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とある冒険者達の話
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「ハーシュ、お前をパーティから追放する」
夕暮れの宿屋裏。ダンジョン探索を終えて村に戻ってきてディックにそう宣言された時、俺の心は平常だった。
衝撃とか絶望とか悲しみとかもなく、ただ、「ああ、とうとう来たか」って感じ。
俺の前には四人の男女が立っている。
鈍色の全身甲冑に身を包んだ縦にも横にもデカい重戦士はリーダーのディック、小悪魔可愛い少女魔法使いのマリナ、妖艶な美女僧侶のイレーネ、そしてすらりと背の高い美丈夫は剣士のサンフォード。それにひ弱な魔法使いの俺ハーシュを入れたのが、冒険者パーティ【新緑の風】のメンバーだった。
……ついさっきまでは。
「理由は判るだろう、ハーシュ」
ディックはやれやれと首をすくめながら、つらつらと語る。
「お前はとにかく実力不足だ。詠唱は遅いし、魔法の威力も大したことがない。モンスターと対峙した時も、いつもサンフォードの後ろに隠れて積極性が感じられない」
「パーティの歩く速さについてこれなくて遅れるし、いつもオドオドして一緒にいるとイライラするわ」
「魔法使いはあたし一人いれば十分よ。あんたはただの足手まといなの!」
イレーネもマリナも口々に俺への不満をぶつけてくる。そしてトドメに、
「サンフォードの友達だから大目に見てたが、もう限界だ。うちのパーティにお前は不要だ!」
ビシッとディックに指をさされる。
……まあ、そんな風に思われていたことは、今更確認するまでもなく知ってましたが。
俺は未だに言葉を発しない剣士の顔を見上げる。
「サンフォードはどう思う?」
一応訊いてみると、彼は端正な唇を薄く開き、
「それでいいんじゃないか」
あっさり切り捨てる言葉に、俺は肩を落とす。
……やっぱり、こうなったか。
無情な台詞を無表情で吐いたサンフォードに、マリナとイレーネが飛びついてくる。
「ほら、やっぱり! サンフォードも同意見だって」
「旧知だからっていつまでもしがみつかれてたらサンフォードだって迷惑よね。あんたなんかとサンフォードが今までなんで一緒にいたのか分かんない」
「サンフォードは一流の剣士。我がパーティには最早なくてはならない戦力! これからも期待しているぞ。ハーシュは相応のレベルの仲間を見つけて達者で暮らせよ」
きゃっきゃとはしゃぐ女性陣の横で、満足そうに何度も頷くディック。みんな、厄介払いができて嬉しそうだ。
「じゃあ、今日はダンジョン攻略と【新緑の風】の新しい門出を祝って大いに飲むぞー!」
「「わーい!!」」
ディックの音頭に歓声を上げるマリナとイレーネ。
酒場へと繰り出す元パーティメンバー達の後ろ姿に、俺は声をかけた。
「あのさ。俺、宿に戻って荷物整理していいかな? 今日はもう遅いから、明日の朝には出ていくから」
振り向いた四人は冷ややかに俺を見つめて、
「他人の私物とパーティの共有物に手を付けたら、憲兵に突き出すからな」
わあ、パーティリーダーからの無慈悲なお言葉。品行方正に暮らしてきたはずなのに、信用ねぇな俺。うっかり泣きそうになっていると、
「……ハーシュはそんなことしない」
ぼそっと、でもはっきりと、サンフォードがディックの発言を否定した。射るような視線に、ディックはギクッと肩を揺らす。
「い、いや。冗談だよ。じゃあ、達者でな、ハーシュ」
ディックはご機嫌を取るようにサンフォードの背中をさすりながら、他のパーティメンバーと共に酒場へと消えていく。
途中、半分だけ振り返ったサンフォードに俺はへらりと笑って手を振って、宿屋へと踵を返した。
* * *
