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15歳の誕生日
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ピピピッピピピッーーー
一定のリズムが室内に鳴り響く。
(夢か、、、眠い、、、。)
ぼんやりとした思考で瞼が重い。
薄ら寝ぼけ眼の視界で右手を音の鳴っている布団の外側に伸ばし、アラームを止めようとした。
(、、、??なんだ、?)
右手に違和感がある。
いや、右手には別段異変は無いが、いつもなら伸ばした手の先に触れるはずのフローリングの感触が無い。
左右に大きく振ってみたが、右手は宙を彷徨った。
(、、???、、、、!!!!??)
異変を感じ取り気怠い体を半ば無理矢理動かし、布団から顔を出すと寝惚けた思考が一気に混乱した。
昨日眠ったはずの見慣れた布団と、勉強机と簡素なラックだけの質素な六畳の部屋とは、全く異なる一室のベットの上で目を覚ましたからだ。
ベットの向かいの机に置かれている目覚ましを止めて、ゆっくり室内を見渡した。
ベットの向かい側の窓から陽光が差し込みブルーのカーテンは小さく揺れている。
ベット頭上側にも小さな窓があり、2つの窓から溢れる朝日が室内を明るく照らしている。
全体的にブルーを基調としたシンプルな部屋。
ベットの足元の壁にドアがあって、ドアの側面に開きっぱなしのクローゼット。
クローゼットには男性物の服がかけられている。
(まだ夢の中なのか、、、此処は、、、)
注意深く部屋を見渡す。
ベットの向かい側の窓の両脇のクローゼットと勉強机の間には、窓枠の下の高さに合わせた本棚が置かれている。
本棚には昔夢中になったマンガが並べていて、窓縁に沿った棚の上には戦隊モノのフィギュアやゲーム機、サッカーボールが無造作に置かれている。
(ここは、、、昔の俺の部屋??いや、まさか、)
置いてあるインテリアや置き物は思い出の部屋と違うが、間取りは完全に昔の自室だ。
何よりも部屋全体を包み込む優しい雰囲気が思い出の部屋と重なった。
懐かしさが胸を締め付ける。
はじめて1人部屋を貰った時は嬉しかった。
幽霊の映画を観た夜は1人で寝るベットは怖くて、窓から誰かが覗いていないか何度も確認して眠りについた。
家を売却して、最後に部屋を出る時は、父さんとの思い出を手放せば父さんへの贖罪になる気がして、少しホッとした。
「、、、父さん、、、」
つい、口から溢れてしまった。
ガチャッ
「おぉ、もう起きてのか。」
扉を開けて顔を覗かせたのは今心に思い浮かべた人物だった。
「父さん!!!」
思い出の中よりも少し頼りない、写真で見慣れた容姿よりも少し老けている父さんは驚いた後に面倒臭い表情になって頭を掻いた。
「朝っぱらから大きな声出してどうしたんだよ、ノックか??細けぇな。」
「いや、そうじゃなくて、、、」
(、、、死んだんじゃなかったのかよ)
言いかけて言葉が詰まった。
言葉に出せば父さんが消えてしまう気がして、呼吸が浅くなる。
胸が苦しくなってくる。
「大丈夫か?どこか具合が悪いのか?」
俯いた顔を上げると、困惑と心配が入り混じった父さんと目が合った。
「おい、本当に大丈夫か?」
「だ、大丈夫、ちょっと寝ぼけてるだけ!」
「問題無いんなら良いんだけどよ、今日は早く行くだろ?早く用意しろ。」
「ああ、うん、分かった。」
涙が込み上げてくるのを何とか耐えて返答する。
俺の返答に納得した父さんは扉を閉めようとして、
「そういや、叶人お誕生日おめでとう。」
唐突に誕生日のお祝いを告げた、父さんの笑顔は懐かしい記憶の中の父さんのままだった。
耐えていた涙が溢れ出しそうになって慌てて下を向く。
「分かったから!!早く出てけよ!!」
「あぁ~はいはい。」
バタン
扉を閉める音がつむじに響いた。
一定のリズムが室内に鳴り響く。
(夢か、、、眠い、、、。)
ぼんやりとした思考で瞼が重い。
薄ら寝ぼけ眼の視界で右手を音の鳴っている布団の外側に伸ばし、アラームを止めようとした。
(、、、??なんだ、?)
