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第四章 新天地

399話 目前

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 魔物の包囲網をかい潜り、鉄の橋を越えさらに東へと向かう。

「まったく、本当に頼れる仲間だよ──」

 見上げると仁王立ちしたククルカンが「ここは任せろ」っと言わんばかりに、空の上からこちらを見つめていた。
 その安心感ときたら……。

 龍神様の視線を背に、二人乗りで馬を走らせている俺達は、新しく出来たばかりの巨大な湖の横を抜け、当時ウサーズ達に襲われた森へと入った。

「──カナデさん、方角はこちらであってますか!?」

「大丈夫です、グローリアの方に迎えば。魔物もそちらから来ている様なので」

 薄気味悪いほど暗い森の中。

 食欲が沸く景色ではないが、俺は後ろに乗せて貰いながらも一人携帯食事を頬張る。
 決してサボりと言うわけではない。

 以前に誰かから、魔力の回復は自然回復の他に、食事と睡眠から取ることが出来る。っと、聞いたことがある。
 こんな状況だ、寝て落馬するわけにもいかないから食べるしかないんだけど……。

『カナデばっかずるいシ! ボクも食べるカナ』

 こんな時にも我等が食いしん坊、暴食のミコ様から苦情が入る。

「──って、言ってる場合か!」

 この緊急事態、ミコに悠長に食事を与えている暇などない、少しでも回復しておかないと。

 そのためか、俺はつい大きな声を出してミコにツッコミを入れてしまった。
 しかしそのことを、自分に言ったと勘違いしたのだろう……。

「す、すみません! 何がお気に触る事を!?」っと、ファーマの義父が謝り始めるしまつ。

「違うんで気にしないで下さい、こっちの話しなので!」

 あぁーもう! 落ちついて魔力回復も出来やしないじゃないか!

 こんな事で、本当に大丈夫なのだろうか?
 相手は伝説上の未知の存在、どんな姿で、どれだけ強大な力を持っているか分かったものじゃない。
 万全を期しても、足りないぐらいなのに………。
 
「──カナデさん魔物です! しっかり捕まって居てください!」

「うぉっ!?」

 突然の横揺れ、俺は必死にファーマの義父に抱きついた。

 道から外れ、正面から襲ってくる数匹の魔物を回避したのか?
 斜め前から、魔物が凄い剣幕で向かって来る。

 木々が立ち並ぶ森の中を、縦横無尽に駆け抜ける。
 まるで、木が俺達を避けているようだ。

「無事に撒けたみたいですね」

 後ろを振り向くと、魔物の姿は見えなくなっていた。
 魔物特有の大きな体が木々に阻まれ、追ってはこれなかったのだろう。

 さらにいくつかの障害物を乗り越え、広い通りへと戻る。

「み、見事な綱捌きですね……」

 内心、ぶつかるのではないかとドキドキだったけど……。

「冒険者時代の杵柄きねづかですよ、私は良く、馬に乗ったままボウガンで魔物と退治してたので。ただ、狙撃の腕はからっきしでしたけどね」

「それはまた、器用な話ですね……」

 その後も何度か魔物と遭遇するものの、彼の馬術に助けられた。

 そして随分と走る……。
 そろそろ、森を抜けるころだけど──。

 目を凝らし先を見えると、出口と思われる明かりが見えた。
 しかしそんな時だ、その進行方向から何か音が聞こえたる。
 何度も何度も繰り返し響く、聞き慣れた金属の衝突音──って事はこの先に、人がいるのか!?

「カナデさん、森を抜けます!」

 森を抜けた先。そこには魔物に取り囲まれ、黒い装いの男と剣を交える、透明感のある長い青髪の女性の姿が見えた──。

「トゥナ!?」
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