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第三章 リベラティオへの旅路
第281話 パーティー会場
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「──貴方、見ない顔ね? もしかして貴方が噂の勇者様のお孫さんですか?」
リベラティオ城のパーティールーム。
俺は歓迎会と言う名目で、参加したにも関わらず、侍女経由で事前通達をしておいたためか、挨拶などをさせられることは一切なかった。
「えっ──俺の事ですか?」
お偉いさんの話もあったが、忙しくてそれどころではなかった。
俺はビュッフェ形式のパーティー会場を、とある食いしん坊のせいであっちにいったり、こっちにいったりと大忙しなのだ──しかし何故か、色んなご婦人に、よく声を掛けられる……。
「いえ、人違いです! 勇者様のお孫さんなら、先程の庭の方へ歩いていきましたよ?」
よって、目の前の彼女もどこぞのお偉いさんか知らないが、相手にしている余裕はない!
なに、別にこの国の国民な訳でもないし、多少なり無礼でも許されるはず……許されるよね?
「え、では貴方はどちら様で?」
「お、俺ですか? 俺はその……フォ、フォルトゥナ様の近侍でして、それよりいいのですか? 急がないと、勇者様のお孫さんに追い付けなくなりますよ」
若干疑いの眼差しを向けられるものの「教えて頂き、感謝します」っと、ご婦人は去っていく。
『カナデ、カナデ。なんで下手くそな嘘つくのカナ?』
なんでって、お前の食事を確保するのに忙しいんだよ。
そ、それにトゥナが来て、もしデレデレしてるところを見られてみろ、さっきのことがあった手前、蔑むような視線だけじゃ絶対に済まないから!?
『カナデ……カッコ悪いカナ』
いいんだよ、下手に格好よかったら目を引くからな。
ただでさえこんなに声を掛けられるのに……。
「──やぁ、早くも再開してしまったね。しかし、その頭はどうしたというんだい?」
ほら、また……って、今回は違ったか?
俺に声を掛けてきたのは、先程部屋に来た騎士団長のソインだ。
「はい先程ぶりです。ここではあの色の髪は目立ちますからね……ゆっくり食事も出来ないのでカモフラージュです」
侍女に着替えと共に準備しもらったカツラの、前髪だけかきあげ地毛を見せる。
その様子に、ソインは笑って見せた。
「まったく、よほど目立つことを嫌うようだ。主賓の挨拶がないパーティーなんて、過去を振り返っても私の記憶には無いことだぞ?」
「歓迎してもらって皆さんに、挨拶がなしって言うのが失礼なのは分かってますけどね? でもほら、俺が出ていって皆さんの期待を裏切るのも悪いですし」
まぁ、半分以上建前だけどな?
本音を言えば、やっぱり目立ちたく無いわけで……。
「もっとも、そんな謙虚な勇者の孫というのは人気者だな。ここに来るまでにも何度尋ねられたことか。私ならどんな人間か知らないか、とね」
「はっは……本当に困ったもんですよ」
じいちゃんの勇者の肩書きが偉大すぎるんだよな。
誇らしくも思うけど、それを俺が背負うには荷が重すぎるってもんだ。
「……そうだな。それなら、私と恋仲のフリでもしてみるというのはどうだろう? これでも、それなりの地位はあるつもりだ。君が変に声をかけられることもなくなると思うのだが」
「え? でもソインさんに変な噂が立ちますよ、御迷惑なんじゃ……」
「君は優しいな。いや、そんなことは気にしなくていい。フォルトゥナ様の男に変な虫がつく方が問題だよ」
変な虫って……別にトゥナと付き合ってる訳じゃないけど、もしかして勘違いしてる? でもまぁ──。
「そう……ですか? それならお言葉に甘えます。このまま嘘を付き続けるのも気が引けるので」
ソインさんは俺の左隣に立つと、不意に自身の手を俺に絡ませてきた。
「えっと……これは?」
「恋仲であれば腕くらい組むだろう? より、周囲に分からせるためさ。君は嫌かもしれないが、我慢してくれ」
な、なるほど……恋人のふりってやつか?
