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1章
第58話 戦姫・ルーキス 2日目
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俺は今アルバラン王国の城壁の上に立っている。
目の前には隣にいるキシさんやエトラ、そしてアルバラン王国の第一王女、ルーキスがいる。
ルーキスは真剣な瞳で城壁の下にいる兵士たちを眺めていた。
美しい黒髪を揺らしながら軍の状況を見つめている。
「準備は整ったか」
ルーキスがそう口にすると、キシさんは冷静に周りを見渡し口を開く。
「はい、いつでも動き出せます」
「よし、それでは作戦開始だ」
すると突然、ルーキスは城壁から飛び降りる。
そして下にいる兵士たちに指示を飛ばした。
「華陽の城門を中から開ける! この華陽を守り抜くぞ!」
すると下にいる兵たちは急いで階段を上り、城門を開けに動き始める。
俺達も城壁から降りて、下に置いてある馬に乗る。
「カーメン、エトラ、キシ、この戦、必ず勝つぞ」
「ああ、もちろんだ」
「はい! 私も絶対に勝ちます!」
「華陽を必ず守ります」
3人はそう口にして、ルーキスを見る。
ルーキスは満足そうに頷いたあと、俺達の前を颯爽と馬にまたがり先導する。
「全軍出陣だ!!!!」
ルーキスがそう叫ぶと、兵士たちも雄叫びを上げる。
そして華陽軍は華陽の門から出て行くのだった。
★
「カーメンさん! 魔王軍が見えました!」
近くにいた冒険者がそう俺に叫ぶ。
その冒険者が指差す方角に振り向くと、魔王軍の魔物がゆっくりと迫って来ているのが見えた。
「ルーキス、魔物が来たぞ」
「ああ分かっている。第一陣前へ!!」
ルーキスはそう叫ぶと、後ろに待機していた兵たちが駆け出していく。
そして土煙を巻き上げながら前列へと移動していった。
流石は戦姫、軍事においての指揮能力はずば抜けている。
「よし、まずは準備運動と行こう」
ルーキスはそう言うと、自らが先頭に立って兵士を鼓舞していく。
その姿はまさしく戦姫と呼ぶに相応しい姿だ。
だが上位種の魔物相手にルーキスがどれだけ戦えるか……。
それからしばらくすると、魔王軍が目の前まで迫ってきた。
最初に攻撃を仕掛けてきた魔物はサンダーベアだ。
その巨大な体躯に皆驚きを隠せない様子。
だがルーキスだけは微動だにせず、魔物を睨み続ける。
すると突然、ルーキスから風のような魔力が放出されたのを感じる。
《風神一閃!!!》
ルーキスが剣を前に突き出した瞬間、横一線の魔力の塊がサンダーベアに向かって放たれる。
その鋭いエネルギーは目にも留まらぬ速さで突き進み、一瞬でサンダーベアの胸を切り裂いた。
(な、なんだあれ)
(あれが戦姫、ルーキス……)
(す、すげえ)
周りの兵士たちは皆、ルーキスの圧倒的な強さに言葉を失う。
ルーキスの放った攻撃は、サンダーベアの体を真っ二つに切り裂いたようだ。
その魔物はゆっくりと地面に崩れ落ち、もう動くことはない。
すると周りの冒険者や兵から歓声が上がる。
サンダーベアはA級の冒険者パーティでも苦戦するほどの強さだ。
それを一撃で倒すとは、流石は戦姫。
「私に続け! 華陽の兵士たちよ!」
ルーキスはそう叫ぶと、馬を走らせて魔物の群れに突撃していく。
その圧倒的な力に、周りの冒険者や兵達も皆声を上げ、ルーキスに続いていく。
「俺も行くか」
俺は左にいた上位種のオークに向かっていく。
すると俺に気づいたのか、そのオークは大きく咆哮し、俺に向かって棍棒を叩きつけてきた。
《上級魔法 炎槍!!》
放たれた魔法はオークの顔に向かっていき、無数の炎の槍が突き刺さっていく。
「ゴ、ゴブゥ……」
オークはそんな断末魔を響かせ、地面に倒れた。
そして俺はそのまま馬を走らせて次の敵へと向かっていく。
すると俺の元にサンダーバードが飛んでくるのが目に入った。
「空中からの攻撃は厄介だし、早めに倒しておいた方が良いな、《上級魔法 炎弾》」
俺は頭上に自分の手のひらよりも大きい火球を生成し、それをサンダーバードに向けて放つ。
「キィィィイイイ!」
「この火玉は避けられないぜ」
俺は指を動かし、どんどん火玉のスピードを上げていく。
やがてサンダーバードは火球に飲み込まれて、そのまま地面に落下していった。
そしてドゴンという轟音と共に大きな砂煙を巻き上げる。
(おお、すげえ)
(流石はカーメンさん! あんな高度な魔法の使い方初めて見たぜ)
(あんなに魔法をコントロール出来るのか......)
