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第五話 出産※
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再び常世の屋敷に滞在することになった。
今回はゴールが見えているので、以前とは違いとても心穏やかに過ごしている。
クモツは、この屋敷の隅に住んでいた。前は「水神様のじゃまにならないように」と極力存在を消していたらしい。
ということは、俺達がずっとセックスをしている時も同じ屋敷内にいたということか。俺の喘ぎ声を散々聞かせてしまった上に、あんなぐちゃぐちゃの浴衣やら布団やらを洗濯していたのもこの人なのか、と思い至ると、本当に恥ずかしくてしばらくまともに顔が見れなかった。
存在を認識したからか、俺の行動範囲が広がったからか、今回はクモツにもちょこちょこ会う。
会うたびに、妊夫だから無理なセックスは厳禁だと俺達に注意するクモツ。
卵が内臓を圧迫しているのか、胃がもたれて、食事を残した日には「しっかり食べないと出産の時、体力が持たない」と世話を焼くクモツ。
とぼしい表情ながらも新しい生命が誕生することを楽しみにしているのが伝わってくる。
ミズカミも、わからないなりに甲斐甲斐しく世話をしてくれている。
俺が苦しそうにしていると、毎回すまなそうに謝った。
出産の準備はミズカミとクモツで用意してくれた。クモツが、昔一度だけ、ヒトの番の出産に立ち会ったことがあるらしい(番はヒトでないこともある、とも教えてくれた)
「ヒトとは違って、期間は短いからもう少し頑張ってくれ」
ミズカミはお腹を撫でながら俺を励ました。
その日はやってきた。
クモツが「これだけ大きくなればそろそろ産まれるだろう」と言っていたので覚悟はしていたつもりだが、いざとなると怖い。
なにせ卵を尻から出すのだ。未知の、しかも情報の少ない出産。
その日は夜、お腹に激痛が走った。初め「なにか腐ったものでも食べたかな?」と少し心配になって、厠に行ったが何も出てこない。
定期的に来る痛みをそのままやり過ごしていいると、ミズカミとクモツが慌てて「陣痛の可能性がある」とやってきた。
「え、まって。そうじゃないかもしれないし!!」
卵でなくて、便だったら?焦る俺を仰向けに布団に寝かせ、準備した産卵床をバタバタと持ってくる。
定期的に訪れる激痛。お腹を抑えようとしたら、天井から吊るした産綱を握らされた。…いや、絡めて縛られている?手が下ろせないのだが。
「上下逆にすると死んでしまうことがあるので、足を開いてください」
今までボソボソとしか喋らなかったのに、こんな声が出たのか、と思うくらいクモツが張り切っている。その声を受けて、ミズカミが寝ている俺の横から両足を掴んで開いた。丸見えになる股間と肛門。その股の間にクモツが入る。
「本当に!!本当に違うかもしれないから!!やめろって!!」
少し暴れると、ミズカミの両手の力が強まる。
「ん…ぐっ……ぅふぅ…」
痛みとともにお腹の卵が動いた。本当に卵が下に降りて来ていて、外からみても明らかに膨らみの位置が変わってきているのがわかった。だが、これは…やばい。
下りてきた卵は、俺の直腸内にぎちぎちに溜まり、直腸内の敏感な部分、前立腺を押してきた。
その刺激にどうしても反応してしまう俺のちんこ。なんて雑魚なんだ。
「卵見えてきてるんで、そのままイキんで!!」
腹がパンパンに張って、出したくて出したくてたまらない。ちんこを勃てたままイキむ。浅い息を繰り返し、何度か出しかけてもとに戻る。イキむと下腹に力が入り、図らずも自ら前立腺を卵に押し当てているようになり、力が抜けてしまうのだ。
「あっ…あっ…でるぅ…でるぅ…」
だが排泄感がピークになり、体内をゴリゴリと刺激したままひり出す。穴のヒダがなくなるくらい限界まで広がり、頭の中で何かが弾けるような感覚がして1つ目の卵が出てきた。
ビリヤードの玉より少し大きいくらいの楕円形。それをクモツが上手に受け取り、上下に気をつけながら、産卵床へと置いた。向きを間違えると子供が卵の中で窒息することもあるらしい。