所で、何故か固いものに触れてる気がするのだが……。
リベラティオ城のパーティールーム。
俺は歓迎会と言う名目で、参加したにも関わらず、侍女経由で事前通達をしておいたためか、挨拶などをさせられることは一切なかった。
「えっ──俺の事ですか?」
お偉いさんの話もあったが、忙しくてそれどころではなかった。
俺はビュッフェ形式のパーティー会場を、とある食いしん坊のせいであっちにいったり、こっちにいったりと大忙しなのだ──しかし何故か、色んなご婦人に、よく声を掛けられる……。
「いえ、人違いです! 勇者様のお孫さんなら、先程の庭の方へ歩いていきましたよ?」
よって、目の前の彼女もどこぞのお偉いさんか知らないが、相手にしている余裕はない!
なに、別にこの国の国民な訳でもないし、多少なり無礼でも許されるはず……許されるよね?
「え、では貴方はどちら様で?」
「お、俺ですか? 俺はその……フォ、フォルトゥナ様の近侍でして、それよりいいのですか? 急がないと、勇者様のお孫さんに追い付けなくなりますよ」
若干疑いの眼差しを向けられるものの「教えて頂き、感謝します」っと、ご婦人は去っていく。
『カナデ、カナデ。なんで下手くそな嘘つくのカナ?』
なんでって、お前の食事を確保するのに忙しいんだよ。
そ、それにトゥナが来て、もしデレデレしてるところを見られてみろ、さっきのことがあった手前、蔑むような視線だけじゃ絶対に済まないから!?
『カナデ……カッコ悪いカナ』
いいんだよ、下手に格好よかったら目を引くからな。
ただでさえこんなに声を掛けられるのに……。
「──やぁ、早くも再開してしまったね。しかし、その頭はどうしたというんだい?」
ほら、また……って、今回は違ったか?
俺に声を掛けてきたのは、先程部屋に来た騎士団長のソインだ。
「はい先程ぶりです。ここではあの色の髪は目立ちますからね……ゆっくり食事も出来ないのでカモフラージュです」
侍女に着替えと共に準備しもらったカツラの、前髪だけかきあげ地毛を見せる。
その様子に、ソインは笑って見せた。
「まったく、よほど目立つことを嫌うようだ。主賓の挨拶がないパーティーなんて、過去を振り返っても私の記憶には無いことだぞ?」
「歓迎してもらって皆さんに、挨拶がなしって言うのが失礼なのは分かってますけどね? でもほら、俺が出ていって皆さんの期待を裏切るのも悪いですし」
まぁ、半分以上建前だけどな?
本音を言えば、やっぱり目立ちたく無いわけで……。
「もっとも、そんな謙虚な勇者の孫というのは人気者だな。ここに来るまでにも何度尋ねられたことか。私ならどんな人間か知らないか、とね」
「はっは……本当に困ったもんですよ」
じいちゃんの勇者の肩書きが偉大すぎるんだよな。
誇らしくも思うけど、それを俺が背負うには荷が重すぎるってもんだ。
「……そうだな。それなら、私と恋仲のフリでもしてみるというのはどうだろう? これでも、それなりの地位はあるつもりだ。君が変に声をかけられることもなくなると思うのだが」
「え? でもソインさんに変な噂が立ちますよ、御迷惑なんじゃ……」
「君は優しいな。いや、そんなことは気にしなくていい。フォルトゥナ様の男に変な虫がつく方が問題だよ」
変な虫って……別にトゥナと付き合ってる訳じゃないけど、もしかして勘違いしてる? でもまぁ──。
「そう……ですか? それならお言葉に甘えます。このまま嘘を付き続けるのも気が引けるので」
ソインさんは俺の左隣に立つと、不意に自身の手を俺に絡ませてきた。
「えっと……これは?」
「恋仲であれば腕くらい組むだろう? より、周囲に分からせるためさ。君は嫌かもしれないが、我慢してくれ」
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