壁穴奴隷No.18 銀の髪の亡霊

猫丸

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2.再会(アレク視点)

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ハムの焼けた香りがしてきた。
スープもいい感じに作れた。
愛しいあの人は、生きているか不安になるほどか細くて。
いっぱい食べさせて元気にしなきゃ。

あの人が、今自分のベッドで寝ている。
その姿を思い出して、笑みが溢れた。
そろそろ起きるだろうか?
それともご飯を持っていけば、香りでお腹をグーグー鳴らして目覚めるかな?

そんな想像をしながら部屋の前まで行くと、取り乱すあの人の声が。

胸をかきむしり「ないっ!!ないっ!!」と泣き叫んでいる。
所持品なんてなんてなかったはずだけど、壁穴屋のオヤジが渡し忘れたんだろうか。
とりあえず今は少しでも落ち着かせるのが最優先。
抱きしめて優しく声をかける。

「落ち着いて、何がないのか言ってみろ。持ってきてあげるから!!」

涙でぐちゃぐちゃになった顔が俺を視界に捉えた。

「……アレ…ク…?」

「そうだ!!俺だ!!アレクだ!!わかるか!?もう大丈夫だから!!」

すると先程の錯乱はどこへやら、ストンと表情が抜け落ち、一瞬の間のあとにポロポロ泣き始めた。

「あ…あ……なんで!?なんで!?ごめんなさい!!ごめんなさい!!僕、また守れなかったんだね。あんなに、あんなに耐えたのに!!」

慟哭。
愛しい人は、ひたすら泣き叫び、謝り続けたあとで、また意識を失った。

◇◇◇

5年前、シルヴァとはぐれてから、アレクは死ぬほど後悔した。
胸に刻まれた、入れ墨のように残る隷属紋だけが、アレクの救いだった。

生きている。
絶対に探し出す。

混乱の世の中で、シルヴァを探しながら、必死に働いた。
できることは何でもした。
シルヴァを見つけたとき、もう二度と手放さないで済むように。

もはや、アレクが元奴隷だと知るものはいない。
その中で、中年の男が声をかけてきた。
新しくできた国の魔法騎士団の団員だった。
アレクの中に魔力が眠っている、と。

胡散臭い話だと思ったが、その男が言った。

「権力を持てば、欲しい物も手に入るし、探しものも楽になるよ」

◇◇◇

そして、ついに見つけた。
始めはあのシルヴァが最下層の性風俗にいるなんて想像もしていなかった。

だってシルヴァは俺のものだから、他の人に抱かれるなんてありえない。

なんの根拠もなく、ずっとそう思いこんでいた。
ただ、どんなに探しても見つからないまま5年が経ち、アレクは焦っていた。
こんなに探しているのに見つからないなんて、シルヴァは俺から逃げているのか?
それとも、どこかで幸せになっていて、俺のことなんてもうどうでもよいのか?

今回も違うと思っていた。
もたらされた情報も、信憑性の薄いものだった。
二度と会えないまま死んでしまうかもしれないという恐怖と焦りを、そこで発散しようかと思って立ち寄った。

ただ、行ってみたら、あの店でシルヴァのような白い肌と銀色の下生えが、下腹の出た中年の男に尻を叩かれ、淫乱に腰を振っているのが許せなくなった。
どちらにしても、アレクはシルヴァに似た銀髪の男でしか欲望を発散できない。
買い取って気に入らなければ、解放してやればいい。
シルヴァではないと思っていたから、自分の目の前で他人に犯されるシルヴァを見てもやりすごせた。
シルヴァだとわかっていたら、相手の男を殴り飛ばしていただろう。

受付に戻って希望を伝えた。
「買い取りはできないこたぁないけどさ。
アンタ、お金も持ってそうだし、もっといいところで買えるだろ?
こんなところにいるヤツなんざ、いつまで持つかわかんないよ。
18番ももう来てから何ヶ月も経ったからね。
そろそろ、気がおかしくなるか、病気になってオダブツだ。
すぐに死んだって文句言われても、こっちも責任取れないよ。
あぁ、ほら、18番の穴、空いたから試してきなよ。買うかどうかはそれから決めな」

