152 / 155
じゃぱにーずかるちゃーいずくーる15
しおりを挟む日本の小さな島を中心にあちこち行ってはモンスターを倒し、ダンジョンを攻略していった。
モンスターが溢れ出してから約半日、日本は他の国よりも比較的早期に事態の収束が成された。
未だ未攻略のダンジョンはあるのだろうが、地上にモンスターが溢れて来ないのであれば特に気にする程のものでも無い。
「とりあえずお家に帰ろう!皆もそろそろ帰って来るだろうし!」
役目も終わったのでサブキャラを解除して意識を本体へと戻す。
「ふぅ……戦闘飛蝗は中々便利だな……スーツには標準装備でも良いかもしれないな、スーツ毎に見た目を少しづつ変えれば恰好良いだろうし!問題は予算だよなぁ……俺のお小遣いじゃ到底揃えられないからなぁ……上手い事言ってベルか純を味方に付ければ運営予算から出してくれるか?……まぁとりあえず言うだけ言ってみよう!」
やはり乗り物系は便利だ、移動が楽になれば出来る事もかなり増える。
しかも戦闘飛蝗はライドモードじゃない時には使用者の戦闘をアシストしてくれる優秀な存在でもある。
制作に掛かる費用は凄いが、費用以上の効果は望める。
戦闘飛蝗を今後もブラッシュアップしていければレベルが低い者でもある程度はモンスターに抵抗し得る力が得られるかもしれない。
これはかなり革命的な発明になったかもしれない。
「……一般向けには飛蝗じゃない方が良いかもだな。あとライドモードも無くて良いかな……」
自分の考えを纏めながら一応メモを取っておく。
もしかしたら今後、冒険者協会から売り出してヒット商品になるかもしれないからアイデアはなるべく忘れないようにしておきたい。
☆ ☆ ☆
日本は再び平和を取り戻した。
世界中が阿鼻叫喚している中、半日という短い時間で。
「日本はもう大丈夫だろう……問題は他の国々だな」
我が家の居間では絶賛会議中だ。
モンスターの世界的な氾濫を日本は無事に乗り切った、だが他の国々では今も尚モンスターによる被害が出続けている。
あのアメリカでさえも事態を収束させるに至っていない。
アメリカという広大な土地に比べてモンスターと対等以上に戦える人材が不足しておりダンジョンを攻略出来ていないので仕方が無いのかもしれないが、正直な話をすれば俺達が介入しなくてもアメリカはいつかは事態を収束する事は可能だろう。
多大な犠牲者を生む事にはなるだろうが。
近代兵器はモンスターには効き辛い。
魔力によってある程度肉体を保護されているモンスターにはシンプルに火力不足なのだ。
銃弾ではゴブリンには多少の効果は期待できるが、オークには全く歯が立たない。
爆発物であればオークにも効果はあるのだろうが、それではレベルは上がらない。
基本的に化学兵器でモンスターを討伐しても経験値は貰えない、これはベルが言っていた。世界に定められたルールのようなものらしくベルでさえもどうしようもない事だ。
なので結局は地上に溢れ出したモンスターをある程度は片付けられるが、ダンジョンを潰さない限りは事態は収まらずダンジョンは更に力を増していくが人間側は弾薬にも兵器にも限りがある。
レベルを上げておかなければ最初から勝負にならない。
ダンジョン相手に消耗戦はしてはならない。
だからこそ各国はレベルを上げた者の力を借りてレベルが上がっていない者のレベルを上げてダンジョンを少しづつ攻略していたのだ。
全てはこの日の為に。
けれど国土が広い国では少し対応が遅すぎたのかもしれない。
世界中であらゆる人がモンスターとダンジョンに抗っている。
そして現在、平和になった日本には戦える者が多く居る。
各国に俺達が赴くのは簡単だが、正式な依頼で無ければ動けないのも事実。
前回の中国での事は中国だけが危機的状況だったから世界的にも黙認された事であって、今回の様に世界中が危機的状況になっている場合俺達が無断で動く事は出来ない。
