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第四章 新天地
第365話 そりゃ、ばれる
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「え~っと、てっきり入口は村の中にあると思ってましたが、こんな茂みの中にあるんですね」
森の一角。
馬車を止め草木をかき分けると、そこには薄暗い通路が顔を出す。
「うっ……! あ、あぁ、ここは入口の一つだよ。反対側はシンシの家と繋がっているんだ」
忘れもしない。人のシンシと聖剣のシンシ、二人を逃がすために家族が犠牲になり子供達をかくまった、あの時の入口だ。
今思い出しても胸を打つ、愛がなしえる凄惨な事件……。
「それにしても、上手いこと隠してあるやないか。これ作ったの絶対ドワーフやろ、こう言う、こっそりとした通路とか作るの得意やねん」
「そう言うものなのか? てっ──いたた……!」
先ほどから、ずっと両足の甲に地味な痛みが走っている。
原因はハッキリしている。もうダメだ、仕方がない……自分から話題を切り出そう──。
「あの……ところで御二方……」
「どうしたんですか~カナデさん?」
「なんや兄さん、何かあるんかいな?」
あの……二人とも、どうしてそんな涼しい顔が出来るのでしょうか?
まるで何事も無いような表情で、すっとぼけて見せる二人。それが逆に、恐ろしくて恐ろしくて。
「だ、黙ってたのは悪いと思う……二人にとって、非常にデリケートな問題だからな? 俺も猛反省してる。だから、許してくれないかな?」
冷汗が止まらない。
確かに俺が悪かった。
ただその話題にも触れず、ぐりぐりと……。そんなの、恐怖でしかないだろ。
「だからその……足踏むの、止めない?」
俺の足の上には、彼女達の足が片方ずつ乗っていた。
二人とも軽いため、痛みはしれている。しれているのだが……。
「あぁ~すみません! 全然気付きませんでした~」
「ほんまかいな! いやぁ~すまへんなぁ~」
わざとだ、絶対にわざとだ──体の痛みより、心が痛い! 俺が悪いけどな!
ま、まぁ、今はそれより目的の通路の方だ。
今から彼女達に、この奥へと進んでもらう訳なのだが……。
「この真っ暗な通路をあの時の二人必死に通って……さぞ不安だったんだろうな」
謎の水晶の、不思議な明かりが見えるとは言えそれは点々として淡く輝いているだけ。
十分な明かりとは、とてもいいがたい。
「それではカナデさん、私たちは出発しますね~?」
「あぁ……何も無いとは思うが、今回ばかりは助けには行けそうにない、二人ともくれぐれも気を付けてくれよ」
俺はミコが入っているマジックバックをハーモニーに渡し、彼女はそれを首から下げる。
バックの入れ物部分は、彼女の膝あたりで揺れていた。
なんていうか……子供が憧れて、親の物を身に着けたようにも見える。
「う~んそのバック、ちょっと長いか?」
「カナデさん、また足踏みますよ~?」
「冗談だって!? それじゃ……済まないがよろしく頼む」
つい魔がさした!
ハーモニーの鋭い眼光が突き刺さる。
蛇に睨まれた蛙とは、今現在の俺のような事を言うのだろう……。
「ほんま兄さんも全然こりんな? ほんじゃ、行ってくるで」
「あぁ……任せた」
俺は、通路に入っていく小さな二人の背中を見送った……。
いや……今の俺は、見送る事しか出来なかったのだ。
森の一角。
馬車を止め草木をかき分けると、そこには薄暗い通路が顔を出す。
「うっ……! あ、あぁ、ここは入口の一つだよ。反対側はシンシの家と繋がっているんだ」
忘れもしない。人のシンシと聖剣のシンシ、二人を逃がすために家族が犠牲になり子供達をかくまった、あの時の入口だ。
今思い出しても胸を打つ、愛がなしえる凄惨な事件……。
「それにしても、上手いこと隠してあるやないか。これ作ったの絶対ドワーフやろ、こう言う、こっそりとした通路とか作るの得意やねん」
「そう言うものなのか? てっ──いたた……!」
先ほどから、ずっと両足の甲に地味な痛みが走っている。
原因はハッキリしている。もうダメだ、仕方がない……自分から話題を切り出そう──。
「あの……ところで御二方……」
「どうしたんですか~カナデさん?」
「なんや兄さん、何かあるんかいな?」
あの……二人とも、どうしてそんな涼しい顔が出来るのでしょうか?
まるで何事も無いような表情で、すっとぼけて見せる二人。それが逆に、恐ろしくて恐ろしくて。
「だ、黙ってたのは悪いと思う……二人にとって、非常にデリケートな問題だからな? 俺も猛反省してる。だから、許してくれないかな?」
冷汗が止まらない。
確かに俺が悪かった。
ただその話題にも触れず、ぐりぐりと……。そんなの、恐怖でしかないだろ。
「だからその……足踏むの、止めない?」
俺の足の上には、彼女達の足が片方ずつ乗っていた。
二人とも軽いため、痛みはしれている。しれているのだが……。
「あぁ~すみません! 全然気付きませんでした~」
「ほんまかいな! いやぁ~すまへんなぁ~」
わざとだ、絶対にわざとだ──体の痛みより、心が痛い! 俺が悪いけどな!
ま、まぁ、今はそれより目的の通路の方だ。
今から彼女達に、この奥へと進んでもらう訳なのだが……。
「この真っ暗な通路をあの時の二人必死に通って……さぞ不安だったんだろうな」
謎の水晶の、不思議な明かりが見えるとは言えそれは点々として淡く輝いているだけ。
十分な明かりとは、とてもいいがたい。
「それではカナデさん、私たちは出発しますね~?」
「あぁ……何も無いとは思うが、今回ばかりは助けには行けそうにない、二人ともくれぐれも気を付けてくれよ」
俺はミコが入っているマジックバックをハーモニーに渡し、彼女はそれを首から下げる。
バックの入れ物部分は、彼女の膝あたりで揺れていた。
なんていうか……子供が憧れて、親の物を身に着けたようにも見える。
「う~んそのバック、ちょっと長いか?」
「カナデさん、また足踏みますよ~?」
「冗談だって!? それじゃ……済まないがよろしく頼む」
つい魔がさした!
ハーモニーの鋭い眼光が突き刺さる。
蛇に睨まれた蛙とは、今現在の俺のような事を言うのだろう……。
「ほんま兄さんも全然こりんな? ほんじゃ、行ってくるで」
「あぁ……任せた」
俺は、通路に入っていく小さな二人の背中を見送った……。
いや……今の俺は、見送る事しか出来なかったのだ。
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