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第四章 新天地
第308話 レクスバジリスク
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「嘘……だろ? こんな事って……」
木の影からレクスバジリスクの動向を観察しているため、俺が居ることは奴にはまだ気付かれてないみたいだ。
俺とミコは、この後敵対することとなる、目の前の驚異に驚きを隠すことが出来なかった。
『凄いシ……カナデ、こんなのに勝てるのカナ?』
今までのレクス種と比べれば、大きさはさほど驚異ではない。
顔だけ比較しても、人より少し小さい程度のサイズで、うねってて分かりにくいが体は十メートルを越しているぐらいか、想定内の大きな白蛇だ。
確かに巨大だが、そのサイズだけ見れば十分に太刀打ち出来るだろう……ただ問題は、そこではない。
ドリアードさんと先程まで話していた、ドーム型の緑で満ちた部屋。
なんとそこは──命の息吹がまったく感じられない、精巧な石像に姿を変えていたのだ!?
そして、レクスバジリスクと対峙してたのだろう、ドリアードさんも共に……。
さっきは浮いていた水球も、石になって地面に落ち、砕け霧散している。
「一目見られたらあんな風になるって……反則も良いところだろ?」
今までの相手とは、緊張感の質が違う。
相手に見られるだけで死が確定する──プレッシャーを感じない方が無理と言うものだ。
ただ、今の状況は斬り込むにはうってつけだった……。
レクスバジリスクは砕けた水球の一部を補食しているのだ。
灯心で、遠距離から斬り伏せるか? いや……ピット気管がある以上、熱を生むあの技は直ぐに気付かれる。
大丈夫だ……灯心より確実に斬ることのできる、無銘の抜刀があるじゃないか。
背後から不意を衝くことが出来れば、きっと倒せないことはない。
奴を倒すことが出来れば、もしかしたら石化も解けるかも……。
『流石に今回は人でなしとか言わないカナ……。森の恵みもダメにしちゃうシ、許せないかな!』
それ、遠回しに普段は人でなしって言ってないか……?
って、そんな事を言ってる場合じゃない。
「念のために魔力は温存したい……もしもの時は頼むからな?」
『ウン、任せるカナ!』
念には念入れて、咄嗟に動けるよう力動眼を使っておこう。
「ふぅ~……」
大丈夫だ、落ち着け……。
今回は大義名分もある、こっそり近づいて背後から斬るだけじゃないか。
俺は音を立てないように、細心の注意を払う。
そして抜き足差し足で、奴との距離を詰めめて行く。
たった数メートルの距離が遠い、残り──
六メートル。
五メートル……。
四メートル…………。
後少し近づけば、踏み込み次第で十分に届く距離だ。
俺は、射程圏ないである、残り約二メートルを切る一歩を踏み出した。
よし──今だ!!
抜刀で届くギリギリの距離を見極め、無銘に手を触れようとした……その時!!
──突如、力動眼越しに映るレクスバジリスクの体が、捻ったように赤く色付いたのだ……。
「くっ!? 気付かれてただと──間に合わない!?」
まるでこちらの踏み込むのを、恰も見ていたような絶妙なタイミングで、振り向こうとするレクスバジリスク。
ミコの魔法行使の時間を稼ぐ、ほんの一瞬の時間を作るために、俺は縮地を使い、奴が振り向く反対側へと回り込んだ。
──ミコ無心だ!!
『分かったかな!』
……呼吸を忘れるほどの、緊張漂うギリギリの命のやり取りだ。
振り向いたレクスバジリスクは、俺が居る方を真っ直ぐに見つめていた。
「──くっ!?」
奴の一つ目が、石化の対象とする相手をその大きな目に写し出す。
視線を浴びた万物は、例外なくビキビキと音を立て、形を残したまま固い石へと姿を変えて行ったのだった……。
木の影からレクスバジリスクの動向を観察しているため、俺が居ることは奴にはまだ気付かれてないみたいだ。
俺とミコは、この後敵対することとなる、目の前の驚異に驚きを隠すことが出来なかった。
『凄いシ……カナデ、こんなのに勝てるのカナ?』
今までのレクス種と比べれば、大きさはさほど驚異ではない。
顔だけ比較しても、人より少し小さい程度のサイズで、うねってて分かりにくいが体は十メートルを越しているぐらいか、想定内の大きな白蛇だ。
確かに巨大だが、そのサイズだけ見れば十分に太刀打ち出来るだろう……ただ問題は、そこではない。
ドリアードさんと先程まで話していた、ドーム型の緑で満ちた部屋。
なんとそこは──命の息吹がまったく感じられない、精巧な石像に姿を変えていたのだ!?
そして、レクスバジリスクと対峙してたのだろう、ドリアードさんも共に……。
さっきは浮いていた水球も、石になって地面に落ち、砕け霧散している。
「一目見られたらあんな風になるって……反則も良いところだろ?」
今までの相手とは、緊張感の質が違う。
相手に見られるだけで死が確定する──プレッシャーを感じない方が無理と言うものだ。
ただ、今の状況は斬り込むにはうってつけだった……。
レクスバジリスクは砕けた水球の一部を補食しているのだ。
灯心で、遠距離から斬り伏せるか? いや……ピット気管がある以上、熱を生むあの技は直ぐに気付かれる。
大丈夫だ……灯心より確実に斬ることのできる、無銘の抜刀があるじゃないか。
背後から不意を衝くことが出来れば、きっと倒せないことはない。
奴を倒すことが出来れば、もしかしたら石化も解けるかも……。
『流石に今回は人でなしとか言わないカナ……。森の恵みもダメにしちゃうシ、許せないかな!』
それ、遠回しに普段は人でなしって言ってないか……?
って、そんな事を言ってる場合じゃない。
「念のために魔力は温存したい……もしもの時は頼むからな?」
『ウン、任せるカナ!』
念には念入れて、咄嗟に動けるよう力動眼を使っておこう。
「ふぅ~……」
大丈夫だ、落ち着け……。
今回は大義名分もある、こっそり近づいて背後から斬るだけじゃないか。
俺は音を立てないように、細心の注意を払う。
そして抜き足差し足で、奴との距離を詰めめて行く。
たった数メートルの距離が遠い、残り──
六メートル。
五メートル……。
四メートル…………。
後少し近づけば、踏み込み次第で十分に届く距離だ。
俺は、射程圏ないである、残り約二メートルを切る一歩を踏み出した。
よし──今だ!!
抜刀で届くギリギリの距離を見極め、無銘に手を触れようとした……その時!!
──突如、力動眼越しに映るレクスバジリスクの体が、捻ったように赤く色付いたのだ……。
「くっ!? 気付かれてただと──間に合わない!?」
まるでこちらの踏み込むのを、恰も見ていたような絶妙なタイミングで、振り向こうとするレクスバジリスク。
ミコの魔法行使の時間を稼ぐ、ほんの一瞬の時間を作るために、俺は縮地を使い、奴が振り向く反対側へと回り込んだ。
──ミコ無心だ!!
『分かったかな!』
……呼吸を忘れるほどの、緊張漂うギリギリの命のやり取りだ。
振り向いたレクスバジリスクは、俺が居る方を真っ直ぐに見つめていた。
「──くっ!?」
奴の一つ目が、石化の対象とする相手をその大きな目に写し出す。
視線を浴びた万物は、例外なくビキビキと音を立て、形を残したまま固い石へと姿を変えて行ったのだった……。
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