冒険者や兵達は次々と魔物を倒していく俺を見て、賞賛の言葉を発している。
すると前線にいたルーキスが俺の元に馬を近づけて来た。
「カーメン、魔法はどこで覚えたんだ? そこまで魔法をコントロール出来るやつは初めて見たぞ」
「あー、魔法書を漁ってたら覚えちまったんだ。気にしないでくれ」
俺は適当に嘘を付く。
するとルーキスは少しムッとした顔で俺に向かって口を開く。
「ふん、いつか秘密を教えてもらうからな!」
「い、いつかな?」
俺たちはちょっとした雑談をした後、すぐ戦いに戻る。
魔王軍が迫っている中、のんびりと会話出来る時間も限られている。
戦場では常に危険と隣り合わせなのだから。
すると近くにいた冒険者が俺に向かって叫ぶ。
「カーメンさん! 魔王軍の本隊です!」
目の前には隣にいるキシさんやエトラ、そしてアルバラン王国の第一王女、ルーキスがいる。
ルーキスは真剣な瞳で城壁の下にいる兵士たちを眺めていた。
美しい黒髪を揺らしながら軍の状況を見つめている。
「準備は整ったか」
ルーキスがそう口にすると、キシさんは冷静に周りを見渡し口を開く。
「はい、いつでも動き出せます」
「よし、それでは作戦開始だ」
すると突然、ルーキスは城壁から飛び降りる。
そして下にいる兵士たちに指示を飛ばした。
「華陽の城門を中から開ける! この華陽を守り抜くぞ!」
すると下にいる兵たちは急いで階段を上り、城門を開けに動き始める。
俺達も城壁から降りて、下に置いてある馬に乗る。
「カーメン、エトラ、キシ、この戦、必ず勝つぞ」
「ああ、もちろんだ」
「はい! 私も絶対に勝ちます!」
「華陽を必ず守ります」
3人はそう口にして、ルーキスを見る。
ルーキスは満足そうに頷いたあと、俺達の前を颯爽と馬にまたがり先導する。
「全軍出陣だ!!!!」
ルーキスがそう叫ぶと、兵士たちも雄叫びを上げる。
そして華陽軍は華陽の門から出て行くのだった。
★
「カーメンさん! 魔王軍が見えました!」
近くにいた冒険者がそう俺に叫ぶ。
その冒険者が指差す方角に振り向くと、魔王軍の魔物がゆっくりと迫って来ているのが見えた。
「ルーキス、魔物が来たぞ」
「ああ分かっている。第一陣前へ!!」
ルーキスはそう叫ぶと、後ろに待機していた兵たちが駆け出していく。
そして土煙を巻き上げながら前列へと移動していった。
流石は戦姫、軍事においての指揮能力はずば抜けている。
「よし、まずは準備運動と行こう」
ルーキスはそう言うと、自らが先頭に立って兵士を鼓舞していく。
その姿はまさしく戦姫と呼ぶに相応しい姿だ。
だが上位種の魔物相手にルーキスがどれだけ戦えるか……。
それからしばらくすると、魔王軍が目の前まで迫ってきた。
最初に攻撃を仕掛けてきた魔物はサンダーベアだ。
その巨大な体躯に皆驚きを隠せない様子。
だがルーキスだけは微動だにせず、魔物を睨み続ける。
すると突然、ルーキスから風のような魔力が放出されたのを感じる。
《風神一閃!!!》
ルーキスが剣を前に突き出した瞬間、横一線の魔力の塊がサンダーベアに向かって放たれる。
その鋭いエネルギーは目にも留まらぬ速さで突き進み、一瞬でサンダーベアの胸を切り裂いた。
(な、なんだあれ)
(あれが戦姫、ルーキス……)
(す、すげえ)
周りの兵士たちは皆、ルーキスの圧倒的な強さに言葉を失う。
ルーキスの放った攻撃は、サンダーベアの体を真っ二つに切り裂いたようだ。
その魔物はゆっくりと地面に崩れ落ち、もう動くことはない。
すると周りの冒険者や兵から歓声が上がる。
サンダーベアはA級の冒険者パーティでも苦戦するほどの強さだ。
それを一撃で倒すとは、流石は戦姫。
「私に続け! 華陽の兵士たちよ!」
ルーキスはそう叫ぶと、馬を走らせて魔物の群れに突撃していく。
その圧倒的な力に、周りの冒険者や兵達も皆声を上げ、ルーキスに続いていく。
「俺も行くか」
俺は左にいた上位種のオークに向かっていく。
すると俺に気づいたのか、そのオークは大きく咆哮し、俺に向かって棍棒を叩きつけてきた。
《上級魔法 炎槍!!》
放たれた魔法はオークの顔に向かっていき、無数の炎の槍が突き刺さっていく。
「ゴ、ゴブゥ……」
オークはそんな断末魔を響かせ、地面に倒れた。
そして俺はそのまま馬を走らせて次の敵へと向かっていく。
すると俺の元にサンダーバードが飛んでくるのが目に入った。
「空中からの攻撃は厄介だし、早めに倒しておいた方が良いな、《上級魔法 炎弾》」
俺は頭上に自分の手のひらよりも大きい火球を生成し、それをサンダーバードに向けて放つ。
「キィィィイイイ!」
「この火玉は避けられないぜ」
俺は指を動かし、どんどん火玉のスピードを上げていく。
やがてサンダーバードは火球に飲み込まれて、そのまま地面に落下していった。
そしてドゴンという轟音と共に大きな砂煙を巻き上げる。
(おお、すげえ)
(流石はカーメンさん! あんな高度な魔法の使い方初めて見たぜ)
(あんなに魔法をコントロール出来るのか......)
冒険者や兵達は次々と魔物を倒していく俺を見て、賞賛の言葉を発している。
すると前線にいたルーキスが俺の元に馬を近づけて来た。
「カーメン、魔法はどこで覚えたんだ? そこまで魔法をコントロール出来るやつは初めて見たぞ」
「あー、魔法書を漁ってたら覚えちまったんだ。気にしないでくれ」
俺は適当に嘘を付く。
するとルーキスは少しムッとした顔で俺に向かって口を開く。
「ふん、いつか秘密を教えてもらうからな!」
「い、いつかな?」
俺たちはちょっとした雑談をした後、すぐ戦いに戻る。
魔王軍が迫っている中、のんびりと会話出来る時間も限られている。
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