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第一章 グローリア大陸編
(new)番外編 祖父の記憶
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「刃とは、命を奪う事を目的に振ってはならぬ。何かを守るために振うのじゃ」
じいちゃんは俺が幼い頃から、ずっとその言葉を口癖のように言い聞かせていた。
そしてそれが俺の胸に響いたのは、確か中学に上がりたての頃だった。
俺は物心がついてから、鍛冶屋であり、刀の使い手であるじいちゃんの背中をずっと見続けてきた。
強くて、頑なで……いつでも真剣に刀と向き合うじいちゃんに、ずっとずっと……いや、今でも憧れを抱いている。
しかし──刀匠、帯刀 響は、俺が刀を握ることを中々許しはしなかった。
模造刀で剣術の稽古はさせているのに、おかしな話だろ?
そしてある時、俺は──。
「本物の刀を振るってみたい!!」
……そんな理由で、鑑賞用に飾ってある登録済みの一振りの刀を持ち出した事があった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「まったく……じいちゃんは常日頃、剣術の訓練はさせるのに肝心の刀は全然いじらせてくれないからな」
島根のとある山の中。
俺は、じいちゃんが打った刀を抱えたまま家から飛び出し、少しはなれた人気のない広場に足を運んだ。
そして着くなり、辺りに誰も居ないのを確認する。
「よし……やるぞ!?」
俺は鞘から刀を引き抜き、その直刃を覗き込む。
そこには、気持ち悪いほどニヤケている俺の顔が写し出された。
「流石じいちゃんが打った刀だ……傷一つ無く、顔がこんなにもくっきりと写ってる」
悪いことだとは理解してるし、罪悪感はもちろんあった。
しかし憧れ続けて約十年……積もりに積もった感情が押さえきれず、結果このような行動に出てしまったわけだ。
「それにしても重いな……」
アルミニウム等で出来た模造刀とは違い、玉鋼を用いた本物の刀の重量は、実際に扱われるものだと900g~1kg程度と言われている……もちろんそれに限ったわけではないが。
重心位置でも、かなり感じ方が変わるが、俺が言いたいのはそう言う意味ではない。
何て言うか、長い憧れが、思いの強さがより重量感を与えているのかも……なんて思ったりして。
「実際に何か斬りたいけど、じいちゃんなら一目で分かるよな。でもきっと素振りぐらいなら……バレないはず」
刀が傷つくことを恐れた俺は、普段じいちゃんに習っている、鞘から引き抜き速度をつける抜刀術ではなく、端から抜き身で振るう帯刀流剣術を真似することにした。
そのため鞘が汚れないよう気を使い、広場の隅にある丸太に、立て掛けようとした。
その時突然、目の前の藪がカサカサと音を立てたのだ。
「──誰だ!? じ、じいちゃんか?」
草木を掻き分け姿を現したのは、角の短い、そこそこ大きな猪だった。
「い、猪? 」
伊達に山育ちではない、猪は警戒心が強い生き物だ、それぐらいの知識はある。
ほかって置けば、余程襲っては来ないだろう──俺はそんな風に、高を括っていた。
「──なっ!」
しかし猪は、逃げるどころかその場で身構え、足で地面を蹴っている……警戒のサインだ、今にも襲い掛かってくるぞ。
「やる気なのか……? 参ったな……」
流石にこの刀で応戦は不味いだろ?
それでも目の前で興奮している相手が、素直に見逃してくれるとは思えない。
過去に、猪と遭遇して大ケガをしたって話も聞いたことあるしな……。
案の定、猪は俺に向かい走り出した──。
って、悩んでる暇もないのかよ!?
「あぁーもう! 美味しく食べてやるから……恨むなよ!!」
俺はじいちゃんに怒られるのを覚悟しつつも、刀を両手で持ち、空に向け振り上げたのだった──。
じいちゃんは俺が幼い頃から、ずっとその言葉を口癖のように言い聞かせていた。
そしてそれが俺の胸に響いたのは、確か中学に上がりたての頃だった。
俺は物心がついてから、鍛冶屋であり、刀の使い手であるじいちゃんの背中をずっと見続けてきた。
強くて、頑なで……いつでも真剣に刀と向き合うじいちゃんに、ずっとずっと……いや、今でも憧れを抱いている。
しかし──刀匠、帯刀 響は、俺が刀を握ることを中々許しはしなかった。
模造刀で剣術の稽古はさせているのに、おかしな話だろ?
そしてある時、俺は──。
「本物の刀を振るってみたい!!」
……そんな理由で、鑑賞用に飾ってある登録済みの一振りの刀を持ち出した事があった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「まったく……じいちゃんは常日頃、剣術の訓練はさせるのに肝心の刀は全然いじらせてくれないからな」
島根のとある山の中。
俺は、じいちゃんが打った刀を抱えたまま家から飛び出し、少しはなれた人気のない広場に足を運んだ。
そして着くなり、辺りに誰も居ないのを確認する。
「よし……やるぞ!?」
俺は鞘から刀を引き抜き、その直刃を覗き込む。
そこには、気持ち悪いほどニヤケている俺の顔が写し出された。
「流石じいちゃんが打った刀だ……傷一つ無く、顔がこんなにもくっきりと写ってる」
悪いことだとは理解してるし、罪悪感はもちろんあった。
しかし憧れ続けて約十年……積もりに積もった感情が押さえきれず、結果このような行動に出てしまったわけだ。
「それにしても重いな……」
アルミニウム等で出来た模造刀とは違い、玉鋼を用いた本物の刀の重量は、実際に扱われるものだと900g~1kg程度と言われている……もちろんそれに限ったわけではないが。
重心位置でも、かなり感じ方が変わるが、俺が言いたいのはそう言う意味ではない。
何て言うか、長い憧れが、思いの強さがより重量感を与えているのかも……なんて思ったりして。
「実際に何か斬りたいけど、じいちゃんなら一目で分かるよな。でもきっと素振りぐらいなら……バレないはず」
刀が傷つくことを恐れた俺は、普段じいちゃんに習っている、鞘から引き抜き速度をつける抜刀術ではなく、端から抜き身で振るう帯刀流剣術を真似することにした。
そのため鞘が汚れないよう気を使い、広場の隅にある丸太に、立て掛けようとした。
その時突然、目の前の藪がカサカサと音を立てたのだ。
「──誰だ!? じ、じいちゃんか?」
草木を掻き分け姿を現したのは、角の短い、そこそこ大きな猪だった。
「い、猪? 」
伊達に山育ちではない、猪は警戒心が強い生き物だ、それぐらいの知識はある。
ほかって置けば、余程襲っては来ないだろう──俺はそんな風に、高を括っていた。
「──なっ!」
しかし猪は、逃げるどころかその場で身構え、足で地面を蹴っている……警戒のサインだ、今にも襲い掛かってくるぞ。
「やる気なのか……? 参ったな……」
流石にこの刀で応戦は不味いだろ?
それでも目の前で興奮している相手が、素直に見逃してくれるとは思えない。
過去に、猪と遭遇して大ケガをしたって話も聞いたことあるしな……。
案の定、猪は俺に向かい走り出した──。
って、悩んでる暇もないのかよ!?
「あぁーもう! 美味しく食べてやるから……恨むなよ!!」
俺はじいちゃんに怒られるのを覚悟しつつも、刀を両手で持ち、空に向け振り上げたのだった──。
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