ふくらはぎに18と書かれた下半身の前に立って注意深く観察する。
壁を取って、顔を見せてもらいたかったが、鍵を持ったオーナーが戻って来るまでできないと断られた。
仕方なく小窓から覗くと赤い首輪をつけ、うつむく男の背中と長い髪が見えた。
髪色は、暗くて銀なのか白なのかわからない。
青白く浮かび上がる男の白い肌が亡霊のようにも見えた。
ただ、先程叩かれ、赤く腫れた尻たぶが、血が通っていることを教えてくれる。

下半身の前で観察すると、臍下に淫紋が刻まれ、その下に薄く下生えが生えていた。
何度もなでたり、引っ張ったら、少し毛が抜けた。
ランプに照らして確認する。
確かに銀色だった。

ずくん

アレクの下半身がうずいた。
すこし皮を被った小ぶりのペニスを剥き刺激を与えつつ、後穴に指を突っ込む。
シルヴァに似たその下半身は、また淫らに反応し始める。

この部屋中に焚かれている催淫効果のある香りのせいか、だんだん、声まで似ているような気がして、つい名前を尋ねた。
だが、奴隷番号を答えられ、こんな店だが一応この店なりのルールがあるんだろう、と思い至った。

それより、アレクの下半身が限界だった。
顔も知らない、壁穴に興奮していた。
むしろ、顔が見えないからこそ、愛しい相手だと想像して思い切りできる。
こんなに探しているのに現れないシルヴァに対する怒り。
手に入らないものへ対する渇望。

大きすぎるペニスに、穴が切れ、血が流れているにもかかわらず、この壁穴は確実に快楽を感じ取り喘いでいる。
こんな淫乱があのシルヴァのわけがない。
それからは、安心して思い切り犯した。
どうせ買い取るのだから、とゴムもつけずに何度も何度も中にぶちまけた。

コイツはどんなに乱暴にしても、よがり狂っている。
シルヴァが見つかっても、こっそり飼っていてやってもいいな。
シルヴァに対しては発散できない肉欲も、コイツ相手ならできそうだ。

仄暗い欲望でアレクの頭の中がいっぱいになっていて、相手への手加減は一切なかった。

「ありゃ、兄さんムチャしたねぇ~。死んでないかねぇ、大丈夫かねぇ」

さすがに、壁穴が限界を訴え始めた頃、先程の受付の男が、緊張感のない声で呼びに来た。
気がつけば、周りに客はもういなかった。
オーナーが来たので、金額の話がしたいそうだ。

「兄さんが支払いしている間に、コイツ拭いとくからさ」

契約はスムーズだった。
ちょっとふっかけられたような気もしたが、先程の興奮を思い出せば、安いもんだ。
あそこで止めてもらえてよかった。抱き殺してしまうところだった。

支払いを済ませ戻ると、受付の男が首輪の紐を持ちながら頭をかいていた。
足元には18番と呼ばれる男が倒れていた。

「まいったねぇ。気を失っちゃって動かないんだよ。ちょいと水ぶっかけるから、待っててね。そしたら目も冷ますだろうよ」

逃げたらいけないからね、とリードを近くのフックに引っかけ、18番を仰向けに転がした。
隠れていた顔が現れた。

「兄さん、水が飛ぶから離れててよ!!」

アレクは、バケツをかまえた男を必死に止めた。


◇◇◇

目覚めたシルヴァの口にスープを運びながら、優しく説明する。
俺のシャツを来ている姿はまるで恋人みたいで、少し照れる。

「……奴隷契約を解除した?」

シルヴァが取り乱した原因は、俺を巻き込んで死んでしまったと思ったらしい。

そんなに思ってくれてたなんてうれしい。
なのに照れ隠しでぶっきらぼうな言い方をしてしまう。

「まぁ、俺も今はそれなりに収入も立場もあるしな」

そう、だから、お前はただ俺の側にいればいい。

「そう…だよね…」
「それとも、なにか?お前、そんなに俺とのつながりがが恋しかったのか?」

そうだと言ってほしい、お前も俺と同じ気持ちだと。
会えない5年間、その奴隷契約だけが生きる希望だったと。
期待する顔を見られたくなくて、飲み終わったスープのお皿をサイドテーブルに置く。

