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第三章 リベラティオへの旅路
第246話 薬売りの少女 ララ
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「えっと、私がお話を聞かせていただきます。よろしいでしょうか?」
ギルド職員の女性は、頷くと席を明け渡した。
突然の出来事に、目の前の女の子は混乱し動揺を隠せないみたいだ。
しかし、震えながらも彼女は帰るそぶは見せない。──周りは大人だらけで怖いだろうに……きっと、逃げないにはそれなりの理由があるのだろう。
ティアは受付席に腰を下ろすと、今まで見せたことのない優しい笑顔で少女に微笑んだ。
「大変お待たせしました。私、ギルド職員のティアと申します。お嬢様、お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
……ティアには悪いが鳥肌が立った。──こ、こんなビーナスの様な微笑みをする、王道美女見たことないぞ!
俺が狼狽える中も、着々と話は続いていく。
「わ、私はララ……今日はギルドにお願いがあって来たの。でもお金が足りなくてダメだって……」
ギルド側も商売だ、慈善事業ではない……。
確かにそれじゃぁ何ともならないよな?
しかし少女はそれだけ言うと、涙を流しながら自分のスカートを強く握っのだ。
俺は辛そうな彼女の姿を見て何でかは知らないが、ついお節介を焼きたくなり、横から口を挟んでしまった。
「取りあえず、言うだけ言ってみろよ? 内容次第じゃ、何とか出来るかもよ?」
俺の発言を聞き、トゥナとティアが凄い勢いで俺の顔を見た。──え、余計な事を言っただろうか?
「ほ、本当、本当に聞いてくれるの?」と、少女は期待の眼差しを向けてくる。
ちょっと軽率だったか? 話を聞くと言ったつもりなんだけど……。まぁ、どちらにしても──。
「──このお姉さん達は優しいからな? よっぽどの事じゃなければ、多分首を突っ込むぞ?」
いつもの事だ、何となく予想がついている。
それなら理由は知らないが、状況が悪くなる前に動いてしまえ、そんな風に思ったのだ。
「そ、その言い方は少々心外ですね」
「で、でも。強く否定できないわ……」
やっぱり首を突っ込む気だったか? 彼女達らしいって言えばらしいな。
しかし、慣れてしまえば悪くないと、つい心の中で思ってしまう。
『カナデ……気持ち悪いカナ、頭でも打ったのカナ?』
本日、ミコさんはそちらに入るようですね。気持ち悪いって……。
「あ、あのね? お願いしたい内容なんだけど──」
俺達は、なるべく彼女を恐がらせないように優しく話を聞いた。
この手の展開だと、何かを退治してくれ! 等が定番化と思いきや、少々予想とは違ったのだ。
「──なるほど……病気のお母さんの薬を買うために、お金を稼ぎたい。売り物にする物は塗り薬。品は準備してあるが、売り方が分からない為、冒険者に考えて貰おうとしたわけだ?」
「……うん。私一人だとどうしたらいいか分からないの。ギルドは何でも屋さんだって、昔お母さんから聞いたから、もしかしたら教えてくれるかな? って……」
ふむ、それにしても稼ぐためにお金を払って、稼ぎかたを考えて貰う……それって本末転倒じゃないか?
でも、この少女が真剣なのはヒシヒシと伝わる。
「ん~、私達がお金を貸してあげれば解決するんじゃないかな? もしくはその薬を買い取るとか?」
「いや、いい案とは言えないな。その場しのぎにはなっても、その手段じゃこの先困るだろ? お母さんの病が、薬ですぐ治る保証もないし」
少なくとも、この子の家庭は薬を買う金がないほど生活が厳しいと言うことだ。
先の事を考えるなら、別の方法を模索するべきだ。
「なぁ、その薬は今までお母さんが売ってたのか?」
「ううん、今まではお父さんが隣町に売に行ってたの……でも先月に死んじゃって……」
そう言うことか、だからこんな年端も行かぬ子がこんな所に……。
う~ん。それじゃぁ、販売ルートが今までのように隣町ではダメだな。
彼女一人で行かせるわけにもいかないし、冒険者を雇おう物ならいくら掛かるか……。
「その薬、少し見せて貰っていいか?」
ララと呼ばれた女の子は「うん」言いながら木製の入れ物に入った薬を、ひとつ俺に差し出した。
受けとると俺は蓋を開け中を覗く……。
「──鑑定!」
どうやら、この薬自体は一般の塗り薬のようだ、実際に回復効果が見込めると書いてあるな。
──何より、この効果は……。
「……なるほど、面白い薬だ。ララちゃんって言ったっけ? これはまだ沢山あるか?」
「う、うん……作り方を聞いて私が沢山作ったから、お家に薬は沢山あるよ?」
そうかそうか、うまく行けば問題が全て解決するな。
「じゃぁ、全部売るか? そうすればお母さんを治す薬も買えるし、もしかしたらこの町でも顧客が出来るかも知れないだろ」
「──カ、カナデ様、その様なことが出来るんですか?」
確信はないが、可能性はあると思う。
地球でもこの世界でも、商売の相手が人である以上、試す価値はある。
「あぁ、仕込みに時間が掛かるけど、面白い方法がある。ひとまずララの家に薬を取りに行こうか?」
ギルド職員の女性は、頷くと席を明け渡した。
突然の出来事に、目の前の女の子は混乱し動揺を隠せないみたいだ。
しかし、震えながらも彼女は帰るそぶは見せない。──周りは大人だらけで怖いだろうに……きっと、逃げないにはそれなりの理由があるのだろう。
ティアは受付席に腰を下ろすと、今まで見せたことのない優しい笑顔で少女に微笑んだ。
「大変お待たせしました。私、ギルド職員のティアと申します。お嬢様、お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
……ティアには悪いが鳥肌が立った。──こ、こんなビーナスの様な微笑みをする、王道美女見たことないぞ!