「どうするの?日本政府に依頼があったのは100以上、正直これじゃあ何処の国から手を付けるべきかは私達では判断できないよ?」
「純の言う事は最もだな、安相さんは何て言ってるんだ?」
「安相さんもどの国から手を付けるか悩んでるみたい!まずは日本の同盟国とか外交的に親しい国を優先したいとは言ってるけど、国によって被害状況も違うし自国で何とか出来るかどうかも違うからねぇ……アジア圏を優先すれば他の地域の国が煩いし、かと言って国土が広い国から手を付ければそれはそれで時間も人員も掛かるからこっちの人員が足りない……困ったね!」
これだけの戦力があっても柵からは逃れられない。
あちらを立てればこちらが立たず、本当に面倒だ。
「もういっその事、派遣要請をしてる国同士で決めて貰えば良いんじゃないか?」
面倒になり過ぎて一番やってはならない方法を提案してみた。
「それは駄目だ。絶対に良い結果は生まれない……やはりこちらで判断基準を設けて優先度を決めるしか無いだろう。待たせてしまう国には申し訳無いが、私達も万能ではないからな……問題は何を基準にして優先度を決めるか、どの程度まで力を貸すのかだ」
基準を定めるにも項目は多岐に渡るし精査するにも時間が掛かるのは間違いないが、やらなければ何時までたってもどの国に行くのか決まらない。
国力、国土、人口、被害状況、被害規模、戦える人員数、モンスターの数、ダンジョン数、外交的問題、親密度、俺が思いつく限りでもこれだけの判断材料がある。
これらを全て精査するのは時間的に無駄だ。
「視点を変えないか?俺達が全ての国に出向くのは不可能だろ?」
「だね……」
「あぁ……」
俺自身には解決策も無いし、考える力も無い、俺は何時だって他人に任せてきた。
俺が出来なくても他の人なら出来る。
「美奈はどう思う?」
「私は……とにかく戦える人を一人でも増やして、その輪を広げるだけで私達は撤退、それを繰り返す。私達が戦うのは最初だけで良い。そうすれば同時に色んな国に別れられる。自国を守るのは自国民に任せた方が良いと思う」
魚を俺達が取るんじゃなくて、魚の取り方を教えるだけ、美奈の言いたいのはそういう事だろう。
0
お気に入りに追加
270
あなたにおすすめの小説
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
勇者がパーティーを追放されたので、冒険者の街で「助っ人冒険者」を始めたら……勇者だった頃よりも大忙しなのですが!?
シトラス=ライス
ファンタジー
漆黒の勇者ノワールは、突然やってきた国の皇子ブランシュに力の証である聖剣を奪われ、追放を宣言される。
かなり不真面目なメンバーたちも、真面目なノワールが気に入らず、彼の追放に加担していたらしい。
結果ノワールは勇者にも関わらずパーティーを追い出されてしまう。
途方に暮れてたノワールは、放浪の最中にたまたまヨトンヘイム冒険者ギルドの受付嬢の「リゼ」を救出する。
すると彼女から……「とっても強いそこのあなた! 助っ人冒険者になりませんか!?」
特にやることも見つからなかったノワールは、名前を「ノルン」と変え、その誘いを受け、公僕の戦士である「助っ人冒険者」となった。
さすがは元勇者というべきか。
助っ人にも関わらず主役級の大活躍をしたり、久々に食事やお酒を楽しんだり、新人の冒険者の面倒を見たりなどなど…………あれ? 勇者だったころよりも、充実してないか?
一方その頃、勇者になりかわったブランシュは能力の代償と、その強大な力に振り回されているのだった……
*本作は以前連載をしておりました「勇者がパーティーをクビになったので、山に囲まれた田舎でスローライフを始めたら(かつて助けた村娘と共に)、最初は地元民となんやかんやとあったけど……今は、勇者だった頃よりもはるかに幸せなのですが?」のリブート作品になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる