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正しくて安全な人の殺し方
背中に走ったのは鋭い痛みだった。そして薬液が注がれる鈍い感覚、私はもちろんそれを感じたことが無かったけれど、すぐに今まで自分が使ってきた凶器だと分かった。だからこそ、このままだと死ぬ、と悟った。
痛みで汗が吹き出し、朦朧とする意識の中で、私はスイッチの存在を思い出した。一縷の望みをかけて、私は懐のスイッチを押した。
気づいた時、私は大学の教室にいた。ああ、助かったんだと考えたが、もしかしたらさっき見たのは夢だったのかもしれない。さっきの衝撃は生々しく思いだせたが、イメージがはっきりしない。
私は某国立大学の人間生命科学部の学生である。人間生命科学部とは、その名のとおり人間の生命を扱う学部で、日本では全国で三つの国立大学にしか置かれていない。それは何故なら、重要な国家資格と密接にかかわる学部であるから、政府の管理下に置かれている為なのだが、その国家資格というのが、「生命管理法執行員」である。職業として唯一、人の生命を裁量の元奪っていいとされている。
2055年、その法律を最初に出したのはアメリカ合衆国だった。もうその年までずっと、地球には人が溢れすぎていた。その原因を作ったのは2049年のある彗星の地球への衝突で、ユーラシア大陸の半分と、北アメリカ大陸の一部は不毛の地になった。砂漠ばかりが広がり、その地でできることと言えば砂浴びくらいだろうか。植林などの措置が施されたが、人工的にできることには限度がある。さらに砂漠化のせいで気温が上がってしまっているので、水が干上がってしまう。
そのような状況でもかかわらず、人間の数は減っていなかった。高度な解析技術により、衝撃を受ける地域を事前に予測し、避難させたのだ。この災害を直接的な原因として命を落としたのはわずか数百人とされている。
しかし、人が生活できる土地が減ってしまったせいで、食料は足りなくなってしまった。どれだけ効率よく生産したところで出来る量には限度があるから、それで養える人間の人口を超えていたのである。暴動がおこり、戦争が起こる寸前だった。各国は溢れすぎた人をどうするか、を最も先に解決するべき問題としてとらえていた。
それは日本とて例外ではなかった。かつては少子化だったそうだが、日本も法整備が進んで少子化はもうずいぶん前に解消されてしまい(何故解消してしまったのだろう?)、そこら中人が溢れていたという。移民を受け入れたことにより他の国と同じ状況になっていた。
当時の人間の寿命は120歳くらいだった。しかし、100歳を超えると毎日寝てばかりで、生産性は全く無くなる。長寿が有難がられたのは昔のことで、ただでさえ少ない食料を消費する存在として、その価値は下がって行った。
戦争でもしない限り、人間の数は減らない。しかし戦争はもう避けたいし、するほどの国力も無い国がほとんどであった。したところで、災害の被害を受けていない国が勝ち、悪い状況になることは決まっていた。そこで発案されたのが、「生命管理法」であった。
「生命管理法」は、端的に言うと生産力の無くなった老人には死ぬべき義務があるとした法律である。私達生命管理法執行員は、法律に則って規定された歳以上の御老人の命を奪うか、死ぬ手伝いをする。
最初にこの法律を作ったアメリカは批判されたが、この法律を発表した時、発表した長官が涙を流しながら苦悶の表情でながら発表したことで、人類はそれ以外に方法が無いと悟ったのだった。彼は有能で、当時93だったが、その有能ぶりからその年になっても政治にかかわっていたのである。彼は自分の寿命を自分で定めたのだ。
