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第一章 一年生
10.
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「いや、でも俺、男ですし……別に中で出されたからと言って、その……に、妊娠するわけでもないから……責任とかそういうのは……」
そろそろと後退し、逃げようとすれば、その足首を掴まれ元の位置に戻される。萎えたちんこをぎゅっと強く握られ、吾輩は思わず呻いた。
「ほぅ? ならば私が君を妊娠させれば、君は私に対して責任を取って、私から逃げないということか?」
な、なんか理屈がおかしくないか?と思うのだが、エヴァレインが怖くてツッコめない。
「セラ……私は君を自分のものにする日をずっと夢見ていたんだ。手にしなければ我慢できたかもしれないが、一度手にしてしまったんだ。もう他の誰にも、私から君を奪わせない。 あぁ、それに君は知らないかもしれないけど、魔法で身体を女体化させて男性でも妊娠させることができるから別に男同士だからとかいう君の理屈はおかしい」
エヴァレインの手が、吾輩の下腹を撫でた。
「へ? にょたい、か……?」
「君を女性の姿にすれば、私の元にいてくれるということだな? この世界で君を見つけた時、かつてと変わらぬ姿に喜んだのだけれど、君が今でも『異性でなければ駄目だ』と言うのなら、少々強引な手を使ってでも君を縛り付けるしかないけど? ……あぁ、女体化というのはねぇ、君の身体を女性に変えるということだよ」
「そ、それはわかるが……」
「じゃぁ、なにがわからないんだ? 具体的に聞きたいのか? 君にぶら下がっているちんぽがちっちゃくなって、クリトリスになるってことだよ。一時的なものだから我々はそれをクリちんぽと呼んでいるけどね? 大丈夫。クリちんぽでもちゃんと気持ちよくなれるから。もしかしたら、始めは慣れないかもしれないかど、私が感じるように開発してあげるから安心して? で、ここの会陰の部分に女性器が出来るだろ? あぁでも、セラが数時間前まで散々感じていたこの尻の穴は、女体化の最中は魔道具が入りっぱなしになるから使えなくなるけどね。むしろここの良さを覚えてしまった君には、それが一番つらいかもしれないな。ずっと発情状態になる可能性もあるね」
苛立ちだろうか。エヴァレインの口から発されたとは信じがたい下品な言葉を並べ、吾輩の下半身に触れながら女体化について説明してくれた。
いや、だが吾輩は、このような下品で人を追い詰めるような物言いをする人物を、過去に知っていた気がする。
戸惑い、エヴァレインにされるがまま、強めにちんこをいじられていれば、むくむくと反応し始める吾輩の下半身。だからお前はっ、少しは空気を読めっ!!
「いや、あの……エヴァ先輩は、俺のことを好きだったんですか?」
そんな反応をごまかすように問う。
なんとなくは気づいていたが、ずっと気づかないふりをしていた。だってこのアカデミーに入学する前に会ったことはないし、そこまで執着されるほど過去に接点があった記憶はない。
「私の何百年にも及ぶ想いを、好きだなんて簡単な言葉で片付けないで欲しいな」
「な、何百年……?」
「あぁ、君はダクヴァル大王の生まれ変わりだ。私にはわかる。そして私はリディカントの生まれ変わり……」
「えっと? ……なぜそれを?」
「あぁ、私は前世からずっと王を慕って……って、え? じゃぁセラ、も……君も……いや貴方も覚えているのですか? 私のことを? 貴方が亡くなった日のことも?」
エヴァレインの目が大きく見開かれた。
「い、いや、リディカントのことは覚えているし、朧気に前世の記憶もあるが、死んだ日は、お前と喧嘩した後、女に刺されたことしか……」
エヴァレインが毛布で包みながら吾輩を強く抱きしめた。
「そうですか……。あの日私は、貴方への想いを抑えきれなくなって、貴方に愛を告白したのです。貴方は私に怒って……それでそこら辺にいた女と、私の警護なく!! ……あの時私が告白さえしていなければ……」
臣下の礼とでもいうように、吾輩に対してのエヴァレインの口調が丁寧になった。
言われて脳が揺れたような気がした。途端に蘇る記憶。
「おっ!! おっ!! 思い出したぁぁぁ!! こっ、こっ、告白っていうか、貴様っっっ!! 大王である吾輩をぐっちょんぐっちょんになるまで抱きたいって、あの時っっっ!!!! 腰が立たなくなるまで抱き潰した後、首輪つけて閉じ込めておきたいって!!!!」
