異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル

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第三章 リベラティオへの旅路

第204話 キルクルスギルド

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 キルクルスの町の中央に、俺達が目指しているギルドはあった。
 一際大きな建物に、一際大きな風車が付いている。
 目の前は噴水付きの公園で、人の往来も激しい。

「ギルド……儲けてるな~」

 これ絶対に金掛かってるだろ? この町で一番立地がいいんじゃないだろうか。

「ギルドが儲けているってことは、それだけこの町に依頼が多い証拠ですね。人が仕事に溢れない……良いことじゃないですか。それに町の規模が大きいほど、ギルドも大きい。珍しいことではありませんよ」

 トゥナと引き離した為か? 言い方に若干、トゲがある気がする……ご機嫌斜めのようだ。
 気持ちは分かるけど、俺だけの証言じゃ説得力に欠けるしな? その点、ティアはギルド内では有名人だ。なんたって、二つ名があるぐらいだし。

 思いだし「今は不謹慎だ」っと笑いを堪えながらも、俺達はギルドの中に入った。

 中は……今まで見てきたギルドと、あまりり変わり映えしないな?
 ギルド内に水路が走ってて、今までの三倍ぐらいの規模がある。
 それだけか……って、それは十分凄いか? ダメだ、感覚がおかしくなってる。

「カナデ様はそこで大人しくしていて下さい! 話しは私が早々に済ませてきますので!」

「あの……ティアさん? 一応、俺がリーダーだった気が……」

「──何か問題がありますか? リーダー様!」

 威圧するかの様な目で、ティアは俺を睨み付ける。
 「慌てたところで、迎えが来るまでは皆の泊まる宿の場所は分からないだろ?」とは、言えない雰囲気だ。

「いえ……お願いします……」

 どちらにしても、ティアに頼むつもりだった訳だ。もう、任せてしまおうか?

 ティアは人波をかき分け、ギルドカウンターへ向かっていく。奥からは「ティ、ティア様! ご無沙汰しております!」と大きな声が聞こえた……。
 麗しき観察者の二つ名は伊達じゃないらしい。

 しかし、やる事が無くなったな……人間観察でもするか?

 この世界に来て極希に行っていた遊び。人間観察と言っても、行動を観察する事ではない。
 風貌ふうぼうや身のこなし、体格等から人々の力量を測り、鑑定眼で答え合わせをする一つの特訓だ。

「なるほど……あの可愛い子も冒険者なのか? なるほどなるほど……」

 もう一度言っておく。これは相手の力量を測るため、見る目を養う特訓の一環だ! 決してやましい気持ちがあるわけではない!

 ん? あの男、何かキョロキョロしてるな……。
 見た感じ、能力はそこそこ高そうだけど俺の勘が告げている。
 あの動き──ヤバイやつだ……っと。
 まぁ、ここに居れば関わることも無いし、人間観察の続きでも……。

「──カナデ様、お話を終えてきました!」

「うぉ! もう戻ってきたんですか? 偉い早いですね」

 よっぽど急いでたのだろうか? ティアは少し息を切らしているようにも見える。

「権限をありったけ行使して来ました。ここのギルドマスターに直通だったので、用件だけ伝えて来ました。抜かりはありませんので、ご安心下さい」

 きょ、今日は優秀な方か……珍しいな? トゥナが絡むと、大体ポンコツなのに。

「ほら、行きますよ!」と、ティアは俺の手を引きギルドの外に出た。

「ま、待ってティアさん。どの道、迎えが……」

 俺の声を聞いてだろうか? ティアはギルドを出てすぐに足を止めた。──わ、分かってくれたみたいだな……迎えはまだ来てないって。

 ──しかし、彼女は急に自分の体を手で触りだし、まるで何かを探すかの様な仕草をし始めた。
 その姿を見た俺は、背筋が冷え、額から汗が流れる。

「ティアさん……まさか?」

 ゆっくりと顔だけを振り向くティア。
 この時、彼女の目は完全に目が泳いでいた。──聞きたくない、この先は聞きたくない!

「は、はい……カナデ様、申し訳ありません……落としました」

 ──やっぱりかよ!!

「タメ口ですみません。おい、落としたって何をだよ……」

「新刊です……テヘッ」

「──新刊です、テヘッじゃねぇよ! そう言うキャラでも無いだろ!? 完全に抜かりあるじゃないか! わざとか? わざとじゃないのか!」

 あんなのが誰かに拾われたら不味い! いつぞやの二の舞になるぞ!

 俺達は、慌ててギルドの中に戻り辺りを見渡した。──何処だよ! 一体何処に落としたんだ!

 拾われていないことを、心から神に祈った──しかし、この世界の神はどうやら俺の事が嫌いらしい。

「──なんだよ、この本は! 俺様のティアさんに、何て事させてんだよ!」

 声の方を見ると、手に一冊の本を持っている男が怒りをあらわにしていた。──あ、あいつ。さっき人間観察の時にキョロキョロしてた、関わりたく無さそうな男じゃないか……。

「──あ! その本!」

 俺が男が持っていた本を見ると、それはティアの新刊だった。そしてそれを見て、つい驚き声をあげてしまったのだった。
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