せめて能力などで殺されなかっただけマシだった。今では歴史的な決断だったと言われている。仕事や遺言等の引継ぎで多少の猶予が持たれることはある物の、現在の日本では、92歳で死ぬことになっている。つまり、四分の一の人口のカットである。これにより人口は一定の値になり、食料の安定供給が可能になる。
何故私がこの学部に入学したのかと言うと、それは生命管理法執行員の給料が抜群にいいからだった。今では上級国家公務員になっているのは執行員しかいないし、この資格を持ち執行員として仕事しながら政治にかかわる執行員がほとんどだ。
執行員なんて、誰もやりたがるものじゃない。しかも、やるには頭がいる。人体の構造を理解して、法律を知っていなければただの人殺しだし、その上体力もいる。だからこそ、政府はこの資格を最も難しい資格とし、この資格の持ち主を好待遇で扱うことを約束したのである。
私の家は貧しい家で、母は私が大学に入り多額の奨学金を得るまで、ずっと朝から晩まで働いていた。弟が二人いて、全員種違いだが、どの父親もいない。そんな母のことを考えると、そして今まで自分が暮らしてきた最低な生活のことを想うと、私はどうしても執行員になりたかった。元々私は県立高校でトップクラスの成績で自分で言うのもなんだが優秀だった。しかしそれでも入るのには努力した。アルバイトしながら一浪して猛勉強の末、私は人間生命科学部への合格を勝ち取ったのである。
そして今、私はその大学を卒業する間近だったはずである。卒業式のあと、母に自分が過ごした教室を案内していた。最も優遇されるこの学部の内装はとても洗練されていて、私は母に見せてあげたかったのだ。しかし普段は職業柄、恨みを持つ団体から狙われることも多く、部外者の立ち入りは固く禁じられている。卒業式だけ、親族に限り許されるのである。
しかし卒業式で袴をはいて、得意げに母といたはずなのにも関わらず、私は今、いつも通りの出で立ちで、教室にいた。周りの友人たちも、普通に授業の準備などをしている。私は腕時計で時間を確認した。
12時27分。母に案内し終わったら昼ご飯を食べに行こうと言っていたはずだから、時間はあの時もそれくらいだったはずだ。日付は?
4月13日金曜日。卒業式の日は3月23日だったから、約11か月前である。
私は本当にタイムスリップをしてしまったのだろうか?
確か今日、この日だ。晩御飯を田中と食べに行って、その時にもらったのだ。タイムスリップする装置を。私は先ほど、それを押した。なぜなら死にかかっていたからだ。
『それはまだ試作品なんだけど、押したら自分の時間軸が元に戻る。肉体が戻るんじゃなくて、巻き戻しする、みたいな感じになるはずなんだ』
本当にあの装置はよくできていたらしい。しかし先ほどのが夢だったのではないか、とも思うのだが、私はこの、まだ自分が経験していないはずの2085年の一年間のことをありありと思いだせた。確かこの日は――
「ちょっと、深雪?」
ぼーっと突っ立って携帯をいじる私に、友達が声をかけてきた。郁だ。
「どうしたの急に立ち上がって? なんか忘れ物でもしたの」
郁は一年からの私の親友だ。そう言いながら弁当を食べていた。
「ああ、ちょっと。いや、なんでもない」
私は席に座った。今は昼休み。皆授業の準備をしたり、昼ご飯を食べたりしている。
「疲れてるんじゃない? 分かるわー。だって四年になってからきついよねー」
三年の後半からは実際に現場に出る実習も多くなり、四年は課題とテストに追われる。
「そうだね」
もうすべて経験した私だからこそ、その大変さは分かる。いや、本当に経験したのか? 疲れすぎて幻想でも観ていたのではないか?
