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第三章 リベラティオへの旅路
第201話 禊
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「えっと。今はキルクルスの町に向かって移動中ね。到着までは後一日、二日って所かしら?」
なるほど……当初目的地として、予定していた町だっけか。
キルクルスの町に限らずだけど、色々あったから、一度本格的にゆっくりとしたいものだけど……。
色々あったで、思い出したぞ! そう言えば、あの後村はどうなったんだ?
「なぁ、俺最後寝ちゃったよな? あの後どうなったんだよ? 村の人は大丈夫だったか?」
「えぇ、カナデ君が……その、倒したらゾンビが……動かなくなったから」
そっか、シンシを倒したことで操られてたゾンビも動きを止めた訳か。
「ただな、思ったより後始末が大変なんやわ。死体もそのまんまやし、村もいくらか痛んでな?」
「だから私達は、寝ているカナデ君を馬車に乗せて、キルクルスのギルドに応援要請をしに行くのよ。ついでですしね?」
なるほど……。それで俺は馬車の上で起きたわけだ。
でもそれって、キルクルスの町に伝鳥を送れば直ぐに済むことじゃないのか?
「伝鳥じゃ、ダメだったのか?」
「アラウダ村のギルドに使えるのがいなかったねん。ティアはんも知らへんし、マールの港に連絡して確認してもあそこのギルドも、連絡とらへんから知らん言いはるし……」
「なるほど……所で連絡先を知らないって、あれって何を基準に飛ばしてるんだよ?」
まぁ、今までのパターンから行くとどうせ魔力だとな言う……。
「──あれな? 臭いやねん」
「臭いかよ!」
警察犬みたいだな。魔力の手紙鳥、何てロマンの無い……。
そう言えば、ウサーズ達からも前届いたな? 俺の臭いのするもの……誰が持ってたんだよ。おやびんか? おやびんなのか? クンクンとかしてないよな!
俺が謎の不安に駆られ頭を抱える中、マジックバックの中からゴソゴソと言う音がした。
「んあぁ~、よく寝たカナ」
「お? 起きたか」
どうやら、寝ていたミコが起きたようだ。
俺の顔を見て、キョトンとすると、その大きな瞳に徐々に涙を貯め、今にも泣き出してしまいそうな顔をする。
「お、起きたか、じゃ無いカナ! ボクがどれだけ心配したと思ってるカナ!」
ミコはバックから飛び出すと、俺の顔にめがけてとんで来て抱きついた。柔らかい感触と、熱い雫が俺の頬に伝っていく……。
流れてくる……。
実際に、俺の中に何かが流れてくる訳じゃない。
でも、ミコが俺に向ける温かい気持ちだけは、まるで魔法のように流れてくるんだ。
「ご、ごめんなミコ……? 心配かけちゃったな?」
本来ならば、感動的なシーンかもしれない。
ただ実のところ、ほんのちょっと、ほんのちょっとだけ邪な事を考えてしまっている。──ほんと~~~うにすみません!
ミコは俺から離れようとしない。心から心配してくれてたんだな……。
その気持ちは本当に嬉しいし、出来ることなら気がすむまで泣かせてやりたい。
ただ、お願い……そろそろ離れてくれ、柔らかい所が、煩悩が……煩悩が!
「ほら……ミコちゃん、いい加減離れなさい。カナデ君も元気になったみたいだから、安心して……ね?」
トゥナがミコを引き離し、何とか難を逃れる……。
俺の顔は、ミコの涙や鼻水、ヨダレまみれになっている。
──しかし、俺はそれを甘んじて受けよう! 禊的な意味合いでだ!
「──ちょっと、ハーモニーはん! 焦げてる、焦げてるで!」
ルームの声を聞き、食事を作っているハーモニー方を見ると何かが焦げている臭いがした。
料理を見ると、鍋から軽く黒煙が上がる──あ~、俺の食事が……腹がペコペコで倒れそうなのに、禊か? これも禊か?
「すみません皆さん! 少しぼ~っとしてしまいました!」
料理を失敗するなんて……ハーモニーらしくない。他の面々なわかるけど。もしかして、俺の下心がバレたのか?
だが、どうやらそう言う訳では無いらしい……。
ハーモニーは料理作りを再開しながらも、何処か上の空だ。
何かあるのか? 塩湖の向こう側を見ているかの様に見える。
「ハーモニーどうしたよ? 何か気になることがあるのか?」
「い、いえ、何もありませんよ~? それよりお食事も出来ましたし、食べましょう。カナデさんもお腹が空いてますよね? 少し焦げちゃいましたけど~……」
そう言いながら、料理を俺達に差し出すハーモニー。
俺は何かが気になり、ハーモニーが見つめてた方角を眺めた。
「確かに……絶景で目を奪われる気持ちも分かるな?」
遠く離れた向かいには森が並び、青空は木々の緑を色鮮やかに見せる。
水面はそれを反射し、まるで一枚の美しい風景画のようなロケーションだった。
なるほど……当初目的地として、予定していた町だっけか。
キルクルスの町に限らずだけど、色々あったから、一度本格的にゆっくりとしたいものだけど……。
色々あったで、思い出したぞ! そう言えば、あの後村はどうなったんだ?
