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第二章 二年生
1.喧嘩
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吾輩は元大王である。
約800年前、この大陸一帯を治め『悪魔と契約した男・ダクヴァル』と恐れられた歴史書にも載っている偉大なる王が吾輩の前世である。
だが今生ではしがない男爵家の次男。王立アカデミーに通う善良なる一青年である。
そしてついでに紹介すると、今、吾輩に絡みつくように隣で寝ているのが、かつての側近で、現在は恋人のエヴァレインである。
この国の王弟殿下でもあるこやつが、卒業パーティで媚薬を飲まされた日、吾輩は不覚にもこやつに抱かれた。
それから吾輩はなんだかんだとこの男によって外堀を埋められ、もはや婚約……いや結婚まで秒読み!?という勢いである。だが吾輩の必死の抵抗で、なんとかすんでのところで踏みとどまっている。
そういいながらも既に同居をしている(させられている)ので、もはやその紙切れ一枚によって対外的に認められるかどうか、といったところだ。
(なお、今生の両親の許可は第一章の通り、こやつに脅されて署名しているのだが、更に王の許可まで得ているとこやつは言っている。本当かは知らん)
そんな関係の吾輩達。
豪奢な装飾が施された天蓋付きの大きなベッド。そのふかふかの布団の中で互いに裸。
どうやら昨夜もまた抱き潰され、終わると同時に寝てしまったようだ。
吾輩はエヴァレインを押しのけ、少し身体を起こした。
窓の外からは鳥の鳴き声が聞こえてきた。
ぶ厚いカーテンの隙間からは光が差し込んできている。
きれいに拭かれた身体。だが後孔にはまだ大きなイチモツが刺さっていた違和感が残っていて思わず眉をしかめた。
朝になって正気に戻れば、未だに自分の痴態に七転八倒。思い出す度にいたたまれなくなる。
どうした吾輩!? どうして最中に正気に戻れないんだ!?
「……セラ?」
寝ぼけ眼で吾輩に手を伸ばしてくるエヴァレイン。その手の届かないところに身体をずらせば、本体が吾輩を捕まえようと起きてきた。
「朝だぞ。学校にいかなくては」
できる限りそっけなく言い放ち、視線を体に移す。全身あちらこちらに付けられた赤い痕。
(またこんなに付けて……)
くらくらとめまいがした。だがこやつは反省するでもなく、立ち上がろうとする吾輩の腰の周りに手を回してきた。
「ねぇ、セラ……もう一回だけ……」
そう言って背中から手を回し、吾輩のちんこをやわやわと揉み、肩口にちゅっと唇を落とした。
「ま、まて、昨夜散々……それに学校……学校の前は……だめ、だ……って……ぃや……」
吾輩の雑魚ちんこがゆるく反応し始めたが、それでもなんとか逃げようとする。
背中にはエヴァレインの硬く勃ち上がったちんこが当たっている。ベッドに座りながら股を開かされ、睾丸までころころと転がされれば、昨夜散々こじ開けられた穴が刺激を求めてきゅんと締まる。
このエヴァレインという男。金髪キラキラの、おそろしく整った顔立ちをしていて、性欲の「せ」の字も興味なさそうな顔をしているにもかかわらず、困ったことに超・絶・倫! なのだ。
一度身体を許してからというもの、抱かれまくっている吾輩。
『男の中の男』と言われた吾輩だったが、元部下の男に女のように抱かれているというのは、未だに気持ちがついていかない。
しかも最近ちょっと? いや、大分身体がおかしい……。
「そういいながら……ほら、もうこんなになってる。セラだって、出しとかないとつらいでしょ?」
ちんこを扱かれ、吾輩の後孔を二本の指で開かれれば、埋めてくれる棒を求めて胎内が蠢く。
昨夜の名残で穴の縁はまだほんのりと熱を持ち、しっとりと濡れそぼっていた。
「んっ……お前、だって……し、ごとがぁ、る……」
「馬車の中で朝食を食べれば大丈夫だから……ね?」
