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第5章 掃除をしにきただけなのに(新井編)
5-6 さらし者
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保健室の前には、委員会の子が全員が集まっていた。
「みんな早いわね。あと3分あるから、呼ぶまで待ってて」
新井が入ると、小島がハンドタオルで前を隠して、シャワー室に立てこもっていた。
シャワー室は明らかに掃除されていなかった。
「あら、掃除まだなのね」
「…」
「早くしないと、みんな来るよ。保健委員の」
「どうして? なにしに?」
小島は混乱しているようだった。
「ここでD班の発表を見ることになっているのよ。小島もやるんだよ。…だから掃除終わらせて欲しかったのに」
「そんなこと…」
「とりあえず、その格好まずいでしょ? これ、持ってきたからはいて!…中学校だから、替えのパンツなんてないと思ってたら、加奈子先生が持ってらっしゃったの」
新井はブリーフを両手で広げてみせた。
「嫌だよ、そんなの!もうーーー!おれの服ーーー」
なぜか小さな駄々っ子のような喋りになっているのが、新井には面白く感じた。
「でもこれ履かないと、みんな来るよ。制服は掃除が終わったら持ってきてやるからさあ」
小島はシャワー室から出て、ドアを閉めようとした。
「それ閉まんないよ。建て付けが悪いから、全開にすると閉まらなくなるって 。加奈子先生が……」
不満げな顔を向け、小島は左手で新井の持つブリーフを取ろうとした。しかし、両手で握っている新井からは奪えるものではなかった。
「ちょっと! 欲しいのなら、きちんとお願いして!」
新井のキツイ言葉に、また泣きそうになりながら、声を振り絞って答えた。
「そのパンツ貸して…ください」
「うん? なんて言ったの? もっと大きな声で言って! 小島はいつも小さいのよ。声が。」
小島の目から屈辱の涙が出てきた。ハンドタオルで勃起したペニスを隠し、同級生の女の子にブリーフを借りようとしている自分を哀れに感じたのだ。
「早くしないとみんな入れちゃうよ」
恥ずかしさと惨めさと悔しさが入り混じりながら声を絞り出した。
「パンツ貸してください! お願いしますぅ!」
「フフフ、よく言えました。いいわ、さっさとパンツをはいて、掃除しなさいね」
その時、廊下から声がした。
「[[rb:優子 > ユウー]]もう入っていい?」
新井は小島がパンツをはいたことを確認して答えた。
「いいよ」
ドアが開き、保健委員全員が入ってきた。その中の1人の男子が、学生服を新井に渡した。
「言われた通り持ってきてやったぞ。でも小島はどこだ?」
新井がシャワー室を指差した。シャワー室はすでに5.6人の男子に覗かれていた。
「うわ、おまえ、なに裸で掃除してんの?」
「コージー、白ブリはいてたの?ダッセェ!」
「おい、女子も見てみろよ。」
男子に呼ばれた女子は悲鳴をあげていたが、嫌がるふりをして、どの子もしっかりと小島を観察していた。
「これが、本性ってやつなのかなあ。」
新井がぽつりと言った。
結局シャワー室の掃除が終わった後、D班の発表もしっかりと披露した。3年生からはいくつかの修正点が出されたが、小島もそこそこ発表できるようになってきていた。
こうして委員会も終わり、新井は保健室の鍵を持って、理科準備室に向かった。
「みんな早いわね。あと3分あるから、呼ぶまで待ってて」
新井が入ると、小島がハンドタオルで前を隠して、シャワー室に立てこもっていた。
シャワー室は明らかに掃除されていなかった。
「あら、掃除まだなのね」
「…」
「早くしないと、みんな来るよ。保健委員の」
「どうして? なにしに?」
小島は混乱しているようだった。
「ここでD班の発表を見ることになっているのよ。小島もやるんだよ。…だから掃除終わらせて欲しかったのに」
「そんなこと…」
「とりあえず、その格好まずいでしょ? これ、持ってきたからはいて!…中学校だから、替えのパンツなんてないと思ってたら、加奈子先生が持ってらっしゃったの」
新井はブリーフを両手で広げてみせた。
「嫌だよ、そんなの!もうーーー!おれの服ーーー」
なぜか小さな駄々っ子のような喋りになっているのが、新井には面白く感じた。
「でもこれ履かないと、みんな来るよ。制服は掃除が終わったら持ってきてやるからさあ」
小島はシャワー室から出て、ドアを閉めようとした。
「それ閉まんないよ。建て付けが悪いから、全開にすると閉まらなくなるって 。加奈子先生が……」
不満げな顔を向け、小島は左手で新井の持つブリーフを取ろうとした。しかし、両手で握っている新井からは奪えるものではなかった。
「ちょっと! 欲しいのなら、きちんとお願いして!」
新井のキツイ言葉に、また泣きそうになりながら、声を振り絞って答えた。
「そのパンツ貸して…ください」
「うん? なんて言ったの? もっと大きな声で言って! 小島はいつも小さいのよ。声が。」
小島の目から屈辱の涙が出てきた。ハンドタオルで勃起したペニスを隠し、同級生の女の子にブリーフを借りようとしている自分を哀れに感じたのだ。
「早くしないとみんな入れちゃうよ」
恥ずかしさと惨めさと悔しさが入り混じりながら声を絞り出した。
「パンツ貸してください! お願いしますぅ!」
「フフフ、よく言えました。いいわ、さっさとパンツをはいて、掃除しなさいね」
その時、廊下から声がした。
「[[rb:優子 > ユウー]]もう入っていい?」
新井は小島がパンツをはいたことを確認して答えた。
「いいよ」
ドアが開き、保健委員全員が入ってきた。その中の1人の男子が、学生服を新井に渡した。
「言われた通り持ってきてやったぞ。でも小島はどこだ?」
新井がシャワー室を指差した。シャワー室はすでに5.6人の男子に覗かれていた。
「うわ、おまえ、なに裸で掃除してんの?」
「コージー、白ブリはいてたの?ダッセェ!」
「おい、女子も見てみろよ。」
男子に呼ばれた女子は悲鳴をあげていたが、嫌がるふりをして、どの子もしっかりと小島を観察していた。
「これが、本性ってやつなのかなあ。」
新井がぽつりと言った。
結局シャワー室の掃除が終わった後、D班の発表もしっかりと披露した。3年生からはいくつかの修正点が出されたが、小島もそこそこ発表できるようになってきていた。
こうして委員会も終わり、新井は保健室の鍵を持って、理科準備室に向かった。
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