すぐに次の産卵を促す。空いたスペースに次の卵が降りてくる。卵が移動するたびに、ごりごりと胎内の感じやすい部分を刺激する。出産なんて神聖な儀式で、ちんこ勃たせて感じている自分が恥ずかしい。
「気にするな。自然現象だ」とミズカミが爽やかに言うが、慰めにもならない。一つ分の卵が減って少しだけ余裕ができた俺がいきむのをやめると、無情にもクモツがミズカミに指示を出した。
「水神様、番様のペニスをしごいてもらえますか?」
「なっ!?」俺は慌てる。
「ペニスで感じれば、総排泄腔の収縮が起こるので押し出されやすくなります」
ならばと、ミズカミは素直に俺のちんこを扱き始めた。亀頭をグリグリと撫で回し、出てきた液体で滑りを良くして竿を扱く。ミズカミにとっても初めての出来事で、勝手がわからないからクモツに言われるがままだ。
「あ…や…やめろって…」
爺さんとは言え、人前でそんなこと…。しかも出産中だぞ?真っ赤になって顔を覆いたいのだが、産綱が外れない。
「水神様、場所変わりましょうか?舐めてもいいですよ?ただし、卵は絶対に落とさないでくださいね」
そう言うとクモツはミズカミと位置を変え、俺の足を掴んだ。ミズカミは俺の股の間に入ると細長い舌でチロチロと俺のちんこ全体を舐め、鈴口から尿道に舌を差し込んだ。蛇の舌が未開の管を刺激する。液体が出るだけの穴に、柔らかく暖かいぬるっとしたものが奥へ奥へと侵入する。
内ももに鳥肌がたった。
「ひぃっ…それ…だめ…」
お腹の収縮と共に卵が動き、尿道の奥からもぞわぞわとしたなにか出てきそうな刺激が訪れる。
腹の緊張と緩和の繰り返しの中で、卵がぽんぽんと2つ産まれた。それをミズカミが器用に受け止めると、産卵床へと並べる。
お腹はだいぶ楽になっていたが、まだ全部は出ていなさそうだ。
ヒトの出産は凄まじい痛みだというが、俺の出産は気持ちがいい。卵の胎内での動きと、卵が出る瞬間の排泄感がなんとも言えない。
やばい、病みつきになったらどうしよう。あんなでっかい卵産んで、俺のアナルはがばがばになっているんじゃないだろうか?と、少し余裕のできてきた腹を見ながら思った。
「番様、まだですよ。卵詰まり起こすと母体の命にも関わるので、全部出さないと」
容赦なくクモツの叱責が飛んでくる。
ミズカミの前ならともかく、クモツの前でイクのはいやだな、となんとかちんこから意識をそらしてイキんでみるが、空間に余裕のできた腹からなかなか吐き出せない。
「ちょっと体勢を変えてみましょうか」
俺は手を上げたまま、両足をそれぞれ低い台にのせ、和式便座に座るような体勢にさせられた。その股の間にミズカミが顔を埋め、俺のちんこを口に含んで舐める。そして肛門の前ではクモツが、卵が出るのを今か今かと手を添えて待ち構えている。
ミズカミの体温は低いのだが、口の中だけは暖かい。クモツがいるというのに全く気にする様子もなく、じゅぼじゅぼと卑猥な音をさせ俺のちんこを咥えている。なんだったら空いている手で俺の乳首をコリコリと撫でたり押しつぶしたりしてきた。
気持ちいい。気持ちいいのだが、どうしてこんな場でそんなテクニックを披露するんだ。と俺は恨んだ。クモツが見てるというのに。
「あっ…あっ…あぁ…やめ…いくっ…いくっ…いっちゃうからぁ…」
おっさんなのに、正気では出ないようなか細い声がでた。下腹がぎゅーっと収縮する感じがして、腹の中の卵が動いた。俺のちんこから白い液体が飛び出て、ミズカミの口の中を汚す。
そのイッた後の胎内の痙攣の中で穴からもう一つの卵が出てきた。もはや見る余裕などないが、それをクモツが受け止め、4つ目の卵を産卵床へと並べる。
肩で息をして快楽を逃がす。射精したばかりのちんこが余韻でぴくんぴくんと上下に振れていた。
俺の全体重がかかったせいで、手が痺れてきた。産綱を解いてもらい、ぐったりと前のめりに倒れそうになれば、ミズカミの胸が支えてくれた。
こちらは羞恥に耐えているというのに、クモツは、ミズカミと俺の間に平然と手を割り込ませてきて俺の腹の表面をなでてきた。爺さんに触られているというのに思わず甘い声を上げてしまう。