口を大きく開いたリュックの中に、自分の荷物を詰めていく。
パーティと共有していた辞書やアストロラーベは回収しておかないと。
「たった三ヶ月、か……」
居心地は悪くなかったんだけどな。
荷造りをしながら、俺はこれまでの経緯を思い出す。
――元々、俺とサンフォードは同じ町で育った幼馴染だ。といっても、サンフォードの家は町一番の豪農で、俺は小作人の子どもだったけど。
でも一緒の学校に通って一緒に遊んで……魔物の襲撃で町が壊滅するまで、同じ土地で暮らしていた。
家も家族も亡くした俺達は、二人きりで旅に出た。
そして三ヶ月前、酒場の掲示板のパーティメンバー募集で【新緑の風】のディックとマリナとイレーネに出会った。
故郷を離れて二年、サンフォードは剣の才能を開花させ、冒険者として目覚ましい成長を遂げていた。その洗練された剣技とクールな美貌にパーティメンバーはすぐに夢中になった。
かたや俺はというと……そこそこの魔法使い止まりだ。しかも一瞬目を逸らしただけで忘れてしまいそうなモブ顔だし。
『あんたなんかとサンフォードが今までなんで一緒にいたのか分かんない』
それは……子どもの頃からよく聞いた言葉だ。
優秀なサンフォードと、その他大勢の俺。
隣りにいても釣り合わない……。
「……ま、いいんだけどね」
ふう、と息をついて俺はすっかり重くなったリュックの蓋を締めた。
* * *
翌朝、まだ空が暗いうちに外に出る。
並びで借りていたディック達の部屋からは、随分遅くに帰ってきた物音が聞こえたから、まだ寝ているだろう。お見送りもない、あっさりとした出発。別れの時なんて、大抵そんなもんだ。
村の出口まで来ると、人影が見えてきた。
荷物を背負って外套のポケットに両手をつっこんで寒そうに白い息を吐いているのは、
「……遅い」
不機嫌な顔の幼馴染に、俺は思わず苦笑を零す。
「約束してないし」
「は? 僕を待たせといて、その台詞? ハーシュのひとでなし」
唇を尖らせる彼に、俺は背伸びして頭を撫でた。
「ごめん。待っててくれてありがと」
サンフォードは横目で俺を見ると満足そうに唇の端を上げ、それからぷいっと顔を逸らして歩き出す。
「昨日は遅かったよな。寝不足じゃない?」
「別に。よく寝た」
「みんなにお別れ言ってきた?」
「普通に飲んで普通に解散した。今日はまだ会ってない」
……今日会ってないなら、もう会えないんじゃないのか?
背の高い相棒の隣を歩きながら、俺は頭を抱える。
――ディックもマリナもイレーネも、絶対誤解してるよなぁ……。
サンフォードだけがパーティに残るって。
俺がサンフォードに『どう思う?』と聞いた時、彼は『それでいい』と答えた。その言葉は、『ハーシュが出ていくなら、僕も出ていく』という意味だ。
「俺は追い出されたからいいけど、サンフォードは一応挨拶してくれば? みんな、朝起きてお前がいなかったらびっくりするぞ」
「はぁ、なんで? 元々僕とハーシュが組んでたんだから、出ていく時も一緒に決まってんじゃん。それとも何? ハーシュは僕といたくないの?」
「そんなことないけど」
「僕は嫌だね、ハーシュと離れるなんて。ずーっとついてくから! 大体、パーティ組む必要なんてないじゃん。僕がいればハーシュは無敵なんだから」
「確かに、二人でもサンフォードが庇ってくれるから魔法は撃ちやすいが」
その立ち位置が『後ろに隠れてる』って言われちゃうんだけど。
「敵を確実に仕留める大技を持つ魔法使いのために前衛が盾になるのは当然だよね」
「まあ、サンフォードは大抵の敵を一人でやっつけられちゃうけどな」
俺の出番ほぼ無いし。
「でも、旅を続けるならパーティ戦を覚えるのも大事だぞ。自分の負担も減るし」
「もう一人の魔法使いの魔法を補助するためにタイミングずらしてるのに、『詠唱遅い』って文句つけたり、ハーシュが背後を警戒しつつ支援魔法掛けまくってるのにも気づかず『歩く速さについてこれない』とか見当違いなことばっか言うアホは仲間にするだけ損」
うわぁ、辛辣。
――実は、こんな感じでパーティを抜けるのは今回で三回目だ。
みんなが欲しいのはサンフォードで、俺はおまけの役立たず。
そして、最後にはいつも俺が追い出され……何故かサンフォードがついてくる。
「でも、みんなが言ってることは間違いないよ。俺の魔法は平凡で、特別なことはなにもしてない。サンフォードみたいな際立った才能がないから、一緒にいても足手まとい扱いされて当然……」
「だよ」と続ける前に不意に頭上が陰った。サンフォードが腰を折って、俺の顔を覗き込んできたからだ。
「そんなことない。平凡なことを平凡に続けられるのがハーシュの凄さ。それを否定する奴なんか僕が捻り潰してやる」
真剣な瞳で紡がれた言葉に、心臓が凍るほどぞっとするけど……じわっと胸の奥が温かくなる。
「……褒められてる気がしない」
ぶっきらぼうに目を逸らしたのは、精一杯の強がりだ。
そんな俺にサンフォードは無邪気に微笑んで、また歩き出す。
「サンフォードは、俺といる時はよく喋るよな」
他の連中がいる時は無口なのに。
「僕、人見知りだし。話してて楽しいのはハーシュだけだし。だから……」
俺の問いに、彼は屈託なく答える。
「ずっと離さないよ」
歌うような涼やかな声で断言されて、息が止まる。
……一緒に育って一緒に旅をしているだけなのに、どうして俺はここまで『サンフォードの特別』になってしまったんだろう?
平凡に生きてきただけの俺には、理由が分からない。
ただ……。
熱くなる頬を隠すために俯くので精一杯だった。
夕暮れの宿屋裏。ダンジョン探索を終えて村に戻ってきてディックにそう宣言された時、俺の心は平常だった。
衝撃とか絶望とか悲しみとかもなく、ただ、「ああ、とうとう来たか」って感じ。
俺の前には四人の男女が立っている。
鈍色の全身甲冑に身を包んだ縦にも横にもデカい重戦士はリーダーのディック、小悪魔可愛い少女魔法使いのマリナ、妖艶な美女僧侶のイレーネ、そしてすらりと背の高い美丈夫は剣士のサンフォード。それにひ弱な魔法使いの俺ハーシュを入れたのが、冒険者パーティ【新緑の風】のメンバーだった。
……ついさっきまでは。
「理由は判るだろう、ハーシュ」
ディックはやれやれと首をすくめながら、つらつらと語る。
「お前はとにかく実力不足だ。詠唱は遅いし、魔法の威力も大したことがない。モンスターと対峙した時も、いつもサンフォードの後ろに隠れて積極性が感じられない」
「パーティの歩く速さについてこれなくて遅れるし、いつもオドオドして一緒にいるとイライラするわ」
「魔法使いはあたし一人いれば十分よ。あんたはただの足手まといなの!」
イレーネもマリナも口々に俺への不満をぶつけてくる。そしてトドメに、
「サンフォードの友達だから大目に見てたが、もう限界だ。うちのパーティにお前は不要だ!」
ビシッとディックに指をさされる。
……まあ、そんな風に思われていたことは、今更確認するまでもなく知ってましたが。
俺は未だに言葉を発しない剣士の顔を見上げる。
「サンフォードはどう思う?」
一応訊いてみると、彼は端正な唇を薄く開き、
「それでいいんじゃないか」
あっさり切り捨てる言葉に、俺は肩を落とす。
……やっぱり、こうなったか。
無情な台詞を無表情で吐いたサンフォードに、マリナとイレーネが飛びついてくる。
「ほら、やっぱり! サンフォードも同意見だって」
「旧知だからっていつまでもしがみつかれてたらサンフォードだって迷惑よね。あんたなんかとサンフォードが今までなんで一緒にいたのか分かんない」
