌先が、ぬる、と上顎をゆっくりとなぞる。丁度良い所を嬲られ、
 
「……その声」

 ふ、と耳に入り込む空気の熱に快感を拾う。低い音にぞわぞわと肌が粟立ち、その肌の変化さえも今は興奮の材料にしかならないのか

「ふぁ、――……ぅ、っ」
 
 また少し喘いでしまった。先生はちゅと耳に軽く吸い付き、股下にある足を揺すり股間を刺激した。先ほど中途半端に感じ、出すこと無く鎮まったせいか、自分の性器はみるみるうちに硬くなっていった。俺の目元が熱くなって涙が滲む。

「……せん、せ」

 俺の声は小さく掠れていたが、力強く引き寄せられ、ソファーからわずかに体が浮き、バランスが崩れ先生の太ももに手を付く。触れている箇所は熱くて、元から皺などついていないだろうスラックスの生地は隆起したせいかキツそうに張りつめていた。
 
 セットしていない俺の髪はパラパラと顔に張り付くように元へと戻り、少し重い前髪の微かな隙間からこの場と雰囲気が合っていない赤、嫌、……赤みを帯びた黄色い照明の光が入り込む。俺はまつげをゆっくりと伏せ瞬きを1つし、太ももに置いた手を持ち上げ虹緒の窮屈そうな股間を擽るように触れる。
 ツ――とコップのフチをなぞるように先から根元へ動かすと、先生の腰がわずかに揺れたのが分かった。
 ゆっくりと、また1つ瞬きをした後、俺は熱い手を取り、先生と同じくらい硬く張りつめたジョガーパンツの、不自然に膨らんだソコヘ導き、

「…………触って」

 ――ふぅ、と熱で掠れた声を先生の耳へ吹きかけた。


    ◇  ◇  


 俺を見据える先生の目は赤い光を反射したように熱を帯び、何も言わず俺の体を強く抱きしめる。鼻先を擦り付けるように首元へうずめ、湿った肌同士が吸い付くようにひっつく。汗が滲んでいる不快感よりも、淫靡な匂いと吐息の熱さが勝り、更に熱が高まった。
 
 執拗に匂いを嗅がれ、強請るように舌が肌を這う。虹緒の吸って吐かれる微かな鼻息が首をくすぐり、

「っふぅ、……、――く、ぅ」

 子犬のような鼻にかかった高い声がか細く漏れる。
 
「ッ、……ぇ、……せん、せ…………だめ…………っ」

 自分の硬く勃起したものが痛いくらい張りつめて、先生のスーツが皺になるのも構わずぎゅぅ、と掴む。

「…………ダメだと言うならそういうのはやめた方がいい」
「ん゛……――、っ」
「……煽るだけだからな」
 
 下あごから頬を掴まれ、ジュ、と強く吸われ幾度も角度を変えて交わる。
 
「ん、――、っ、ぅ…………」

 ごくり、とこらえ切れず飲み込んだ音が大きくて体を竦めると動くなと軽く舌を甘噛みされる。

「~~~っ! ……あっ、……あ、」
「ダメか?」
「……っ、……ぁ、だ、めじゃ、……な、い、……っ、触、って――」
「…………可愛い奴だ」

 俺が懇願するように頭を擦り付けると、虹緒は目尻を下げ、ぼそりと何かを呟く。よく分からず見上げた俺の鼻筋をちゅ、ちゅ、とキスし、ズボンとボクサーパンツを下ろしながら俺の性器に触れ、そぉ、と握りこむ。

「ひ、っ……ッ」

 外に晒された上に、刺激が直に与えられて体が竦む。引き攣った声に先生も一瞬動きが止まるが、すぐに味わうかの様に緩慢な動きで握った性器を扱き始めた。鈴口の付近を、水圧を強くするみたいに押さえ、ぎゅうとカウパーを溢れさせる。透明な粘液が大きな掌に絡みつき、水音がねちねちと耳につく。エロい音に叫びたいのを必死で抑え――小さく、ほんの小さく、

「……っぁ、う、」
 
 と喘ぐと、虹緒もベルトを緩め前をくつろがせ、そそり立った先生自身の性器を取り出し俺のモノと合わせるように掴み込んだ。

「ひぁ! ――あっ、ん、ん、…………ぅ、っ……」

 兜合わせになり、熱さと硬さで思わず腰が引けてしまう。すると先生は逃げようとする俺の腰を掴み、ぐっと引き寄せた。

「……――ゆゆ島も」

 空いている手で俺の腕を掴み、ソコヘと導かれる。握らされた性器は怒張して皮膚からドクドクと伝わってくるのがわかり、く、と喉が鳴る。熱さで汗が滴り落ちる中、重ねた掌によってぬちゅぬちゅと動きを早められ2本まとめて扱かれた。
 俺の手を竿部分に残し、彼の掌で亀頭をぐりぐりと円を描くように動かされると、強すぎる刺激に俺は首の裏に皺が寄るくらい仰け反らせてしまう。

