中ニ病院

東門 大

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カルテ1 発熱

1-2 診察室へ

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 間もなくして、診察室のドアが開き、男の子が出てきた。

 同時に看護婦さん(その頃はまだ看護師とは言わなかった)が顔を出し、わたしを見た。

「あっスボンも脱いでね」

「えっ? ぼく中二ですよ」

 すぐに言い返すと、看護婦さんは何かに気付いたように

「あっそうか、お母さんいると恥ずかしいかな……」

「お母さんは、待合室に行かれてかまいませんよ。お子さん中二ですから」

 と母親を促し、母親もそれを聞いて、中待合室を出た。

「さっ、どうぞ、たくみくん」

 看護婦さんが早く脱げというような目つきでわたしを見てきた。

 中待合室には、幼稚園くらいの女の子と母親もいて、じっとこちらを見ていたが、恥ずかしさをこらえてブリーフ一枚になり、診察室に入った。

 こんなことならこの前買ってもらったトランクスをはいてくるんだったと後悔したが、下着だけになるなんて、予想もしていなかったのだから仕方ない。

 診察室にはおじさんのお医者さんと、わたしの名前を呼んだおばさん看護婦、それとお医者さんの後ろに若い看護婦が二人いた。

「中学生なのに、張り紙通りにしてくれたんだな」

 お医者さんが無責任なことを言うのでムカついたが、引き返して服を着ることもできず、仕方なく診察室の椅子に座った。
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