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第三章 リベラティオへの旅路
第276話 涙腺破壊
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リベラティオ王との対談を終えた俺達は、彼のはからいにより今日は城に泊まる事となった。
「君も疲れているだろ? 詳しい話と打ち合わせは、後日改めてしよう。今日はゆっくり休んでくれたまえ」
そう言われた俺は、その後客間の一室をあてがわれた。
久しぶりに横たわる、藁ではないベット……。
本来であれば、直ぐにでも寝てしまうほどの疲れなのだが、先程のやり取りが気になり寝付けずにいた。
「トゥナ……泣いてたよな?」
何度も寝返りを打ち、頭の中に思い浮かべる彼女の泣き顔を振り払おうとするも、その行為は無駄に終わる。
泣かせた原因は、どう考えても自分なのだから……。
『カナデ……元気出すカナ?』
「大丈夫だよ、ミコ……。折角広い部屋だ、無銘の中から出てこればいいだろ?」
『嫌かな。カナデが気持ちを読まれたくないの、知ってるカナ。ボクも、悲しくなるぐらいにカナデの気持ちが伝わってくるシ。だからこそ分かるモン……今は誰かが心に触れてあげないといけないって。カナデの辛さを、ボクも共有するし……』
驚いた。
あの食いしん坊がこんなことを言うなんて……それほどまでに、俺は参っているのだろうか?
しかし、あの時の判断が間違っているとは思わない。
ここなら医療設備や食料にも困らないだろう。
トゥナにもしもの事があっても、面倒を見れる人もいるはずだ。
何より、彼女には──家族がいるのだから。
「……でも、寂しいな」
俺は、涙を流すまいと天井を見つめる。
自分の回りから、親しい人が次々と居なくなっていく。
それは恐怖であり不安であり、焦りにも似た感覚に陥る。
『ボクは……ボクは、カナデずっと一緒カナ。だから、一人にはならないシ』
「ミコ……」
素直に嬉しかった……感動の余り、涙腺が緩みかけるほどに。──しかし、泣いてやるものか!
もし泣きでもしたら、余計に心配かけてしまう。心読まれている以上、そんな考えは不毛かもしれないが。
俺が涙を堪えていると──トントントンっと、扉を叩く音が聞こえた。
「……トゥナか?」
扉が開き、そこからは一人の少女が顔を覗かせた。
彼女は俺に向かい、白い歯を見せ悪戯っぽく笑って見せた。
「──残念やったな。トゥナの嬢ちゃんやなくて?」
「ルーム……いや、残念とかじゃなくて……」
泣いてなくて良かった……この様子じゃ、泣いてでもしていたらどんな風にからかわれていたか、分かったものじゃない。
部屋の中に入り扉を閉めたルームが、唐突に口を開いた。
「ウチな? 兄さんついていこう思うねんけど、ええかな……構わへんか?」
「俺に……良いのか?」
ミコに引き続きルームまで……こいつら、俺の涙腺を壊しに来てるのか?
でもまぁ……嬉しいじゃねぇか。
「まぁウチは、元々良い素材と研究に対しての刺激が欲しかった訳やしな? こっちの方が、それはありそうやろ?」
「それは保証してやるよ。なんたって面倒事に巻き込まれる才能なら、勇者にも負ける気がしないからな?」
腹を抱えながら「なんや、その辺な自信は。ごっつ不安やないかい!」と、笑いだした。
二人の励ましもあって、少し元気が出て来た。
そんな俺の手を、ルームが両手で掴む。そして、急に引っ張ったのだ。
「じゃぁ決まりや、少し着いてきてや。新作のマジックアイテムを開発したんやで!」
「こ、このタイミングでか? 別に明日でもいいだろ」
「だめや! 今出来ることは今せんと、後悔するかもやろ?」
部屋を出て、ルームに手を引かれていく。──新作のって……彼女が使わせて貰っている部屋は、こんな方にあるのだろうか?