ミズカミはぴくっと眉を寄せたが、クモツは気にするでもなく真顔で「もう一個二個くらいありそうですね」と言っている。
「せっかくなんで番様が出したそれ、水神様の穴に塗り込んで滑りを良くしましょうか?私やりましょうか?」
「え…?」
俺が不安になると、ミズカミが俺が吐き出した精液をぺっと手のひらに吐き出し、「俺がやる」と穴に手を添えた。
俺は台から降り、和式便座に座るように足を開いたまま、両手を前の床に置き、膝をついて、軽く尻を上げた。俺の穴は肉輪の周りの襞がめくれ上がり、薔薇が咲いた様になっていた。その薔薇が閉じたり開いたりを繰り返している。
ミズカミがごくりとつばを飲んでから、その捲れ上がりはみ出している襞を優しくなぞり、俺が吐き出した液体を丁寧に穴の中に塗り込んでいく。その作業すらも背筋に鳥肌が立ち、内ももあたりがぞわぞわとしていた。
「卵、傷つけないように気をつけてくださいね」
俺の官能をまったく感じ取らずに、クモツは遠慮のない発言をしていく。
俺のペニスは再び勃ち上がり、卵を産む目的など忘れて、ミズカミの指の動きに合わせて腰がへこへこ動いていた。
ミズカミの長い指が俺の体内にある卵の場所を捉えると、優しく卵の周りをなぞった。
「ひぃ…」
思わず腕の力が抜け、上半身が崩れ落ちて、尻を高く突き上げた体勢になる。
「あ!ダメですよ、番様!卵が奥に戻っちまう!」
「でも…でも…」
「あぁ、もうしょうがないですね。ワシがやります」
クモツはミズカミを強引にどかした。俺はすがるようにミズカミに抱きついた。ミズカミは俺を優しく抱きしめた。クモツはゴム手袋をすると、左腕で俺の胸の下辺りを抱え、右手を俺の尻の中に突っ込んできた。
「ひ、ひぎぃっ!!!!」
さっきまで入っていた4つの卵がなくなって、胎内には余裕があるはずなのに、人の手のゴツゴツ感はまた別物だ。腕はミズカミにすがっているのだが、尻を上げ、胎内のクモツの手の刺激に耐える。
「ありゃ、この子が一番大きいのかな?」
目がチカチカして、強い刺激に気が遠くなりそうだった。
「い…ひぃ…はやく…早く出…して…」
俺のちんこの先からは再び液体が溢れてきていた。再び総排泄腔を収縮させようと思ったのか、クモツが左手を俺のちんこに移動させ扱きながら、俺の体内に突っ込んでいる右手の指先を動かして卵を手前へと引き寄せる。
「それは俺がやる」
ミズカミは、俺のちんこに伸びているクモツの手をパシッと払い除けた。クモツは何を言われたのかわからず一瞬ぽかんとしたが、「へい、すんません」と卵を出すことに集中した。
この男にそんなつもりはないのだ。ただ、俺がぐずぐずに感じてしまっているだけで。クモツの手が払われ、寂しくなったちんこにミズカミが手を伸ばして扱いた。
「んんっ…」
外と中からの刺激で総排泄腔の奥がきゅーっ締まり、緩んだ肉輪からクモツの手とともに5個目の卵が出てきた。お腹はだいぶ軽くなった。
その卵をクモツが左手に持ち替えると、そのまま再び手をツッコミ、中をまさぐった。
敏感になった体内をかき回される。内臓がぐちゃぐちゃに刺激されてミズカミにかき付いて助けを求める。
「ひぃっ!!!!ひいっ!!!!やめっ、やめっ、てっ……!!!!」
俺は叫び、ガクガクと痙攣しながらイッた。
「クモツっ!!何をっ!?」ミズカミは怒鳴った。
「うん、大丈夫。これで最後みたいですね」
あっけらかんと、クモツは言って最後の卵を産卵床へと置いた。どうやら卵が残っていないかの確認だったらしい。
「……おわっ…た?」
なんかすごかった。まだ下半身の痙攣が収まらない。そのまま布団へと倒れ込んだ。腰や股関節が痛い。尻穴は中が見えるくらい開き、捲れ上がったヒダがまるで生き物のようにぐぱぐぱと動いていたが、もはや気にする体力は残っていなかった。
「孵化しやすいように準備しますね。まぁ水神様と番様の子ですから、元気な子が生まれるとは思いますが、準備できたらお呼びしますので、水神様は番様の身体のお世話をお願いしますね」
