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2章 トラウマ
第17話 最大の恐怖
しおりを挟む※無理矢理表現があります。苦手な方はご注意下さい。
最後までされることはありませんが、キス、顔を殴られる表現があります。
ガミジンが考え込んでいる、その時……。
「……ッ⁉︎危ない!後ろ!」
……グサッ。
考え込んでいたため反応が遅れ、ガミジンの腹部に氷の刃が刺さった。
「ガミジン様!」
「……ッゔ。お前、男爵の……お前が!」
男爵だという男がニヤリと笑いながら、
「ええ、やっとお気づきで。よくもまぁ、気づかないものですねぇ。憎しみとは目を曇らせてしまう。
……ククッ、そうです。貴方のお子様を殺したのは私ですよ」
男がガミジンを倒し、踏みつけながら言う。
「……このままにしていてもいずれ貴方は死ぬでしょう。……助けが来ない限り」
氷の刃を抜きながら……。
「……ゔあっ」
「貴方には御退場願いましょうか」
一瞬の後、ガミジンの姿が消えた。
「………ッ⁉︎」
「ククッ。安心してください。彼は転移させただけです。行き先は知りませんがね」
……恐怖で体が震える。
ねっとりとフィアの体を上から下まで見る。
「あぁ、なんという幸運。可愛らしいですねぇ。私が可愛がって差し上げます。ふふっ」
……嫌な目で私を見てくる。
逃げようとするも、鎖で繋がれていて逃げられない。
こんな事になるなら、ガミジン様に先に鎖を外して貰えばよかった……などと思っても後の祭りである。
怖くて怖くてしょうがない。
「あまり暴れないで下さいねぇ。せっかく美しいのに、傷がついてしまいますよ?」
傷がつくと分かっていても、逃げようとする行動を止めることはできない。
明るい茶色の髪に、エメラルド色の目をした男の瞳がギラギラとしている。
まるで獲物を逃がさないとでも言うかのように……。
……ギシリ。
ベッドに乗り上げどんどん近づいてくる。
「間近で見るとますます可愛らしい顔をしていますねぇ。この顔が犯されて恐怖と苦痛で歪み、屈辱に涙を流す様を、是非とも拝みたいですねぇ…」
「……ッ⁉︎」
ニヤニヤと笑いながら男が言った。
そしてフィアの顎を掴み無理矢理キスをする。
その途端、全身の鳥肌が立った。
ゾワゾワとして気持ち悪く、嫌悪感から吐きそうになる。
「………⁉︎」
さらに唇を舐めてきた。
その途端、我慢できずに胃の中にあったものを全て吐き出した。
「……ゔぇ…」
吐いた瞬間、
……バシッ。
一瞬何が起きたか分からなかったが、頬に強い衝撃と、その後にジワリと熱さを感じた。
どうやら頬を手のひらで殴られたようだ。
「……汚いですねぇ。ですがその泣き顔、良いですよぉ。そそります。次はどんな表情を見せてくれるのでしょうか。
ククッ、楽しみです。もっと痛めつけて差し上げましょう」
恐怖で顔が歪む。
相手の思うつぼだとしても、上手く表情を取り繕うことができない。
……次は何をされるのだろうか。
すると男が動き、手足に付けられている魔力封じの鎖を繋ぎ直している。
腕は体の後ろで一纏めにされていたが、それを天蓋付きのベッドの枕側の柱に左右それぞれ付け直し、足も両足を揃えるようにして付けられていたのを開くようにしてベッドの足側の柱に付けられた。
ベッドの上に大の字になるようにされている。
これでは何も抵抗することができない。
さらに言うならば、今の服装が就寝した時のままなので、ネグリジェ姿である。
丈がくるぶし近くまであったが、足を開けば太腿まで上がってきてしまう。
ドレスと違って軽装な為、脱がされやすい状態だ。
「クククッ。怯えた表情をして、最高ですねぇ」
「………貴方、何がしたいのよ」
「貴方の苦痛で歪んだ顔がみたいだけですよ」
サイコパスかよ…と内心で思いつつ、思いっきり睨みつける。
「おっと。強気な表情もいいですが、私は貴方の歪んだ顔が見たいんですよっと」
そう言いながら、先程殴った方と同じ方の頬を拳で殴り、その後顎を掴んで無理矢理正面を向かされる。
「………ぐッ」
「クククッ。いいですねぇ」
殴られたせいで口の中が切れ、血が顎をつたう。
ギリギリと腕に込められた力が強く、苦悶の表情を浮かべる。
ミシミシと骨が軋むくらい力を込められている。
「あぁ、そうでした。そろそろ本番にいきましょうか」
そう言うと、またキスをしてきた。
舌を私の口の中に入れたいようで、唇を舐めてくるが、意地でも開けない。
たとえどんなに嫌悪感が強く、吐きそうになったとしても、それだけは譲れない。
……ルド以外にさせるわけがない。
私の意地でも開けない気持ちが伝わったのか、唇が一旦離れた。
「意地でも開けないつもりですか?そんな悪い子にはお仕置きが必要ですねぇ」
……ドゴッ。
さっき殴った方とは逆の頬を拳で殴った。
脳が揺れるような感じがして意識を失いそうになるが、ここで意識を失えば何をされるか分からない。
絶対に負けてなるものかと唇をキュッと結んで睨みつける。
「クックック。いつまでその態度が続きますかねぇ」
そう言い、腕を思いっきり振りかぶった。
もう一発くると思い、ギュッと目を瞑って次の衝撃に構えている、その時……。
……ドッカーン!!!
やっと助けがきた……。
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