吾輩は元大王である。

猫丸

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第二章 二年生

15.愛してる※

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 この事件を受けて、しばらく国内は騒がしかった。
 大勢の生徒がアカデミーを退学をしていった。中には意外な人物もいた。
 あまりの数の関係者に、国としてもこれ以上の混乱を避けるため家門に与える罪は最小限に留めたようだが、関係していた者達の罪、醜聞は当然免れない。
 もはや貴族社会から抹殺されたと言っても過言ではないだろう。
 吾輩は、というと初めてできた友達に裏切られたショックで、しばらく落ち込んでいた。だが、今は少し復活して事件の一連の流れについて考える余裕が出てきた。

「でもおかしくないか? 吾輩、あの『ダクヴァル大王物語』の本を一度、鞄に入れて屋敷に持って帰ってきているぞ? なのになぜその時は通知がこなかったんだ?」
 ティールームでエヴァレインと食後の紅茶を飲んでいた。吾輩はお行儀悪く、ソファにごろりと横になって、顔だけエヴァレインの方へ向けて聞いた。
「あぁ、通知は来ていましたよ。だから捜査本部の方に連絡しました。私はあの日、それどころではなかったので……。だから彼らは、あの夜、市井の捜索をしていたんです。でも見つからなかったんですよ。……そりゃそうですよね。私の屋敷にあったのだから。で、翌日、私も事情を聞かれている時に、再び敷地から持ち出されたと通知があって。訳もわからず駆けつけたらあの状況でした。貴方ときたら、私に心配ばかりかけて……」
 そう言ってエヴァレインは吾輩の方へ移動してきて、吾輩の頭を持ち上げると、膝枕をした。吾輩の髪にエヴァレインの指が通る。心地が良い。
 エヴァレインが駆けつける時、既にアカデミー内が混乱していたので、嫌な予感はしていたという。そして塀の前に来たものの、吾輩が一人で塀の向こうで戦っていると知り、エヴァレインは恐怖した。そしてすぐに剣を持ち、吾輩がするように、塀を飛び越えた。
 ちなみにモルゴスは自分では越えられなかったらしく、周りに助けてもらって越えたらしい。そういえばいつも塀の外で吾輩を待ち構えていたな、と思い出した。

