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第26話 終焉序曲
しおりを挟む「進行アンダーズ多数、12時正面」
「第1班と2班迎撃体勢、予定通り私達3班が街の警護に回ります。敵をこちらに接近させないよう努めてください」
「第1班了解ですわ、第2班が遅れないことを祈りますわ」
「第2班も了解。精々高みの見物をさせてもらいます」
はぁ、と指揮官のリッター・ミレスが溜息を吐いていた。
リュル達は依然第3班が解放した街へと出向いていた。
本来なら第3班と数名のみで警戒警備する予定だったのが・・・。
――― ――― ―――
それは、ヘリオエールから出発する数時間前の事。
「我がライバルよ! 援護必要と聞き参上した!」
「お前誰だよ」
出発準備を整えていると急にオウギフが今まで見せることのないすっきりした笑顔でリュル達第3班の前に姿を見せた。
当然のようにブレイカーを装着し取り巻き達もまた一緒ににかぁーと白い歯をこれでもかと見せつけて現れたのだった。
「えっと・・・ユース・オウギフ。それは一体どうゆう事ですか?」
「ははは! リッター・ミレス様、ご心配は無用です。私達はただ第3班の下で指示を受ける駒だと思って頂いて結構です!」
「まぁできたら僕達も一緒に連れてってもらえたらなぁって」
オウギフの言葉に誰もが目を見開き言葉を詰まらせた。
一体自分達の目の前にいるのは誰なのか、オウギフの名を語る別人なのかと。
「そうかそうか、んじゃまずこれ付けてねー」
「おぉ! 我がライバルリュールジス! 今日は非常に天気が良い日だな、で。これはなんだ」
「とりあえずこれ付けてステーションで合流な、もちろん徒歩な」
「なんだ、そんな事か。ならば行くぞ! 我が同士達よ!!」
勢いよくオウギフはリュルに何かを取り付けられたブレイカーを起動して地べたを走り出した。
と、思ったらその場で躓いたかのように膝を付いた。
「オウギフ様!? どうかしましたか!?」
「いや・・・な、なんでも無い! ゆ、ゆくぞおー!」
ぐぅぅうっと声を上げながら一歩一歩進むオウギフ。
取り巻き達は心配しながらこちらに目線を向けたから俺は素敵な笑顔で返してやった。
「リュルさん・・・」
「いいだろう別に、超重力試作器のデータ取りは誰でも出来るんだろうしさ」
急にオウギフの動きがぎこちなくなったのは当然俺が取り付けたブレイカーによる物だ。
チシィの作業場に来て早々に俺のブレイカーに取り付け始めた代物だ。チシィが俺なら大丈夫だろうと特に考えもなしにほぼ嫌がらせ気味に取り付けていたからオウギフの登場は丁度よかった。
ダッドは細い糸目から俺をじと目で見ているのが良くわかる。そう褒めるな褒めるな。
「相変わらず、非道が過ぎるお方ですわね」
そこに今度はナリヤゼスがチシィが貸した端末を持って姿を見せた。
ナリヤゼスは俺から距離を取って何事も無いかのようにチシィへとその端末を手渡していた。
「先日のデータまとめ終わりました。このような形でよろしかったでしょうか?」
「うむ・・・うむ、良いぞ。うちの連中と違って見易くて綺麗に纏まっておるな」
流し見をしてもわかる程度にナリヤゼスのデータは纏まっていたらしい。
少なくとも100点満点の満足感にチシィは喜んでいた。
「ありがとう、ナリヤゼスさん。リュルが無理言ったみたいで」
「ぇ・・・いや、別に・・その、教え方が上手かった・・・だけです」
感謝を述べるムーに顔を背けるナリヤゼス。
そう、先日、俺が無理に頼んだのである。
作業場にてあまりの膨大な量のデータを俺とムー二人で纏めるのが、うんざりしていた時である。
俺はとある気配を察知した。
『あぁああああー!! 誰かムー(と俺を)助けてくれる人いないかなぁあああー!!?? あぁあああいないかなぁあああー!!!』
その時物影から何食わぬ顔で、少し通り掛かっただけです感を出したナリヤゼスが姿を見せたのだった。
そして後はわかる通り、俺の端末を彼女に渡して後はおさらばしたのだった・・・。
そこから先作業場に居た二人はどうなったのかなんて俺は知らん!!
