怠惰の大罪を背負ったけど何の因果か同時に娯楽神の加護を授かったおかげで働いたら負けの無敵状態になってゲーム三昧

きゅーびー

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しふくの時と言われても23

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 自分自身は毎日平穏な日々を過ごしながらも世界情勢は変化していく。

 美奈も以前住んでいた場所から正式に引き上げ、実家へと戻って来た。

 冒険者協会主催の湯布院合宿所ダンジョンを利用した合宿も第二陣、第三陣とその後も恙なく終了。

 中国は前回の事に懲りずに今度は少数精鋭でダンジョンに挑み、返り討ち。気概とやる気は認めるが、ある程度育ってきたダンジョンを攻略するにはレベルも知識も何もかもが足りていない。再び千尋に派遣要請をしてきているが、流石の千尋も応じるつもりは無いようで日本政府から正式にお断りを入れて貰った。

 アメリカでは冒険者協会の合宿に参加したウィリアム・アレクサンダーことウィル率いるパーティが千尋パーティ以来のダンジョン攻略という偉業を成し遂げた。

 千尋曰くウィルは米軍出身で気の良い青年だったらしい。

 日本でも冒険者協会の藤堂率いるパーティとPCHの馬場率いるパーティが日本国内のダンジョンを攻略成功した。

 他にも合宿に訪れた各国の人達が自国のダンジョンを攻略に成功して、今や世界中はダンジョンに対しての脅威が薄れつつあり、憧れや嫉妬からダンジョンに挑む者が後を絶たない。

 そんな中で日本のお隣さんはダンジョンの出現は日本の所為だと訳の分からない戯言を宣いだし、日本に対して損害賠償請求と天皇に対して謝罪を求めるという行動に出た。

 これには我らが安相さんもブチギレ、お隣さんに対する国交断絶を発表し更にカオスとなった。

 日本という国単位で見れば、国交断絶という発言は些かやり過ぎたのかもしれないが、日本国民の感情的には良くやったと思っている人が多いのも間違いない。

 日本人の多くは日頃から天皇に対する感謝や尊さにあまり関心が無い、けれどここまでコケにされて黙っていられる程薄情者でも無い。

 日本人は天皇を尊敬し、日本において特別な存在であるという認識は誰しもが持っている。

 そんな日本の象徴を貶されて気分が良い訳が無い。

 近年は経済的にも安定し、平和が続いていたので日本もあらゆる無礼を許してきていたが、皮肉にもダンジョンという国難のおかげで国民一人一人の愛国心や誇りが芽生えたのか戻ったのかは分からないが外交に対する意識が変わっていたのは明らかだった。

 安相さんは限定的な鎖国も辞さない覚悟と世界に発信し、これに慌てた各国はお隣に対して日本への謝罪を要求するも拒否。

 正式な決定は下っていないが現在日本は国連を始めとした国際団体からの撤退を表明しようとしている。

 日本がここまで強気になれるのは偏に湯布院合宿所ダンジョンと千尋という最強の外交カードを手にした事が大きいだろう。

 ちなみに俺としては鎖国に賛成だ。

 現実的に鎖国は出来ないのは分かっている。

 けれど鎖国すればダンジョンという新たな資源の元を日本政府が放って置く事は無く、ダンジョン自体の価値や重要度も上昇し、表向きはダンジョンをある程度コントロールしているという新たな種族の地位も向上するのではと思っているからだ。

 日本はとにかく資源に恵まれていない国家だ。

 自国だけでは現代のような豊かな食生活も経済も何もかもが実現出来ない、だがダンジョンと共存共栄する事が可能になればそれも全て解決する。

 この事実を知ればきっとエルフや鬼人、その他の種族も普通に生活できる国になる筈だ。


 ☆ ☆ ☆


 子供の夢物語のような妄想を垂れ流しながら今日もせっせとベルの元でスライムを運搬している。

 スライムだけの楽園が完成する日も近いだろう。

「……ベルは何処までダンジョンを拡張する気なんだろう」

 今や怠惰ダンジョンは階層だけで20階層ある。

 それに伴い階層守護者としてエルフルズ、鬼人娘衆、博士、助手ちゃんに名付けを行った。

 他にも9名分の名付け権はあるが今の所は使用しない方針だ。

 何か功績を挙げた者に対する報酬にした方が良いというベルと純の意見を採用した形になる。

 なので俺が階層守護者として名付けていない者は各々で名前を付けたり付け合ったりしてもらって、怠惰ダンジョン専用の戸籍を作成した。

 戸籍の管理は我らがベルに一任しているので問題は起きないだろう。

「もうすぐ飯だな……」

 夕食まで後僅か、ベルの所に戻ってそろそろ家に帰ろう。


 ☆ ☆ ☆


 怠惰ダンジョンの戦力も着実に成長し、今は武器開発と各種階層の手入れに力を注いでいる。

 暴食ダンジョンでは新旧の各種族の者達によって街が作られ、農場や牧場といった第一次産業も目覚ましい発展を遂げている。

 傲慢ダンジョンも暴食ダンジョンには僅かに劣るものの素晴らしい街が形成されていて主に獣人種が中心になって街を発展させている。

 他にも東京、北海道、岩手、愛知、京都、広島、高知に新たにダンジョンを確保しているので、これらも今後は街を作って産業を充実させる計画だ。

「良きかな良きかな……農作物はもうすぐ日本に輸出するって話だし、お金の心配も無い!これでようやくゆっくり出来そうだな……」

 特段忙しかった訳でも無く、むしろ暇だったのだが金銭に対する心配事が無くなる解放感で精神が更に楽になった。

 戦力も英美里を筆頭にダンジョン攻略者となった事でが新たに加護を取得し、加護持ちは全員が加護によるスキルも第二段階へと移行済みとなったのでかなり万全と言える。

 ここまでしても心配なのはやはり大罪スキル保有者の存在。

「結局俺と美奈以外の大罪スキルの情報は無し……か」





















 世界が変わって約五カ月。

 ベルの予定では残すところ後一月後にはダンジョンからモンスターが溢れ出す。

 九州のダンジョンで潰せる所は大体潰してきた。

 他にも日本各地のダンジョンはある程度は潰してきた。

 ここまでやれば日本は大丈夫だろう。

 他の国々も着々とダンジョンを攻略している最中だ、全て上手くいっている筈だ。

「とりあえず今日はもう寝る」










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