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第四章 新天地
第334話 バルログ登場
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土煙を上げ、目の前からはケツを向けたオオヤマアラシ達が突っ込んで来る……。
くそ、なんて嫌な絵面だ!
他人事なら笑えるかもしれないが、あんな鋭い針を向けられている以上、ニコリともできやしない。
「もう一度しっかり掴まってろ、今度は通路を破壊する!」
奴等が、何処まで追ってくるのかも分からないしな。
目的地までついてきたら、ミスリルスライムの救出どころじゃなくなる!
俺は火山側を向き敵に背を向けた。
そして、無銘の柄に、そっと手を乗せる……。
幸い、ここは岩盤で出来た崖の間──周囲を崩すことが出来れば、簡単に通路を塞ぐことが出来る。
魔物達を、崩した岩盤の下敷きにしないために駆け出すと、距離を見計らい無銘を抜刀した。
刹那のごとく引き抜かれた刀身が、次々と瞬く間に無数の光線を生む。
「す、凄いスラ……」
肩にしがみつくミスリンから、驚きの声が上がる。
それもそのはずだ、岩盤が次々と滑るように地面へと崩れ落ちるのだから……。
例え固い岩だろうと、無銘に触れた物体は音も、抵抗すら感じる事もなく、切断される。──ただ……。
「……しまった、少し斬りすぎた!?」
少し調子に乗ってしまった。
距離を取って斬ったとは言えこの崩れよう、あの魔物達生き埋めになってないよな?
先程まで居たところが、無数の落石で完全に見えなくなっていた。
…………よし、気持ちを切り替えよう!
何があったとしても、俺も襲われた以上自己防衛だったと!
「ここで眺めてても仕方ない、大丈夫だとは思うがヤマアラシがここを乗り越えてくる前に──逃げるぞ!」
「ここまでして逃げるスラか!?」
「当然だ!! もとより、その一択しかないだろ!?」
自信満々に言い放ってやった。
結局のところ、踵を返して逃げる事になるのは俺達だったのだ。
走りながら後ろを確認するが、追ってくる様子はなさそうだな……。
ヤマアラシ達、どうか無事なことを祈りする──。
「に、人間。バルログを知ってなおこの島に来る事だけあって、恐ろしく強いスラね」
「ん? まぁな、自分の身を守るぐらいは……」
「──当然だシ! 新入り、お前も舐めた口を聞くと、カナデと無銘の手にかかってスパンッカナ!! 無銘を抜いたカナデの手にかかれば、どんなものでもちょちょいのちょいダシ!!」
「──ミコォォ! お前は先輩風吹かす前にごめんなさいが先だろ!?」
なに人の腕の中でふんぞり返ってるんだよ! そもそも、お前が何故偉そうにしてるんだ!!
この後、困り者のミコを説教しながらも俺は目的地へと走っていったのだ──。
◇ ◇
「こ、今回の旅は、終止走りっぱなしだな……」
島までの移動どころか、島についてまでこんなに走ることになろうとは誰が想像していただろうか?
火山に差し掛かると、一面赤茶色をしたゴツゴツした岩や土だった。
そして今は、緩やかな傾斜の中腹付近。
自然と汗ばむ程度には、気温も上がっているようだ……。
「なるほど……外敵が居ないわけだ。普通の生き物じゃ、生活には不便しそうだな」
草木が一本たりとも生えていない。
それどころかこの環境では、水を探し出すことも困難を極めるだろう。
「人間、見えたスラよ。あそこが内部に繋がる唯一の出入り口スラ……そして奴も!」
「──なっ!? あれが噂のバルログか……」
洞窟のような出入り口を塞ぐように、今回最大の難関であろう魔物が横たわっていた。
念のためにこちらに気付かれぬよう、岩場の影から遠目に観察をする。
容姿は二本の巨大な角を持ち、顔は肉食恐竜のようだ。
体躯は俺の四倍以上は軽くあり、片手は禍々しい大剣が一体化している。
そして、不釣り合いに小さな翼と尾を持っていた……。
「あいつ、散々僕達の楽園を荒らして……呑気に寝てるスラ!」
俺は今にも、飛び出してしまいそうなミスリンを押さえる。
「落ちつけミスリン。でも、おあつらえ向きだ。この隙に潜入して、助けよう」
潜入に冷静さを欠けば、言うまでもなく失敗してしまうだろう。
ミスリンが落ち着くまで、なんとかなだめる。
そして俺達は、バルログの様子を観察後打ち合わせをし、救出作戦を開始するのであった──。
くそ、なんて嫌な絵面だ!