「そうだ、今日の授業の後、田中と久々にご飯食べようって言ってたじゃん? あの店さぁ」
「……ベトナム料理が食べたいんでしょう」
「えっなんでわかったの」
「んで、田中は金ないから自分の家でいいとか言ってるけど、郁はどうしても食べたいから田中に奢ればいいと思うんだけど、って話でしょ」
「えっどうしたの? 言ったっけ」
「いや、これで合ってた?」
「完璧に今それ言おうとしてた。何? 予知?」
郁は目を丸くしている。知っているのは当然だ。私達は結局三人でベトナム料理屋に行くし、生命科学部で金持ってるから! とか正直に言って私達は田中に奢った。
「いや、ちょうど私もそう言おうと思ってたから」
「なぁんだ。さすが深雪、気が合うねぇ」
そう言いながら郁は弁当の続きを食べ始めた。私はこの郁が、二か月後に彼氏が出来て、しかもその相手が今隣の席で無関係そうな顔でコーラを飲んでいる尾崎君だということも、そして五か月後に分かれるということも知っていた。
そして今郁が食べているのは、
「金曜日限定花丸弁当」
「ん? これ? そうだよ。おいしいんだよねー。金曜日だけにしなくてもいいのに」
そうは言うが、現在でも食糧難が続いている現状で、食事に贅沢をかけることは批判されている。それはつまり他者から食事を奪うことだからだ。
食料品は高い。彗星の直撃後、他の物資は都市が機能不全に陥った後も速やかに復旧したが、食料だけは未だ人工食糧製造プログラムでかなり改善したとはいえ、人口と生産する場所の不釣り合いで、潤沢とはいいがたい。
「でもこういうものが発売されたっていうことは、少しはマシになっているのかな」
「いやぁそうでもないんじゃない? 政府の報告書見たけど、ぎりぎりで回してるみたいよ。こうやって食事が行き届いてるだけありがたいね」
能天気なように見えながらも、さすが日本でトップクラスの学生、ちゃんと政府報告などはチェックしているのである。
私が幼い頃なんてひどいものだった。いつも私も、周りの子も給食として食べられる少しのご飯を糧にして生きていて、細かった。
そしてそう、そんな話をしていたら、郁はその大事な花丸弁当を、
「あっ」
後ろから歩いて来た誰かにぶつかられて落とすのである。
「ちょっとー落としたじゃん」
「あっごめん」
もったいないなぁと思ったからこそ、そのことは覚えていた。誰がぶつかったかまでは覚えていなかったけど。
私は自分が覚えていることが次々に起こることで、自分は本当にタイムスリップしたのだと知った。
背中に走ったのは鋭い痛みだった。そして薬液が注がれる鈍い感覚、私はもちろんそれを感じたことが無かったけれど、すぐに今まで自分が使ってきた凶器だと分かった。だからこそ、このままだと死ぬ、と悟った。
痛みで汗が吹き出し、朦朧とする意識の中で、私はスイッチの存在を思い出した。一縷の望みをかけて、私は懐のスイッチを押した。
気づいた時、私は大学の教室にいた。ああ、助かったんだと考えたが、もしかしたらさっき見たのは夢だったのかもしれない。さっきの衝撃は生々しく思いだせたが、イメージがはっきりしない。
私は某国立大学の人間生命科学部の学生である。人間生命科学部とは、その名のとおり人間の生命を扱う学部で、日本では全国で三つの国立大学にしか置かれていない。それは何故なら、重要な国家資格と密接にかかわる学部であるから、政府の管理下に置かれている為なのだが、その国家資格というのが、「生命管理法執行員」である。職業として唯一、人の生命を裁量の元奪っていいとされている。
2055年、その法律を最初に出したのはアメリカ合衆国だった。もうその年までずっと、地球には人が溢れすぎていた。その原因を作ったのは2049年のある彗星の地球への衝突で、ユーラシア大陸の半分と、北アメリカ大陸の一部は不毛の地になった。砂漠ばかりが広がり、その地でできることと言えば砂浴びくらいだろうか。植林などの措置が施されたが、人工的にできることには限度がある。さらに砂漠化のせいで気温が上がってしまっているので、水が干上がってしまう。
そのような状況でもかかわらず、人間の数は減っていなかった。高度な解析技術により、衝撃を受ける地域を事前に予測し、避難させたのだ。この災害を直接的な原因として命を落としたのはわずか数百人とされている。
