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第二章 バヤールの町
13.街中の邂逅
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夜の街。細い路地。建物と建物の間の暗がりの中で座り込み、シーツの隅を破り足に巻きつける。足は泥だらけで、擦りむけていた。
(まだ気づかれていないはず。気づかれても追跡はできないはず。大丈夫だ、落ち着いて、冷静に)
心臓が早鐘のように打っていた。少し呼吸を整える。
「あんれ、あんたケガでもしたのかい?」
そんなところに人がいるなんて思ってもいなかったリュカはビクリと身体を震わせた。
奥から現れたのは、薄汚れた浮浪者。
「行くところがないんだったら…」
近寄ってきて、リュカの姿を視界に捉えると、言葉を失い、ごくりとつばを飲んだ。
それもそのハズ。裸の身体にシーツを巻き付けただけの人間がそこにいるのだ。
「なんだ、お兄ちゃん、そういう商売の人? 客から逃げてきたのかぁ? それはイケない子だなぁ」
男が下卑た笑いを浮かべ、リュカの腕をつかんできた。
「ちがっ!!!! やめっ!!!!」
「いいじゃねぇか。 そんなカッコでふらついているんだ、誘ってると思われてもしょうがねぇよなぁ」
魔法師が一般人に魔法攻撃をすることは禁じられている。だがこの手を振りほどくには他に方法がない。
手に魔力を込めたとき、声がした。
「こらこら、こんなところなにもめてんだ? 話し合いがつかねぇなら、警邏に連れて行ってやるぞ?」
振り返ると、ガタイのいいヒゲの男が道路からこちらを覗いていた。
「アルシェ…さん…」
ぼそりと出た言葉に、アルシェは反応した。
「え? 俺の知り合い? …え? 誰?」
ずんずんと近づいてくると、浮浪者は舌打ちをして逃げていった。
助かったと思ったら、別の危機。今ここで知り合いに見つかって連れ戻される訳にはいかない。
逃げている途中でなのか、男と揉めている時なのか、いつの間にか認識阻害魔法が解除されていた。
あわてて掛け直そうとすると、アルシェにぐっと腕を掴まれた。
「おっと、魔法は使わせないぜ? って、お前は……リュカ…だっけ? お前…そのカッコ…」
力ではかなうはずもない。魔法が繰り出せなければ無力だった。
「お願い…見逃してください…僕には会ってないことにして、逃して…」
リュカの必死の懇願に、アルシェはため息をついた。だが握られた手は緩まない。
「見逃すったって、お前…そんな姿でどこ行く気だ? しかもお前、病気だったんじゃ…」
「寮に服を取りに帰るだけです。 お願いだから… それだけだから…」
リュカの切羽詰まった表情に、アルシェはガシガシと髪をかきむしり怒鳴った。
「あぁ、もうっ。 厄介事には関わり合いたくねぇのにっ!!」
そしてシーツをリュカの身体に、しっかり巻き付けると、肩に担ぎ上げた。
「お願いっ!! アルシェさんっ!! お願いだからっ!!」
「うるせぇ!! 静かにしねぇと殴るぞ!!」
リュカはそのまま、目の前のアパートへと連れてこられ、ベッドの上に放られる。
「アルシェさん、あの時言ったことは謝りますから、だからお願いです…」
「あぁ!? てめぇは俺がそんな狭量な男に見えんのかっ!? 殴るぞ? あのなぁ、寮に帰ろうにも、この時間は寮に入れねぇよ。 今、何時だと思ってんだ!? しかもなぁ、この間、城に侵入者が入ったとかで、あの一帯は厳戒態勢なの!? ったく、寝ようと思ったら道端で騒いでいるやつがいるから、俺が様子見にいってやったってのに。 それともお前、警邏の檻で裸で一晩過ごすか!?」
「それ…は…」
「ここは俺の部屋! とりあえずお前、風呂入ってこい! 俺の服貸してやるから! …あ、魔法師だから浄化魔法でいいのか?」
「いえ、お風呂借りたいです。 あと服も…助かります」
もはや魔力も限界だった。手間を掛けさせて申し訳ないと思いつつ、アルシェに甘える。
「はぁ、ちょっとお湯ためてくるから待ってろ。 あと、これ。ほら、飲めっ。 お前、酷い顔してるぞ?」
「ありがとうございます…」
どんっとテーブルの上に置かれたホットミルク。ぺろりと舐めて、問題ないかどうか確認してから口をつける。
