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第三章 リベラティオへの旅路
第263話 大量の魔物
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山を抜けた先は、固そうな砂地と豊富な緑色の草原だった。
しかしなぜか見渡す限り木々などは無く、どこまでも続くかのような、開けた大地が広がっていた。
……でも今はそんな事は何一つ問題ではない──問題があるとすれば……。
「おいおい……なんだよ、この魔物の数は!」
崖から見下ろすと、大地を埋め尽くすのではないか?
っと思う程の爬虫類型の魔物の群れが、目の前に待ち構えていたのだ。百、二百どころではない。万単位はいるだろう……。
「これはまた厄介ね? まさか、彼らがここまで移動してるなんて……」
「トゥナ、コイツらを知ってるのか?」
「えぇ……リベラティオの、悪い意味での名物ね」
名物って……地図はこの先を示しているけど、こんな大群じゃ通り抜けは無理だよな?
何とか迂回するにしても、完全に山の降り口周辺を囲まれてる……どうすれば。
「──どうやら、私の出番のようですね?」
「ティア?」
俺が頭を抱える中、彼女はいつになくキリッとした目付きで、颯爽と現れたのだ。──おぉ~、これは優秀な方のティアだ!
自分の荷物入れから一冊の本を取り出し、俺達にも見えるよう広げてみせた。
「あの魔物の大群。同じ種類に見えて、実は四種類いるのです」
解説混じりに絵を指差していく。流石はできる方のティアだ。この時の彼女は、ヤッパリ頼りになるな!
「名称は順番に、【コドモコドラゴン】、【コドモオコドラゴン】、【オトナコドラゴン】、【オトナノコドラゴン】の四種類です!」
「……はっ?」
聞き間違えだろうか? 何か似たような名前が四種類聞こえたような……。
あれだ、寝不足もあって幻聴が聞こえたんだ、そうに違いない。
「あれ、聞こえませんでしたか? それでは僭越ながら、もう一度。コドモコドラゴンと、コドモオコドラゴンと、オトナコドラ……」
──って、聞き間違いじゃないのか!
「ちょっと待て、どこのどいつだよ! そんなややこしい名前を付けたやつは!」
見た目に違いが分からないヤツを、名前まで似せやがって! 命名者は何を考えてるんだよ? もうちょっ工夫を凝らしてだな?
「あ、はい。名付け親は私です」
「──おまえか!」
まさかここに居たのか! できる方のティア、出番が少なすぎるだろ?
「お、落ち着いてください。私ならこの境地を突破する手だてを知っていますよ? だからそんな怖い顔をしないで下さい……」
「信用していいのか? 最近ではティアが、仕事の出来るギルド職員だって疑ってるところもあるからな?」
流石に言い過ぎただろうか? ティアは「ひ、ひどい」っと目を潤ませる。
釘を刺したつもりだったが、他のメンバーからは批判の視線を浴びることになった。
「お、おほん。実はこの魔物達の生態ですが、発見したのが私なのです。それを期に、ギルドで出世する事が……って今はそれは置いておいて」
そう言った彼女は、魔物群れに向かって指をさした。
「あの魔物は非常に変わった生態を持っています。四種居ると言いましたが、別の種族とも番いになることが出来るのです 」
「た、確かに面白い生態かもしれないけど、そんなことは今はいい……結論だけ頼む」
「今日のカナデ様は、本当に手厳しいですね……」
ティアは口を尖らせ、拗ねているようだ。
そんな彼女に、俺はつい頭を抱えため息をついてしまった。
その様子を見たのだろうか? 彼女は慌てるように説明続けた。
「そ、そんな困らないで下さいよ! 分かりました、要点だけ説明します。実はこのコドラゴン種は、番の組み合わせで縄張りの大きさが決まっているのです。専門家の私なら、その違いとテリトリーの大きさを見分ける事が出来ます!」
なるほど……説明を聞いても全く分からない。それが分かるとこの窮地を脱出する事が出来るのだろうか?
