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第一章 王都パライソにて

11.監禁※

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 肌にひんやりとした空気が触れ、意識が覚醒する。
 手錠を付けられた手はベッド上部で固定されていて、大きく開かれた足の間には、エロアがいた。

「目覚めたか。 ちょうどいい。 足を開いたまま尻を上げろ」

 身体は命令に従うが、心は違う。視線を自らの下半身に向けながら、リュカは恐怖でたずねた。エロアがなにをしようとしているのか心当たりはあった。だが信じたくない。

「し、師匠。 なにを…」

 大きく開かれた足。双丘を広げられ、あらわになるリュカの秘部。そこにぬめりのある液体が垂らされエロアの指でなじまされた。
 くちゅくちゅと水音が室内に響く。

「ん…くぅ…」

 いつも入れられ、吐き出されるだけの身体に念入りな愛撫。
 念入りに穴をほぐされ、体内を刺激されれば、自然と腰が動き、ペニスが屹立してしまう。鈴口からは透明な液体がこぼれ落ちていた。

「お、お願いです…やめて…」

 命令に逆らえない下半身と、拒絶を伝える上半身。いやいやと首を横に降るが、エロアの指は止まらない。より穴を緩ませようとリュカのペニスを扱き、中と外から前立腺を刺激した。
 拘束され、命令され、逃げることの出来ない身体に快楽が容赦なく与えられる。

「いや…いや…あ、あ、イクっ…イクっ…!!!!」

 穴に入れられた指を思い切り締めながら、リュカはのけぞってペニスで射精した。
 射精したペニスはひくんひくんと揺れ、イッた後もぴゅくんぴゅくんと、残滓がこぼれ出てきた。それに合わせて後孔も伸縮を繰り返す。
 そのリュカの精液をエロアはすくい取ると、卵形をしたピンクの石のような物体に塗りつけた。

「そ、それは…お願いです…師匠…それはやめてっ!!!! やめてくださいっ!!!!」

 必死に懇願してもエロアには届かない。
 
「これだけ拡げたらそろそろ入るだろう」

 その卵のような物体をリュカの後孔に押し付け、ムリヤリ押し込む。穴のシワが限界まで伸びる。直径5センチ位の物体の一番太いところが体内に入ると、あとは精液のぬめりでずぶずぶと飲み込まれていった。そしてわずかに見えている面をエロアが中指と人差し指で突いて奥まで入れた。
 その物体の動きで前立腺が刺激され、こらえていても喘ぎ声が漏れる。一度イッたはずのリュカのペニスがゆるく反応した。

「いや…いや…」

 エロアは自らのペニスを扱き、その物体を更に奥へと届かせようと、そのいきり立ったものをリュカに挿入した。
 指の限界を超えて奥へと到着する物体。エロアがリュカの体内を突く度に、その物体が体内を暴れまくる。

「んっ…くぅ…お願い…お願いです…取り出して…んっ…いやだ…いやぁ…」

 リュカはすすり泣いていた。それは傍から見れば、両手を上部で固定されつつも、自ら大きく股を開き、ペニスを屹立させて、感じすぎて泣いているようにも見える姿だった。
 エロアはそんなリュカを見て嬉しそうに笑った。
 だがリュカは今体内に入れられたものがなにかをわかっていて、恐怖で泣いていたのだった。

 エロアがリュカの体内で射精すると、自らのペニスを突き刺したまま呪文を唱えた。身動きの取れないリュカの下腹の上で魔法陣が浮かび上がり体内へと吸い込まれていった。
 途端に振動し始める物体。その動きを確認して、エロアはペニスを抜いた。

「お願いです…出して…出させてください…」

「絶対に出すなよ」

 泣いて懇願するリュカに、エロアの無情な命令が下った。上部に固定されていた手が解放され、身体が自由になっても、命令のせいで自ら取り出すことができない。
 体内で振動し続けるその物体のせいで、リュカのペニスは完全に勃ちあがっていた。

「始めはしんどいだろうがそのうち収まる。 ペニスそれはいじっても構わないぞ? もちろん穴もな。 それが身体に馴染んだらだ」
 
 リュカにとって絶望的な言葉が聞こえた。エロアが笑って出ていく。
 エロアが去っても体内に入れられた物体は振動をやめない。
 男性でも妊娠を可能にする魔道具。この振動が収まった時、リュカの身体は妊娠可能なものへと作り変えられているだろう。

 リュカは布団を被り、体内の振動に耐え続けた。


 ◇


 寝ても覚めても体内の振動は収まらない。その振動を感じたくなくて腹に力を入れ続けたせいで、下腹部には筋肉痛のような疼痛を感じた。だが体内から与えられる刺激は収まらない。仕方なく気を紛らわすようにペニスを触り、指を穴に出し入れして快楽を得る。そうしてイけば、疲れ果てて少しの眠りが得られるのだ。
 だが、それでもすぐに目が覚める。

 夢か現実かわからない状態で何度もイキ、寝たまま射精することもあった。
 夢の中でだけヴァレルに抱かれ、幸せな気持ちになる。そうして目が覚めて自分を犯しているのがエロアであることに絶望する。その繰り返しだった。幸せな夢を見た後なだけに、エロアのペニスで感じてしまう自分がひどく浅ましく、汚いものに思えた。
 
 夢の中に戻りたいと目を閉じ、頭の中でヴァレルを想像する。夢の中でだけ自分はヴァレルの理想の、いや「こうでありたかった」と自らが望む、汚れのない自分でいられる。優しい口づけをもらい、大切に宝物のように抱かれるにふさわしい存在。
 決して叶うことのない夢だとわかっていても、イッた後にひどく虚しさを感じたとしても、今も昔もヴァレルを思うことでしか希望を持てないでいた。

 そして気づく。自分はヴァレルが好きなのだと。家族とか弟とかそういった肩書を取っ払って、ただただを愛しているのだ。それが例え自分の頭の中でだけで作り上げた、想像上のものだったとしても、それで構わない。どうせ手に入らないものなのだ。
 こんなにも汚れていること。ヴァレルを思って自慰をしていること。ヴァレルにだけは知られたくない。
 

 ◇

 どれだけの日が経過したのか。
 ふと正気に戻る瞬間が訪れた。
 それは魔法具がリュカの身体に定着したことを意味した。
 
 リュカは恐怖で泣いた。悲しくて悲しくて、そしてまたヴァレルを思い出した。
「じゃぁね」といった後、ヴァレルは泣きそうな顔をした。最後に見た顔がそれであったことが切なかった。
 だがそれで良かったのかもしれない。笑顔であればためらいが生まれるかもしれないのだから。

 生きようと思った。
 こんな絶望の中でも生きたいと思った。

 ずっと思っていた。 
 自分リュカがどう思い、どう考えるかなど周りにはなんの価値もないのだろう。
 生まれたときに捨てられた。もともとこの命に価値などなかったのだ。
 そんな自分に価値を付けてくれたのはヴァレルであり、ヴェルマンド夫妻だった。
 だが、今はそれすらも手放してしまった。
 一人なのだ。今ならまだ一人の身体なのだ。
 
 下腹の疼きが収まっていた。
 夕食に出された角牛のステーキを、ムリヤリ口の中に押し込んで嚥下した。
 この獣の命が誰かの血となり肉となる。それが自分であることが申し訳なく思った。
 
 その日は何の夢も見ず、ぐっすり眠れた。
 皮肉にも身体を作り変えられてやっと久しぶりに穏やかな気持ちになれたのだ。
 リュカは覚悟を決めた。
 

 
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