ナリヤゼスが誰も居ない自室でお茶でもなんて誘っておいて夜遅いからという理由だけで断られたなんて、俺は知らんな!!!!
「ニチャァ・・・」
「最近気持ち悪さに磨きがかかってるけど、どうしたリュル」
「いやなんでもないさ、ニチャァ・・・」
そうなんでも無い。
なんでもないんだよ、ムーよ。お前は何もわからなくてもいいんだようん。
ではこれで、とナリヤゼスがその場を後にしようとした時、俺はムーの首に腕を回して無駄にデカイ声を発した。
「あぁぁあああー、何処かに一緒に警護任務付き合ってくれる班長レベルの人いないかなぁああー!! なぁああー!? ムー!!!」
「うるさ! そりゃあ、ナリヤゼスさんが来てくれたら助かるけどさ」
「なんて!!? えぇええ!? ナリヤゼスさんが一緒に来てくれたら凄く嬉しくて自分も頑張っちゃうって!!? ぇええ!!?」
「言ってねぇよ」
完全に酔っぱらいに絡まれたような対応のムー。
チラリと後ろを見るとナリヤゼスは去る動きを止めて、一人準備を進める者の方へと方向転換した。
「リッター・ミレス、お忙しいのは重々承知の上でお願いがあるのですが。対空用魔術のご教授を、"実戦"で教わりたいのですが。よろしかったら同行してよろしいでしょうか」
「え、わ私でよければ、よ、喜んで」
「ありがとうございます、では後ほどステーションで合流致します」
最後に俺に殺気を送ってその場を後にした。アンダーズのビームが飛んでくるんじゃないかと思えるくらい目が赤く光ってたな怖い。
ムーを見ると、純粋にあ、一緒に来るんだときょとんとした顔で見ていた。
こりゃあ大変だねぇー本当に。
「私まさか! モテ期! やだどうしよう!!? でも私には心に決めた御方がいるのに!! それでもプリエちゃんはずっと一緒だからねぇえええー!!!」
「離れて下さいリッター・ミレス」
最近はもう他の人間の目を気にする事無くプンに抱き付いているがこのリッターは本当に隠す気があるのかたまに疑問に思う。
そうして・・・。
――― ――― ―――
「今に至ると・・・」
「ん?」
「いや、何でもない」
プンが俺の独り言に反応した。
ヘリオエールを出る時、何故か同タイミングでアンダーズが街へと進行を始めたと情報が飛んできた。
オウギフは息をガラガラにしながら到着したのだが、何故かそのオウギフの姿を見た他の東寮の男子達も集まりだし共にステーションに顔を出した。
と、思ったら今度はナリヤゼスが何故か大量の女子を連れてステーションに姿を見せた。
もう説明は省くとリッター・ミレスは言い放ち速やかな乗艦を指示した。
男子用の艦、女子用の艦、そして俺達第3班の陸艦と中隊規模の部隊で街へと向かった。
偶然が偶然を呼び、何処よりも早く隊を編成した事から俺達東寮の面々がアンダーズの迎撃に付くことになった。
「いやはや、リュールジスさんには驚かされてばかりですな」
「少佐・・・いやもう中佐になったんでしたね、失礼しました。昇進おめでとうございます」
「いやいやいや、あなた方第3班のお零れを貰っているに過ぎませんよ」
結局あれから何故か第3班の専属艦としてグラテム中佐の艦にお世話になっていた。
あの街の解放の時も含めて、ずっと無理難題を一緒に潜り抜けてくれた。本当に頭が上がらない。寛大な人達で本当によかった。
「それにしても、相変わらず後方待機でよろしいのですか?第3班は」
「まあそれが、俺が気に入っている第3班ですから」
「左様ですか」
中佐と呑気に会話をしている最中も艦の正面では今もアンダーズとの激戦が繰り広げられている。
俺はプンの警護という事で艦のブリッジでのほほんとしているが、他のリッター・ミレスとダッド、ムーは艦から降り最終防衛ラインから前線に援護をしている。
リッター・ミレスは指示を出し、ムーは長射程からの狙撃でカバー、ダッドは流れ弾が艦や街に行かないように全てを防いでいる。
当然プンもブリッジで俺の横でずっと索敵をしている。
「どうした1班! 動きが遅く感じるぞ、私達と変わった方がいいのではないか?」
「お暇でしょうから少し分けて差し上げているだけですよ、慈悲を戦果と勘違いされては困ります」
「はーいそこ喧嘩しないでー。 わかってると思うけど、ブリーフィング通り敵はあなた達だったらそんなに苦労しない相手だけど、あなた達を連れてきた"意味"、忘れないようにねー」
第1班と第2班の数名のブレイカーには特殊なパーツが取り付けられていた。
それはチシィが用意した量産試作型のモノだった。
第3班がほぼ完成に近付けた換装型キマイラ、それをさらにコストパフォーマンスを念頭に置いた簡易換装器を取り付けられていた。
最初はみな違和感があった物の、流石東寮のエリート達。すぐに順応しその換装器を巧みに使い始めている。
両腰部に取り付けられたのはムーの砲撃の簡易型だったり、ダッドが装備しているシールド型、そしてブースター型。
主にこの三つを主力にアンダーズと戦っている。
「っ・・・そろそろ魔力が切れるかしら。こちら第1班のナリヤゼス、"キメラ"の換装を要請。タイプはブースターで」
「よーーし来た! ブレイカーのビーコン展開忘れるなよ!」
待ってましたとハンガーで待機していたチシィが立ち上がった。
すぐさま端末で専用の射出台を稼働させる。
要請のあったブースターをセッティングし改造したメインデッキ行きのエレベーターを上昇させる。
「各員、キメラ換装の時間を稼いで、時間は20秒」
「「「イエス・リッター」」」
ナリヤゼスが前線から一度後退し、その空いた穴を埋めるように第2班とオウギフがアンダーズの前に立ちはだかる。
オウギフが装備しているキメラはシールド型だった。
ほぼ常にシールドを展開しアンダーズのビーム攻撃を全て弾き飛ばしていた。
今もその俊敏な動きを得意とするオウギフは、第1班の女子が狙われそうになった時、間に入りビームを防ぎ切っていた。
「あ、ありがとう・・ございます」
「感謝は我がライバルにするのだな! この最強の盾を授けた、あのリュールジスにな!」
インカム越しで苦笑いをするリュル。
余った物なんだよなぁなんて流石に言えなかった。
「換装ポイントへ更新、お願いします」
「よし! キメラユニット射出!! (くぅぅうーこれ言いたかったんだよなぁー!)」
第3班の陸艦のメインデッキから弾丸のような速さでナリヤゼス向けて撃ち込まれた。
射出が確認されたと同時に今装着されていたキメラユニットがナリヤゼスのブレイカーから切り離された。
そしてほぼ同時に陸艦から撃ち込まれたユニットがナリヤゼスのブレイカーに減速しゆっくりと装着された。
「魔力供給・・・凄い、これでほぼ完了している」
ブレイカーのステータスを確認するナリヤゼスは驚きを隠せないでいた。
従来のブレイカーなら一度帰還し時間をかけて魔力供給をする必要があった。
だが今自分が受けた措置、キメラユニットの換装はその魔力供給も同時にこなしたのだった。
当然、疲労などの身体面の一時帰還は必要となる。
だが、これでブレイカーの弱点である。長期戦の不得手が解消された瞬間をナリヤゼスは自らの身を持って知ったのだった。
「問題ありませんか? ユース・ナリヤゼス」
「はいリッター・ミレス、不思議な気分ですこんな一瞬で魔力供給が行われたことに」
「貴重なデータです。無理だけはしないように、アンダーズの殲滅。お願いできますか?」
「イエス・・・リッター!」
拡張ブースターを全速力で稼働させ、遅れを取り戻すかのように最前線へと突入する。
最初はブースターの出力調整にグラつきを見せた。
だが、それはブースターのせいでは無いとナリヤゼスは自答した。
その速さは今までの自分では到底出す事の出来ない破格の物だった。今までは速さだけはオウギフには勝てなかった部分はあった。
だが今この瞬間それを覆した。
「素敵ですわぁ・・・」
「速い!?」
もはやアンダーズのビーム攻撃の速度が追い付いていないのが誰の目からも明らかだった。
第1班がついその姿を目で追いたく立ち止まる程に優雅にナリヤゼスは舞っていた。
