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第一章 一年生
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「うわ、まずい! 今何時だ!? パーティはっ!!」
がばっと飛び起きると、掛けられていた毛布が床に落ちた。あれは夢ではなかったと告げるように、まだ肛門に何かが刺さっているような違和感。喘ぎ過ぎた声は枯れ、下半身を中心に体中が痛い。
吾輩達はあの後何度も抱き合った。エヴァレインが飲んだ媚薬の影響なのか、吾輩がもともと淫乱だったのかはわからぬ。最後はケツを振りながらエヴァレインのちんこを舐めていた記憶まである。
うぅ、穴があったら入りたい。散々入れられたけれども。
かって吾輩が大王時代に遊んだ女どもの呪いだろうか。あれが吾輩の真の姿のハズがない。もしくはエヴァレインが、吾輩の体内に入れたとかいう浄化魔法の薬のせいだ。あれに媚薬効果があったに違いない。きっとそうだ。
こっ恥ずかしさをこらえて、いつもの表情を取り繕う。
吾輩が裸で長椅子に寝かされていたというのに、エヴァレインは既にきちんと服装を整えて何処かから戻ってきたようだった。
「まだ寝てていいよ? 身体は平気? パーティの方も、媚薬の犯人もセラフィンが心配しなくても大丈夫なように手配してきたから……ね? 安心して?」
いつものエヴァレインに戻っているが、その声は甘く、熱の籠った瞳で見つめられると居心地が悪い。
「そ、そうか。 では、吾は……いや、お、俺はそろそろ寮に、戻ろうか、な……」
視線を彷徨わせ、脱ぎ捨てた服を探す。
「あんな汚れた服で帰すわけにいかないよ。今代わりの服を用意しているからちょっとまってて……ね?」
そう言うとエヴァレインは再び吾輩の上に乗ってきた。顔の距離は5センチ。話す度にチュッチュと口づけをしてくる。
甘い! 甘すぎるぞエヴァレイン!! 吾輩は男だぞ!? 媚薬に酔って男を抱いたなど、貴様にとっても汚点のはずだっ!?
「あ、あの……今回のことは、その……お互い忘れま、しょう……」
そう告げると、エヴァレインの胸焼けしそうなほど甘い笑顔が急に真顔に戻った。
「セラフィン……君は、私をそんな人間だと思っていたのか? 言っただろ? 私は責任を取る、と」
「い、いや……今回の事は媚薬のせいですし……互いに非はなく、水に流そうということで……」
そう。だから吾輩にも罪はない。
互いのためになかったことにしようと提案しているのに、こやつはなぜこんなに怒っているのだ。
裸であるという心許なさもあり、つい視線を下げれば、花びらを散らしたかのような赤いうっ血痕が体中についていた。さすがにこれはやりすぎだが、まぁ吾輩もノリノリだったし今回ばかりは責任は問わぬ。
ほんっっっとうに責任は問わないからっ!! だから吾輩のことは放っといてくれっ!!!! 吾輩、昨日の痴態を思い出す度、羞恥に震えてるのだっっっ!!
「水に、流す? セラフィン……君は、誰とでも寝る人間だったのか?」
「そ、それは違う!!」
いくら吾輩が排泄器官で感じてしまったからといって、初めての経験をその様に言われるのは心外である。
吾輩は、苦しむかつての側近に似た貴様を、善意で助けてやろうと思っただけなのだ。それが思いの他、良すぎただけで。
「そうだろ? 君は私だから抱かれた。私は君だから抱いた。あの時君が生徒会室にいなければ、私は一人で何とかやり過ごすつもりでいたんだ。だがあの場に君がいた。そして君も『良い』と言った。だから私は感情が抑えられなくなってしまったんだ。……言っただろう? 私は『好きな人と結婚する』と。悪いが君には私と結婚してもらうよ? 私の童貞を奪った責任を取ってもらわなくては」
ちょっと待て。初めてだと納得してくれたのは良いが、男同士でどうして結婚するという話になる? なぜ突っ込まれた側である吾輩が責任を取れ、などと言われているのだ?