アレクはシルヴァと一緒に死ぬことは構わなかった。
むしろ、シルヴァがいない世界で生きてゆける自信がない。
だが、離れたまま死ぬことだけは耐えられなかった。

絶対に見つける。

だから上司に頭を下げて、シルヴァを探す協力を仰いだ。
あの時アレクを勧誘してくれた中年の団員は、新しく出来たルーメン王国の魔法騎士団の団長になっていた。
魔法契約の内容に団長は驚いていたが、任務の最中に突然死なれては困るため、「銀の髪の男を探す」というのは、極秘最優先事項になった。

ただし、会えたら必ず契約を解除することを約束させられた。

アレク自身も、この守秘義務を守るしかできない契約魔法に憤りを感じていたから、それに対して異論はなかった。
古い奴隷契約魔法だから、主従が揃えば契約解除は難しくない。
シルヴァを探す目的のために、ありとあらゆる研鑽を積み、試してきたアレクの魔術は、気がつけばこの新しい国でトップクラスになっていた。
とくに探索技術についてはアレク以上の人物はいない。

だが、肝心のシルヴァだけがどうやっても見つからない。
互いに契約印でつながっているから、普通よりも探知しやすいはずなのに。
闇で取引され、ずっと魔力探査の引っかからない違法な場所で囲われていたためだ。
新しいこの国には、そんな闇がまだまだたくさんある。

シルヴァはしばらく黙っていた。
重苦しい沈黙の後、窓から見える外を見つめた。
つられてアレクも同じ方向を向いた。
いつの間にか、空には厚い雲がかかり、今にも雨が降り出しそうなほど暗くなっていた。

「契約は解除されたんだね…。じゃあ……お別れ…なんだ…」

さみしくなるね、と悲しそうに微笑んだ。
どんなつもりでそんなことを言ったのかわからない。
ただ、凄まじい怒りがこみ上げてきて、目の前が真っ赤になった。
去ろうとするシルヴァを突き飛ばす。

「はぁっ?…お前、なんか勘違いしてねぇ?
お前を買い取ったんだけど?
お前は俺のもんになったんだけど?
今度は
高い金出して買ったんだから、ちゃんと働けよ」

ぞっとするほど冷たい声が出た。
驚いて目を見張るシルヴァの目の前に、ペニスを突き出す。

「立場、分かれせてやる。ほら、舐めろ」

そんなこと思っていなかった。
大事にしてあげたいと思っていたのに、やっと見つけたのに。
まさか、すぐ別れを切り出されるなんて。
会いたいと思っていたのは自分だけだった。
強烈な片思いに怒りがこみ上げてきて、噛んだ唇からは血の味がした。

シルヴァは始めは驚いた顔をしていたが、目を伏せると、突き出されたペニスに舌を伸ばした。
立っていなくても大きめのそれは、口の中には収まりきらない。
じゅぶじゅぶと角度を変えて必死に舐めていた。

「へたくそ。そんなんじゃ立たねぇ」

後頭部をわし掴みし、思い切り喉の奥に突き立てる。
「あ゛っ!?ぐぁっ!!がっ!!あ゛っ!!」

苦しそうだったが、シルヴァは決して逆らわなかった。
涙と鼻水とよだれでぐちゃぐちゃになりながら、顔をしかめながら、必死にえずきに堪えていた。
口の端からたれた唾液は、首筋を伝わり、白いシャツに染みていく。
濡れたシャツからは、ピンクの乳首が透けていた。

これは罰だ。罰を与えなければいけない。
俺から離れ、男に股を開いていたシルヴァへの。
俺から再び離れようとしているシルヴァへの。

「いくぞ、飲め」

思い切り腰を振り、喉の奥めがけて欲望を吐き出す。

「ぐふっ!!」

口から引き抜く瞬間、収まりきらなかった白い液が、口の端から溢れた。
シルヴァは両手で口を抑えうつむく。

「んっ、んくっ、んくっ…」

欲望を吐き出し少し冷静になる。
おそるおそるシルヴァの肩に手をのばすそうとすると、口元を覆っていた手が離れ、顔を上げた。

「…時間がかかり…申し…わけ…ありません…」

喉に精液が絡まるのか、時折声をつまらせた。
こぼれた精液も指で集めて飲んだのか、口や首の周りやがぐちゃぐちゃに汚れていた。
そして、命令されるでもなく、アレクの股間に再び顔をうずめると、竿や陰嚢だけでなく、アレクの後穴までも丁寧に舐め、尿道に残る精液までもちゅっと飲み干した。

コイツは誰だ!?
本当にあのシルヴァか?

