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第二章 海上編─オールアウト号─
第83話 船の修理材
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トゥナとの決闘が翌日持ち越しとなった俺は、今船長と共に格納庫の廃材置き場に来た。
「──じゃぁ、ここにある廃材を使ってくれ。持っていってもらっても構わないから好きにしていいぞ」
彼は廃材と言っているが、俺にはそれが宝の山に見えた。
「好きにって、思ってたより良い材料が多いのですが……」
修理か何かで使われた残りの様だが、ソコソコのサイズの木材や、錆びているが磨けば使えそうな金属部品。
特に気になったものでは、銅板まである。──こんなもの、船の修理に使うのだろうか?
「構わないぞ。小さな物なんかだと、船の修理には向かないからな。資材もイードル港で仕入れたばかりだ、かえって持っていってくれた方が片付ける手間が省けるってもんだ! その分筋トレに時間が割ける!」
そう言いながらポージング【サイドチェスト】をとる船長。──確信した、この人筋肉マニアだ! 異世界住人ってこんな人ばかりなのか?
「それでは、船長さんそう言うなら本当に貰っていきますよ?」
そう言いながら、俺は船長の目の前でマジックバックに入るものを次々と入れて行く。
流石の船長も、その光景には驚いているようだ。
「いやぁ、君達には驚かされっぱなしだな! そんなマジックアイテムまで持っているとは……。それだけ詰め込むと、重量は中々の物ではないのかい?」
驚く所ソコかよ……。
この人はマジックバックに何を期待してるんだよ? ダンベル変りにでもする気なのか?
「ご期待には添えませんよ?」
彼の目の前で、軽々と振り回して見せた。──そこまでガッカリしなくても、マジでダンベル変りに使いたかったのか?
あの筋肉は置いておいて、俺は入る分だけの廃棄資材をマジックバックに入れるだけ入れさせてもらった。
使えないような木材でも、乾いていれば薪変りにもなるしな。
全部持っていってしまえ。
「まったく、本当にマジックバック様々だな」
前に検証したらバックに入りさえすれば大体なんでも入るし、ミコに頼めば保存状態のコントロールもある程度できる。
食べ物も、入れておけば痛まないのが最高だ。
「あ~……でもそう言えば」
それでも水をダイレクトに入れたら、バックがビシャビシャになったな。
あの時はミコに怒られたっけか?
『そうカナ! 普段からマジックバック沢山使ってるシ、ボクにもっと優しくすカナ! それと水の件は、今でも根に持ってるシ。プンプンだシ!』
いや、絶対に忘れてただろ? 悪かったよ、本当にミコはいざという時便りになるよな!
『そうカナ、便りになるモン! エッヘン』
考えても見れば、今ではマジックバックのない旅は考えられない。
ミコが言う通り、少しは誉めてやってもいいかもな?
「よし、詰め終わった。本当にほとんど頂いちゃいましたけどよろしかったんですか?」
「構わない構わない。それでは、明日の為の木剣作りを頑張ってくれ! 加工用の工具は後で持っていかせるからな?」
そう言いながら、去り行きざまにワンポーズ【フロントラットスプレット】をして船長は去って行った。
イードル港では普通に見えたのに、海上に出て異常性が目に見えて増してきてるな……。
この世界の海に、そんな魔力があるなら嫌だな……っとか思いながら、俺も自分の船室に戻ることにした──。
──自室に戻ると、俺の部屋の前から走りさっていく小さい筋肉……もとい船員がいた。
そして扉の前には工具箱が置かれている。
良く見ると、工具箱には『明日楽しみにしてるぜ!』っとの書き置きが。
期待が重いから止めてほしい!
俺は、ため息をつきながら部屋のドアを開けた。
室内は八畳ほどの大きさの個室だ。
船室をあてがわれて中を見た時は、こんな広い部屋を一人で使っていいのか? っと驚いたもんだ。
ちなみにエルピスの他のメンバーは、もっと大きな部屋で同室だ。向こうは華やかなんだろうな……ってべ、別に寂しくなんかないしね!
そんなことを考えながらも、木刀作りの材料を取り出した。
実は夏休みの自由工作で、小学生の頃に一度作ったことがあるんだよな。
『お前はワシの孫じゃ! 刀に縁のあるものにしなさい』って、じいちゃんに無茶振りされたんだよな……懐かしい。
「さて! 懐かしんでても仕方ないな? 材料は何を使おうか。」
俺は、見た目の違う木の板を並べながら頭を悩ませる。
正直、どれがいいかまでは分からない。──そうだ! 鑑定を使って耐久度の高い物にすればいいんじゃないか?
俺は思い立ったまま「鑑定!」っと唱えた。
イチョウの木、槐に……本赤樫。
おっ? これは中々に良さそうだな……あ、栗の木なんかもあるぞ?
正解は全く分からない! でもまぁ、耐久力がかなり高いし、これでいいか?
数ある木の板の中から、本赤樫の板を手に取った。
横幅がかなり細く何とか使えそうだ、長さにも問題ない、厚みも……うん、ギリギリでかえって加工の手間が省けそうだな。
「よし、良く分からないが本赤樫に決めたぞ!」
まるで木刀や木剣作りの為にあるようだな。
五、六枚あるし、失敗しても作り直せそうだ。
道具箱を開けると、中には綺麗に整理されているいくつもの道具がある。
ノコギリにヤスリ、金づちに鑿、釘、カンナまであるじゃないか…見たこと無いものまで。船の修理に使う道具だけあって、ずいぶん品揃えがイイことで……。
船室から覗く窓の外を見つめると、怨めしいほどの快晴だ。──明日……雨で中止にとかならないかな?
