異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル

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第二章 海上編─オールアウト号─

第125話 魔法の手紙【伝鳥2】

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【カナデちゃんへ、突然このような伝鳥をだしてごめんなさい。あの時助けられてから、あなたの事を忘れた日は一日たりともありません。今後とも、お体に気を付けてください。おやびんより】

「お──お前かよぉぉ!」

 ある意味ラブレターより衝撃な物が届いた……。
 なに? 航海中に俺を精神的に殺しにでもかかってるのか?
 
「カナデ様、中々隅に置けないのですね……まさかここまで情熱的なラブレターを送ってくる方がいらっしゃるとは……」

 そうか、ティアはおやびんとウサーズに合った事が無かったな……。
 まさか相手が男性をやめた男性だとはティアでも思うまい。
 しかし説明する気はない、それを知ったら喜びそうで嫌だ!

「ハッハッハ……まぁな?」

 ひとまず見栄を張って置こう。
 なに、大丈夫。事実、文面もラブレターとは大差がない……。

「カナデ様! 文字が変わっていきますよ!」

 彼女の声を聞き血の惨劇さんげきに再び視界を戻すと、おやびんからのメッセージが消え、別のメッセージが浮かび上がってきた。

あにさんご無沙汰でヤンス、突然のご連絡申訳ないでヤンス。今日は腐葉土ふようどの件で伝鳥を出したわけでヤンスよ。エースケより】

 なるほど、わざわざその為に連絡をくれたわけか。
 最初におやびんを出すあたり、悪意が感じられるけど……。
 会話が途中だよな? ってことはまだ続きがあるはずだ。

 予想した通り、エースケからの伝鳥の文字が薄れていき、三度みたび文字が浮き上がってくる。

「これだけ何度も文面の更新が出来る所をみると、プロの伝鳥屋に頼まれたようですね?」

 伝鳥屋ってなんだよ……そういう商売か?
 教会も金が無いはずなのに、わざわざ店に頼むとか、変な所で律儀だな? あいつら。

【こんにちは、ビーキチとディランです。ディランが恥ずかしがってるので、僕が兼任けんにんして文章にしてもらいますね? 腐葉土の葉は少しずつ形が崩れてきているようです。まだ畑に撒くのは早いとは思いますが、順調に言ってるとおもいます。また遠くないうちにご連絡させてもらいますね? ウサ~ウサウサ~。 ビーキチとディランより】

 ディラン、最後の一文だけかよ。
 それにしても、みんな元気そうでよかったな?
 早く努力が実を結んで、教会のみんなの生活が少しでも豊かになればいいんだけど……。

 その場で伸びをしながら広大な大空を見上げた。──あんな奴らとの思い出も、過ぎ去ってみれば悪くないかもしれない……。
 時間が経てば、この船旅の事も笑って話せる日が来るかもしれないな。

「──カナデ様? 遠い目をしてるところ申訳ないのですが……また文字が変わるみたいですよ?」

「あ、あぁ~多分次で最後だよ」

 本当、みんな勢ぞろいで文章送ってくれたのか。なんか嬉しいな……。

【兄さん、わっしプレゼンツの伝鳥はどうでしたか? 楽しんでもらえたなら嬉しいッス。今のわっしらが元気でいるのは全部兄さんのおかげッスから!】

 そうか、納得だよ。
 犯人はお前か! 差出人の構成順番、演出共に悪意が感じられた理由に納得がいったわ。
 なんか疲れたな? 自室に戻って昼寝でも……。

 疑似殺人現場を後にして自室に戻ろうとした、その時「カナデ様? まだ続きがあるようですよ?」と、ティアが俺を呼び止める。──正直今日はもう色々と満腹なんだけど……。

 俺は、うっすらと浮かび上がってくる文字を何となく声に出して読んだ。

「所で兄さん、先ほどこれを見て『ダイイング・メッセージかよ!』みたいなありきたりな事を思ったッスよね?」

 おいおい。この文面、似たようなものを何処かで見たことあるぞ? まさかな……そんな訳ないよな?

【ツッコミの才「──言わせねぇよ!」】

 声を出すと同時に地面の文字を踏んで消した。
 これはシャレにならない、まじでシャレにならない! 集〇社に怒られるところだった。

 興奮したためか俺は肩で息をする事になった。──シータの奴は、毎回問題発言をしないと気が済まないのか!

「あ~……最後まで読めませんでした。カナデ様をここまで豹変させるネタ、知っておきたかったのですが」

 目の前の彼女は俺をどうしたいんだろう?
 そんな事を考えながら見つめていると「照れるじゃないですか~」と世迷い言を言うティア。──今日、ストレスで寿命が減った気がするな……。
 
 肩を落とす俺を見て、嬉しそうに微笑んでいるティアが「カナデ様元気を出してください。この船旅も、もうクライマックスの様ですから」と言いながら指をさした。

 その指先をみると、今までの疲れを忘れ「──はぁ!」と声を上げて驚いてしまったのだ。
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