「お前、どれだけ人を信用してねぇんだよっ!! ただのミルクだよっ!! …ったく」
やれやれ、とバスルームへ消えていくアルシェ。
アルシェはまっすぐな性格のようだし、ギーもヴァレルも信頼している様子だった。きっと信用して大丈夫だ。だけど王都パライソから離れるまでは、絶対に警戒を緩められない。
そう思うのに、出されたミルクは想像以上に美味しくて、少しだけ肩の力が抜けた気がした。
風呂のお湯がたまると、浴室にはアルシェが横抱きで連れて行ってくれた。
足の裏が擦り切れているのに気づいていたようだ。「部屋を汚されちゃたまらん」と文句を言っていたが、足まで洗おうとしてくれた。もちろん、アルシェにそんなことさせられないし、股に流れている血にも気づかれたくなくて断った。
「あっそ。 まぁ、いいけど。 ってか、それ風呂持ち込むの?」
握りしめているシーツを指摘される。シーツには血がついていたがそれにはなにも言わず、「風呂上がりに塗れ」と傷薬を置いていった。
お湯に触れ、足の裏が染みた。後孔から流れている血は乾いてこびりつき、なかなかお湯で落とせなかった。
だが、自らの汚れを落とすかのように、皮膚が赤くなるまで何度も何度も身体をこすった。
(逃げきれる、逃げきれる)
呪文のように心の中でなんども唱えながら。
アルシェの服はリュカには大きかった。
シャツの裾は膝上まで来るし、ズボンのウエストもダブダブで紐を借りて縛った。足にはもらった傷薬を塗って包帯を巻く。
部屋へ戻ると良い匂いが漂ってきていた。思わずリュカのお腹がなった。そういえば、今日は殆どなにも食べていない。
「お前、腹減ってねぇか? 食う? 残りもんで悪いけどよ」
そういいながらも、リュカが風呂にはいっている間に準備してくれていたのだろう。
どんっと鍋ごとテーブルに置かれた煮込み料理は、すでに温まって湯気が立っていた。少し茶色がかったスープの中に、マカロニと薄切り肉、たくさんの野菜が入っている。
取り分けたカップが乱暴に置かれた。
ここまで良くしてくれる理由が分からず戸惑っていると、ますます呆れたようにリュカを椅子に座らせ、自分は反対側に座った。
「お前ねぇ、人の親切は素直に受け取りな。 てか、俺の生まれた村でよく食べてる料理だから全部食えっ」
「…いただき…ます…」
シンプルな味付けだった。でも、美味しかった。肉の出汁と野菜の甘味がよく出ていた。
「美味しい…」
「だろ!? まぁ、これは金毛羊使ってるんだけどよ、向こうだと雨鹿とか火熊の肉を使うんだよ。 冬は外で凍らせて保存すんだけどな。 周りの溶けた部分をスライスして放り込むから王都の煮込み料理と違って薄切り肉を使うんだよ。 でも、こっちのほうが火が通るの早いし、味も染みやすいから好きで俺、よく作るんだよ。 まぁ、おふくろの味ってやつ? 何もねぇちっちゃな村だけど、みんないい奴らばかりでよ、助け合ってなんとか生きてんだよ」
「あの時は…すみませんでした…」
急に先日の食堂『ヤドリギ』での会話が思い出されて申し訳なくなった。アルシェやギーにだって、自分がヴァレルを思うように大切な人がその村にいるのに、僕はただヴァレルに安全な場所にいてほしいというだけで、あんなことを言ってしまった。
「あぁ!? そういうつもりで言ったわけじゃねぇけど…まぁ…なんだ、俺もあの時はちょいとばかり言い過ぎて悪かったな。 俺も後からお前らの話聞いて、ちょっと反省したんだ。 まぁお互い様ってことで、水に流そうぜ? てか、お前、手が止まってるぞ!! 俺が作ったんだから、ちゃんと完食しろよ!?」
一口一口、ゆっくり口に運ぶ。身体にスープの暖かさがしみていく。その姿をじっと見ているアルシェに気づき、リュカは聞いた。
「アルシェさんは、食べないんですか?」
「俺? お前、今何時だと思ってんだよ? 俺はとっくに食べたよ!! …けど、お前見てたらなんだか俺も腹減ってきた!! いっぱいあるし俺も一緒に食べようかな?」
そう言って、自らの器にも盛ってガツガツと食べるアルシェを見て、リュカの顔に笑みがこぼれた。
アルシェの手が止まる。
「…お前、そういう顔できんだな…」
ぼそりと呟いた声はリュカには聞こえなかった。
「え? なんですか?」
「い、いいから食えっ!! これはお前のノルマだからなっ!!」
