正義の悪魔(仮)

omot

文字の大きさ
上 下
9 / 9
第2章

第三話 前編

しおりを挟む
さて、今日は誰を怪人にしようかな。
僕は街へと出掛けた。
研究所でランダムに怪人候補を探すことに飽きたのだ。
この世に不満を持ってそうな人はいないかな。
僕は子供の頃、母とおもちゃやさんに行ったときのようなワクワク感を感じた。
さて、だれにしようかな、と僕が道を歩いていると、突然曲がり角から出てきた男の人が僕にぶつかってきた。
かと思うと、「うわっ」と大声を出し、わざとらしいく転んだ。
男の人の後ろにいた、弟分らしき人たちが「兄貴!」と声をかけ、男が立ち上がるのに手を貸した。
そして、僕にぶつかってきた男は「お前何してくれてんねん。」と僕を睨んだ。
その鋭い瞳に僕は貫かれた。
そして、感嘆。
良いね、怪人にしたら面白そうだな。
僕がキラキラと目を輝かせていると、
「何してるんだっ、お前たち、」
怪人候補の後ろから声が聞こえた。
それと同時に、その場にいた全員がその声の方を向いた。
そこには、若い男が二人立っていた。
顔立ちがそっくりで、兄弟と思われた。
二人ともTシャツにジーパンというラフな格好をしていた。
背の低いほうの男のTシャツには、可愛い猫のイラスト。
猫好きなのかな。
いや、そんなことは今はどうでもいいのだ。
「お前らは、!」
弟分たちは、その二人を見るなり動揺しだした。
「あ、お前たちは、最近この辺で悪さしてるミクルだな。」
猫Tシャツの男が怪人候補たちを指さし言った。
なんだ?ミクルって?
なんて思っていると、怪人候補がいきなり兄弟をめがけて飛びかかった。
「おりゃぁ」
しかし、次の瞬間にはその男の人の足元に倒れていた。
は?何が起こったんだ?
っていうか、せっかくの怪人候補弱すぎだろ。
「はぁ、」
「いくぞ、レン!」
兄弟の背の高い方がもう一人に呼び掛けた。
僕が怪人候補がやられたことに残念がっている間に兄弟たちは、怪人候補の仲間たちをあっという間に倒してしまった。
「よしっ、」
そういうと猫Tシャツの男が僕に近づいてきた。
たぶんこっちが弟だろう。
「大丈夫ですか?」
そう言いながら、僕の方を人懐っこそうな瞳で見てきた。
それを無視して僕は兄の方に近づき、言った。
「君は力が欲しくないかい?」
「はぁ?」
兄は呆れた様子で僕を見る。
「まあ、良い。僕は君に力をあげたい。」
そういうと僕はすばやく胸ポケットから注射器を取り出す。
中身は企業秘密。
一瞬にして体が動かなくなる魔法の液体。
注射器を見て一瞬動揺した兄の首もとに突き刺す。
「君が新しい怪人候補だ。」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

DIVA LORE-伝承の歌姫-

Corvus corax
恋愛
たとえ世界が終わっても…最後まであなたと共に 恋愛×現代ファンタジー×魔法少女×魔法男子×学園 魔物が出没するようになってから300年後の世界。 祖母や初恋の人との約束を果たすために桜川姫歌は国立聖歌騎士育成学園へ入学する。 そこで待っていたのは学園内Sクラス第1位の初恋の人だった。 しかし彼には現在彼女がいて… 触れたくても触れられない彼の謎と、凶暴化する魔物の群れ。 魔物に立ち向かうため、姫歌は歌と変身を駆使して皆で戦う。 自分自身の中にあるトラウマや次々に起こる事件。 何度も心折れそうになりながらも、周りの人に助けられながら成長していく。 そしてそんな姫歌を支え続けるのは、今も変わらない彼の言葉だった。 「俺はどんな時も味方だから。」

二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す

SO/N
ファンタジー
主人公、ウルスはあるどこにでもある小さな町で、両親や幼馴染と平和に過ごしていた。 だがある日、町は襲われ、命からがら逃げたウルスは突如、前世の記憶を思い出す。 前世の記憶を思い出したウルスは、自分を拾ってくれた人類最強の英雄・グラン=ローレスに業を教わり、妹弟子のミルとともに日々修行に明け暮れた。 そして数年後、ウルスとミルはある理由から魔導学院へ入学する。そこでは天真爛漫なローナ・能天気なニイダ・元幼馴染のライナ・謎多き少女フィーリィアなど、様々な人物と出会いと再会を果たす。 二度も全てを失ったウルスは、それでも何かを守るために戦う。 たとえそれが間違いでも、意味が無くても。 誰かを守る……そのために。 【???????????????】 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー *この小説は「小説家になろう」で投稿されている『二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す』とほぼ同じ物です。こちらは不定期投稿になりますが、基本的に「小説家になろう」で投稿された部分まで投稿する予定です。 また、現在カクヨム・ノベルアップ+でも活動しております。 各サイトによる、内容の差異はほとんどありません。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

悪役令嬢は高らかに笑う

結城芙由奈 
恋愛
婚約者に愛想を尽かされる為、これから私は悪役令嬢を演じます 『オーホッホッホッ!私はこの度、婚約者と彼に思いを寄せるヒロインの為に今から悪役令嬢を演じようと思います。どうかしら?この耳障りな笑い方・・・。きっと誰からも嫌われるでしょう?』 私には15歳の時に決まった素敵な婚約者がいる。必ずこの人と結婚して幸せになるのだと信じていた。彼には仲の良い素敵な幼馴染の女性がいたけれども、そんな事は私と彼に取っては何の関係も無いと思っていた。だけど、そんなある日の事。素敵な女性を目指す為、恋愛小説を読んでいた私は1冊の本に出合って気付いてしまった。何、これ・・・この小説の展開・・まるで今の自分の立ち位置にそっくりなんですけど?!私は2人に取って単なる邪魔者の存在なの?!だから私は決意した。小説通りに悪役令嬢を演じ、婚約者に嫌われて2人の恋を実らせてあげようと—。 ※「カクヨム」にも掲載しています

呪われ姫の絶唱

朝露ココア
ファンタジー
――呪われ姫には近づくな。 伯爵令嬢のエレオノーラは、他人を恐怖させてしまう呪いを持っている。 『呪われ姫』と呼ばれて恐れられる彼女は、屋敷の離れでひっそりと人目につかないように暮らしていた。 ある日、エレオノーラのもとに一人の客人が訪れる。 なぜか呪いが効かない公爵令息と出会い、エレオノーラは呪いを抑える方法を発見。 そして彼に導かれ、屋敷の外へ飛び出す。 自らの呪いを解明するため、エレオノーラは貴族が通う学園へと入学するのだった。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

処理中です...