しかし、人が生活できる土地が減ってしまったせいで、食料は足りなくなってしまった。どれだけ効率よく生産したところで出来る量には限度があるから、それで養える人間の人口を超えていたのである。暴動がおこり、戦争が起こる寸前だった。各国は溢れすぎた人をどうするか、を最も先に解決するべき問題としてとらえていた。
それは日本とて例外ではなかった。かつては少子化だったそうだが、日本も法整備が進んで少子化はもうずいぶん前に解消されてしまい(何故解消してしまったのだろう?)、そこら中人が溢れていたという。移民を受け入れたことにより他の国と同じ状況になっていた。
当時の人間の寿命は120歳くらいだった。しかし、100歳を超えると毎日寝てばかりで、生産性は全く無くなる。長寿が有難がられたのは昔のことで、ただでさえ少ない食料を消費する存在として、その価値は下がって行った。
戦争でもしない限り、人間の数は減らない。しかし戦争はもう避けたいし、するほどの国力も無い国がほとんどであった。したところで、災害の被害を受けていない国が勝ち、悪い状況になることは決まっていた。そこで発案されたのが、「生命管理法」であった。
「生命管理法」は、端的に言うと生産力の無くなった老人には死ぬべき義務があるとした法律である。私達生命管理法執行員は、法律に則って規定された歳以上の御老人の命を奪うか、死ぬ手伝いをする。
最初にこの法律を作ったアメリカは批判されたが、この法律を発表した時、発表した長官が涙を流しながら苦悶の表情でながら発表したことで、人類はそれ以外に方法が無いと悟ったのだった。彼は有能で、当時93だったが、その有能ぶりからその年になっても政治にかかわっていたのである。彼は自分の寿命を自分で定めたのだ。
せめて能力などで殺されなかっただけマシだった。今では歴史的な決断だったと言われている。仕事や遺言等の引継ぎで多少の猶予が持たれることはある物の、現在の日本では、92歳で死ぬことになっている。つまり、四分の一の人口のカットである。これにより人口は一定の値になり、食料の安定供給が可能になる。
何故私がこの学部に入学したのかと言うと、それは生命管理法執行員の給料が抜群にいいからだった。今では上級国家公務員になっているのは執行員しかいないし、この資格を持ち執行員として仕事しながら政治にかかわる執行員がほとんどだ。
執行員なんて、誰もやりたがるものじゃない。しかも、やるには頭がいる。人体の構造を理解して、法律を知っていなければただの人殺しだし、その上体力もいる。だからこそ、政府はこの資格を最も難しい資格とし、この資格の持ち主を好待遇で扱うことを約束したのである。
私の家は貧しい家で、母は私が大学に入り多額の奨学金を得るまで、ずっと朝から晩まで働いていた。弟が二人いて、全員種違いだが、どの父親もいない。そんな母のことを考えると、そして今まで自分が暮らしてきた最低な生活のことを想うと、私はどうしても執行員になりたかった。元々私は県立高校でトップクラスの成績で自分で言うのもなんだが優秀だった。しかしそれでも入るのには努力した。アルバイトしながら一浪して猛勉強の末、私は人間生命科学部への合格を勝ち取ったのである。
そして今、私はその大学を卒業する間近だったはずである。卒業式のあと、母に自分が過ごした教室を案内していた。最も優遇されるこの学部の内装はとても洗練されていて、私は母に見せてあげたかったのだ。しかし普段は職業柄、恨みを持つ団体から狙われることも多く、部外者の立ち入りは固く禁じられている。卒業式だけ、親族に限り許されるのである。
しかし卒業式で袴をはいて、得意げに母といたはずなのにも関わらず、私は今、いつも通りの出で立ちで、教室にいた。周りの友人たちも、普通に授業の準備などをしている。私は腕時計で時間を確認した。
12時27分。母に案内し終わったら昼ご飯を食べに行こうと言っていたはずだから、時間はあの時もそれくらいだったはずだ。日付は?
4月13日金曜日。卒業式の日は3月23日だったから、約11か月前である。
私は本当にタイムスリップをしてしまったのだろうか?