アレクは驚きで動けなかった。
主と奴隷の関係ではあったが、兄弟のように育ち、常に自分についてきたシルヴァ。
アレクがからかうと、泣きながら抗議してきたシルヴァ。
かわいくて、愛おしくて、一緒に逃げるときに、絶対に幸せにすると心に誓った相手が、今は得体の知れないもののように見えた。

そして、アレクは気づいた。
シルヴァが自分を見ていないことに。
焦点の合わない目で、ご主人様の命令を必死に聞こうとする奴隷。

壁穴屋の男の声が頭をよぎった。

「ここに来るとね、大体みんな先に心が壊れちゃうんだよ。
もちろん、むちゃされて身体が壊れちゃうやつもいるけどね。
そうなったら、そこらの道端にぽいだよ。消耗品だからね。
だから、この子はラッキーだね。兄さん、ちゃんとお世話してあげなよ。
おとなしい、いい子だよ。
今はこんなとこにいるけど、その前は性奴隷だったみたいだからね。
ちゃんとしつけの出来てる子だよ。
特にあっち方面ではちゃんとご主人さまの言うことは聞くはずさ」

「ふ、ふん、淫らに躾けられやがって。その淫乱なケツ穴を自分の手で広げて俺にみせてみろ」

狼狽しているのを悟られたくなくて、更に言い放つ。

シルヴァは、のろのろとシャツを脱いで全裸になると、膝を立てて仰向けに寝た。
そのまま、後穴が丸見えになるよう、膝を頭の方に移動させ、尻を上げた。
そしてその丸見えになった肉壺を、中の赤い肉が見えるまで引き伸ばす。
縦に割れ、女性器のようになった排泄穴が、くぱぁと開かれ、ひくひくしていた。

「ご…主人さまの…お…ちんぽを…ぼくのはしたない穴に…いれ…てください…」
掠れた声で絞り出す。
これがシルヴァの5年間だったのだ。

黙っていると、シルヴァが不安げな顔でちらりと見た。
甘ったるい鼻にかかった声でねだる。

「…あの…ぼくの肉便器に…ご主人さまの大きなおちんぽを恵んでください。
精液、びゅーびゅーいっぱい出して、お腹の中いっぱいにしてください…。
……あのっ…精液じゃなくて、おしっこでもいいです。殺さないでくれたら、ぼくなんでもします」

アレクは泣き叫びながら、シルヴァを抱いた。

◇◇◇

シルヴァは汗と精液で汚れたシーツの上で、意識を失っていた。
綺麗な銀髪が乱れ、何度も達し、二人の精液で汚れた身体には、自分の所有物であることを示すように、そこら中に花びらのような赤い印と噛み跡がつけられていた。
後穴からは、アレクが出した精液が収まりきらずに溢れている。

もう二度と離さない。
生涯、身体の中も外も心も、俺の物だと思い知らせてやる。
中にも外にも精液をぶちまけて、汚れた状態で放置する。
俺のものを汚した奴らの匂いが消えるように、俺の匂いを染付かせる。
目覚めて一緒に身体を清めるときに、自分がもともと誰のものだったかを思い出させてやる。

脚を開き肩にのせ、内股をなめた。
シルヴァ吐き出したものが、固まりこびりついている。
手に入れたものの存在を確認して、嬉しくなってたくさん甘咬みし、歯型をつける。
やっと俺のもとに戻ってきた愛しい存在。
すべての行為がお前への愛ゆえだと、長い年月をかけて教えていこう。

足を大きく開脚させたまま、下腹の紋に手を当てて魔力を流し込む。
押した圧力で、弛緩したシルヴァの後穴から、ぷぴぴと白濁液が溢れてきたが、気にせず呪文を唱える。
すると、蔦が絡まったハートの紋の形が変化し、花が咲いた。
ハートの真ん中にはアレクの名前が刻まれている。

「もう、これで俺から離れられないな」

そういって、微笑む。
奴隷契約よりももっともっと強力な拘束印。
その新しい紋を優しく口づけすると、意識のないシルヴァのペニスがぴくん反応した。
そのペニスにも唇と落としながら、微笑む。

「お前は俺のものだ」
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