220 / 469
第三章 リベラティオへの旅路
第208話 対決、ストーキングキング
しおりを挟む
「貴様……この俺をコケにしやがって!」
おかしい、これでも結構紳士な対応をしたつもりだったのにな?
サーベルを構え、臨戦態勢を取るストーキングキング。
さて……相手がどう思ってるかは知らないが、向こうが真剣を抜いている以上これは試合ではない……死合だ。
気を抜くわけには行かない。
「貴様、そんな木剣で俺様と殺し合う気か? 舐めるのも大概にしろよ!」
「ん? お前にはこれが玩具にでも見えるのか?」
左手に持っている木刀を見せつける。──確かに本来、訓練用の物ではあるのは間違いない。しかし、奴は勘違いしている……名に刀と付くのは伊達ではない!
「刃は着いていないが、これでも相手を殺すことが出来る。そして、ストーキングキング! 今からこれが、お前の心と意志を殺すんだ。それにはコイツが適してるんだよ」
「──その呼び方やめい! くそ……舐めやがって。後で後悔しても知らないからな!」
ストーキングキングは叫び声をあげ、片手で下段にサーベルを構えたまま距離を詰め寄ってきた。
俺に向かい、サーベルを下段から斬り上げた。それを半身下がり、ギリギリの所で回避する。──初撃は……様子見だな?
「──上手いこと避けるじゃねぇか!」
大きく踏み込むストーキングキングは、今度は振り上げたサーベルを力強く斬り下ろした。──遅い……避けるのは簡単だが!
タイミングを計り、俺は木刀を鞘から引き抜いた!
そして抜刀の一振りは、金属に当たる甲高い音を響かせたのだ。
「──っな!」
ストーキングキングは、木刀で真剣を弾いたことに驚いている様だ。
それもそうだろう、普通に打ち合えば木刀に刃が食い込むか、場合によれば斬れるハズなのだから……。
相手からしたら、驚くのは当然だ。
しかし、そのカラクリはそう難しいものではない。
刀身部分の側面に木刀を当てた……ただ、それだけの事なのだ。
「き、貴様、一体何をしやがった!」
「ん、見えなかったか?」
これ以上ティアに付きまとわせない為にも……ここでヤツの心を刈り取らないといけない……。──本気で行く!!
「──力動眼!」
俺のスキル発動と共に、ストーキングキングが動き出した。
奴が、全身を強ばらせているのが分かる。次は、一撃や二撃だけでは無い!
ストーキングキングは、右に左に、上に下にと次々とサーベルを振り回した。
その攻撃は、型などの洗練されたものではなく、ただひたすら我武者羅に振られるものだ。
力動眼で相手の動き出しを先読みし、タイミングを合わせ、ストーキングキングの斬撃を抜刀で、全て切り落としてやった。──どうだ! 剣士であれば、心が折れるほど屈辱だろ!
「──く、くそ! 当たれ!」
攻撃が一切当たらず、奴の顔が次第に歪んでいく。
次々と放たれる連撃は次第に遅くなって行き、ストーキングキングの表情に疲労の色が見える。
そして何十本も打ち込むと、ストーキングキングの攻撃は止まった。
「おい──この程度か?」
周囲にはいつの間にか人集りができていて「お、おい、アイツ何者なんだよ……」との声も聞こえる。
よくよく見ると、さっきギルドにいた人間も大勢見られた。──野次馬かよ……止めに入れよな。
相当疲れたのだろう、肩で息をするストーキングキング。
それもその筈だ。特別大きくはないサーベルとは言え一キロ以上はあり、長さも七百mm程あるんだ。
そんなものを無呼吸であれだけ振るえば、疲れない訳がない。例えるなら、バットを振り回す様なものだからな。しかも奴は片手でだ。
「──はは……はっはっはは」
ストーキングキングは、サーベルを持っていない手で額を抱え、急に笑いだしたのだ。
なんだアイツ……急に笑いだして、俺がやり過ぎておかしくなったか?
「あ~認めよう、貴様は強い! 俺様が貴様の事を、ライバルと認めてやる!」
……い、いや。遠慮したいんだけど。
左手を前に真っ直ぐ向け、手を開いて俺に向けてきた。──こいつ……結局の所、何が言いたいんだ?
「貴様はもちろん、俺様が片手で剣を振っていたことには気づいていただろ? 何故片手剣士が盾も持たないのか……って思ってたんだろ?」
いや、片手なのは知ってたけどそこまでは……。
って言うか、正直なところ、お前にはそれほど興味は無いよ、怒りそうだから言わないけど……。
「理由を教えてやろう! それは、俺様が魔法も使う剣士だから、なのだよ!」
おかしい、これでも結構紳士な対応をしたつもりだったのにな?