クモツは年の功か、まったく動じなかった。ただ俺が一人で痴態を演じていただけ。
こんなすごいって知っていれば、クモツに立会をお願いしなかったのに…。と思うが、きっとミズカミと二人だったらどうして良いのか分からなかっただろう。
神聖な行為なのに、俺の気持ちと身体が一致していなかっただけで。
ミズカミは濡れたタオルで俺の身体を拭ってくれた。
「出産とは尊いものだな」
俺の前で言うのやめろ。恥しかないわ。だまってされるがまま、ぐったりしている。
「産んでくれてありがとう」
ミズカミの目が潤んでいた。
身体を清め終わり、新しい浴衣を着て横になっていると、クモツが声をかけてきた。
電気の通っていないこの建物では、一定の温度と湿度を保つため、温泉を利用して温度と湿度を保っている。そのため浴室の隣には孵化用の部屋があった。孵化まではだいたい50~60日とのこと。
そのまま寝ていろ、と言われても俺だって自分の産んだものが気になる。ミズカミに支えられながらなんとか産んだ卵を見に行く。
暗がりで、衣装ケースのような箱に入れた5つの卵を感慨深く見守った。
「これが俺の身体から出てきたのか…」
不思議な気持ちだった。俺の身体から出てきたのに、別の生き物。しかも卵で産まれてくるなんて。
「こいつらは蛇で産まれてくるんだよな?俺の血もひいているのに?」
「うん、俺にもよくわからないが、俺のときとは違って、神とヒトの子だからな。一応蛇で産まれてくるが、能力が高ければヒトに擬態もできるらしいぞ。俺とは違って、別にヒトに見られても問題ないらしい」
「なんでだ?えらくご都合主義だな」
「俺もそう思う。俺は元々はただの白蛇だったが、こいつらは神の子だからな。苦労知らずだ」
ミズカミは少し口をとがらせて言葉を続けた。
「だが、それなら俺がいなくなっても安心だ。きっとこいつらのうちの誰かがこの地を守ってくれるだろう」
「ミズカミ…」
「ありがとう、産んでくれて。龍乃丞の身体が戻ったら、現世へ戻れるようにするから、あと少しだけ一緒にいさせてくれ」
卵の世話はクモツに任せて、母体をもとに戻す事に専念する。
考えてみれば、ヘミペニスで犯され、卵まで産んだ上に、図らずもフィストまでしている。
俺の肛門は元に戻るのだろうか…。
こんな経験をしてしまった今、俺の性癖は今後おかしな方向へ行かないだろうか。
心配しかない。
胎内の状況はよくわからないが、3日もすれば、普通に生活できるようになった。多少肛門はゆるいような気はするが。
あと、いつの間にか、アナルが女性器のように縦に割れ、縁がふっくらしていた。これは、残念ながら気のせいではない。
頭を抱えながらミズカミを見ると、目があったが元気がない。
元気のない理由はわかっている。
「安心しろ。俺は現世へ戻ってもお前の話はしないよ」
ミズカミのきれいな銀髪をいじりながら、そう優しく話しかけると、紫の瞳を細めて微笑んだ。
「そんな心配はしていない。むしろ子供が産まれたからもういいんだ。卵が無事孵ったら連絡をするよ」
布団の中で抱き合いながら、でも俺を気遣って身体をつなげることはなく語り合う。
「俺も一緒に産まれるところを見たいな」
そうして俺達は再び会う約束をした。次が本当に最後になるのだろう。
「龍乃丞…頼みがあるんだ。助けてもらってお願いばかりで申し訳ないが…もし、ある日龍乃丞の玄関の前に白蛇が死んでいたら、龍乃丞の親父さんとおふくろさんのお墓の近くに埋めて欲しい」
「それって…」
俺は身体を半分起こしてミズカミの顔を見た。出会った時感じた身体から発光するような神々しさはなく、表情がよくわからない。
「そうすれば、龍乃丞がご両親に会いに行く度に、俺もお前に会えるだろ?それに、龍乃丞が何十年も経っておじいちゃんになって、そのお墓に入ればずっと近くにいられる」
「俺はお前の話は絶対にしない。だからそんな俺を信用していないような言い方するな。お前は神だから俺より長く生きるんだろ?」
「龍乃丞のことは信じてる。自分のことよりもずっと信じているよ。…ふふ、忘れてくれ。例えばの話だから」