確か今日、この日だ。晩御飯を田中と食べに行って、その時にもらったのだ。タイムスリップする装置を。私は先ほど、それを押した。なぜなら死にかかっていたからだ。
『それはまだ試作品なんだけど、押したら自分の時間軸が元に戻る。肉体が戻るんじゃなくて、巻き戻しする、みたいな感じになるはずなんだ』
本当にあの装置はよくできていたらしい。しかし先ほどのが夢だったのではないか、とも思うのだが、私はこの、まだ自分が経験していないはずの2085年の一年間のことをありありと思いだせた。確かこの日は――
「ちょっと、深雪?」
ぼーっと突っ立って携帯をいじる私に、友達が声をかけてきた。郁だ。
「どうしたの急に立ち上がって? なんか忘れ物でもしたの」
郁は一年からの私の親友だ。そう言いながら弁当を食べていた。
「ああ、ちょっと。いや、なんでもない」
私は席に座った。今は昼休み。皆授業の準備をしたり、昼ご飯を食べたりしている。
「疲れてるんじゃない? 分かるわー。だって四年になってからきついよねー」
三年の後半からは実際に現場に出る実習も多くなり、四年は課題とテストに追われる。
「そうだね」
もうすべて経験した私だからこそ、その大変さは分かる。いや、本当に経験したのか? 疲れすぎて幻想でも観ていたのではないか?
「そうだ、今日の授業の後、田中と久々にご飯食べようって言ってたじゃん? あの店さぁ」
「……ベトナム料理が食べたいんでしょう」
「えっなんでわかったの」
「んで、田中は金ないから自分の家でいいとか言ってるけど、郁はどうしても食べたいから田中に奢ればいいと思うんだけど、って話でしょ」
「えっどうしたの? 言ったっけ」
「いや、これで合ってた?」
「完璧に今それ言おうとしてた。何? 予知?」
郁は目を丸くしている。知っているのは当然だ。私達は結局三人でベトナム料理屋に行くし、生命科学部で金持ってるから! とか正直に言って私達は田中に奢った。
「いや、ちょうど私もそう言おうと思ってたから」
「なぁんだ。さすが深雪、気が合うねぇ」
そう言いながら郁は弁当の続きを食べ始めた。私はこの郁が、二か月後に彼氏が出来て、しかもその相手が今隣の席で無関係そうな顔でコーラを飲んでいる尾崎君だということも、そして五か月後に分かれるということも知っていた。
そして今郁が食べているのは、
「金曜日限定花丸弁当」
「ん? これ? そうだよ。おいしいんだよねー。金曜日だけにしなくてもいいのに」
そうは言うが、現在でも食糧難が続いている現状で、食事に贅沢をかけることは批判されている。それはつまり他者から食事を奪うことだからだ。
食料品は高い。彗星の直撃後、他の物資は都市が機能不全に陥った後も速やかに復旧したが、食料だけは未だ人工食糧製造プログラムでかなり改善したとはいえ、人口と生産する場所の不釣り合いで、潤沢とはいいがたい。
「でもこういうものが発売されたっていうことは、少しはマシになっているのかな」
「いやぁそうでもないんじゃない? 政府の報告書見たけど、ぎりぎりで回してるみたいよ。こうやって食事が行き届いてるだけありがたいね」
能天気なように見えながらも、さすが日本でトップクラスの学生、ちゃんと政府報告などはチェックしているのである。
私が幼い頃なんてひどいものだった。いつも私も、周りの子も給食として食べられる少しのご飯を糧にして生きていて、細かった。
そしてそう、そんな話をしていたら、郁はその大事な花丸弁当を、
「あっ」
後ろから歩いて来た誰かにぶつかられて落とすのである。
「ちょっとー落としたじゃん」
「あっごめん」
もったいないなぁと思ったからこそ、そのことは覚えていた。誰がぶつかったかまでは覚えていなかったけど。
私は自分が覚えていることが次々に起こることで、自分は本当にタイムスリップしたのだと知った。
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