がばっと飛び起きると、掛けられていた毛布が床に落ちた。あれは夢ではなかったと告げるように、まだ肛門に何かが刺さっているような違和感。喘ぎ過ぎた声は枯れ、下半身を中心に体中が痛い。
吾輩達はあの後何度も抱き合った。エヴァレインが飲んだ媚薬の影響なのか、吾輩がもともと淫乱だったのかはわからぬ。最後はケツを振りながらエヴァレインのちんこを舐めていた記憶まである。
うぅ、穴があったら入りたい。散々入れられたけれども。
かって吾輩が大王時代に遊んだ女どもの呪いだろうか。あれが吾輩の真の姿のハズがない。もしくはエヴァレインが、吾輩の体内に入れたとかいう浄化魔法の薬のせいだ。あれに媚薬効果があったに違いない。きっとそうだ。
こっ恥ずかしさをこらえて、いつもの表情を取り繕う。
吾輩が裸で長椅子に寝かされていたというのに、エヴァレインは既にきちんと服装を整えて何処かから戻ってきたようだった。
「まだ寝てていいよ? 身体は平気? パーティの方も、媚薬の犯人もセラフィンが心配しなくても大丈夫なように手配してきたから……ね? 安心して?」
いつものエヴァレインに戻っているが、その声は甘く、熱の籠った瞳で見つめられると居心地が悪い。
「そ、そうか。 では、吾は……いや、お、俺はそろそろ寮に、戻ろうか、な……」
視線を彷徨わせ、脱ぎ捨てた服を探す。
「あんな汚れた服で帰すわけにいかないよ。今代わりの服を用意しているからちょっとまってて……ね?」
そう言うとエヴァレインは再び吾輩の上に乗ってきた。顔の距離は5センチ。話す度にチュッチュと口づけをしてくる。
甘い! 甘すぎるぞエヴァレイン!! 吾輩は男だぞ!? 媚薬に酔って男を抱いたなど、貴様にとっても汚点のはずだっ!?
「あ、あの……今回のことは、その……お互い忘れま、しょう……」
そう告げると、エヴァレインの胸焼けしそうなほど甘い笑顔が急に真顔に戻った。
「セラフィン……君は、私をそんな人間だと思っていたのか? 言っただろ? 私は責任を取る、と」
「い、いや……今回の事は媚薬のせいですし……互いに非はなく、水に流そうということで……」
そう。だから吾輩にも罪はない。
互いのためになかったことにしようと提案しているのに、こやつはなぜこんなに怒っているのだ。
裸であるという心許なさもあり、つい視線を下げれば、花びらを散らしたかのような赤いうっ血痕が体中についていた。さすがにこれはやりすぎだが、まぁ吾輩もノリノリだったし今回ばかりは責任は問わぬ。
ほんっっっとうに責任は問わないからっ!! だから吾輩のことは放っといてくれっ!!!! 吾輩、昨日の痴態を思い出す度、羞恥に震えてるのだっっっ!!
「水に、流す? セラフィン……君は、誰とでも寝る人間だったのか?」
「そ、それは違う!!」
いくら吾輩が排泄器官で感じてしまったからといって、初めての経験をその様に言われるのは心外である。
吾輩は、苦しむかつての側近に似た貴様を、善意で助けてやろうと思っただけなのだ。それが思いの他、良すぎただけで。
「そうだろ? 君は私だから抱かれた。私は君だから抱いた。あの時君が生徒会室にいなければ、私は一人で何とかやり過ごすつもりでいたんだ。だがあの場に君がいた。そして君も『良い』と言った。だから私は感情が抑えられなくなってしまったんだ。……言っただろう? 私は『好きな人と結婚する』と。悪いが君には私と結婚してもらうよ? 私の童貞を奪った責任を取ってもらわなくては」
ちょっと待て。初めてだと納得してくれたのは良いが、男同士でどうして結婚するという話になる? なぜ突っ込まれた側である吾輩が責任を取れ、などと言われているのだ?
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