階段を下り、どんどん先へと進んでいく。
そして、しばらく歩くと外へと通じる開けた広間に出た。
中庭……っと言うよりは、訓練所にも見えるが……。
「なっ──!?」
なんとそこには、白いマントを身に纏った一人の少女が立っていた。
「──トゥナ……何でこんなところに!?」
「君も疲れているだろ? 詳しい話と打ち合わせは、後日改めてしよう。今日はゆっくり休んでくれたまえ」
そう言われた俺は、その後客間の一室をあてがわれた。
久しぶりに横たわる、藁ではないベット……。
本来であれば、直ぐにでも寝てしまうほどの疲れなのだが、先程のやり取りが気になり寝付けずにいた。
「トゥナ……泣いてたよな?」
何度も寝返りを打ち、頭の中に思い浮かべる彼女の泣き顔を振り払おうとするも、その行為は無駄に終わる。
泣かせた原因は、どう考えても自分なのだから……。
『カナデ……元気出すカナ?』
「大丈夫だよ、ミコ……。折角広い部屋だ、無銘の中から出てこればいいだろ?」
『嫌かな。カナデが気持ちを読まれたくないの、知ってるカナ。ボクも、悲しくなるぐらいにカナデの気持ちが伝わってくるシ。だからこそ分かるモン……今は誰かが心に触れてあげないといけないって。カナデの辛さを、ボクも共有するし……』
驚いた。
あの食いしん坊がこんなことを言うなんて……それほどまでに、俺は参っているのだろうか?
しかし、あの時の判断が間違っているとは思わない。
ここなら医療設備や食料にも困らないだろう。
トゥナにもしもの事があっても、面倒を見れる人もいるはずだ。
何より、彼女には──家族がいるのだから。
「……でも、寂しいな」
俺は、涙を流すまいと天井を見つめる。
自分の回りから、親しい人が次々と居なくなっていく。
それは恐怖であり不安であり、焦りにも似た感覚に陥る。
『ボクは……ボクは、カナデずっと一緒カナ。だから、一人にはならないシ』
「ミコ……」
素直に嬉しかった……感動の余り、涙腺が緩みかけるほどに。──しかし、泣いてやるものか!
もし泣きでもしたら、余計に心配かけてしまう。心読まれている以上、そんな考えは不毛かもしれないが。
俺が涙を堪えていると──トントントンっと、扉を叩く音が聞こえた。
「……トゥナか?」
扉が開き、そこからは一人の少女が顔を覗かせた。
彼女は俺に向かい、白い歯を見せ悪戯っぽく笑って見せた。
「──残念やったな。トゥナの嬢ちゃんやなくて?」
「ルーム……いや、残念とかじゃなくて……」
泣いてなくて良かった……この様子じゃ、泣いてでもしていたらどんな風にからかわれていたか、分かったものじゃない。
部屋の中に入り扉を閉めたルームが、唐突に口を開いた。
「ウチな? 兄さんついていこう思うねんけど、ええかな……構わへんか?」
「俺に……良いのか?」
ミコに引き続きルームまで……こいつら、俺の涙腺を壊しに来てるのか?
でもまぁ……嬉しいじゃねぇか。
「まぁウチは、元々良い素材と研究に対しての刺激が欲しかった訳やしな? こっちの方が、それはありそうやろ?」
「それは保証してやるよ。なんたって面倒事に巻き込まれる才能なら、勇者にも負ける気がしないからな?」
腹を抱えながら「なんや、その辺な自信は。ごっつ不安やないかい!」と、笑いだした。
二人の励ましもあって、少し元気が出て来た。
そんな俺の手を、ルームが両手で掴む。そして、急に引っ張ったのだ。
「じゃぁ決まりや、少し着いてきてや。新作のマジックアイテムを開発したんやで!」
「こ、このタイミングでか? 別に明日でもいいだろ」
「だめや! 今出来ることは今せんと、後悔するかもやろ?」
部屋を出て、ルームに手を引かれていく。──新作のって……彼女が使わせて貰っている部屋は、こんな方にあるのだろうか?
階段を下り、どんどん先へと進んでいく。
そして、しばらく歩くと外へと通じる開けた広間に出た。
中庭……っと言うよりは、訓練所にも見えるが……。
「なっ──!?」
なんとそこには、白いマントを身に纏った一人の少女が立っていた。
「──トゥナ……何でこんなところに!?」
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