運命のアルファ

猫丸

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1.颯人視点

5.繋がる身体

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「……亮太、ちょ……まって……ほんとに……?」

 体内の準備をして、いざ裸で向かい合うと途端にこみ上げる羞恥心。俺が下になって、その上に覆いかぶさるように亮太。

「は? 今さら『無理でした』とかナシに決まってんだろ?」

 亮太が苛立っている。だが下半身を見るとちんこはバキバキに勃っていて、少し驚いた。女性でもない、オメガでもない、俺に興奮してくれているのか?
 亮太と変わらない、180センチ近い筋肉質の身体の俺。美形だと言われても、あくまでそれは男性的なものだ。亮太が、好きだと言ってくれていたオメガのような俺はもういない。

「ちが……俺……するの初めてだから、その……この後どうしたらいいのかわからなくて……」

「は? 男も女も?」

「……ん」

「準備は?」

「……それ、は……ネットで調べた……」

 亮太は少し驚いたように目を見開いた。そして「ふん、そっか」と自分の顔を腕で隠し、俺の脚を掴んで持たせた。
 自らの脚を両手で抱え、仰向けで大きく股を開いた体勢になる。ゆるく反応したちんこと、誰にも見られたことのない穴が亮太の目にさらされると、俺は真っ赤になって顔を背けた。
 亮太はしばらく動かなかった。やはり気が変わったのかと恐る恐る見ると亮太と目があった。じっと俺の恥ずかしいカッコを見ていたのだろうか。

「りょう、た?」
 
 名を呼ぶと、はっとして、やっと俺の穴にローションがわりの乳液を垂らして指を出し入れ始めた。
 一方通行で、逆流を許したことのない穴はそのわずかな侵入さえも拒む。入る時のわずかな痛み、出る時の異物感に背中がぞくぞくした。
 なんともいえないこの感覚。入口の縁がだんだん熱を持ち、痛みを感じなくなった頃、体内に入る指が増やされた。
 拡がる穴。再びじんじんとした軽い痛みを感じる。だがそれだけじゃない。イタ気持ち良い。
 俺のペニスも反応して、鈴口から透明な液が垂れていた。

「あ……なん、か……へん……」

 徐々に体内から得体のしれないものが湧き上がってくるのを感じて少し怖くなった。
 不安になってちらりと亮太を見れば、亮太の太いペニスもばきばきに血管が浮かび上がり、透明な液体が滴っていた。

「りょう、た……もう……入れていい、よ……」

 与えられる快楽に抗いながら、亮太に手を伸ばす。後ろの穴で感じてしまうことが少し恥ずかしかった。

「まだだよ。 ちゃんとほぐさないと颯人がつらいから。 でも指、増やすからつらかったら言って?」

 こくこくと頷く。
 指が3本に増えるとさすがにきつかった。思わず顔をしかめると、太ももに置かれていた亮太の手が俺のちんこを扱き始めた。思わず声が漏れる。中と外から与えられる刺激。
 そのうち体内の指がある一点に触れた。

「ああっ!?」

 思わず腰が跳ね、両手が脚から離れた。その脚を再び持ち直しさせられる。
 再び刺激される体内。今度は手探りでなく、感じる一点に集中していた。

「あっ、あっ、あっ、あっ」

 下腹に、足を持つ手に力が入る。俺の嬌声に合わせて亮太の手も力強く俺を刺激してきた。

「あっ、だめ! 亮太、イクっ!! だめ! イクっ!! イクゥっ!!」

 俺は頭が真っ白になり、穴をキツく締め、自分の腹に白濁した液を吐き出した。自慰と異なり、強制的に他人のペースで射精させられるという初めての体験に頭がぼんやりする。
 肩で息をしていると、亮太が乳液を、少し緩んだ穴になじませた。
 敏感になっている穴は触れられるだけで感じているかのようにぴくんと反応してしまう。
 その穴に亮太が切っ先を当ててきた。
 ぼんやりとしていた頭が、緊張で少し正気に戻る。

「力抜いて?」

 亮太が言った。
 下を見ると、俺の脚の間に入り、挿入の準備はできていた。顔を上げて亮太を見つめると、視線が絡まった。
 大人になった亮太。金髪になっても、ピアスがたくさん増えてイカつい見た目になっても、その瞳は変わらず優しくて。ずっと恋い焦がれていた相手。
 思わず目を潤ませてしまえば、それに気づいた亮太がしかめっ面をして言った。

「ここまできたらやめてやれねぇから……」

「ちがっ!! 大丈夫だから。 俺が痛がっても一気に入れて?」

 ちっと舌打ちをして、亮太は自分のちんこにも乳液をまぶした。

「ごめ……」

 少し起こした身体を、再び寝かされる。

「入れるよ?」

 言葉と共に侵入してくる肉棒。でかい。指とは異なるその質感に思わず声が漏れる。
 体内を押し広げる熱い肉塊に、はくはくと浅い呼吸をすれば、亮太が俺の太ももを持ち直し、更に奥までちんこを埋めた。

「あ……あ……」

 言葉にならない。ずっと求め続けていたもの。その熱さに、ぽっかりと心に空いていた空洞が埋め尽くされるような、そんな幸せを感じた。

「大丈夫か?」

「ん。 へい、き……動いていいよ」

 初めての穴は、まだ感じるほどには開発されていない。十分に解したと言っても、本物のちんこの存在感は半端ない。
 圧迫感と体内を突き上げる熱。少し苦しさを感じた。だが、亮太が必死に俺を求めている。
 亮太を受け入れ、亮太を見上げるこの光景とこの幸せは一生忘れないだろう。

「イキそ……」

 亮太がつぶやいた。

「うん、イッて……」

 へにゃりと笑って返すと、亮太が思い切り腰を打ち付けてきた。
 そして最奥にかけられる熱い液体。びくんびくんと残りの残滓も体内に吐き出されれば、嬉しくて思わず亮太の首に手を回して抱きしめた。
 亮太の耳のピアスに口づける。呼吸が荒く、背中がほんのり汗ばんでいた。少し柔らかくなった性器はまだ俺の中にある。

 亮太が身体を離したので、抱きしめる腕を緩めた。
 30センチくらいの至近距離でお互いを見つめ合う。どちらからということもなく重なる唇。
 亮太のちんこが再び力を取り戻し、俺たちは第二ラウンドへと突入した。

 その日、亮太は全部で3回俺の中に精液を吐き出し「また連絡する」と言って、翌朝去っていった。
 どこに帰るのかは聞けなかった。
 だが、その去り際の言葉を信じるなら、今回で終わりではない。また亮太に会えるのだ。
 こじ開けられた穴が熱を持ち、開きっぱなしだった股関節も、喘ぎすぎた喉も痛い。でも、そんな事など気にならないくらい、今までとは世界が変わって見えた。いつもの自分の部屋が輝いているような気がした。ここに少し前まで亮太がいた。そしてまた亮太が来てくれる。
 それだけで幸せだった。
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