右手に違和感がある。
いや、右手には別段異変は無いが、いつもなら伸ばした手の先に触れるはずのフローリングの感触が無い。
左右に大きく振ってみたが、右手は宙を彷徨った。
(、、???、、、、!!!!??)
異変を感じ取り気怠い体を半ば無理矢理動かし、布団から顔を出すと寝惚けた思考が一気に混乱した。
昨日眠ったはずの見慣れた布団と、勉強机と簡素なラックだけの質素な六畳の部屋とは、全く異なる一室のベットの上で目を覚ましたからだ。
ベットの向かいの机に置かれている目覚ましを止めて、ゆっくり室内を見渡した。
ベットの向かい側の窓から陽光が差し込みブルーのカーテンは小さく揺れている。
ベット頭上側にも小さな窓があり、2つの窓から溢れる朝日が室内を明るく照らしている。
全体的にブルーを基調としたシンプルな部屋。
ベットの足元の壁にドアがあって、ドアの側面に開きっぱなしのクローゼット。
クローゼットには男性物の服がかけられている。
(まだ夢の中なのか、、、此処は、、、)
注意深く部屋を見渡す。
ベットの向かい側の窓の両脇のクローゼットと勉強机の間には、窓枠の下の高さに合わせた本棚が置かれている。
本棚には昔夢中になったマンガが並べていて、窓縁に沿った棚の上には戦隊モノのフィギュアやゲーム機、サッカーボールが無造作に置かれている。
(ここは、、、昔の俺の部屋??いや、まさか、)
置いてあるインテリアや置き物は思い出の部屋と違うが、間取りは完全に昔の自室だ。
何よりも部屋全体を包み込む優しい雰囲気が思い出の部屋と重なった。
懐かしさが胸を締め付ける。
はじめて1人部屋を貰った時は嬉しかった。
幽霊の映画を観た夜は1人で寝るベットは怖くて、窓から誰かが覗いていないか何度も確認して眠りについた。
家を売却して、最後に部屋を出る時は、父さんとの思い出を手放せば父さんへの贖罪になる気がして、少しホッとした。
「、、、父さん、、、」
つい、口から溢れてしまった。
ガチャッ
「おぉ、もう起きてのか。」
扉を開けて顔を覗かせたのは今心に思い浮かべた人物だった。
「父さん!!!」
思い出の中よりも少し頼りない、写真で見慣れた容姿よりも少し老けている父さんは驚いた後に面倒臭い表情になって頭を掻いた。
「朝っぱらから大きな声出してどうしたんだよ、ノックか??細けぇな。」
「いや、そうじゃなくて、、、」
(、、、死んだんじゃなかったのかよ)
言いかけて言葉が詰まった。
言葉に出せば父さんが消えてしまう気がして、呼吸が浅くなる。
胸が苦しくなってくる。
「大丈夫か?どこか具合が悪いのか?」
俯いた顔を上げると、困惑と心配が入り混じった父さんと目が合った。
「おい、本当に大丈夫か?」
「だ、大丈夫、ちょっと寝ぼけてるだけ!」
「問題無いんなら良いんだけどよ、今日は早く行くだろ?早く用意しろ。」
「ああ、うん、分かった。」
涙が込み上げてくるのを何とか耐えて返答する。
俺の返答に納得した父さんは扉を閉めようとして、
「そういや、叶人お誕生日おめでとう。」
唐突に誕生日のお祝いを告げた、父さんの笑顔は懐かしい記憶の中の父さんのままだった。
耐えていた涙が溢れ出しそうになって慌てて下を向く。
「分かったから!!早く出てけよ!!」
「あぁ~はいはい。」
バタン
扉を閉める音がつむじに響いた。
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