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カルテ2 股部白癬(こぶはくせん)

2-2 診察(1)

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 病院で受付を済ませると、すぐに名前が呼ばれ、診察室に入れられた。

「まだ小学六年生なのに大きいなあ」

 白髪交じりのお医者さんが言った。この当時、僕の身長は百六十八センチ、体重は七十六キロあったから、成長の早さに驚く大人もたくさんいた。

 僕が診察室の椅子に座ると、

「この子インキンタムシみたいなんですけど、恥ずかしいのか親に言わず、掻きむしって、ひどくなってしまったんです」

 お医者さんが尋ねるより先に、付き添いで来ていた母親が話した。

「それじゃあ、ズボン脱いで診せて」

 僕は立ち上がって、ハーフパンツを脱いだ。

「ちょっと調べてみるけど、多分股部白癬コブハクセン―――お母さんの言われるインキンというやつですね」

「この辺の赤いのは股ずれかな?」

「ええ、この子太っちょなので、小さい頃からよく股ずれ起こすんです」

 と母親が余計なことを言った。

 お医者さんは「ちょっと調べてみましょう」と言って、ピンセットを取り出した。

 そして、「少しチクッとするよ」と言ってから、股部白癬の皮膚を少しだけ取って顕微鏡で確認した。

「間違いありませんね」

 これで終わり。と思っていると、このお医者さんは信じられないことを言ってきた。

「じゃあ、股の付け根以外も診るから、パンツ脱いで」

 確かに玉の周りまで痒みがあったのだが、お医者さんの前でパンツを脱ぐのは抵抗があった。

 実は体の成長が早い僕は、五年生から下の毛が生え始め、六年生の今では大人並みになっていたのだった。秋にある修学旅行でもどうやってお風呂に入ろうかと悩んでいたくらいだった。もちろん親にもないしょだった。
 
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