他人事なら笑えるかもしれないが、あんな鋭い針を向けられている以上、ニコリともできやしない。
「もう一度しっかり掴まってろ、今度は通路を破壊する!」
奴等が、何処まで追ってくるのかも分からないしな。
目的地までついてきたら、ミスリルスライムの救出どころじゃなくなる!
俺は火山側を向き敵に背を向けた。
そして、無銘の柄に、そっと手を乗せる……。
幸い、ここは岩盤で出来た崖の間──周囲を崩すことが出来れば、簡単に通路を塞ぐことが出来る。
魔物達を、崩した岩盤の下敷きにしないために駆け出すと、距離を見計らい無銘を抜刀した。
刹那のごとく引き抜かれた刀身が、次々と瞬く間に無数の光線を生む。
「す、凄いスラ……」
肩にしがみつくミスリンから、驚きの声が上がる。
それもそのはずだ、岩盤が次々と滑るように地面へと崩れ落ちるのだから……。
例え固い岩だろうと、無銘に触れた物体は音も、抵抗すら感じる事もなく、切断される。──ただ……。
「……しまった、少し斬りすぎた!?」
少し調子に乗ってしまった。
距離を取って斬ったとは言えこの崩れよう、あの魔物達生き埋めになってないよな?
先程まで居たところが、無数の落石で完全に見えなくなっていた。
…………よし、気持ちを切り替えよう!
何があったとしても、俺も襲われた以上自己防衛だったと!
「ここで眺めてても仕方ない、大丈夫だとは思うがヤマアラシがここを乗り越えてくる前に──逃げるぞ!」
「ここまでして逃げるスラか!?」
「当然だ!! もとより、その一択しかないだろ!?」
自信満々に言い放ってやった。
結局のところ、踵を返して逃げる事になるのは俺達だったのだ。
走りながら後ろを確認するが、追ってくる様子はなさそうだな……。
ヤマアラシ達、どうか無事なことを祈りする──。
「に、人間。バルログを知ってなおこの島に来る事だけあって、恐ろしく強いスラね」
「ん? まぁな、自分の身を守るぐらいは……」
「──当然だシ! 新入り、お前も舐めた口を聞くと、カナデと無銘の手にかかってスパンッカナ!! 無銘を抜いたカナデの手にかかれば、どんなものでもちょちょいのちょいダシ!!」
「──ミコォォ! お前は先輩風吹かす前にごめんなさいが先だろ!?」
なに人の腕の中でふんぞり返ってるんだよ! そもそも、お前が何故偉そうにしてるんだ!!
この後、困り者のミコを説教しながらも俺は目的地へと走っていったのだ──。
◇ ◇
「こ、今回の旅は、終止走りっぱなしだな……」
島までの移動どころか、島についてまでこんなに走ることになろうとは誰が想像していただろうか?
火山に差し掛かると、一面赤茶色をしたゴツゴツした岩や土だった。
そして今は、緩やかな傾斜の中腹付近。
自然と汗ばむ程度には、気温も上がっているようだ……。
「なるほど……外敵が居ないわけだ。普通の生き物じゃ、生活には不便しそうだな」
草木が一本たりとも生えていない。
それどころかこの環境では、水を探し出すことも困難を極めるだろう。
「人間、見えたスラよ。あそこが内部に繋がる唯一の出入り口スラ……そして奴も!」
「──なっ!? あれが噂のバルログか……」
洞窟のような出入り口を塞ぐように、今回最大の難関であろう魔物が横たわっていた。
念のためにこちらに気付かれぬよう、岩場の影から遠目に観察をする。
容姿は二本の巨大な角を持ち、顔は肉食恐竜のようだ。
体躯は俺の四倍以上は軽くあり、片手は禍々しい大剣が一体化している。
そして、不釣り合いに小さな翼と尾を持っていた……。
「あいつ、散々僕達の楽園を荒らして……呑気に寝てるスラ!」
俺は今にも、飛び出してしまいそうなミスリンを押さえる。
「落ちつけミスリン。でも、おあつらえ向きだ。この隙に潜入して、助けよう」
潜入に冷静さを欠けば、言うまでもなく失敗してしまうだろう。
ミスリンが落ち着くまで、なんとかなだめる。
そして俺達は、バルログの様子を観察後打ち合わせをし、救出作戦を開始するのであった──。
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