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第三章 リベラティオへの旅路

第151話 新しい仲間その名も?

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 結局俺達は、色々あったもののユニコーンの説得? に成功したのだ。
 しかし夜もふけてきたので、このままジャングルを抜けるのは危険と言う判断の元、当初の予定通り焚き火を囲みキャンプをすることにした。

「カナデ君……星が綺麗ね?」

 何千、何万では事足りない……数えきれない数の星が無数に散らばっている。
 まるで宝石で出来た、宝石箱の様な夜空だ。
 ここまで見事なものは、地球ではまず見ることが出来ないだろう。
 普通の人なら、確実に目を奪われるはずだ。

 ……だがしかし。

「そうだな、言いたいことは良く分かるよトゥナ。でも、今はそれどころじゃ無いんだ……」

 女性陣が星を見てうっとりしている最中、俺は必死にワニの皮を剥いでいた。──ミコに、腹一杯食べさせるって約束しちゃったからな。これぐらいの大きさがないと。


 ──ユニコーン達との交渉の後、俺はワニから内蔵を取り出した。
 そして彼らに協力を仰ぎ、束ねたロープで巨大ワニを引き湖につける。
 これだけの巨体を引ける力……。ユニコーンってかなりパワフルなんだな。

「そんな力を受け止めた俺……実はかなり強かったりするのか?」

「『はぁ? 俺様がいこと手加減したに決まってるだろ、馬鹿か!』って、言ってるカナ!」

 何も言わずとも通訳をしてくれるミコ。
 ほんの一瞬だが、本当に通訳された内容なのか? と、疑ってしまう。

 俺が何故、ワニの死体を湖に浸けたかと言うと、死体に残っている体温を下げるためだ。

 臭み取りの為の血抜き作業にも、ある程度の時間が掛かってしまう。
 血生臭いとは良く聞く言葉だが、本来血液は無臭なケースが多い。
 臭くなる原因のひとつに、バクテリアなどによる微生物の働きがあげられるのだ。

 体温をなるべく早く下げることにより、バクテリアなどの繁殖を押さえられ、臭みを軽減することができる。

 じいちゃんがやってたのは良く見てたけど……まさか自分がやるとは思ってなかった。
 しかも、それがワニって……。

 それが終わると、今度は血抜きだ。
 周囲に見られる一番大きい木に目星をつけ、またもユニコーン協力のもと移動する。

 尻尾にロープを巻き、ワニの身体を引っ張りあげる……。

「うんまぁ! 私頑張るわ!」と、ユニコーン達が一生懸命引いてくれたのはいいが……。

「おい、体の大半が地面についたまんまじゃねぇか……」

 ワニの巨体は当然持ち上がりきらず、シャチホコの様な形で固定された。──これで、血抜きができるのか?

 血管を切り、しばらく放置する……。後は臭みがない事を、祈るしかない──。


 そして現在、そのワニの皮を剥いている訳だ。──くそ、でかすぎる! 皮を剥ぐのも一苦労だぞ?

 無銘で斬りつけた所から、肉と皮の間にナイフを入れていく。──中の身は赤い……と言うより、ピンク色に近いな。肉だけを見れば、美味しそうに見えなくもないが……。

 しかし、頭の方を見ると全く食欲が湧かない。
 命を無駄にしないためにも、俺も口にしておきたいのだが……。

 俺が皮剥きに集中してる時だ、ティアに突然話題を振られた。

「それにしてもこの二頭のユニコーン、名前はあるのですか? コミュニケーションを取るためにも、名前があった方がいいと思うのですが? カナデ様はどう思いますか?」と……。

「あぁ……」

 作業に没頭して、気のない返事をしてしまった。それが、こんな事になろうとは……。

「では名前が無いようなら、カナデさんの事がお気に入りみたいですし、カナデさんに決めてもらったらどうですかね~?」

「──はっ、俺がつけるのか? って言うか、ハーモニーは何でご機嫌斜めなんだよ……」

 俺の問いかけに「知りません~!」っと顔を反らし、そっぽを向いた。──女心とチビッ子は、理解に苦しむ……難解だ。

 それにしても、不意を受けた形で断るチャンスを逃したな……。

「そうか~名前か」

 名付けのセンス……マジで自信が無いのだが。

 ある程度皮を剥ぎ、カワハギの調理のようにそれを引っ張り身と皮を分ける。──以外と綺麗に取れるもんだな。

「うーん、そうだな? 名は体を表すって言うし、ユニ、ユニなんてどうだ?」

 どうだ、今のは中々いいだろ? ちょっと自信がある! って……皆、なんでそんな目で見るんだよ。

「カナデ君、本気? それは流石に……」

 え、そんなひどかったか? 俺個人としては、かなりいい名前だと思うんだけど。

「流石に嫌って言ってるカナ。カナデ、全然分かってないシ。だめだめカナ!」

「な……なら、ミコはならなんてつけるんだよ? 当然もっといい名前つけれるんだろ?」

  ミコの事だ、どうせユニユニとかそんな名前をつけるんだろ? 予想通りなら笑ってやろう。
 もう一匹はユニユニユニか? 精々そんなところだろう。

「──オスコーンとメスコーンってどうカナ?」

 おぅ……それは想定外だ、そうきたか!

「二頭も気に入ったみたいだシ! ナイなえだな? 尖ってて良いじゃないか! っていってるシ」

 尖ってるって……とんが○コーンですか?
 って、突っ込みを入れても誰も知ってる訳無いよな……。

 周囲のメンバーを見ると、一同何故か微妙な顔をしているが「本人がいいなら……」と、反対意見も無いらしい。

 新しい旅の仲間名前が、オスコーンとメスコーンに決定した瞬間だった。
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