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1章

第35話 魔犬ケルベロス

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「次は十階層か……」

 順調に攻略は進んでいき、今俺たちは十階層の階段を前にしている。

十階層には主と呼ばれる魔物がいる。

 確か原作だと、ケルベロスという魔物だったはずだ。

レアな魔物なので俺もよく覚えてはいないが、S級レート上位の魔物だったはずだ。

 確か十階層には大きな空間があり、そこにケルベロスはいる。
 
「心の準備を整えておけよ、みんな」
 
俺がそう言うと、リア達は無言で頷く。

 そして俺たちは階段を上がり、十階層のフロアへと足を踏み入れる。
 
そこは広い空間になっており、その奥にケルベロスと思われる魔物が1匹佇んでいた。

 見た目は犬のような姿をしているが、尻尾が複数本生えており、顔は三つもある。

 見るからに強そうな魔物だ。
 
「魔犬ケルベロス、かなりの強敵だがやるしかないな」
 
 「はい、まずは私が口火を切ります!」
 
クレハはそう意気込んでケルベロスに突撃していく。

「フンッッッ!!!」
 
 だがケルベロスは、その体をしならせると、尻尾でクレハをなぎ払う。
 
その攻撃に反応できなかったのか、クレハは壁まで吹き飛ばされてしまった。

「い、今治しますね!」
 
リアはすぐクレハに駆け寄り、傷を癒す。
 
《ヒール》 

 リアの強力な治癒魔法により、その傷は一瞬で回復する。
 
そうしている間にケルベロスは口に魔力を集めて、それを俺たちの方に放つ。
 
《上級魔法 炎波ッッッ!》
 
俺は咄嗟に魔法を発動し、相殺する。
 
するとケルベロスは、こちらに向かって突進してきた。
 
「ここは私に任せろ!」
 
セレスはそう言って、ケルベロスに向かい走り込む。

 雷のような速度で、ケルベロスに接近するとそのまま剣で斬りかかる。
 
《雷閃ッッ!》
 
セレスの斬撃はケルベロスの頭に直撃する。

 だがケルベロスには傷一つ入っておらず、そのままセレスに突っ込んでくる。
 
「何っ!」
 
『ゴガァァァァァァ!』
 
「く、《雷剣》!」
 
ケルベロスが爪を振り下ろす寸前で、クレハは雷剣で防ぐ。

 だがそのままケルベロスの体は押し返され、後ろに倒れてしまった。
 
「ゴーレムと違いスピードが速いな」
 
セレスが呟くように言う。

 確かにケルベロスはSレートの中でも上位に入る魔物だ。

 そのスピードはゴーレムの比じゃないだろう。
 
「遅れました!」
 
すると後ろからクレハが駆けつけてくる。

 どうやらリアに傷を治して貰ったようだ。
 
「三人で同時にいくぞ」
 
俺の言葉に2人は頷く。

 そして俺達は連携を取りながら、ケルベロスに攻撃を仕掛ける。
 
《雷閃ッッ!》 
 
《炎剣ッ!》 
 
《上級魔法 炎波ッ!》
 
俺たち三人はケルベロスに連携攻撃を仕掛ける。

 するとケルベロスの反応が遅れ、隙が生じる。
 
『ゴガァァァァァ!』
 
俺達の攻撃を食らったケルベロスはその体を大きくよろめいている。
 
俺たちは更に攻撃を仕掛けようと詰め寄る。

 だがケルベロスは素早く体勢をたて直し、俺達の元に飛びかかってくる。
 
「来るぞ......な!?」
 
俺達はケルベロスの攻撃に備え、防御の構えをとる。

 しかしケルベロスは俺たちに攻撃する事なく、そのまま通り過ぎていく。

 ケルベロスの狙いは背後に映るリアのようだ。
 
「リ、リア!」
 
俺は急いで叫ぶ。

 俺は咄嗟に手を伸ばすが、ケルベロスの動きの方が一手早い。
 
『ゴガァァァァァ!』
 
ケルベロスは三つの顔を駆使し、リアを囲むようにして攻撃を仕掛ける。
 
リアは焦って腰が抜けたのか、その場に膝をつく。
 
「リアには指一本触れさせない!」
 
クレハがそう叫ぶ。

 だがケルベロスの動きの方が早く、ケルベロスの爪はリアに直撃するのだった。
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