サーベルを構え、臨戦態勢を取るストーキングキング。
さて……相手がどう思ってるかは知らないが、向こうが真剣を抜いている以上これは試合ではない……死合だ。
気を抜くわけには行かない。
「貴様、そんな木剣で俺様と殺し合う気か? 舐めるのも大概にしろよ!」
「ん? お前にはこれが玩具にでも見えるのか?」
左手に持っている木刀を見せつける。──確かに本来、訓練用の物ではあるのは間違いない。しかし、奴は勘違いしている……名に刀と付くのは伊達ではない!
「刃は着いていないが、これでも相手を殺すことが出来る。そして、ストーキングキング! 今からこれが、お前の心と意志を殺すんだ。それにはコイツが適してるんだよ」
「──その呼び方やめい! くそ……舐めやがって。後で後悔しても知らないからな!」
ストーキングキングは叫び声をあげ、片手で下段にサーベルを構えたまま距離を詰め寄ってきた。
俺に向かい、サーベルを下段から斬り上げた。それを半身下がり、ギリギリの所で回避する。──初撃は……様子見だな?
「──上手いこと避けるじゃねぇか!」
大きく踏み込むストーキングキングは、今度は振り上げたサーベルを力強く斬り下ろした。──遅い……避けるのは簡単だが!
タイミングを計り、俺は木刀を鞘から引き抜いた!
そして抜刀の一振りは、金属に当たる甲高い音を響かせたのだ。
「──っな!」
ストーキングキングは、木刀で真剣を弾いたことに驚いている様だ。
それもそうだろう、普通に打ち合えば木刀に刃が食い込むか、場合によれば斬れるハズなのだから……。
相手からしたら、驚くのは当然だ。
しかし、そのカラクリはそう難しいものではない。
刀身部分の側面に木刀を当てた……ただ、それだけの事なのだ。
「き、貴様、一体何をしやがった!」
「ん、見えなかったか?」
これ以上ティアに付きまとわせない為にも……ここでヤツの心を刈り取らないといけない……。──本気で行く!!
「──力動眼!」
俺のスキル発動と共に、ストーキングキングが動き出した。
奴が、全身を強ばらせているのが分かる。次は、一撃や二撃だけでは無い!
ストーキングキングは、右に左に、上に下にと次々とサーベルを振り回した。
その攻撃は、型などの洗練されたものではなく、ただひたすら我武者羅に振られるものだ。
力動眼で相手の動き出しを先読みし、タイミングを合わせ、ストーキングキングの斬撃を抜刀で、全て切り落としてやった。──どうだ! 剣士であれば、心が折れるほど屈辱だろ!
「──く、くそ! 当たれ!」
攻撃が一切当たらず、奴の顔が次第に歪んでいく。
次々と放たれる連撃は次第に遅くなって行き、ストーキングキングの表情に疲労の色が見える。
そして何十本も打ち込むと、ストーキングキングの攻撃は止まった。
「おい──この程度か?」
周囲にはいつの間にか人集りができていて「お、おい、アイツ何者なんだよ……」との声も聞こえる。
よくよく見ると、さっきギルドにいた人間も大勢見られた。──野次馬かよ……止めに入れよな。
相当疲れたのだろう、肩で息をするストーキングキング。
それもその筈だ。特別大きくはないサーベルとは言え一キロ以上はあり、長さも七百mm程あるんだ。
そんなものを無呼吸であれだけ振るえば、疲れない訳がない。例えるなら、バットを振り回す様なものだからな。しかも奴は片手でだ。
「──はは……はっはっはは」
ストーキングキングは、サーベルを持っていない手で額を抱え、急に笑いだしたのだ。
なんだアイツ……急に笑いだして、俺がやり過ぎておかしくなったか?
「あ~認めよう、貴様は強い! 俺様が貴様の事を、ライバルと認めてやる!」
……い、いや。遠慮したいんだけど。
左手を前に真っ直ぐ向け、手を開いて俺に向けてきた。──こいつ……結局の所、何が言いたいんだ?
「貴様はもちろん、俺様が片手で剣を振っていたことには気づいていただろ? 何故片手剣士が盾も持たないのか……って思ってたんだろ?」
いや、片手なのは知ってたけどそこまでは……。
って言うか、正直なところ、お前にはそれほど興味は無いよ、怒りそうだから言わないけど……。
「理由を教えてやろう! それは、俺様が魔法も使う剣士だから、なのだよ!」
0
お気に入りに追加
481
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる