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じゃぱにーずかるちゃーいずくーる17

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 俺が家でのんびりゲームをしている間にも世界情勢は刻々と変化していた。

 先進国と呼ばれる国々では冒険者協会により派遣された他種族を手厚く迎え入れ、初めは軍人を中心にダンジョンでのレベルアップとモンスターとの戦闘に関しての教育と訓練を徹底した国が殆どだった。

 これは単純にそうした方が自国の為になるからという理由と、今からでもダンジョン先進国である日本に追いつこうとする外交的な部分も大きいと思う。

 学べる機会があれば貪欲に学ぶ姿勢はとても素晴らしく、効果は覿面で地上に溢れたモンスターは着実に数を減らしている。

 肝心のダンジョン攻略に関しても、現状は派遣された他種族の者が居ないと攻略出来ないが近い将来、現地の人々だけで攻略が成されるのは間違いない。

 一方で後進国のほんの一部の国々ではそもそも他種族の受け入れを拒否、残念ながらそのまま地上がモンスターの楽園と化している国もある。

 後進国の殆どが先進国に倣って他種族の者を厚遇し、対モンスター、対ダンジョンとの戦い方、付き合い方を学んでいるので今後はダンジョンも攻略されるだろう。

 表面上の他種族受け入れ問題は各国の政府が何とか抑え込んでいるか、無視しているのが実態ではあるがこのまま何とか他種族を受け入れてくれる土壌が出来上がる事を祈るばかりだ。


 ☆ ☆ ☆


 灯りの付いていない薄暗い部屋の中でモニターの光だけが煌々と自身の顔を照らす。

 もう何時間経ったのだろう。

 時間の感覚も無くなる程に俺はモニターを見つめながらゲームをしていた。

「いくらアバターで肉体的疲労が無いからって流石にやりすぎか……」

 自身の操作するキャラクターが敵に倒された所で一旦コントローラーを机に置いた。

 最近ハマりにハマっているFPSのゲーム。

 やる事も無いから暇潰しに始めたら、一向に勝てなくて悔しくて暇さえあればやっている。

「肉体は疲れないけど、頭は疲れるんだよなぁ……ふぅ。エイムも上達したしマップも覚えたのに何故勝てない……」

 勝てない理由なんて分かりきっている。

 単純に立ち回りの差が大きい。

 いくらレベルアップの恩恵で操作面で有利に立とうとも初めて数日の俺が全国の猛者に勝てる道理はない。

「にしても世界がこんな時だってのにゲームをしてる人間がこんなにも多いというのは平和な証拠なのかもなぁ……」

 培ってきた経験やそれに伴う判断能力というのは侮れない。

 肉体的なスペックが同じであれば経験に裏打ちされた判断能力や思考が勝敗に決定的な差を生むというのは間違いないだろう。

「戦争……紛争……平和を享受出来るのはいつまでかな……日本が力を持ったのは良いけど、最悪戦争になりかねんぞ……何をしてくれてるんだあの馬鹿共は……面倒事を増やさずには居られない民族なのか?」

 休憩がてらとあるネット記事に目を通す。

 負ける事は無い。

 戦争になったとしても俺達が負ける事は無い思うが、だからといって犠牲が出ない筈が無い。

 争いになれば多少の犠牲は仕方が無いというのは簡単だが、その犠牲の当事者や関係者になってもその言葉が言えるのは極少数の頭のおかしい自己犠牲野郎だけだ。

 日本は割合そういう頭のおかしい連中が多いから世界からも恐れられているし、過去にあった戦争でも数々の偉業を打ち立ててきた。

 名誉という形の無いものを妄信できる特殊な思想を持つのは悪い事じゃ無いし、場所や時代によっては誇れるものでもあると思う。

 今はへらへらと平和を謳歌して笑っている若者だって国が馬鹿にされようともあまり怒らないが、天皇の事を馬鹿にされると途端に恐い目をする者が多いのが日本人だ。

 それだけ天皇という存在は日本にとって無くてはならない存在で、日本という国の象徴として国民の心の奥底に根付いている。

 そんな天皇が再び馬鹿にされ、貶され、世界に謝罪しろと宣う国の役人、国民が居る国に誰が支援するというのだろうか。

 むしろ戦争に繋がるレベルでヤバイ事をしている自覚があの民族に無いのだろうか。

「天皇という神の子孫を名乗る者のせいで本物の神がお怒りになった。お怒りになった神がダンジョンというものを天罰として我ら善良な人類にも裁きとして下した。ダンジョンとモンスターの発生は天皇という存在が発端であるのは疑いようの無い真実である。よって日本は即刻、天皇をただの人の子として定め、天皇自身が全世界に向けて謝罪をしなければならない。これは世界に混乱を招いた天皇が唯一許される道である……か、相変わらず言ってる事ヤバイなぁ」

 荒れに荒れている自国の状況を何とか打破しようとして行ったのがまさかの天皇に向けてのヘイトスピーチというのが何とも言えない気分になる。

 素直に頭を下げて、力を貸してくださいと言えないのだろうかあの民族の人達は。

「遺憾砲は撃ってるけど、国民感情的にはそんな程度じゃ収まらんぜこれは……千尋と純はどうすんだろう……冒険者協会的には動くのかな?」

 PCHは日本の国営の団体なので日本にしか存在しない組織だが、冒険者協会は違う。

 冒険者協会は初めの想定とは異なり、今や世界規模で勢力図を拡大し続けているグローバルな団体になってしまった。

 今では各国に冒険者協会の支部が作られ、正式に所属している人員も1万人を超えた。

 最初は10人程度しか居なかった日本の島国で生まれた地域限定のつもりで作った民間団体が何故こうなったのか。

 あまり規模を大きくするつもりは無かったが、世界の状況的にダンジョン生まれの他種族を認めさせる良い機会と思って大々的に動いた結果なので仕方ないのだが、そんな冒険者協会の幹部にこっそり名を連ねている俺としては何だか居心地が悪い。





















「嫁は居ない、妹も居ない、英美里も居ない、居るのは我が家に俺一人……流石に俺ももうちょっと手伝った方が良いのか?」

 ここ数日我が家には誰も居ない。

 英美里だけが俺のご飯の用意をする為に帰って来る程度で、他の皆は忙しくそれこそ世界中を飛び回っている。

「ベルも何だかんだで忙しいみたいだし……ちょっとだけ寂しい気がする?いやいや、半年前まではこれが当たり前だったじゃねぇか……いや、バイトには行ってたか……」

 世界が落ち着くまではこの生活が続くのかと思うとやはり寂しいものがある。

 俺自身が積極的に動いたり手伝ったりすれば良いのかもしれないが、そうすれば今度は怠惰ダンジョンの守りが手薄になるという不安もある。

 実際問題、ベルさえ居れば防衛面に関しては何も問題は無いがもしもの事を考えるとどうしても動く事が出来ない。

「……今更俺達に喧嘩売るような奴は居ないだろうけどな」

 何事も最悪を想定しておいて損は無いだろう。

 他階層には俺以外にも戦える者は居る。

 特に悪魔組の3人が居るので何かあれば研究施設を頼れば戦力的には問題は無いだろう。






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