信頼していた側近に抱きたいと言われ、こやつの歪んだ癖まで告白されたのだ。
閨の警護と言いながら、吾輩が女を抱いているところを毎回そんな妄想しながら眺めていたのかと思えば、それは当然怒るし恐怖するに決まっている。
「えぇ、ですから昨夜の貴方は本っ当に最高でした……。あんなに喘いでくれるなんて。……あ、でも、私の何百年にも及ぶ想いを、たった数時間で満足させられるなんて思わないでくださいね?」
吾輩、なぜ今ごろになってあの晩の怒りの理由を思い出したんだ……。 もっと早くに思い出していれば、こやつに同情などせず、全速力で逃げたというのに。
今からでも逃げなくては。そう思うのに、吾輩を抱きしめ、微笑むエヴァレイン兼リディカントの顔を見れば絶望的な未来しか想像できなかった。
ちなみに吾輩の死後、リディカントは様々な書物を調べ、吾輩を復活させる儀式を行い続けたのだという。
当時は藁にも縋る思いでありとあらゆることをしたため、何が成功だったのか、全て失敗だったのかはわからないという。
だが間違いなく言えることは、800年の時を経て、我々の魂は再び出会った。
どうやらその時の研究から、魔力というものがこの世の中に存在することがわかったのだという。
「私は今生、貴方への想いを抱えたまま生まれた。だから誰とも結婚する気などなかったのです。だがこの学園で貴方の姿をひと目見た時、すぐに分かった。貴方は私の愛しい人だと。そして幸いにも今生では私は王弟という立場。無理矢理にでも貴方を手に入れられる立場を得たのです。その……ちゃんと順番通り、結婚してからとは思っていたので、昨晩、貴方を抱いてしまったことは、予定外でしたが……。でも、あんなにも乱れ、私のちんぽまで舐める貴方を見られるなんて……」
思い出して、恍惚とした表情を浮かべるエヴァレイン。
「言うな……」
「愛しています。ダクヴァル大王……いえ、セラ……私と結婚してください」
エヴァレインはひざまずき、恐怖に怯える吾輩にプロポーズをした。
そろそろと後退し、逃げようとすれば、その足首を掴まれ元の位置に戻される。萎えたちんこをぎゅっと強く握られ、吾輩は思わず呻いた。
「ほぅ? ならば私が君を妊娠させれば、君は私に対して責任を取って、私から逃げないということか?」
な、なんか理屈がおかしくないか?と思うのだが、エヴァレインが怖くてツッコめない。
「セラ……私は君を自分のものにする日をずっと夢見ていたんだ。手にしなければ我慢できたかもしれないが、一度手にしてしまったんだ。もう他の誰にも、私から君を奪わせない。 あぁ、それに君は知らないかもしれないけど、魔法で身体を女体化させて男性でも妊娠させることができるから別に男同士だからとかいう君の理屈はおかしい」
エヴァレインの手が、吾輩の下腹を撫でた。
「へ? にょたい、か……?」
「君を女性の姿にすれば、私の元にいてくれるということだな? この世界で君を見つけた時、かつてと変わらぬ姿に喜んだのだけれど、君が今でも『異性でなければ駄目だ』と言うのなら、少々強引な手を使ってでも君を縛り付けるしかないけど? ……あぁ、女体化というのはねぇ、君の身体を女性に変えるということだよ」
「そ、それはわかるが……」
「じゃぁ、なにがわからないんだ? 具体的に聞きたいのか? 君にぶら下がっているちんぽがちっちゃくなって、クリトリスになるってことだよ。一時的なものだから我々はそれをクリちんぽと呼んでいるけどね? 大丈夫。クリちんぽでもちゃんと気持ちよくなれるから。もしかしたら、始めは慣れないかもしれないかど、私が感じるように開発してあげるから安心して? で、ここの会陰の部分に女性器が出来るだろ? あぁでも、セラが数時間前まで散々感じていたこの尻の穴は、女体化の最中は魔道具が入りっぱなしになるから使えなくなるけどね。むしろここの良さを覚えてしまった君には、それが一番つらいかもしれないな。ずっと発情状態になる可能性もあるね」
苛立ちだろうか。エヴァレインの口から発されたとは信じがたい下品な言葉を並べ、吾輩の下半身に触れながら女体化について説明してくれた。
いや、だが吾輩は、このような下品で人を追い詰めるような物言いをする人物を、過去に知っていた気がする。
戸惑い、エヴァレインにされるがまま、強めにちんこをいじられていれば、むくむくと反応し始める吾輩の下半身。だからお前はっ、少しは空気を読めっ!!