「~~~~~~ッ……う、う、ぁ゛っ!」

 どちらのものか分からない粘液が手に伝い、それがまたねちゃりと粘っこい音を立て、喉の奥から我慢しそこねた音が漏れた。陰嚢を転がすように触られ、やわやわと揉まれる。

「ッ……、ふーっ……、ふー、っ……」

 湿度が上がったようにむわりと熱気が立ち込める。興奮で汗と、性器からはとろとろと糸を引くように我慢汁が垂れてソファに染みを作っていた。
 つぅと移動してきた先生の掌は、また竿部分を扱く。空いた手で顎を押さえ耳を食むように舐めるその仕草に、ほんのり慈愛の色が見え、俺はまた「先生」とそっと呟きうっすら目を開けた。

「…………気持ちい」
 
 こうしているのが気持ちいい……と素直なままに熱い息を吐くと、そのまま顎先まで食べられるように深く、口づけられた。

「んぅ、っ~~~~、ふぁ、……ゃ――、っ」
「はっ……、……」

 谷底へ落ちたみたいな感覚に閉塞感を覚え、苦しくて鼻から息が漏らすとそれに気づいたのか唇は離れていった。息も絶え絶えで俺の掌は震え、血管が浮かんでいる。力の入らない手では2本の性器を滑らないようにゆるく扱くのがやっとだ。俺は緩慢な動きで擦ると、それでも刺激は内股から先端まで震わせるほどにキツかった。
 必死で手を動かしていると、その上から止まっていた先生の掌がまた抱き込むように重なって性器を握りこみ激しく上下に扱き始めた。
 
「……ん、ぁ、っ!? ~~~~っせ、せんせ! っ、あ、あ゛っ……!」
 
 互いの体液が混ざりあい、ニチャニチャと水音が室内に響く。

 押さえつけられるように体重がかけられて耳から頬、鼻先とキスをされ、ぎゅっと頭を引き寄せられ深く口づけられる。先生の口腔内は焼けるように熱い。……それはきっとあちらも同じだろう。互いに温度の違いを感じ、情欲を感じただろう体の震えが伝わってきた。
 
「……ぅ、あっ、せ、んせ、……っ! ぃ、イく、イく……か、っ、~~~~~~……っ!」

 精子のせり上がる感覚を訴えると、先生は下の方まで下がった俺のシャツを胸の辺りまでたくし上げ、性器をまとめている掌を捩じるように指をまばらに動かし、ぬちゃりと捏ねる様に扱く。そしてまた上下に射精を促す刺激を与えると、俺はビクッと腰が前に震え、耐えきれず精液を吐き出した。

「――ふ、……、~~~~ッ、ッ!」
 
 びゅ、びゅと俺の性器から出た白濁が先生の陰茎にかかると、
 
「――……くっ…………ぐ、……」

 それにつられ虹緒も、ぐっと喉を鳴らし、ソファーを軋ませ、絶頂を迎える。
 跳ねるような性器を手で押さえながら大量の精液が俺の胸の下まで飛び散った。

「…………ハァ、ッハ、ァ……んぁ、あ、……」
 
 先にイッたのに俺の射精は未だ止まらず、また2、3度痙攣してパクパク収縮した鈴口から薄い白濁が性器を流れ落ちた。

「あ、――っあ、……とま、んっ、な…………ご、め……」
 
 だらだらと止まらない状態に羞恥心を感じ、俺は片手で顔を覆ってしまう。亀頭が濡れてハイライトがテラテラとしているのが尚の事気持ちを増幅させた。

「ふ、ンむ…………ッ、……フ、……せん、せ?」

 むわ、と立ち込める匂いの中、先生の香りがしたと思ったら羽の様に軽く唇を食まれる。
 隠していた腕をどけられ、ちらりと虹緒の顔が覗く。その表情はあまりにも優しく、瞳は陽の入りの陽炎みたいにゆらゆらと俺を映し揺らしていた。


    ◇  ◇
 
 
 虹緒は乱れた衣服を正すと、換気の為に窓へと近づき鍵を開ける。この部屋の空気を押し流すように爽やかな風が入り、俺はへにゃりとソファーに沈み込んだ。
 
「……結局流されてしまった」

 少しシミになったソファーを見ながら、あーあ、知ーらないと目を逸らす。最後まで片づけられなかった机の上を漁っていると、先生がこちらにやってきてガサガサ音を立てる俺の隣へと座った。その重みで俺の体が沈み、溺れかける。

「ぬ、あーあーあー」
「……、ほら」

じたばたと藻掻いていると、呆れたため息と共に腕を引っ張られ、ひょいと元の位置へ戻された。

「はー、ありがと、せんせ。ついでにこの激マズお菓子何個か持ってってもいっすか?」
「……はぁ。……それはいいが、こんな味の物をどうする気だ」
「えー、それはもう……ぬふふ」

 俺は増える被害者の顔を思い浮かべてほくそ笑む。
 虹緒はそれをみて綺麗な放物線を描くように目を閉じると、
 
「――好きにしなさい」

 そう言って、優しく俺の頭を撫でた。
 何事もなかったかの様な虹緒の声色は、さっきまでの面影は見当たらず。
 
「……」
「嫌だったかな?」
 
 先生がこちらを窺いながら訊ねた顔もやっぱり教師然としていて。――見当たらない。
 それなのに、至極単純な答えを敢えて複雑にしていくのが楽しいと言わんばかりに、この男は訊いてくる。

「うーん」

 嫌かどうか、なんて。

「せんせーが、今度ラーメン奢ってくれたら教えてあげます」
 
 俺は運動で小腹が空いたお腹をさすり上げた。今じゃなくて、また今度。
 
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