「なぁ、俺最後寝ちゃったよな? あの後どうなったんだよ? 村の人は大丈夫だったか?」
「えぇ、カナデ君が……その、倒したらゾンビが……動かなくなったから」
そっか、シンシを倒したことで操られてたゾンビも動きを止めた訳か。
「ただな、思ったより後始末が大変なんやわ。死体もそのまんまやし、村もいくらか痛んでな?」
「だから私達は、寝ているカナデ君を馬車に乗せて、キルクルスのギルドに応援要請をしに行くのよ。ついでですしね?」
なるほど……。それで俺は馬車の上で起きたわけだ。
でもそれって、キルクルスの町に伝鳥を送れば直ぐに済むことじゃないのか?
「伝鳥じゃ、ダメだったのか?」
「アラウダ村のギルドに使えるのがいなかったねん。ティアはんも知らへんし、マールの港に連絡して確認してもあそこのギルドも、連絡とらへんから知らん言いはるし……」
「なるほど……所で連絡先を知らないって、あれって何を基準に飛ばしてるんだよ?」
まぁ、今までのパターンから行くとどうせ魔力だとな言う……。
「──あれな? 臭いやねん」
「臭いかよ!」
警察犬みたいだな。魔力の手紙鳥、何てロマンの無い……。
そう言えば、ウサーズ達からも前届いたな? 俺の臭いのするもの……誰が持ってたんだよ。おやびんか? おやびんなのか? クンクンとかしてないよな!
俺が謎の不安に駆られ頭を抱える中、マジックバックの中からゴソゴソと言う音がした。
「んあぁ~、よく寝たカナ」
「お? 起きたか」
どうやら、寝ていたミコが起きたようだ。
俺の顔を見て、キョトンとすると、その大きな瞳に徐々に涙を貯め、今にも泣き出してしまいそうな顔をする。
「お、起きたか、じゃ無いカナ! ボクがどれだけ心配したと思ってるカナ!」
ミコはバックから飛び出すと、俺の顔にめがけてとんで来て抱きついた。柔らかい感触と、熱い雫が俺の頬に伝っていく……。
流れてくる……。
実際に、俺の中に何かが流れてくる訳じゃない。
でも、ミコが俺に向ける温かい気持ちだけは、まるで魔法のように流れてくるんだ。
「ご、ごめんなミコ……? 心配かけちゃったな?」
本来ならば、感動的なシーンかもしれない。
ただ実のところ、ほんのちょっと、ほんのちょっとだけ邪な事を考えてしまっている。──ほんと~~~うにすみません!
ミコは俺から離れようとしない。心から心配してくれてたんだな……。
その気持ちは本当に嬉しいし、出来ることなら気がすむまで泣かせてやりたい。
ただ、お願い……そろそろ離れてくれ、柔らかい所が、煩悩が……煩悩が!
「ほら……ミコちゃん、いい加減離れなさい。カナデ君も元気になったみたいだから、安心して……ね?」
トゥナがミコを引き離し、何とか難を逃れる……。
俺の顔は、ミコの涙や鼻水、ヨダレまみれになっている。
──しかし、俺はそれを甘んじて受けよう! 禊的な意味合いでだ!
「──ちょっと、ハーモニーはん! 焦げてる、焦げてるで!」
ルームの声を聞き、食事を作っているハーモニー方を見ると何かが焦げている臭いがした。
料理を見ると、鍋から軽く黒煙が上がる──あ~、俺の食事が……腹がペコペコで倒れそうなのに、禊か? これも禊か?
「すみません皆さん! 少しぼ~っとしてしまいました!」
料理を失敗するなんて……ハーモニーらしくない。他の面々なわかるけど。もしかして、俺の下心がバレたのか?
だが、どうやらそう言う訳では無いらしい……。
ハーモニーは料理作りを再開しながらも、何処か上の空だ。
何かあるのか? 塩湖の向こう側を見ているかの様に見える。
「ハーモニーどうしたよ? 何か気になることがあるのか?」
「い、いえ、何もありませんよ~? それよりお食事も出来ましたし、食べましょう。カナデさんもお腹が空いてますよね? 少し焦げちゃいましたけど~……」
そう言いながら、料理を俺達に差し出すハーモニー。
俺は何かが気になり、ハーモニーが見つめてた方角を眺めた。
「確かに……絶景で目を奪われる気持ちも分かるな?」
遠く離れた向かいには森が並び、青空は木々の緑を色鮮やかに見せる。
水面はそれを反射し、まるで一枚の美しい風景画のようなロケーションだった。
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