更に器に肉を盛られ、「こんなにはムリですよっ!」と悲鳴を上げるリュカ。
久しぶりに味のある食べ物を食べた気がした。
(まだ気づかれていないはず。気づかれても追跡はできないはず。大丈夫だ、落ち着いて、冷静に)
心臓が早鐘のように打っていた。少し呼吸を整える。
「あんれ、あんたケガでもしたのかい?」
そんなところに人がいるなんて思ってもいなかったリュカはビクリと身体を震わせた。
奥から現れたのは、薄汚れた浮浪者。
「行くところがないんだったら…」
近寄ってきて、リュカの姿を視界に捉えると、言葉を失い、ごくりとつばを飲んだ。
それもそのハズ。裸の身体にシーツを巻き付けただけの人間がそこにいるのだ。
「なんだ、お兄ちゃん、そういう商売の人? 客から逃げてきたのかぁ? それはイケない子だなぁ」
男が下卑た笑いを浮かべ、リュカの腕をつかんできた。
「ちがっ!!!! やめっ!!!!」
「いいじゃねぇか。 そんなカッコでふらついているんだ、誘ってると思われてもしょうがねぇよなぁ」
魔法師が一般人に魔法攻撃をすることは禁じられている。だがこの手を振りほどくには他に方法がない。
手に魔力を込めたとき、声がした。
「こらこら、こんなところなにもめてんだ? 話し合いがつかねぇなら、警邏に連れて行ってやるぞ?」
振り返ると、ガタイのいいヒゲの男が道路からこちらを覗いていた。
「アルシェ…さん…」
ぼそりと出た言葉に、アルシェは反応した。
「え? 俺の知り合い? …え? 誰?」
ずんずんと近づいてくると、浮浪者は舌打ちをして逃げていった。
助かったと思ったら、別の危機。今ここで知り合いに見つかって連れ戻される訳にはいかない。
逃げている途中でなのか、男と揉めている時なのか、いつの間にか認識阻害魔法が解除されていた。
あわてて掛け直そうとすると、アルシェにぐっと腕を掴まれた。
「おっと、魔法は使わせないぜ? って、お前は……リュカ…だっけ? お前…そのカッコ…」
力ではかなうはずもない。魔法が繰り出せなければ無力だった。
「お願い…見逃してください…僕には会ってないことにして、逃して…」
リュカの必死の懇願に、アルシェはため息をついた。だが握られた手は緩まない。
「見逃すったって、お前…そんな姿でどこ行く気だ? しかもお前、病気だったんじゃ…」
「寮に服を取りに帰るだけです。 お願いだから… それだけだから…」
リュカの切羽詰まった表情に、アルシェはガシガシと髪をかきむしり怒鳴った。
「あぁ、もうっ。 厄介事には関わり合いたくねぇのにっ!!」
そしてシーツをリュカの身体に、しっかり巻き付けると、肩に担ぎ上げた。
「お願いっ!! アルシェさんっ!! お願いだからっ!!」
「うるせぇ!! 静かにしねぇと殴るぞ!!」
リュカはそのまま、目の前のアパートへと連れてこられ、ベッドの上に放られる。
「アルシェさん、あの時言ったことは謝りますから、だからお願いです…」
「あぁ!? てめぇは俺がそんな狭量な男に見えんのかっ!? 殴るぞ? あのなぁ、寮に帰ろうにも、この時間は寮に入れねぇよ。 今、何時だと思ってんだ!? しかもなぁ、この間、城に侵入者が入ったとかで、あの一帯は厳戒態勢なの!? ったく、寝ようと思ったら道端で騒いでいるやつがいるから、俺が様子見にいってやったってのに。 それともお前、警邏の檻で裸で一晩過ごすか!?」
「それ…は…」
「ここは俺の部屋! とりあえずお前、風呂入ってこい! 俺の服貸してやるから! …あ、魔法師だから浄化魔法でいいのか?」
「いえ、お風呂借りたいです。 あと服も…助かります」
もはや魔力も限界だった。手間を掛けさせて申し訳ないと思いつつ、アルシェに甘える。
「はぁ、ちょっとお湯ためてくるから待ってろ。 あと、これ。ほら、飲めっ。 お前、酷い顔してるぞ?」
「ありがとうございます…」
どんっとテーブルの上に置かれたホットミルク。ぺろりと舐めて、問題ないかどうか確認してから口をつける。
「お前、どれだけ人を信用してねぇんだよっ!! ただのミルクだよっ!! …ったく」
やれやれ、とバスルームへ消えていくアルシェ。
アルシェはまっすぐな性格のようだし、ギーもヴァレルも信頼している様子だった。きっと信用して大丈夫だ。だけど王都パライソから離れるまでは、絶対に警戒を緩められない。