「サンフォードは一流の剣士。我がパーティには最早なくてはならない戦力! これからも期待しているぞ。ハーシュは相応のレベルの仲間を見つけて達者で暮らせよ」
きゃっきゃとはしゃぐ女性陣の横で、満足そうに何度も頷くディック。みんな、厄介払いができて嬉しそうだ。
「じゃあ、今日はダンジョン攻略と【新緑の風】の新しい門出を祝って大いに飲むぞー!」
「「わーい!!」」
ディックの音頭に歓声を上げるマリナとイレーネ。
酒場へと繰り出す元パーティメンバー達の後ろ姿に、俺は声をかけた。
「あのさ。俺、宿に戻って荷物整理していいかな? 今日はもう遅いから、明日の朝には出ていくから」
振り向いた四人は冷ややかに俺を見つめて、
「他人の私物とパーティの共有物に手を付けたら、憲兵に突き出すからな」
わあ、パーティリーダーからの無慈悲なお言葉。品行方正に暮らしてきたはずなのに、信用ねぇな俺。うっかり泣きそうになっていると、
「……ハーシュはそんなことしない」
ぼそっと、でもはっきりと、サンフォードがディックの発言を否定した。射るような視線に、ディックはギクッと肩を揺らす。
「い、いや。冗談だよ。じゃあ、達者でな、ハーシュ」
ディックはご機嫌を取るようにサンフォードの背中をさすりながら、他のパーティメンバーと共に酒場へと消えていく。
途中、半分だけ振り返ったサンフォードに俺はへらりと笑って手を振って、宿屋へと踵を返した。
* * *
口を大きく開いたリュックの中に、自分の荷物を詰めていく。
パーティと共有していた辞書やアストロラーベは回収しておかないと。
「たった三ヶ月、か……」
居心地は悪くなかったんだけどな。
荷造りをしながら、俺はこれまでの経緯を思い出す。
――元々、俺とサンフォードは同じ町で育った幼馴染だ。といっても、サンフォードの家は町一番の豪農で、俺は小作人の子どもだったけど。
でも一緒の学校に通って一緒に遊んで……魔物の襲撃で町が壊滅するまで、同じ土地で暮らしていた。
家も家族も亡くした俺達は、二人きりで旅に出た。
そして三ヶ月前、酒場の掲示板のパーティメンバー募集で【新緑の風】のディックとマリナとイレーネに出会った。
故郷を離れて二年、サンフォードは剣の才能を開花させ、冒険者として目覚ましい成長を遂げていた。その洗練された剣技とクールな美貌にパーティメンバーはすぐに夢中になった。
かたや俺はというと……そこそこの魔法使い止まりだ。しかも一瞬目を逸らしただけで忘れてしまいそうなモブ顔だし。
『あんたなんかとサンフォードが今までなんで一緒にいたのか分かんない』
それは……子どもの頃からよく聞いた言葉だ。
優秀なサンフォードと、その他大勢の俺。
隣りにいても釣り合わない……。
「……ま、いいんだけどね」
ふう、と息をついて俺はすっかり重くなったリュックの蓋を締めた。
* * *
翌朝、まだ空が暗いうちに外に出る。
並びで借りていたディック達の部屋からは、随分遅くに帰ってきた物音が聞こえたから、まだ寝ているだろう。お見送りもない、あっさりとした出発。別れの時なんて、大抵そんなもんだ。
村の出口まで来ると、人影が見えてきた。
荷物を背負って外套のポケットに両手をつっこんで寒そうに白い息を吐いているのは、
「……遅い」
不機嫌な顔の幼馴染に、俺は思わず苦笑を零す。
「約束してないし」
「は? 僕を待たせといて、その台詞? ハーシュのひとでなし」
唇を尖らせる彼に、俺は背伸びして頭を撫でた。
「ごめん。待っててくれてありがと」
サンフォードは横目で俺を見ると満足そうに唇の端を上げ、それからぷいっと顔を逸らして歩き出す。
「昨日は遅かったよな。寝不足じゃない?」
「別に。よく寝た」
「みんなにお別れ言ってきた?」
「普通に飲んで普通に解散した。今日はまだ会ってない」
……今日会ってないなら、もう会えないんじゃないのか?
