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4章 対の魂
第32話 温かいものに包まれて…
しおりを挟む何か温かいものに包まれている。
ふわふわと心地良く、いい匂いがして、ずっとここにいたいと思わせる。
暖かい日差しを浴びているような気もするし、湖に沈んでいるような気もする。
ゆらゆらと彷徨い、このままでは底に沈んでしまいそう。
……それもいいかもしれない。
何があったかは覚えていないが、確か嫌なことがあったはず。
とても疲れた気がするし、このまま底まで沈んでしまって、ずっとこの温かいものに包まれていたい。
……もう、疲れた。
これ以上、嫌な思いをしたくない。
逃げてもいいだろうか?
何から逃げたいのか分からないし、自分が今まで何をしていたのかも思い出せない。
だが、逃げ出したい、楽になりたいという思いは強く残っている。
その気持ちに従って楽になってもいいのかもしれない…。
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