エヴァレインの指が吾輩の後孔につぷっと侵入してきた。腰がぞわぞわとし、頭がぼうっとする。貫かれ、体内でイクことしか考えられなくなりそうだ。
だが……
「やめんかっ、バカモノっ!! 貴様、脳みそまで精巣になったかっ!?」
吾輩は必死に理性を取り戻し、エヴァレインを突き飛ばした。吾輩はちんこを勃たせたままの間抜けな姿で睨みつける。
「……セラ?」
「が、学校の前にするのは嫌だと何遍も言っただろう!? また遅刻するのは嫌だと!! もういい! 吾輩、今日は一人で学校に行くっ! あと、ついでに学生棟の方に来るのも今後一切禁止だからな! 吾輩に学生生活を楽しませろ!」
吾輩はそのまま急いでアカデミーの制服を着ると屋敷の玄関を飛び出した。
執事や玄関前で待機していた御者が慌てて吾輩を止めようとしたが、振り切って屋敷を飛び出し、通りへと走る。学園都市にあるエヴァレインの屋敷は、町屋敷に近く、玄関から門まで何分、というほどの広大な土地はない。
追いかけてきたエヴァレインの謝罪の声も聞こえてきたが無視して走った。
吾輩、前世から運動神経は抜群に良いのだ。
大きな通りで辻馬車を捕まえた。
馬車は学園へと向かう。
吾輩は少し上がって息を整えるかのように深くため息をつきながら窓の外をぼんやりと眺めた。
「ったく、あやつはいくらなんでも盛りすぎだ」
確かにエヴァレインとセックスするのは気持ちが良い。
あやつが吾輩を好きだということもよくわかっている。
約800年の執着。わけの分からぬ呪いだの魔法だのを試して、我々が生まれ変わったというのも、この魔法というものが存在している世界を見ると、あながち嘘でもないのだろう。
だがやはり吾輩、学校には通っておきたい。もう少し自由でいたい。
せっかく今生は、田舎の貧乏男爵の次男に生まれたのだ。受け継ぐ財産も爵位もなにもない。
だがエヴァレインは王の弟。王族だ。
やつには申し訳ないが、前世の記憶を持って産まれてしまったからこそ、吾輩、今生はもっとしがらみなく自由に生きたい。
その夢を捨てきれないのだ。
少し罪悪感を感じた。
だが考えてもしょうがないことだ。
吾輩は頭を振って意識を馬車の外に向けた。
約800年前、この大陸一帯を治め『悪魔と契約した男・ダクヴァル』と恐れられた歴史書にも載っている偉大なる王が吾輩の前世である。
だが今生ではしがない男爵家の次男。王立アカデミーに通う善良なる一青年である。
そしてついでに紹介すると、今、吾輩に絡みつくように隣で寝ているのが、かつての側近で、現在は恋人のエヴァレインである。
この国の王弟殿下でもあるこやつが、卒業パーティで媚薬を飲まされた日、吾輩は不覚にもこやつに抱かれた。
それから吾輩はなんだかんだとこの男によって外堀を埋められ、もはや婚約……いや結婚まで秒読み!?という勢いである。だが吾輩の必死の抵抗で、なんとかすんでのところで踏みとどまっている。
そういいながらも既に同居をしている(させられている)ので、もはやその紙切れ一枚によって対外的に認められるかどうか、といったところだ。
(なお、今生の両親の許可は第一章の通り、こやつに脅されて署名しているのだが、更に王の許可まで得ているとこやつは言っている。本当かは知らん)
そんな関係の吾輩達。
豪奢な装飾が施された天蓋付きの大きなベッド。そのふかふかの布団の中で互いに裸。
どうやら昨夜もまた抱き潰され、終わると同時に寝てしまったようだ。
吾輩はエヴァレインを押しのけ、少し身体を起こした。
窓の外からは鳥の鳴き声が聞こえてきた。
ぶ厚いカーテンの隙間からは光が差し込んできている。
きれいに拭かれた身体。だが後孔にはまだ大きなイチモツが刺さっていた違和感が残っていて思わず眉をしかめた。
朝になって正気に戻れば、未だに自分の痴態に七転八倒。思い出す度にいたたまれなくなる。
どうした吾輩!? どうして最中に正気に戻れないんだ!?