背の高い相棒の隣を歩きながら、俺は頭を抱える。
――ディックもマリナもイレーネも、絶対誤解してるよなぁ……。
サンフォードだけがパーティに残るって。
俺がサンフォードに『どう思う?』と聞いた時、彼は『それでいい』と答えた。その言葉は、『ハーシュが出ていくなら、僕も出ていく』という意味だ。
「俺は追い出されたからいいけど、サンフォードは一応挨拶してくれば? みんな、朝起きてお前がいなかったらびっくりするぞ」
「はぁ、なんで? 元々僕とハーシュが組んでたんだから、出ていく時も一緒に決まってんじゃん。それとも何? ハーシュは僕といたくないの?」
「そんなことないけど」
「僕は嫌だね、ハーシュと離れるなんて。ずーっとついてくから! 大体、パーティ組む必要なんてないじゃん。僕がいればハーシュは無敵なんだから」
「確かに、二人でもサンフォードが庇ってくれるから魔法は撃ちやすいが」
その立ち位置が『後ろに隠れてる』って言われちゃうんだけど。
「敵を確実に仕留める大技を持つ魔法使いのために前衛が盾になるのは当然だよね」
「まあ、サンフォードは大抵の敵を一人でやっつけられちゃうけどな」
俺の出番ほぼ無いし。
「でも、旅を続けるならパーティ戦を覚えるのも大事だぞ。自分の負担も減るし」
「もう一人の魔法使いの魔法を補助するためにタイミングずらしてるのに、『詠唱遅い』って文句つけたり、ハーシュが背後を警戒しつつ支援魔法掛けまくってるのにも気づかず『歩く速さについてこれない』とか見当違いなことばっか言うアホは仲間にするだけ損」
うわぁ、辛辣。
――実は、こんな感じでパーティを抜けるのは今回で三回目だ。
みんなが欲しいのはサンフォードで、俺はおまけの役立たず。
そして、最後にはいつも俺が追い出され……何故かサンフォードがついてくる。
「でも、みんなが言ってることは間違いないよ。俺の魔法は平凡で、特別なことはなにもしてない。サンフォードみたいな際立った才能がないから、一緒にいても足手まとい扱いされて当然……」
「だよ」と続ける前に不意に頭上が陰った。サンフォードが腰を折って、俺の顔を覗き込んできたからだ。
「そんなことない。平凡なことを平凡に続けられるのがハーシュの凄さ。それを否定する奴なんか僕が捻り潰してやる」
真剣な瞳で紡がれた言葉に、心臓が凍るほどぞっとするけど……じわっと胸の奥が温かくなる。
「……褒められてる気がしない」
ぶっきらぼうに目を逸らしたのは、精一杯の強がりだ。
そんな俺にサンフォードは無邪気に微笑んで、また歩き出す。
「サンフォードは、俺といる時はよく喋るよな」
他の連中がいる時は無口なのに。
「僕、人見知りだし。話してて楽しいのはハーシュだけだし。だから……」
俺の問いに、彼は屈託なく答える。
「ずっと離さないよ」
歌うような涼やかな声で断言されて、息が止まる。
……一緒に育って一緒に旅をしているだけなのに、どうして俺はここまで『サンフォードの特別』になってしまったんだろう?
平凡に生きてきただけの俺には、理由が分からない。
ただ……。
熱くなる頬を隠すために俯くので精一杯だった。
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