怠惰の大罪を背負ったけど何の因果か同時に娯楽神の加護を授かったおかげで働いたら負けの無敵状態になってゲーム三昧

きゅーびー

文字の大きさ
上 下
149 / 155

じゃぱにーずかるちゃーいずくーる12

しおりを挟む

 大罪スキルを持った奴をベルが殺しているという確証は無いが、確信はある。

 大罪スキルが強力で凶悪なスキルだというのは俺の怠惰と妹の色欲を見れば一目瞭然で悪用しようと思えばいくらでも出来る。

 そしてそれだけの力を個人が有しているのであれば活用するのが人の性だとも思う。

 けれど今日という日まで俺と妹以外に大罪スキルについての情報は全く出てきていない。

 最初は俺もそれだけのスキルを持っているのであれば一般的に見てダンジョン側とか人類の敵と認識される可能性を考慮して大人しくしているのだと思っていた。

 だからこそ俺は未知の大罪スキル保有者を恐れ、警戒していた。

 俺でさえこういう考えに至るのに、俺よりも頭が良くて優秀なベルがそんな素振りも見せず話題にも出さないというのは俺の中で違和感としてずっとあった。

 そして俺が、ベルが大罪スキル持ちを殺していると確信したのは妹の美奈がこの件について全く触れない事だ。

 俺は世界中の誰よりも妹の事を理解しているという自負がある。

 そして俺の妹がリスクと成り得る大罪スキル保有者について考えない筈も無いし、俺に言わない筈も無い。

 だからこそ俺は大罪スキル持ちをベルが殺しているという結論に至ったのだ。

 まぁベルが俺に隠れてそういう事をやっていたとしても俺は別に責めるつもりも無いし、むしろ感謝したいぐらいなのだがベルが俺に言わなかったという事は俺が知る必要の無い事柄だとは理解している。

 だけど気にしなければ気にならないが、気にしてしまえば確かめたくなるのが人というものだろう。

『5人ですよ!なので、大罪スキルはマスターと美奈の怠惰と色欲しか現存していませんよ!』

「そんなあっさり薄情するんかーい!……美奈もこの事は知ってるんだろう?」

『はいマスター!美奈も知っていますよ!』

「なんで俺には言わなかったの?」

『言う必要が無いと思いました!マスターの怠惰は既に完璧で、完結しているので怠惰ダンジョンから出なければ何も恐れる者は居ないですから!ですがマスターには申し訳ないですが、マスターには常に外への警戒心を持ち続けて頂きたかったというのが真実です!マスターは良くも悪くも怠惰に強い憧れを持ちながらもとても勤勉な人ですから!警戒させていれば昔みたいに怠惰の居城が発動しなくなる事も無くなると思っていたのです!だからこそ私は他の大罪スキル保有者という危険因子を排除し、その事実をマスターには告げずに今日まで過ごしていました。マスター、私は私なりにマスターを想って行動しています。それが仮にマスターに反逆していると捉えられる結果になろうとも私はマスターの利益を最優先に考えてます、それだけはマスターにも理解して頂きたいです!』


 長々と語られた事の顛末。

 俺を想っての行動か。

 俺が過去に軽率な行動をしたせいで怠惰の居城が解除された事が事の発端なのは間違いないので、俺が今更何かを言うのは違うのかもしれない。

 それでも俺は一つだけ言いたい。

「……俺はそこまで馬鹿じゃないぞ?」

『……それは本気で言っていますか?』

「……いや、ちょっと嘘」

『ちょっと……?』

「いやいや!俺はそこまで馬鹿じゃないだろー!現に今までだって……」

 ふと思う。

 この半年で俺がしてきた事について。

 レベルを上げて飯食ってゲームして寝てただけだった。

『マスター。マスターは馬鹿でも無ければ考え無しでもありませんが、優秀では無いというのは怠惰ダンジョンでの共通認識ですので!』

「なん……だと……」

 俺はてっきり皆にはそれなりに出来る人だと思われていると思っていた。

 確かに凡人ではあるが、それは周りの者が凄すぎるだけで俺自身は優秀に片足突っ込んだぐらいの感覚で過ごしていた。

『マスターのそういう所が可愛くて、愛おしいのです!愚可愛いみたいな!』

 もはや俺は愚かで可愛いという存在になっていた。

 馬鹿にされているのに怒りも悲しみも無いのは何故だろう。

 俺にはそういうプライドが無いからなのか、これが信頼という絆の成せる技なのか。

「はぁ……まぁいいや。とりあえず、大罪スキル持ちはもう居ないって事で良いんだよな?」

『はいマスター!』

「それが分かっただけで安心したよ……これで大手を振って外を歩かせる事が出来るな……」

『はい』

 俺が恐れていたのは怠惰ダンジョンが潰される事では無く、怠惰ダンジョンに属する他種族が狙われる事だ。

 正直な話、慢心とも思われるかもしれないがベルの居る怠惰ダンジョンが大罪スキル如きにやられるとは思って無い。

 俺の怠惰だって弱点は存在するし、完璧とは程遠い。

 けれどベルが居れば完璧に近いのは間違いない。

 というかベルがチート過ぎるだけで、大罪スキルは大概の壊れ性能だ。

 でもベルには及ばない。

 それでもダンジョンの外に一歩でも出れば俺やベルの手の届かない場所は存在していて、そこで大罪スキルという凶悪なスキルを保有している者が俺達の仲間や家族を攻撃する可能性はあった。

 千尋達のように強ければ敵わないにしても逃げる事は出来るだろうが。
























「これからは皆が安心して外に出て行けるようになるな……」

『むしろレベルを上げていない普通の人達の方が心配ですね!』

「それは俺の管轄外なんで……」

 俺は俺の責任として俺が生み出している種族に関しては責任を持つが、普通の人の心配は俺がする事では無い。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

処理中です...