薄暗がりの中でミズカミは俺を見つめ、頬をなでた。
愛おしそうに。そして寂しそうに。
今回はゴールが見えているので、以前とは違いとても心穏やかに過ごしている。
クモツは、この屋敷の隅に住んでいた。前は「水神様のじゃまにならないように」と極力存在を消していたらしい。
ということは、俺達がずっとセックスをしている時も同じ屋敷内にいたということか。俺の喘ぎ声を散々聞かせてしまった上に、あんなぐちゃぐちゃの浴衣やら布団やらを洗濯していたのもこの人なのか、と思い至ると、本当に恥ずかしくてしばらくまともに顔が見れなかった。
存在を認識したからか、俺の行動範囲が広がったからか、今回はクモツにもちょこちょこ会う。
会うたびに、妊夫だから無理なセックスは厳禁だと俺達に注意するクモツ。
卵が内臓を圧迫しているのか、胃がもたれて、食事を残した日には「しっかり食べないと出産の時、体力が持たない」と世話を焼くクモツ。
とぼしい表情ながらも新しい生命が誕生することを楽しみにしているのが伝わってくる。
ミズカミも、わからないなりに甲斐甲斐しく世話をしてくれている。
俺が苦しそうにしていると、毎回すまなそうに謝った。
出産の準備はミズカミとクモツで用意してくれた。クモツが、昔一度だけ、ヒトの番の出産に立ち会ったことがあるらしい(番はヒトでないこともある、とも教えてくれた)
「ヒトとは違って、期間は短いからもう少し頑張ってくれ」
ミズカミはお腹を撫でながら俺を励ました。
その日はやってきた。
クモツが「これだけ大きくなればそろそろ産まれるだろう」と言っていたので覚悟はしていたつもりだが、いざとなると怖い。
なにせ卵を尻から出すのだ。未知の、しかも情報の少ない出産。
その日は夜、お腹に激痛が走った。初め「なにか腐ったものでも食べたかな?」と少し心配になって、厠に行ったが何も出てこない。
定期的に来る痛みをそのままやり過ごしていいると、ミズカミとクモツが慌てて「陣痛の可能性がある」とやってきた。
「え、まって。そうじゃないかもしれないし!!」
卵でなくて、便だったら?焦る俺を仰向けに布団に寝かせ、準備した産卵床をバタバタと持ってくる。
定期的に訪れる激痛。お腹を抑えようとしたら、天井から吊るした産綱を握らされた。…いや、絡めて縛られている?手が下ろせないのだが。
「上下逆にすると死んでしまうことがあるので、足を開いてください」
今までボソボソとしか喋らなかったのに、こんな声が出たのか、と思うくらいクモツが張り切っている。その声を受けて、ミズカミが寝ている俺の横から両足を掴んで開いた。丸見えになる股間と肛門。その股の間にクモツが入る。
「本当に!!本当に違うかもしれないから!!やめろって!!」
少し暴れると、ミズカミの両手の力が強まる。
「ん…ぐっ……ぅふぅ…」
痛みとともにお腹の卵が動いた。本当に卵が下に降りて来ていて、外からみても明らかに膨らみの位置が変わってきているのがわかった。だが、これは…やばい。
下りてきた卵は、俺の直腸内にぎちぎちに溜まり、直腸内の敏感な部分、前立腺を押してきた。
その刺激にどうしても反応してしまう俺のちんこ。なんて雑魚なんだ。
「卵見えてきてるんで、そのままイキんで!!」
腹がパンパンに張って、出したくて出したくてたまらない。ちんこを勃てたままイキむ。浅い息を繰り返し、何度か出しかけてもとに戻る。イキむと下腹に力が入り、図らずも自ら前立腺を卵に押し当てているようになり、力が抜けてしまうのだ。
「あっ…あっ…でるぅ…でるぅ…」
だが排泄感がピークになり、体内をゴリゴリと刺激したままひり出す。穴のヒダがなくなるくらい限界まで広がり、頭の中で何かが弾けるような感覚がして1つ目の卵が出てきた。
ビリヤードの玉より少し大きいくらいの楕円形。それをクモツが上手に受け取り、上下に気をつけながら、産卵床へと置いた。向きを間違えると子供が卵の中で窒息することもあるらしい。
すぐに次の産卵を促す。空いたスペースに次の卵が降りてくる。卵が移動するたびに、ごりごりと胎内の感じやすい部分を刺激する。出産なんて神聖な儀式で、ちんこ勃たせて感じている自分が恥ずかしい。
「気にするな。自然現象だ」とミズカミが爽やかに言うが、慰めにもならない。一つ分の卵が減って少しだけ余裕ができた俺がいきむのをやめると、無情にもクモツがミズカミに指示を出した。
「水神様、番様のペニスをしごいてもらえますか?」
「なっ!?」俺は慌てる。
「ペニスで感じれば、総排泄腔の収縮が起こるので押し出されやすくなります」
ならばと、ミズカミは素直に俺のちんこを扱き始めた。亀頭をグリグリと撫で回し、出てきた液体で滑りを良くして竿を扱く。ミズカミにとっても初めての出来事で、勝手がわからないからクモツに言われるがままだ。
「あ…や…やめろって…」
爺さんとは言え、人前でそんなこと…。しかも出産中だぞ?真っ赤になって顔を覆いたいのだが、産綱が外れない。
「水神様、場所変わりましょうか?舐めてもいいですよ?ただし、卵は絶対に落とさないでくださいね」
そう言うとクモツはミズカミと位置を変え、俺の足を掴んだ。ミズカミは俺の股の間に入ると細長い舌でチロチロと俺のちんこ全体を舐め、鈴口から尿道に舌を差し込んだ。蛇の舌が未開の管を刺激する。液体が出るだけの穴に、柔らかく暖かいぬるっとしたものが奥へ奥へと侵入する。
内ももに鳥肌がたった。
「ひぃっ…それ…だめ…」
お腹の収縮と共に卵が動き、尿道の奥からもぞわぞわとしたなにか出てきそうな刺激が訪れる。
腹の緊張と緩和の繰り返しの中で、卵がぽんぽんと2つ産まれた。それをミズカミが器用に受け止めると、産卵床へと並べる。
お腹はだいぶ楽になっていたが、まだ全部は出ていなさそうだ。
ヒトの出産は凄まじい痛みだというが、俺の出産は気持ちがいい。卵の胎内での動きと、卵が出る瞬間の排泄感がなんとも言えない。
やばい、病みつきになったらどうしよう。あんなでっかい卵産んで、俺のアナルはがばがばになっているんじゃないだろうか?と、少し余裕のできてきた腹を見ながら思った。
「番様、まだですよ。卵詰まり起こすと母体の命にも関わるので、全部出さないと」
容赦なくクモツの叱責が飛んでくる。
ミズカミの前ならともかく、クモツの前でイクのはいやだな、となんとかちんこから意識をそらしてイキんでみるが、空間に余裕のできた腹からなかなか吐き出せない。
「ちょっと体勢を変えてみましょうか」
俺は手を上げたまま、両足をそれぞれ低い台にのせ、和式便座に座るような体勢にさせられた。その股の間にミズカミが顔を埋め、俺のちんこを口に含んで舐める。そして肛門の前ではクモツが、卵が出るのを今か今かと手を添えて待ち構えている。
ミズカミの体温は低いのだが、口の中だけは暖かい。クモツがいるというのに全く気にする様子もなく、じゅぼじゅぼと卑猥な音をさせ俺のちんこを咥えている。なんだったら空いている手で俺の乳首をコリコリと撫でたり押しつぶしたりしてきた。
気持ちいい。気持ちいいのだが、どうしてこんな場でそんなテクニックを披露するんだ。と俺は恨んだ。クモツが見てるというのに。
「あっ…あっ…あぁ…やめ…いくっ…いくっ…いっちゃうからぁ…」
おっさんなのに、正気では出ないようなか細い声がでた。下腹がぎゅーっと収縮する感じがして、腹の中の卵が動いた。俺のちんこから白い液体が飛び出て、ミズカミの口の中を汚す。
そのイッた後の胎内の痙攣の中で穴からもう一つの卵が出てきた。もはや見る余裕などないが、それをクモツが受け止め、4つ目の卵を産卵床へと並べる。
肩で息をして快楽を逃がす。射精したばかりのちんこが余韻でぴくんぴくんと上下に振れていた。
俺の全体重がかかったせいで、手が痺れてきた。産綱を解いてもらい、ぐったりと前のめりに倒れそうになれば、ミズカミの胸が支えてくれた。
こちらは羞恥に耐えているというのに、クモツは、ミズカミと俺の間に平然と手を割り込ませてきて俺の腹の表面をなでてきた。爺さんに触られているというのに思わず甘い声を上げてしまう。
ミズカミはぴくっと眉を寄せたが、クモツは気にするでもなく真顔で「もう一個二個くらいありそうですね」と言っている。
「せっかくなんで番様が出したそれ、水神様の穴に塗り込んで滑りを良くしましょうか?私やりましょうか?」
「え…?」
俺が不安になると、ミズカミが俺が吐き出した精液をぺっと手のひらに吐き出し、「俺がやる」と穴に手を添えた。
俺は台から降り、和式便座に座るように足を開いたまま、両手を前の床に置き、膝をついて、軽く尻を上げた。俺の穴は肉輪の周りの襞がめくれ上がり、薔薇が咲いた様になっていた。その薔薇が閉じたり開いたりを繰り返している。
ミズカミがごくりとつばを飲んでから、その捲れ上がりはみ出している襞を優しくなぞり、俺が吐き出した液体を丁寧に穴の中に塗り込んでいく。その作業すらも背筋に鳥肌が立ち、内ももあたりがぞわぞわとしていた。
「卵、傷つけないように気をつけてくださいね」
俺の官能をまったく感じ取らずに、クモツは遠慮のない発言をしていく。
俺のペニスは再び勃ち上がり、卵を産む目的など忘れて、ミズカミの指の動きに合わせて腰がへこへこ動いていた。
ミズカミの長い指が俺の体内にある卵の場所を捉えると、優しく卵の周りをなぞった。
「ひぃ…」
思わず腕の力が抜け、上半身が崩れ落ちて、尻を高く突き上げた体勢になる。
「あ!ダメですよ、番様!卵が奥に戻っちまう!」
「でも…でも…」
「あぁ、もうしょうがないですね。ワシがやります」
クモツはミズカミを強引にどかした。俺はすがるようにミズカミに抱きついた。ミズカミは俺を優しく抱きしめた。クモツはゴム手袋をすると、左腕で俺の胸の下辺りを抱え、右手を俺の尻の中に突っ込んできた。
「ひ、ひぎぃっ!!!!」
さっきまで入っていた4つの卵がなくなって、胎内には余裕があるはずなのに、人の手のゴツゴツ感はまた別物だ。腕はミズカミにすがっているのだが、尻を上げ、胎内のクモツの手の刺激に耐える。
「ありゃ、この子が一番大きいのかな?」
目がチカチカして、強い刺激に気が遠くなりそうだった。
「い…ひぃ…はやく…早く出…して…」
俺のちんこの先からは再び液体が溢れてきていた。再び総排泄腔を収縮させようと思ったのか、クモツが左手を俺のちんこに移動させ扱きながら、俺の体内に突っ込んでいる右手の指先を動かして卵を手前へと引き寄せる。
「それは俺がやる」
ミズカミは、俺のちんこに伸びているクモツの手をパシッと払い除けた。クモツは何を言われたのかわからず一瞬ぽかんとしたが、「へい、すんません」と卵を出すことに集中した。
この男にそんなつもりはないのだ。ただ、俺がぐずぐずに感じてしまっているだけで。クモツの手が払われ、寂しくなったちんこにミズカミが手を伸ばして扱いた。
「んんっ…」
外と中からの刺激で総排泄腔の奥がきゅーっ締まり、緩んだ肉輪からクモツの手とともに5個目の卵が出てきた。お腹はだいぶ軽くなった。
その卵をクモツが左手に持ち替えると、そのまま再び手をツッコミ、中をまさぐった。
敏感になった体内をかき回される。内臓がぐちゃぐちゃに刺激されてミズカミにかき付いて助けを求める。
「ひぃっ!!!!ひいっ!!!!やめっ、やめっ、てっ……!!!!」
俺は叫び、ガクガクと痙攣しながらイッた。
「クモツっ!!何をっ!?」ミズカミは怒鳴った。
「うん、大丈夫。これで最後みたいですね」
あっけらかんと、クモツは言って最後の卵を産卵床へと置いた。どうやら卵が残っていないかの確認だったらしい。
「……おわっ…た?」
なんかすごかった。まだ下半身の痙攣が収まらない。そのまま布団へと倒れ込んだ。腰や股関節が痛い。尻穴は中が見えるくらい開き、捲れ上がったヒダがまるで生き物のようにぐぱぐぱと動いていたが、もはや気にする体力は残っていなかった。
「孵化しやすいように準備しますね。まぁ水神様と番様の子ですから、元気な子が生まれるとは思いますが、準備できたらお呼びしますので、水神様は番様の身体のお世話をお願いしますね」
クモツは年の功か、まったく動じなかった。ただ俺が一人で痴態を演じていただけ。
こんなすごいって知っていれば、クモツに立会をお願いしなかったのに…。と思うが、きっとミズカミと二人だったらどうして良いのか分からなかっただろう。
神聖な行為なのに、俺の気持ちと身体が一致していなかっただけで。
ミズカミは濡れたタオルで俺の身体を拭ってくれた。
「出産とは尊いものだな」
俺の前で言うのやめろ。恥しかないわ。だまってされるがまま、ぐったりしている。
「産んでくれてありがとう」
ミズカミの目が潤んでいた。
身体を清め終わり、新しい浴衣を着て横になっていると、クモツが声をかけてきた。
電気の通っていないこの建物では、一定の温度と湿度を保つため、温泉を利用して温度と湿度を保っている。そのため浴室の隣には孵化用の部屋があった。孵化まではだいたい50~60日とのこと。
そのまま寝ていろ、と言われても俺だって自分の産んだものが気になる。ミズカミに支えられながらなんとか産んだ卵を見に行く。
暗がりで、衣装ケースのような箱に入れた5つの卵を感慨深く見守った。
「これが俺の身体から出てきたのか…」
不思議な気持ちだった。俺の身体から出てきたのに、別の生き物。しかも卵で産まれてくるなんて。
「こいつらは蛇で産まれてくるんだよな?俺の血もひいているのに?」
「うん、俺にもよくわからないが、俺のときとは違って、神とヒトの子だからな。一応蛇で産まれてくるが、能力が高ければヒトに擬態もできるらしいぞ。俺とは違って、別にヒトに見られても問題ないらしい」
「なんでだ?えらくご都合主義だな」
「俺もそう思う。俺は元々はただの白蛇だったが、こいつらは神の子だからな。苦労知らずだ」
ミズカミは少し口をとがらせて言葉を続けた。
「だが、それなら俺がいなくなっても安心だ。きっとこいつらのうちの誰かがこの地を守ってくれるだろう」
「ミズカミ…」
「ありがとう、産んでくれて。龍乃丞の身体が戻ったら、現世へ戻れるようにするから、あと少しだけ一緒にいさせてくれ」
卵の世話はクモツに任せて、母体をもとに戻す事に専念する。
考えてみれば、ヘミペニスで犯され、卵まで産んだ上に、図らずもフィストまでしている。
俺の肛門は元に戻るのだろうか…。
こんな経験をしてしまった今、俺の性癖は今後おかしな方向へ行かないだろうか。
心配しかない。
胎内の状況はよくわからないが、3日もすれば、普通に生活できるようになった。多少肛門はゆるいような気はするが。
あと、いつの間にか、アナルが女性器のように縦に割れ、縁がふっくらしていた。これは、残念ながら気のせいではない。
頭を抱えながらミズカミを見ると、目があったが元気がない。
元気のない理由はわかっている。
「安心しろ。俺は現世へ戻ってもお前の話はしないよ」
ミズカミのきれいな銀髪をいじりながら、そう優しく話しかけると、紫の瞳を細めて微笑んだ。
「そんな心配はしていない。むしろ子供が産まれたからもういいんだ。卵が無事孵ったら連絡をするよ」
布団の中で抱き合いながら、でも俺を気遣って身体をつなげることはなく語り合う。
「俺も一緒に産まれるところを見たいな」
そうして俺達は再び会う約束をした。次が本当に最後になるのだろう。
「龍乃丞…頼みがあるんだ。助けてもらってお願いばかりで申し訳ないが…もし、ある日龍乃丞の玄関の前に白蛇が死んでいたら、龍乃丞の親父さんとおふくろさんのお墓の近くに埋めて欲しい」
「それって…」
俺は身体を半分起こしてミズカミの顔を見た。出会った時感じた身体から発光するような神々しさはなく、表情がよくわからない。
「そうすれば、龍乃丞がご両親に会いに行く度に、俺もお前に会えるだろ?それに、龍乃丞が何十年も経っておじいちゃんになって、そのお墓に入ればずっと近くにいられる」
「俺はお前の話は絶対にしない。だからそんな俺を信用していないような言い方するな。お前は神だから俺より長く生きるんだろ?」
「龍乃丞のことは信じてる。自分のことよりもずっと信じているよ。…ふふ、忘れてくれ。例えばの話だから」
薄暗がりの中でミズカミは俺を見つめ、頬をなでた。
愛おしそうに。そして寂しそうに。
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