異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル

文字の大きさ
78 / 469
第一章 グローリア大陸編

第69話 とんでも発言

しおりを挟む
「え~っと……ティアさんの夢を聞くのが怖いので、聞かなくてもよろしいですか?」

 ティアには悪いが、ろくでもない夢な気がしてならない! 触らぬ神に、祟りなしだ!

「なんでそんなこと言うんですか!? 聞いて下さいよ~カナデ様……」

 いやだね、聞きたくないね!
 確かに、ここは聞く流れかもしれない。しかし、それを考慮した上で拒否したい! 俺は相手にしないぞ? 断固として抵抗して見せ……。

 すると突然、俺の様子を見たティアは、両手で顔を隠し泣き声をあげ始めたのだ……。──こ、これ、端から見たら間違いなく俺が悪役だ……。

 でも、ティアのやつ……時折指に隙間を開け、俺の様子を確認してるのだ!──ず、ずるいぞ!

「あ~もう! 分かりました。聞きますよ……聞けばいいんでしょ?」

 泣き真似をしてまで聞かせたいのか……。
 まぁ聞くだけだ……万が一にも、実害はないだろう。

 ──覚悟を決めろ! 俺!

  深く……ふか~く深呼吸をして、両手で自分の顔をパンパン! っと二度叩いた。

「さぁ、こい!」
「──どれだけ聞きたく無いんですか!」

 何れだけって……両手じゃ言い表せないぐらい?

「そんな嫌々なら、もう言いません! 聞かないで下さい……」

「──え? じゃぁ聞きません。止めておきます」

 そう言って、俺はそそくさとトゥナとハーモニーがいるギルドの中に向かって歩き出した。

「いやいや、気を引くための嘘です! ごめんなさい、行かないで下さいよ! カナデ様、聞いて下さいって!」

 彼女が服を掴み、引っ張るものだから「え…やっぱり聞くんですか…?」と、渋々質問した。

「言いますよ言わせてください!」

 と、涙目になりティアは懇願したのだ。

 何度も「おねがいします」っと頭を下げる彼女を見て、今度こそ俺は諦めることにした。

「はい……。ではどうぞ」

 この人どれだけ、その夢を語りたいんだよ……。

「私の夢は…………」

 そう言って長々と溜めた後、あまりにも予想外の夢が彼女の口から語られたのだった……。

「フォルトゥナ様の、子供を孕みたいです!」

 彼女の発言の理解に苦しんだ。異世界では女性同士が子供を作ることが出来るのだろうか?

 ──って、そんなわけないだろ!

「やれるものなら、ヤってみろ!」

 俺は大きな声でツッコミを入れてしまった。
 まったく! とんでもないことを口走りやがって……ちょっと想像しちゃっただろ!
 トゥナを見たら想像してしま……。

「──カナデカナデ? 子供ってどうやって作るのかな?」

 ──次はこっちかよ!

 マジックバックから、可愛らしく顔を出すミコ。うちのミコさんは、質問されたく無い質問を、あえてピンポイントでチョイスしてくる所があるな……。
 おそらく相手の嫌がる所をつくスキルが、俺限定に発動しているに違いない……。

「秘密共有できるのが、カナデ様だけなので……私、とても嬉しいです」

 そうか……それは良かったですね!? 分かりましたからクネクネしないで下さい……。
 イメージを、これ以上壊さないで下さい!

「どうするのカナ? どうするのカナ!」

 う~ん、どうするのかな? 不思議だね。
 ……誰か、俺を助けてはくれないか?
 
 頭を抱えて悩んでる俺に「カナデ君達、何してるの?」と、女神の声がした。
 声の方に振り向くと、ソコにはエルピスの癒し枠? の二人組が立っていた。

「どうするのムグッ──!」

 質問を続けるミコの口を慌てて塞いだ。彼女達にこんな事聞かれたら、何を追求されるやら……。

「二人とも、何か収穫があったのか?」

 俺の言葉に、二人して暗い顔をする。そして、言い出しにくそうに口を開いた。

「カナデさん……悪い話が一つと~」
「カナデ君、かなり悪い話の二つあるけど……」

 斬新だ……悪い話ししかない二択とは。
 これ程までに、神様は俺に悪い話を聞かせたいのか?

 まぁ……この町に来た時から、悪い情報なのだろうとは予想していた訳だ、それが二つとは思っていなかったけど。
 それに、彼女達は知らない。すでに一件、とびっきり悪い話を聞いたばかりだ。とび~~っきりのやつを……。

「まずは悪い方の話から聞くよ」

「分かりました。どうもこの町に向かって、グローリア城から兵士が向かってるようです~。だから、カナデさんはなるべく早く国から出られる事をお勧めします~……」

 グローリア城から……兵士が? むしろ今まで、順調に逃げれていた事がおかしいわけだしな……。
 早々に国を出れば鉢合わせる事もないだろう。

「じゃぁ、もうひとつのかなり悪い話って?」

「あのね? カナデ君……。結論から言うと、今この町からは船は出てないわ」

 やはりか……薄々は感じてたけど船が出ていないのか。

「二人の事だ、もちろん理由も聞いてきたんだろ?」

「えぇ……ここ最近、この港の近くにワイバーンが住み着いたらしいの。出入りしている船を襲っては食料を奪っているみたいね……」

 ワイバーンってドラゴンの一種だったよな? 流石異世界……この世界にはそんな物騒なものまでいるのか?

「じゃぁこの港を出て、別の港町に向かった方がイイよな?」

「カナデ君残念だけど、今はリベラティオに向かう船はこの港からしかでていないわ」

 まじか!? それはまずいな……。

 「船の食料を当てに、この辺りに住み着いたのであれば、非常に不味いですね…」

 ティアは、考え込みながら意味深なことを呟いた……。
 それを聞いた俺は、彼女の言葉から一つの可能性に行き着いた。

「それって、船の食料が当てにできないなら……もしかして町を襲うって事か!」

 俺の言葉を聞き、エルピスのメンバーの顔つきが変わった……。
 ティアを見ると「可能性の話ですが……」と、一言呟く。

「私はギルドにワイバーンの、細かい情報を仕入れに行ってきます! エルピスの方々は港で、あの船の乗組員を探して動いた際の出港手続きをしておいてください」

 ティアが指さす先は、停泊している船の中でも一番に大きな船であった。

「ギルドの連絡船です。私の名前とギルドカードを出せば手続きは出来ると思います」

 その一言を残し、彼女は慌てる様にその場を後にした。
 もしかしたら、ここに来る兵士はワイバーンの討伐が目的なのか?

「どのみち、今は立ち往生してるわけだし、ティアさんの言う通りに動かない? それでいいかな、カナデ君?」

「あぁ、どっちにしても船は必要だしな?」

「私も異論はありませんよ~」

「賛成カナ、賛──ムグッ!」

 バックから身を乗り出すミコを中に押し込んだ。
 そしてこの後すぐ、俺達はギルド船の船員を探しに向かったのだった。 
しおりを挟む
感想 439

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

処理中です...