「──じゃぁ、ここにある廃材を使ってくれ。持っていってもらっても構わないから好きにしていいぞ」
彼は廃材と言っているが、俺にはそれが宝の山に見えた。
「好きにって、思ってたより良い材料が多いのですが……」
修理か何かで使われた残りの様だが、ソコソコのサイズの木材や、錆びているが磨けば使えそうな金属部品。
特に気になったものでは、銅板まである。──こんなもの、船の修理に使うのだろうか?
「構わないぞ。小さな物なんかだと、船の修理には向かないからな。資材もイードル港で仕入れたばかりだ、かえって持っていってくれた方が片付ける手間が省けるってもんだ! その分筋トレに時間が割ける!」
そう言いながらポージング【サイドチェスト】をとる船長。──確信した、この人筋肉マニアだ! 異世界住人ってこんな人ばかりなのか?
「それでは、船長さんそう言うなら本当に貰っていきますよ?」
そう言いながら、俺は船長の目の前でマジックバックに入るものを次々と入れて行く。
流石の船長も、その光景には驚いているようだ。
「いやぁ、君達には驚かされっぱなしだな! そんなマジックアイテムまで持っているとは……。それだけ詰め込むと、重量は中々の物ではないのかい?」
驚く所ソコかよ……。
この人はマジックバックに何を期待してるんだよ? ダンベル変りにでもする気なのか?
「ご期待には添えませんよ?」
彼の目の前で、軽々と振り回して見せた。──そこまでガッカリしなくても、マジでダンベル変りに使いたかったのか?
あの筋肉は置いておいて、俺は入る分だけの廃棄資材をマジックバックに入れるだけ入れさせてもらった。
使えないような木材でも、乾いていれば薪変りにもなるしな。
全部持っていってしまえ。
「まったく、本当にマジックバック様々だな」
前に検証したらバックに入りさえすれば大体なんでも入るし、ミコに頼めば保存状態のコントロールもある程度できる。
食べ物も、入れておけば痛まないのが最高だ。
「あ~……でもそう言えば」
それでも水をダイレクトに入れたら、バックがビシャビシャになったな。
あの時はミコに怒られたっけか?
『そうカナ! 普段からマジックバック沢山使ってるシ、ボクにもっと優しくすカナ! それと水の件は、今でも根に持ってるシ。プンプンだシ!』
いや、絶対に忘れてただろ? 悪かったよ、本当にミコはいざという時便りになるよな!
『そうカナ、便りになるモン! エッヘン』
考えても見れば、今ではマジックバックのない旅は考えられない。
ミコが言う通り、少しは誉めてやってもいいかもな?
「よし、詰め終わった。本当にほとんど頂いちゃいましたけどよろしかったんですか?」
「構わない構わない。それでは、明日の為の木剣作りを頑張ってくれ! 加工用の工具は後で持っていかせるからな?」
そう言いながら、去り行きざまにワンポーズ【フロントラットスプレット】をして船長は去って行った。
イードル港では普通に見えたのに、海上に出て異常性が目に見えて増してきてるな……。
この世界の海に、そんな魔力があるなら嫌だな……っとか思いながら、俺も自分の船室に戻ることにした──。
──自室に戻ると、俺の部屋の前から走りさっていく小さい筋肉……もとい船員がいた。
そして扉の前には工具箱が置かれている。
良く見ると、工具箱には『明日楽しみにしてるぜ!』っとの書き置きが。
期待が重いから止めてほしい!
俺は、ため息をつきながら部屋のドアを開けた。
室内は八畳ほどの大きさの個室だ。
船室をあてがわれて中を見た時は、こんな広い部屋を一人で使っていいのか? っと驚いたもんだ。
ちなみにエルピスの他のメンバーは、もっと大きな部屋で同室だ。向こうは華やかなんだろうな……ってべ、別に寂しくなんかないしね!
そんなことを考えながらも、木刀作りの材料を取り出した。
実は夏休みの自由工作で、小学生の頃に一度作ったことがあるんだよな。
『お前はワシの孫じゃ! 刀に縁のあるものにしなさい』って、じいちゃんに無茶振りされたんだよな……懐かしい。
「さて! 懐かしんでても仕方ないな? 材料は何を使おうか。」
俺は、見た目の違う木の板を並べながら頭を悩ませる。
正直、どれがいいかまでは分からない。──そうだ! 鑑定を使って耐久度の高い物にすればいいんじゃないか?
俺は思い立ったまま「鑑定!」っと唱えた。
イチョウの木、槐に……本赤樫。
おっ? これは中々に良さそうだな……あ、栗の木なんかもあるぞ?
正解は全く分からない! でもまぁ、耐久力がかなり高いし、これでいいか?
数ある木の板の中から、本赤樫の板を手に取った。
横幅がかなり細く何とか使えそうだ、長さにも問題ない、厚みも……うん、ギリギリでかえって加工の手間が省けそうだな。
「よし、良く分からないが本赤樫に決めたぞ!」
まるで木刀や木剣作りの為にあるようだな。
五、六枚あるし、失敗しても作り直せそうだ。
道具箱を開けると、中には綺麗に整理されているいくつもの道具がある。
ノコギリにヤスリ、金づちに鑿、釘、カンナまであるじゃないか…見たこと無いものまで。船の修理に使う道具だけあって、ずいぶん品揃えがイイことで……。
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