「……セラ?」
寝ぼけ眼で吾輩に手を伸ばしてくるエヴァレイン。その手の届かないところに身体をずらせば、本体が吾輩を捕まえようと起きてきた。
「朝だぞ。学校にいかなくては」
できる限りそっけなく言い放ち、視線を体に移す。全身あちらこちらに付けられた赤い痕。
(またこんなに付けて……)
くらくらとめまいがした。だがこやつは反省するでもなく、立ち上がろうとする吾輩の腰の周りに手を回してきた。
「ねぇ、セラ……もう一回だけ……」
そう言って背中から手を回し、吾輩のちんこをやわやわと揉み、肩口にちゅっと唇を落とした。
「ま、まて、昨夜散々……それに学校……学校の前は……だめ、だ……って……ぃや……」
吾輩の雑魚ちんこがゆるく反応し始めたが、それでもなんとか逃げようとする。
背中にはエヴァレインの硬く勃ち上がったちんこが当たっている。ベッドに座りながら股を開かされ、睾丸までころころと転がされれば、昨夜散々こじ開けられた穴が刺激を求めてきゅんと締まる。
このエヴァレインという男。金髪キラキラの、おそろしく整った顔立ちをしていて、性欲の「せ」の字も興味なさそうな顔をしているにもかかわらず、困ったことに超・絶・倫! なのだ。
一度身体を許してからというもの、抱かれまくっている吾輩。
『男の中の男』と言われた吾輩だったが、元部下の男に女のように抱かれているというのは、未だに気持ちがついていかない。
しかも最近ちょっと? いや、大分身体がおかしい……。
「そういいながら……ほら、もうこんなになってる。セラだって、出しとかないとつらいでしょ?」
ちんこを扱かれ、吾輩の後孔を二本の指で開かれれば、埋めてくれる棒を求めて胎内が蠢く。
昨夜の名残で穴の縁はまだほんのりと熱を持ち、しっとりと濡れそぼっていた。
「んっ……お前、だって……し、ごとがぁ、る……」
「馬車の中で朝食を食べれば大丈夫だから……ね?」
エヴァレインの指が吾輩の後孔につぷっと侵入してきた。腰がぞわぞわとし、頭がぼうっとする。貫かれ、体内でイクことしか考えられなくなりそうだ。
だが……
「やめんかっ、バカモノっ!! 貴様、脳みそまで精巣になったかっ!?」
吾輩は必死に理性を取り戻し、エヴァレインを突き飛ばした。吾輩はちんこを勃たせたままの間抜けな姿で睨みつける。
「……セラ?」
「が、学校の前にするのは嫌だと何遍も言っただろう!? また遅刻するのは嫌だと!! もういい! 吾輩、今日は一人で学校に行くっ! あと、ついでに学生棟の方に来るのも今後一切禁止だからな! 吾輩に学生生活を楽しませろ!」
吾輩はそのまま急いでアカデミーの制服を着ると屋敷の玄関を飛び出した。
執事や玄関前で待機していた御者が慌てて吾輩を止めようとしたが、振り切って屋敷を飛び出し、通りへと走る。学園都市にあるエヴァレインの屋敷は、町屋敷に近く、玄関から門まで何分、というほどの広大な土地はない。
追いかけてきたエヴァレインの謝罪の声も聞こえてきたが無視して走った。
吾輩、前世から運動神経は抜群に良いのだ。
大きな通りで辻馬車を捕まえた。
馬車は学園へと向かう。
吾輩は少し上がって息を整えるかのように深くため息をつきながら窓の外をぼんやりと眺めた。
「ったく、あやつはいくらなんでも盛りすぎだ」
確かにエヴァレインとセックスするのは気持ちが良い。
あやつが吾輩を好きだということもよくわかっている。
約800年の執着。わけの分からぬ呪いだの魔法だのを試して、我々が生まれ変わったというのも、この魔法というものが存在している世界を見ると、あながち嘘でもないのだろう。
だがやはり吾輩、学校には通っておきたい。もう少し自由でいたい。
せっかく今生は、田舎の貧乏男爵の次男に生まれたのだ。受け継ぐ財産も爵位もなにもない。
だがエヴァレインは王の弟。王族だ。
やつには申し訳ないが、前世の記憶を持って産まれてしまったからこそ、吾輩、今生はもっとしがらみなく自由に生きたい。
その夢を捨てきれないのだ。
少し罪悪感を感じた。
だが考えてもしょうがないことだ。
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