「第1班! まだ戦いは終わっていないぞ! 彼女が撹乱させている今がチャンスだ!」
「ユース・オウギフの言う通りです! 一気に畳み掛けてください!!」
戦況が好転したと同時に総攻撃の掛声を掛けるリッター・ミレス。
第1班も第2班も最後の一踏ん張りと気合を入れ大声を発しながらアンダーズへ向けて総攻撃を仕掛けていく。
そんな中第3班は当然定位置からその光景を見ていた。
「リュル、どうしたの?」
「いや・・・後は頼んだ」
リュルはブリッジを後にした。もう戦いは終わった。
あとは他の者達に任せて問題ないだろう、そう思って自室へと向かった。
そしてリュルの思った通り戦闘は無事に勝利を飾って終わりを迎えたのだったが、リュルは一人自室で片手の拳を強く握りしめてベッドを強く殴り付けた。
誰にも見られないように静かに叫んだ。
「カッコいいじゃねぇえええかぁああー!!!! あのドッキング俺もやりたかったぁああああああー!!!!!」
それと無く口笛を吹きながら志願した申し出はチシィによって断られたのは、また別の話だったのだった・・・。
――― ――― ―――
東寮の面々が街から再び平和を勝ち取っていた時。
ヘリオエールの学長室では不穏な空気が漂っていた事をリュルやその仲間達は誰も知らないのであった。
「承諾致しかねます准将。アンティオキア作戦はまだまだ準備段階すら終えてないはずですが」
「先ほど、ストライク王国の方々の承諾を得ました。これはその報告だと思って頂ければ結構です」
軍服に多くの勲章をぶら下げている陸軍の将官がキュベレス学院長へと詰め寄っていた。
男は、悠々自適に述べていた。学院長の知らない所で動いていた事を。
「・・・王族の者達が良しとするはずがありません。少なくてもリベリィ管轄を一任されている王女殿下達が作戦実行を許したようには到底思えませんが」
「確かにそうですね、ですが。王族は彼女達だけではない、管轄が違えど・・・ね?」
男の言葉に皺を寄せる学院長。だが陸軍の准将はそんな学院長を鼻で笑い立ち上がる。
部下に指示を出し、資料をテーブルに無礼にも投げて置かれた。
「今すぐ、こちらのリストのリベリィを召集お願いしますね。時間は2時間、足りない分はそちらで補うよう願います。ではまた」
不敵な笑みを浮かべた准将は部屋を出ようとする。
だが部屋の入口横の壁で目を瞑り黙り静観していた女を睨み付けた。
「安心して下さい、あんたもリストに入っていますよ。マイスター・アーシャ」
男はそれだけを口にし学院長室を出て行った。
目を半開きにし居なくなったことを確認してからマイスター・アーシャは動いた。
すぐにそのリストへと手に取り学院長に丁寧に渡した。
「長旅の後だと言うのに、ごめんなさいねアーシャ。あぁーマイスター」
「お気に為さらないで下さい。それよりも」
二人はすぐに状況把握に勤しんだ。
リストを広げ見る。
そこには当然ヘリオエールの首席と呼ばれる優秀なリベリィ達が数多く記載されていた。
気持ち悪いくらいにびっしりと個人データまで、何処で調べたのか聞きたくなるくらいに隙間無く。
そして一枚のリベリィ、いや男の書類が目に入る。
「まだ、陸軍には知られていない・・・と願いたいわね」
「はい、もし知られたらどうなるのか。今の彼の話を聞いていると、もう一人旅なんて言い出すだけじゃ済みませんから」
不明。要調査必須。
殆どの項目がその言葉で埋め尽くされている男。
リュールジスだ。
彼の所在は不明ではあるが、リュルのデータは噂からの噂で記載されていた。
一番近くに居たであろうグラテム中佐からも聴視した形跡があるが、上手く情報が取れなかったと記載されていた。
当然これはキュベレス学院長含めた者達による工作である。
そして改めて作戦司令書を見下ろす。
「アンティオキア作戦・・・占領汚染された"フリッズ王国"の奪還」
二人は、苦い顔をした。
こんな形で作戦が決行されるなんて、思ってもみなかったのだった・・・。
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