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第20話 最後の抵抗(3)
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家に帰ると、島田先生と知らないおじさんが来ていた。
おじさんは児童相談員であることが胸の名札から分かった。
「お帰りなさい。大ちゃん」
義母の声はいつも通りだったが、僕をにらんでいるように感じた。
先生は笑顔で僕を見た。
「川口くんのお母さんは、バドミントンの国体選手だったそうね。先生、部活の指導お願いしちゃった」
僕も知らなかったが、今はどうでもいいことだった。
「では帰ります。また定期的に覗かせてもらいますから」
おじさんが言うと、2人は帰っていった。
僕が部屋着(オムツとTシャツ)に着替えると、ダイニングに義母がいた。
「ママね、いろいろ聞かれちゃった…」「それで、仕方なく、お尻を叩くこともありますよって言ったら、ちょっとした事でも心に傷を負うこともあるんですよ、って怒られちゃった」
僕は半笑いで話す義母を見て、恐ろしくなってきた。
「ごめ…ママ」
言葉が出なかった。
「だからね、これを見せたの」
義母はスマホを僕に向けた。スマホの画面に動画が映し出された。
お漏らしをして泣き続ける僕と、ティッシュで体を拭く義母が映っていた。
大きな声で泣き叫ぶ姿は、自分で見ても情けなかった。
「エッ!どうして…それにどうやって撮ったの?」
あたふたする僕に義母は笑いながら、
「ウソよ。動画を見せたのはね」
と言った。
「でも大ちゃんの記録は全部録画してあるから」
スマホから「ごめんなさい、もうしません。エーン」という音が聞こえてきた。
僕がお尻ペンペンされているところだった。
後で調べたのだが、家の至る所に隠しカメラが設置されていたのだ。
「大ちゃんが先生たちに全部バラしたいのなら、いいのよ。これ、全部公開しても」
「ママはDVなんてやってないし、全部大ちゃんのことを思ってやっているのよ。…お仕置きする時だって、ママは心の中で泣いてるの。大ちゃんは分かるよね」
義母は僕をギュと抱きしめた。
僕は義母が内心怒っているように感じたが、それからしばらくは不思議なほど平穏な日が続いた。
しかしDVを疑われた義母の苛立ちは半端なものではなかった。数日後それはわかるのだが…
おじさんは児童相談員であることが胸の名札から分かった。
「お帰りなさい。大ちゃん」
義母の声はいつも通りだったが、僕をにらんでいるように感じた。
先生は笑顔で僕を見た。
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僕も知らなかったが、今はどうでもいいことだった。
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僕は半笑いで話す義母を見て、恐ろしくなってきた。
「ごめ…ママ」
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お漏らしをして泣き続ける僕と、ティッシュで体を拭く義母が映っていた。
大きな声で泣き叫ぶ姿は、自分で見ても情けなかった。
「エッ!どうして…それにどうやって撮ったの?」
あたふたする僕に義母は笑いながら、
「ウソよ。動画を見せたのはね」
と言った。
「でも大ちゃんの記録は全部録画してあるから」
スマホから「ごめんなさい、もうしません。エーン」という音が聞こえてきた。
僕がお尻ペンペンされているところだった。
後で調べたのだが、家の至る所に隠しカメラが設置されていたのだ。
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「ママはDVなんてやってないし、全部大ちゃんのことを思ってやっているのよ。…お仕置きする時だって、ママは心の中で泣いてるの。大ちゃんは分かるよね」
義母は僕をギュと抱きしめた。
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