「詰まる所。お互いのテリトリーに干渉しない魔物の習性を利用し、その間を通って進む作戦です! 安心してください、もし誤ってテリトリーに足を踏み入れても、襲ってくるのは二匹です。是非、私に任せて下さい!」
ティアは俺を見上げながら、自信ありげに距離を詰めてきた。
一切目を反らそうとはしない。──今さら山を引き返すもキツイか……。
「──分かった、ここはティアを信用する」
しかしなぜか見渡す限り木々などは無く、どこまでも続くかのような、開けた大地が広がっていた。
……でも今はそんな事は何一つ問題ではない──問題があるとすれば……。
「おいおい……なんだよ、この魔物の数は!」
崖から見下ろすと、大地を埋め尽くすのではないか?
っと思う程の爬虫類型の魔物の群れが、目の前に待ち構えていたのだ。百、二百どころではない。万単位はいるだろう……。
「これはまた厄介ね? まさか、彼らがここまで移動してるなんて……」
「トゥナ、コイツらを知ってるのか?」
「えぇ……リベラティオの、悪い意味での名物ね」
名物って……地図はこの先を示しているけど、こんな大群じゃ通り抜けは無理だよな?
何とか迂回するにしても、完全に山の降り口周辺を囲まれてる……どうすれば。
「──どうやら、私の出番のようですね?」
「ティア?」
俺が頭を抱える中、彼女はいつになくキリッとした目付きで、颯爽と現れたのだ。──おぉ~、これは優秀な方のティアだ!
自分の荷物入れから一冊の本を取り出し、俺達にも見えるよう広げてみせた。
「あの魔物の大群。同じ種類に見えて、実は四種類いるのです」
解説混じりに絵を指差していく。流石はできる方のティアだ。この時の彼女は、ヤッパリ頼りになるな!
「名称は順番に、【コドモコドラゴン】、【コドモオコドラゴン】、【オトナコドラゴン】、【オトナノコドラゴン】の四種類です!」
「……はっ?」
聞き間違えだろうか? 何か似たような名前が四種類聞こえたような……。
あれだ、寝不足もあって幻聴が聞こえたんだ、そうに違いない。
「あれ、聞こえませんでしたか? それでは僭越ながら、もう一度。コドモコドラゴンと、コドモオコドラゴンと、オトナコドラ……」
──って、聞き間違いじゃないのか!
「ちょっと待て、どこのどいつだよ! そんなややこしい名前を付けたやつは!」
見た目に違いが分からないヤツを、名前まで似せやがって! 命名者は何を考えてるんだよ? もうちょっ工夫を凝らしてだな?
「あ、はい。名付け親は私です」
「──おまえか!」
まさかここに居たのか! できる方のティア、出番が少なすぎるだろ?
「お、落ち着いてください。私ならこの境地を突破する手だてを知っていますよ? だからそんな怖い顔をしないで下さい……」
「信用していいのか? 最近ではティアが、仕事の出来るギルド職員だって疑ってるところもあるからな?」
流石に言い過ぎただろうか? ティアは「ひ、ひどい」っと目を潤ませる。
釘を刺したつもりだったが、他のメンバーからは批判の視線を浴びることになった。
「お、おほん。実はこの魔物達の生態ですが、発見したのが私なのです。それを期に、ギルドで出世する事が……って今はそれは置いておいて」
そう言った彼女は、魔物群れに向かって指をさした。
「あの魔物は非常に変わった生態を持っています。四種居ると言いましたが、別の種族とも番いになることが出来るのです 」
「た、確かに面白い生態かもしれないけど、そんなことは今はいい……結論だけ頼む」
「今日のカナデ様は、本当に手厳しいですね……」
ティアは口を尖らせ、拗ねているようだ。
そんな彼女に、俺はつい頭を抱えため息をついてしまった。
その様子を見たのだろうか? 彼女は慌てるように説明続けた。
「そ、そんな困らないで下さいよ! 分かりました、要点だけ説明します。実はこのコドラゴン種は、番の組み合わせで縄張りの大きさが決まっているのです。専門家の私なら、その違いとテリトリーの大きさを見分ける事が出来ます!」
なるほど……説明を聞いても全く分からない。それが分かるとこの窮地を脱出する事が出来るのだろうか?
「詰まる所。お互いのテリトリーに干渉しない魔物の習性を利用し、その間を通って進む作戦です! 安心してください、もし誤ってテリトリーに足を踏み入れても、襲ってくるのは二匹です。是非、私に任せて下さい!」
ティアは俺を見上げながら、自信ありげに距離を詰めてきた。
一切目を反らそうとはしない。──今さら山を引き返すもキツイか……。
「──分かった、ここはティアを信用する」
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