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七月三十一日
今日は朝から人が多い。日曜日だからだろう、家族連れやカップルなど、たくさんだ。私はテーブルとテーブルの間を忙しく歩き、焼きそばやビールを運んだり机を拭く。セロも見かねて手伝ってくれていた。今は水を運んでいる。
「おっ可愛いね。俺らと遊ばない」
「忙しいので!」
私はここに来て初めてナンパというものをされた。驚きだ。
「とーこちゃん、かき氷作ってくれ!」
「はいっ」
焼きそばを作りながらおっちゃんに言われ、私はかき氷機の前で待つお客さんのところに飛んで行った。水玉のビキニを着た細い女の人だった。
「すみません。急いで作ります。シロップは何がいいですか?」
「いちごミルクで」
「はいっ」
使い捨てのカップに氷を盛り始める。途中まで作ったところで、いちごのシロップをかけ、また氷をかける。さいごにまたシロップとミルクをかけ、ストローを差して出来上がりだ。
「どうぞ。百五十円です」
あらかじめ用意していたらしくさっと小銭を出され、笑顔で受け取った。
すると次は逞しい男の人が「メロン下さい」とやってくる。
私はかき氷を立て続けに8個作り、またテーブルの方へ戻って焼きそばやフランクフルトを運んだ。ソースの匂いと汗の匂い。夏は何となく男っぽい季節だ。
昼も終り頃になると客足は落ち着いてきた。テーブルを拭いてまわり、浮き輪を買うお客さんの会計をする。
「そろそろ昼か」
おっちゃんが時計をちらっと見て言った。
私達は毎日、昼ご飯は焼きそばである。私とセロが食べ、そのあとおっちゃんが食べる。おっちゃんは食べるのが早いが、食べている間にお客さんが来たときは私が焼きそばを作る。教わったので美味しく作れるようになった。
「とーこちゃんも焼きそば上手くなったなぁ」
私は嬉しくなる。これから得意料理は焼きそばです、と答えよう。
またお客さんが来たので私はかき氷を作る。女の人だ。
「いちごを二つ」
指を二本出して言った。栗色の髪の毛が太陽の光を浴びて光っている。
今日は朝から人が多い。日曜日だからだろう、家族連れやカップルなど、たくさんだ。私はテーブルとテーブルの間を忙しく歩き、焼きそばやビールを運んだり机を拭く。セロも見かねて手伝ってくれていた。今は水を運んでいる。
「おっ可愛いね。俺らと遊ばない」
「忙しいので!」
私はここに来て初めてナンパというものをされた。驚きだ。
「とーこちゃん、かき氷作ってくれ!」
「はいっ」
焼きそばを作りながらおっちゃんに言われ、私はかき氷機の前で待つお客さんのところに飛んで行った。水玉のビキニを着た細い女の人だった。
「すみません。急いで作ります。シロップは何がいいですか?」
「いちごミルクで」
「はいっ」
使い捨てのカップに氷を盛り始める。途中まで作ったところで、いちごのシロップをかけ、また氷をかける。さいごにまたシロップとミルクをかけ、ストローを差して出来上がりだ。
「どうぞ。百五十円です」
あらかじめ用意していたらしくさっと小銭を出され、笑顔で受け取った。
すると次は逞しい男の人が「メロン下さい」とやってくる。
私はかき氷を立て続けに8個作り、またテーブルの方へ戻って焼きそばやフランクフルトを運んだ。ソースの匂いと汗の匂い。夏は何となく男っぽい季節だ。
昼も終り頃になると客足は落ち着いてきた。テーブルを拭いてまわり、浮き輪を買うお客さんの会計をする。
「そろそろ昼か」
おっちゃんが時計をちらっと見て言った。
私達は毎日、昼ご飯は焼きそばである。私とセロが食べ、そのあとおっちゃんが食べる。おっちゃんは食べるのが早いが、食べている間にお客さんが来たときは私が焼きそばを作る。教わったので美味しく作れるようになった。
「とーこちゃんも焼きそば上手くなったなぁ」
私は嬉しくなる。これから得意料理は焼きそばです、と答えよう。
またお客さんが来たので私はかき氷を作る。女の人だ。
「いちごを二つ」
指を二本出して言った。栗色の髪の毛が太陽の光を浴びて光っている。
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