俺が狼狽える中も、着々と話は続いていく。
「わ、私はララ……今日はギルドにお願いがあって来たの。でもお金が足りなくてダメだって……」
ギルド側も商売だ、慈善事業ではない……。
確かにそれじゃぁ何ともならないよな?
しかし少女はそれだけ言うと、涙を流しながら自分のスカートを強く握っのだ。
俺は辛そうな彼女の姿を見て何でかは知らないが、ついお節介を焼きたくなり、横から口を挟んでしまった。
「取りあえず、言うだけ言ってみろよ? 内容次第じゃ、何とか出来るかもよ?」
俺の発言を聞き、トゥナとティアが凄い勢いで俺の顔を見た。──え、余計な事を言っただろうか?
「ほ、本当、本当に聞いてくれるの?」と、少女は期待の眼差しを向けてくる。
ちょっと軽率だったか? 話を聞くと言ったつもりなんだけど……。まぁ、どちらにしても──。
「──このお姉さん達は優しいからな? よっぽどの事じゃなければ、多分首を突っ込むぞ?」
いつもの事だ、何となく予想がついている。
それなら理由は知らないが、状況が悪くなる前に動いてしまえ、そんな風に思ったのだ。
「そ、その言い方は少々心外ですね」
「で、でも。強く否定できないわ……」
やっぱり首を突っ込む気だったか? 彼女達らしいって言えばらしいな。
しかし、慣れてしまえば悪くないと、つい心の中で思ってしまう。
『カナデ……気持ち悪いカナ、頭でも打ったのカナ?』
本日、ミコさんはそちらに入るようですね。気持ち悪いって……。
「あ、あのね? お願いしたい内容なんだけど──」
俺達は、なるべく彼女を恐がらせないように優しく話を聞いた。
この手の展開だと、何かを退治してくれ! 等が定番化と思いきや、少々予想とは違ったのだ。
「──なるほど……病気のお母さんの薬を買うために、お金を稼ぎたい。売り物にする物は塗り薬。品は準備してあるが、売り方が分からない為、冒険者に考えて貰おうとしたわけだ?」
「……うん。私一人だとどうしたらいいか分からないの。ギルドは何でも屋さんだって、昔お母さんから聞いたから、もしかしたら教えてくれるかな? って……」
ふむ、それにしても稼ぐためにお金を払って、稼ぎかたを考えて貰う……それって本末転倒じゃないか?
でも、この少女が真剣なのはヒシヒシと伝わる。
「ん~、私達がお金を貸してあげれば解決するんじゃないかな? もしくはその薬を買い取るとか?」
「いや、いい案とは言えないな。その場しのぎにはなっても、その手段じゃこの先困るだろ? お母さんの病が、薬ですぐ治る保証もないし」
少なくとも、この子の家庭は薬を買う金がないほど生活が厳しいと言うことだ。
先の事を考えるなら、別の方法を模索するべきだ。
「なぁ、その薬は今までお母さんが売ってたのか?」
「ううん、今まではお父さんが隣町に売に行ってたの……でも先月に死んじゃって……」
そう言うことか、だからこんな年端も行かぬ子がこんな所に……。
う~ん。それじゃぁ、販売ルートが今までのように隣町ではダメだな。
彼女一人で行かせるわけにもいかないし、冒険者を雇おう物ならいくら掛かるか……。
「その薬、少し見せて貰っていいか?」
ララと呼ばれた女の子は「うん」言いながら木製の入れ物に入った薬を、ひとつ俺に差し出した。
受けとると俺は蓋を開け中を覗く……。
「──鑑定!」
どうやら、この薬自体は一般の塗り薬のようだ、実際に回復効果が見込めると書いてあるな。
──何より、この効果は……。
「……なるほど、面白い薬だ。ララちゃんって言ったっけ? これはまだ沢山あるか?」
「う、うん……作り方を聞いて私が沢山作ったから、お家に薬は沢山あるよ?」
そうかそうか、うまく行けば問題が全て解決するな。
「じゃぁ、全部売るか? そうすればお母さんを治す薬も買えるし、もしかしたらこの町でも顧客が出来るかも知れないだろ」
「──カ、カナデ様、その様なことが出来るんですか?」
確信はないが、可能性はあると思う。
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