そう思うのに、出されたミルクは想像以上に美味しくて、少しだけ肩の力が抜けた気がした。
風呂のお湯がたまると、浴室にはアルシェが横抱きで連れて行ってくれた。
足の裏が擦り切れているのに気づいていたようだ。「部屋を汚されちゃたまらん」と文句を言っていたが、足まで洗おうとしてくれた。もちろん、アルシェにそんなことさせられないし、股に流れている血にも気づかれたくなくて断った。
「あっそ。 まぁ、いいけど。 ってか、それ風呂持ち込むの?」
握りしめているシーツを指摘される。シーツには血がついていたがそれにはなにも言わず、「風呂上がりに塗れ」と傷薬を置いていった。
お湯に触れ、足の裏が染みた。後孔から流れている血は乾いてこびりつき、なかなかお湯で落とせなかった。
だが、自らの汚れを落とすかのように、皮膚が赤くなるまで何度も何度も身体をこすった。
(逃げきれる、逃げきれる)
呪文のように心の中でなんども唱えながら。
アルシェの服はリュカには大きかった。
シャツの裾は膝上まで来るし、ズボンのウエストもダブダブで紐を借りて縛った。足にはもらった傷薬を塗って包帯を巻く。
部屋へ戻ると良い匂いが漂ってきていた。思わずリュカのお腹がなった。そういえば、今日は殆どなにも食べていない。
「お前、腹減ってねぇか? 食う? 残りもんで悪いけどよ」
そういいながらも、リュカが風呂にはいっている間に準備してくれていたのだろう。
どんっと鍋ごとテーブルに置かれた煮込み料理は、すでに温まって湯気が立っていた。少し茶色がかったスープの中に、マカロニと薄切り肉、たくさんの野菜が入っている。
取り分けたカップが乱暴に置かれた。
ここまで良くしてくれる理由が分からず戸惑っていると、ますます呆れたようにリュカを椅子に座らせ、自分は反対側に座った。
「お前ねぇ、人の親切は素直に受け取りな。 てか、俺の生まれた村でよく食べてる料理だから全部食えっ」
「…いただき…ます…」
シンプルな味付けだった。でも、美味しかった。肉の出汁と野菜の甘味がよく出ていた。
「美味しい…」
「だろ!? まぁ、これは金毛羊使ってるんだけどよ、向こうだと雨鹿とか火熊の肉を使うんだよ。 冬は外で凍らせて保存すんだけどな。 周りの溶けた部分をスライスして放り込むから王都の煮込み料理と違って薄切り肉を使うんだよ。 でも、こっちのほうが火が通るの早いし、味も染みやすいから好きで俺、よく作るんだよ。 まぁ、おふくろの味ってやつ? 何もねぇちっちゃな村だけど、みんないい奴らばかりでよ、助け合ってなんとか生きてんだよ」
「あの時は…すみませんでした…」
急に先日の食堂『ヤドリギ』での会話が思い出されて申し訳なくなった。アルシェやギーにだって、自分がヴァレルを思うように大切な人がその村にいるのに、僕はただヴァレルに安全な場所にいてほしいというだけで、あんなことを言ってしまった。
「あぁ!? そういうつもりで言ったわけじゃねぇけど…まぁ…なんだ、俺もあの時はちょいとばかり言い過ぎて悪かったな。 俺も後からお前らの話聞いて、ちょっと反省したんだ。 まぁお互い様ってことで、水に流そうぜ? てか、お前、手が止まってるぞ!! 俺が作ったんだから、ちゃんと完食しろよ!?」
一口一口、ゆっくり口に運ぶ。身体にスープの暖かさがしみていく。その姿をじっと見ているアルシェに気づき、リュカは聞いた。
「アルシェさんは、食べないんですか?」
「俺? お前、今何時だと思ってんだよ? 俺はとっくに食べたよ!! …けど、お前見てたらなんだか俺も腹減ってきた!! いっぱいあるし俺も一緒に食べようかな?」
そう言って、自らの器にも盛ってガツガツと食べるアルシェを見て、リュカの顔に笑みがこぼれた。
アルシェの手が止まる。
「…お前、そういう顔できんだな…」
ぼそりと呟いた声はリュカには聞こえなかった。
「え? なんですか?」
「い、いいから食えっ!! これはお前のノルマだからなっ!!」
更に器に肉を盛られ、「こんなにはムリですよっ!」と悲鳴を上げるリュカ。
久しぶりに味のある食べ物を食べた気がした。
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