「いや、あの……エヴァ先輩は、俺のことを好きだったんですか?」
そんな反応をごまかすように問う。
なんとなくは気づいていたが、ずっと気づかないふりをしていた。だってこのアカデミーに入学する前に会ったことはないし、そこまで執着されるほど過去に接点があった記憶はない。
「私の何百年にも及ぶ想いを、好きだなんて簡単な言葉で片付けないで欲しいな」
「な、何百年……?」
「あぁ、君はダクヴァル大王の生まれ変わりだ。私にはわかる。そして私はリディカントの生まれ変わり……」
「えっと? ……なぜそれを?」
「あぁ、私は前世からずっと王を慕って……って、え? じゃぁセラ、も……君も……いや貴方も覚えているのですか? 私のことを? 貴方が亡くなった日のことも?」
エヴァレインの目が大きく見開かれた。
「い、いや、リディカントのことは覚えているし、朧気に前世の記憶もあるが、死んだ日は、お前と喧嘩した後、女に刺されたことしか……」
エヴァレインが毛布で包みながら吾輩を強く抱きしめた。
「そうですか……。あの日私は、貴方への想いを抑えきれなくなって、貴方に愛を告白したのです。貴方は私に怒って……それでそこら辺にいた女と、私の警護なく!! ……あの時私が告白さえしていなければ……」
臣下の礼とでもいうように、吾輩に対してのエヴァレインの口調が丁寧になった。
言われて脳が揺れたような気がした。途端に蘇る記憶。
「おっ!! おっ!! 思い出したぁぁぁ!! こっ、こっ、告白っていうか、貴様っっっ!! 大王である吾輩をぐっちょんぐっちょんになるまで抱きたいって、あの時っっっ!!!! 腰が立たなくなるまで抱き潰した後、首輪つけて閉じ込めておきたいって!!!!」
信頼していた側近に抱きたいと言われ、こやつの歪んだ癖まで告白されたのだ。
閨の警護と言いながら、吾輩が女を抱いているところを毎回そんな妄想しながら眺めていたのかと思えば、それは当然怒るし恐怖するに決まっている。
「えぇ、ですから昨夜の貴方は本っ当に最高でした……。あんなに喘いでくれるなんて。……あ、でも、私の何百年にも及ぶ想いを、たった数時間で満足させられるなんて思わないでくださいね?」
吾輩、なぜ今ごろになってあの晩の怒りの理由を思い出したんだ……。 もっと早くに思い出していれば、こやつに同情などせず、全速力で逃げたというのに。
今からでも逃げなくては。そう思うのに、吾輩を抱きしめ、微笑むエヴァレイン兼リディカントの顔を見れば絶望的な未来しか想像できなかった。
ちなみに吾輩の死後、リディカントは様々な書物を調べ、吾輩を復活させる儀式を行い続けたのだという。
当時は藁にも縋る思いでありとあらゆることをしたため、何が成功だったのか、全て失敗だったのかはわからないという。
だが間違いなく言えることは、800年の時を経て、我々の魂は再び出会った。
どうやらその時の研究から、魔力というものがこの世の中に存在することがわかったのだという。
「私は今生、貴方への想いを抱えたまま生まれた。だから誰とも結婚する気などなかったのです。だがこの学園で貴方の姿をひと目見た時、すぐに分かった。貴方は私の愛しい人だと。そして幸いにも今生では私は王弟という立場。無理矢理にでも貴方を手に入れられる立場を得たのです。その……ちゃんと順番通り、結婚してからとは思っていたので、昨晩、貴方を抱いてしまったことは、予定外でしたが……。でも、あんなにも乱れ、私のちんぽまで舐める貴方を見られるなんて……」
思い出して、恍惚とした表情を浮かべるエヴァレイン。
「言うな……」
「愛しています。ダクヴァル大王……いえ、セラ……私と結婚してください」
エヴァレインはひざまずき、恐怖に怯える吾輩にプロポーズをした。
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