1日休んだだけなのに

東門 大

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第6章 招待されただけなのに

6-15 おねしょとピンクの錠剤

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「おはようブータ!」

    ソラの明るい声が聞こえた。いつもは寝起きの悪い僕だが、首とお尻のヒリヒリを感じてすぐに目が覚めた。

    ソラは道具の点検を始め、昨日と同じ場所に全てを設置した。栄養補助食品とコーンフレークも補充しているのがしっかりと確認できた。

「どう? 朝の調子は、……朝立ちはバッチリね。て言うかいつも勃ってるか」

    ソラは紙袋を持って近づいてきた。

「なんか臭うんだけど。ほら、そこ濡れてる」

    僕が起き上がると、ちょうどお尻の下あたりにおしっこがたまっていた。おしっこの罰を受けてから、我慢していたために、就寝中に漏らしてしまったのだった。

    僕は、幼稚園の時ですらしたことのないオネショに気づき、悲しくなった。

「お漏らしの次はオネショかい。……お仕置きだね」

    おねしょを見られた上に、お仕置きだなんてあんまりだと思った。けれど、今の僕には、ひたすら許しをこう事以外何もできなかった。

「ごめんなさい。寝ていてわからなかったんです。だから、お仕置きは勘弁してください」

    しかし、無情にもソラはポケットからスマホを取り出し、スタンガンの用意を始めた。

「そんなこと言わなくてもわかるよ。でもプログラムにもあるし、お仕置きしないとね。一番軽いのにしてやるから」

    スマホを僕にむけてカウントダウンし始めた。ソラの顔は笑っていた。

「本当にごめんなさい。おねしょなんてした事ないんです。もう、……いやだ」

「5,4,3,2,1,」

    首から衝撃が伝わった。一番小さいというだけあって、我慢できるレベルだったが、それでも寝起きに受ける衝撃ではなかった。

    僕が落ち込んでいると、ソラが首を見始めた。

「傷はどうかな?」

「もう痛くないのでいいです」

    僕は触られたくないので後退りしたが、結局首もお尻も昨日のように押さえつけられて塗られた。

「頭痛や腹痛はない?」

    ソラは紙袋からボードと体温計を取り出した。

「大丈夫です」

「じゃあ次はこれ」

    ソラは体温計を僕のこめかみにかざした。

「35.7度かあ。平熱低いのかな?でも熱があるよりいいね」 

「そして、最後はこれ」

    ピンクの錠剤2粒を出してきた。僕はそれが何かすぐに分かった。

「早く飲んで。もう終わるから」

「いや、いいです」

 僕はそれだけは断固として飲むまいと断った。

「良くないから。薬嫌いなの?」

 ソラもさすがに不機嫌な顔になってきた。

「いや、1日くらい出なくても大丈夫ですから」

「イヤイヤばっかりしてても、飲まないと終わらないんだからね」

    僕の決心は固く、差し出した薬を受け取ろうとはしなかった。

    それならばと、ソラは袋からミネラルウォーターを取り出して、僕の顔の前まで持ってきた。

「薬を飲むと、これも飲めるんだけどなあ」

    昨日、マダムの聖水しか飲んでいない僕にとって、それは何より欲しいものだった。

    結局僕の決意はいとも簡単に崩れ、薬と水を受け取り、一気に喉に流し込んだ。これが後でどんなに自分を苦しめるのか考えもせずに……。

    その後、シャワーでオネショを洗い流し、チェック表にサインをすると、ソラは去っていった。

「ブータ、夕方会いましょうね」
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