「デヴォールが言うように、あの本があのまま生徒会室にあったら、発覚するのにもっと時間がかかったかもしれんな。……でもヤツは、よくそんな本を一度でも吾輩に渡せたな。怖い物知らずだ。それともこの屋敷から盗む気だったのだろうか?」
「いえ、あの時、あの場にいた生徒は、挟み込まれた書類のことなんて知りませんからね。薬物使用がバレると困るので、さっさと貴方を立ち去らせようと、渋るデヴォールを脅したみたいです。『デヴォールが渡さないなら、自分が渡す』って。それでデヴォールは貴方に本を渡した後、図書館の蔵書を盗んできて蔵書のラベルを剥がし、交換しようとしたらしいんです。でもすでに貴方は帰った後だったっていう……」
「なるほどな」
「ふふ、その時、貴方は、私を想ってここを勃たせていたんでしょう?」
 エヴァレインの手が既に半分勃ち上がりかけている吾輩の股間を服の上からすりっと撫でた。
「そ、それはだなっ……!」
「嬉しいです。貴方は私のものですよ? ね?」
 服の上から少し強めに揉まれれば、自然と甘い声が漏れ、血液がそこに集中し始め、腰が浮く。
「ちょっ……まっ……吾輩、ケガ人……」
「そうですね。だから、貴方に負担掛けないように、全部私がやるので、じっとしてて下さい」
 下を脱がされ、ソファに座りながら足をM字に開かされた。勃ち上がった吾輩のちんこをエヴァレインが口に含む。じゅるじゅると卑猥な水音が室内に響いた。
「あ、や……こんなとこ、で……誰か、来たら……」
 そう言いながらも、腰は自然にへこへこ動いてしまうし、穴はエヴァレインを求めてくぱくぱと開閉していた。
 エヴァレインの指が、後孔に侵入する。細くて物足りない。もっと太いのが欲しい。
 思わず誘うように声が漏れ出る。
「あ、……エヴァの……入れたい……誰か、くる前に……早く、入れ、ろ……」
 なのに、後孔を出入りするものは細いまま。
 いつの間にか吾輩のシャツのボタンは外され、その間から胸がさらけ出されていた。乳首もいじってほしいとばかりに、ツンと立ち上がっている。
「ねぇ、セラ? 私達はまだ正式には婚約していないけれど、貴方は私のものですよね?」
「あ、ぅん……んっ、んっ、そう、だ……」
 エヴァレインは吾輩のちんこを扱きながら、体内に侵入している指で体内をバラバラに動かした。その指が時折前立腺に当たり、吾輩の身体はその度にびくんびくんと跳ねた。
 吾輩のちんこの先端からは、エヴァレインの唾液か、吾輩から漏れ出たカウパーか何かで、てらてらと光っている。
 決定的な刺激を求めて、体内がエヴァレインの指を絞る。
「早く、入れ、ろ……」
 焦らされて頭がおかしくなりそうだ。
 エヴァレインが、吾輩の体内から指を抜いた。ついに来るのかと期待したが、いつまで経ってもこない。
「……エヴァ……?」
「セラ、私は怒っているんですよ? だからあれほど、モルゴスとは関わるな、と。なのに私の知らない所で二人で……」
「いや、それは、その……」
 今、この状況で言う話か? と吾輩は戸惑った。
「貴方はモルゴスの顔が理想なんでしょう? 私よりも……」
「いや、それは……ああいう見た目に生まれたかったということであって、吾輩は……」
 この体勢で『お前を愛している』と真面目に言うのも気恥ずかしく、言葉尻がしぼんだ。
「この間も言ったでしょう? 私は貴方だけがいればいいんです。 私は貴方の友達にすら嫉妬してしまうくらい、貴方のことだけは狭量な男なんです。 貴方の気持ちを教えて下さい」
 そんな真面目な話をしているのに、エヴァレインは吾輩のちんこを扱いているし、吾輩の後孔はエヴァレインのちんこを求めて開閉し、時折穴から虚しく風が入り込んでくる。
 なんつー、カオスな状況だ!
「ねぇ、セラ。教えて下さい」
「ち、乳首まで触るな……わかった! わかった! 吾輩は貴様、エヴァレインを愛している! 愛しているから、さっさとそのちんこを入れろ!!!!」
 吾輩は怒鳴った。
「セラ、私も貴方を心の底から愛していますっ!!!!」
 エヴァレインが吾輩を抱きしめ、吾輩の求めていた刺激が与えられる。
「ああああっっっ♡」
 焦らされすぎて、挿れられた瞬間にイッてしまった。ペニスからは白い液体が飛び出て、エヴァレインの服を汚した。
 余韻でびくびくと身体が震え、痙攣がおさまらない。
  
 ……と、その瞬間、ドアがバンっと開かれた。
「セラーーー!!!! 聞いたよ!!!! 大変だったねーーーー!? お兄ちゃんが来たからもう大丈夫だからねーー!!!! ……って、おい! お前っ! 俺のかわいいセラに何して!?」
 飛び込んできた、今生の兄。そしてその背後に両親……と追いかけてきて頭を抱える執事。
 時が止まった。
 彼らが扉を閉めるまで、吾輩は後孔にちんこをぶっ刺したまま、はだけたシャツで顔を隠し、エヴァレインの身体にその身を隠した。

「誰か吾輩に記憶を消す魔法を掛けてくれーーーーっっっ!!!!」
 
 吾輩の悲痛な叫び声は、屋敷中の者に聞こえたという。
 
(二年生編 おわり)※三年生編につづく
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