異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル

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第三章 リベラティオへの旅路

第268話 リベラティオ目前

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 日が登り普段と何ら変わらぬ朝を迎える……。
 違うことと言えば、皆を集めティアにお別れの挨拶をさせている事だ。

「──なんでや! なんでこんな直前まで黙ってたんや!」

 甲高い子供の様な声が響いた。
 ティアのまさかの離脱、確かに俺も聞いたときは驚いたからな……。

「理由も理由だし仕方ないだろ? 直前まで黙ってたのも、きっと言い出しにくかったんだよ。色々あったしな?」

「せやかて……」

 気持ちは良くわかる……俺も聞かされたのは日が登る前だったし、ハーモニーの時も突然で……。

「ごめんなさい、皆様。それでもリベラティオのギルドに居るはずなので、いつでも来ていただければ! 例え業務中でも、すべての権限を使い皆様を特別待遇しますので!」

 ──いや、それはダメだろ?

 このまま話を続けてたら、着けるもの着けないな?
 彼女達には悪いけど、馬車の中で話してもらおうか。

「さて、暗い話は終わりだ。なに会えなくなるわけじゃない。遊びにいけばいいんだしな?」

 辛いのは良く分かる。それでもお別れのムードの彼女達に、「ほら、馬車に乗った乗った!」っと急かした。

 別れってのは、惜しむとどんどん辛くなる……惜しめば、惜しむほどに。

 しかしそんな俺の気遣いを、誰も分かってはくれない。
「だからカナデ様は……」と、ティアまで敵に回ったのだ。
 
 ……そしてミコも、馬車の荷台に乗り込んで行く。
 
 意図していたとは言え、俺は泣く泣く御者席に座る。
 本音を言えば、少しでも長く共に過ごしたい。

「でも俺は、挨拶を夜に済ませているから……」

 悪役を演じるのも楽じゃないよな?
 しかし、前に進まないわけにも行かない。
 移動中、皆には心置きなく最後まで一緒にいてもらいたいから……。
 
 一人寂しく、ビシン! っと手綱を打つと、馬車は目的地に向け進み始める。
 しかし俺は見逃さなかった、ユニコーン二頭もため息をついていたことを……。──泣くな、俺!


 それから半日ほど馬車を走らせた。いつしかトゥナが俺の隣に座っている。──彼女も昨晩話せてたしな? ミコやルームに少しでもと気を使ったのだろう。

 そんな事を思った時だった……。

「──ってなんだなんだ! これは……金属なのか?」

 地図を確認すると、リベラティオまではすぐ近く。
 地表からは何本もの金属の塊が飛び出している、例えるなら……金属の氷柱つららと言った所だろうか?

「ふふふっ。カナデ君驚いてるみたいね? あれはアロイピラーって言うみたいなのよ。昔からこの辺りにはあれが生えていて、雨に濡れても錆びないし、磁石にもつかないの……不思議よね?」

 錆びないし、磁石つかないって……。

「もしかして、ステンレスなのか!」

 あの光沢と金属感。アルミニウムではない……ってことは、特性から考えてステンレス……もしくは異世界特有の金属か?

 トゥナは俺の言葉の意味が分からなかったのか「ステンレス?」っと、疑問の声をあげた。
 
「い、いや。何でもない……」

 実際、ステンレスが磁気を持たないわけでも錆びないわけでも無いけどな? 
 刀作りに使わないが、軍刀などでは使われていたはずだし……何よりステンレス製品は水場の製品に使い勝手がいいんだよな。
 【鍛接】を使い加工すれば、俺なら十分ステンレス製品を作れるんだけど……。

「それにしても、あんなもんがなんで地表から……しかもこんなに大きいって」

 材料の取り放題じゃないか!
 流石に合金の作り方までは分からないからな? 加工済みの物があるなら万々歳だ!

「流石、鍛冶場荒しさんね? あれを見て目の色を変えているところ悪いけど、あれは採取を禁じられてるからね?」

「そ、そうなのか!」

 くそ、無銘なら斬れると思ったのに! ステンレス製の製品で、大もうけ作戦が失敗に終わった頃だった。

「──カナデ君、見えてきたわよ!」

「あ、あれがそうなのか? で、でけぇ~……」

 目の前にはグローリアに匹敵、いやそれ以上の巨大な大都市が見えてきた。
 木々が生い茂げり、川が流れ……その中に城がそびえ立っている。

「とうとう……たどり着いたんだな?」

 ここまで長かった……まだまだ多くの問題は抱えたままだけど、やっと一つの目的を達成することが出来る。

「──さぁ、ここからが本番だ!」

 この先に進むのが、凶とでるか……吉と出るか。
 ただ、これだけは断言できる。
 もう立ち止まることが出来ないところまで、俺は来ているっと……。

「──そうね。カナデ君の事を、お父様とお母様に紹介しないと……何て説明しようかしら?」

 …………そうだった!?

 手綱を握ったまま頭を抱えた。
 完全に忘れていた……これから両親に挨拶をしないとだったんだぁぁ!

 とっても引き返したかった……しかし残念ながら、ユニコーン達がそれを許してはくれなかったのだった。


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