28 / 72
1章
第28話 ダンジョン編が始まる
しおりを挟む
「ここまで効果があるとはな……」
俺は学園の廊下を歩きながら、そう呟く。
アデルとの対戦を観戦していた貴族達だが、俺の批判の声はかなり弱まった。
それどころか、かなり評価を上げてしまっている。
まだまだ問題は山積みだが、今後何かあった時、真っ先に俺が疑われることはなくなったと思う。
そんな事を考えながら、俺は教室の扉を開ける。
教室に入ると、クラスメイトが俺の元に集まってくるが、俺はそれを軽くあしらい、自分の席に向かう。
「ふぅ、疲れた……」
俺は席について、椅子に背を預ける。
やはり昨日のアデルとの対戦が影響しているのか、今日はいつもより疲れているようだ。
俺はそんな事を考えつつ、目を瞑り休憩をする。
すると俺の横に誰かが座る気配がした。
「隣、座っても良いか?」
聞き覚えのある声が俺の耳を刺激する。
俺は目を開き、声がした方向を向く。
そこには不敵な笑みを浮かべたセレスがいた。
「セ、セレス? 別に構わないが……」
「昨日の戦い、私から見てもとんでもないものだった。まさか上級魔法を使えたとはな」
セレスが俺に顔を近づけながらそう言ってくる。
俺とセレスの顔が僅か数センチぐらいだろうか?
そのぐらいの距離に俺は思わずドキッとしてしまった。
そしてアデルとの対決を一部始終見ていたのか、俺の使った技の事を知っているようだった。
「ふん、ロランが『仮面の男』だったとはな」
「流石にバレてたか」
俺はセレスに呆れながらそう答える。
「一度対戦しているんだ、忘れるはずがないだろう」
「そりゃそうだよな、周りには俺の正体は言わないでくれよ」
「ああ、勿論だ」
セレスは笑いながらそう言ってくる。
そんな雑談をしていると教室の扉からリアとクレハが慌てて入ってきた。
「おはようございます、ロラン師……あれ? セレスさん?」
「おはよう、二人とも」
そう言ってセレスは立ち上がり、二人に挨拶を交わす。
「おはようございます、セレスさん」
リアとクレハがそう言って俺の近くに座る。
「随分と人気なようだなロラン」
セレスは微笑みながらそう言い放つ。
「はは、大変だぞ」
俺はセレスに対して苦笑いをしながら、そう答えていると教師が入ってくる。
「皆さん、おはようございます」
教師がそう挨拶すると、教室にいた生徒が各々挨拶をする。
「今日の授業ですが、まずその前に皆さんに伝えたいことがあります。 実は最近、学園の近くにてダンジョンが発見されたようです。そこで数日分の授業を使い、ダンジョン攻略をやってみたいと思っています」
その言葉を聞いたクラスメイト達は興奮し始める。
ダンジョンは基本的には財宝などが手に入る場所だ。
魔物の素材や貴重なアイテム、マジックアイテムなどが手に入ったりもする。
ただ魔物の住処にもなっている為、危険は多い。
「Aクラスの皆さんは魔力数が平均より高いですので、座学よりも実際に魔法を使う方が身につくでしょう。その為、ダンジョンを攻略していきたいと思います。」
そう説明し終わると教師はダンジョンについて話し始める。
だが俺は原作の知識でダンジョンは知っていたので、特に何も思う事なく聞いていた。
原作だと、このダンジョンイベントはかなり重要だ。
(ダンジョンのお宝は魔王と戦う為の素材があるからな)
ダンジョンは魔物の住処になっているが、普通じゃ入手できないような素材、武具などが手に入る。
魔王と戦うには、このダンジョンで手に入る素材が必須だ。
だがしかし、このダンジョンにはある問題がある。
(このダンジョン、原作だと攻略がかなり難しいんだよな)
なんせダンジョンの奥底に行かないと見つからないから、どのルートが正解かは分からない。
それに加えて魔物も強く、出現する魔物も普通のダンジョンとはレベルが違うのだ。
「これで説明は終了になります。今回のダンジョンは立候補制ですので、攻略に参加しない人は学園で自習です。リーダー、チーム編成については決まり次第私に伝えてください」
そう教師が話し終わると皆が一斉に動き出す。
「ロラン、私と一緒に組まないか?」
そう声をかけてくるのはセレスだ。
正直、セレスがいればかなり心強い。
「俺は構わないが、リアをリーダーにしてもいいか?」
俺はそう提案する。
するとセレスは少し考えるような素振りをした後、口を開く。
「ああ、そういうことか。確かに、その方がいい」
流石はセレス、俺の意図をすぐに理解してくれたようだ。
今回のダンジョン攻略に成功したら、間違いなくリアの株が上がる。
俺はそう考えて、リアにダンジョン攻略のリーダーを任せる。
「それじゃあグループは俺を含めてリアとクレハ、そしてセレスの4人だな」
「ロラン師匠といれば安心ですね!」
そう喜んでいるのはクレハだ。
まあ今回のダンジョン攻略は正直、一筋縄ではいかないだろう。
だがクレハとセレスの存在がこの攻略をかなり有利に進めさせてくれる。
俺はそんなことを思いながら、教師にグループとリーダーを告げるのだった。
俺は学園の廊下を歩きながら、そう呟く。
アデルとの対戦を観戦していた貴族達だが、俺の批判の声はかなり弱まった。
それどころか、かなり評価を上げてしまっている。
まだまだ問題は山積みだが、今後何かあった時、真っ先に俺が疑われることはなくなったと思う。
そんな事を考えながら、俺は教室の扉を開ける。
教室に入ると、クラスメイトが俺の元に集まってくるが、俺はそれを軽くあしらい、自分の席に向かう。
「ふぅ、疲れた……」
俺は席について、椅子に背を預ける。
やはり昨日のアデルとの対戦が影響しているのか、今日はいつもより疲れているようだ。
俺はそんな事を考えつつ、目を瞑り休憩をする。
すると俺の横に誰かが座る気配がした。
「隣、座っても良いか?」
聞き覚えのある声が俺の耳を刺激する。
俺は目を開き、声がした方向を向く。
そこには不敵な笑みを浮かべたセレスがいた。
「セ、セレス? 別に構わないが……」
「昨日の戦い、私から見てもとんでもないものだった。まさか上級魔法を使えたとはな」
セレスが俺に顔を近づけながらそう言ってくる。
俺とセレスの顔が僅か数センチぐらいだろうか?
そのぐらいの距離に俺は思わずドキッとしてしまった。
そしてアデルとの対決を一部始終見ていたのか、俺の使った技の事を知っているようだった。
「ふん、ロランが『仮面の男』だったとはな」
「流石にバレてたか」
俺はセレスに呆れながらそう答える。
「一度対戦しているんだ、忘れるはずがないだろう」
「そりゃそうだよな、周りには俺の正体は言わないでくれよ」
「ああ、勿論だ」
セレスは笑いながらそう言ってくる。
そんな雑談をしていると教室の扉からリアとクレハが慌てて入ってきた。
「おはようございます、ロラン師……あれ? セレスさん?」
「おはよう、二人とも」
そう言ってセレスは立ち上がり、二人に挨拶を交わす。
「おはようございます、セレスさん」
リアとクレハがそう言って俺の近くに座る。
「随分と人気なようだなロラン」
セレスは微笑みながらそう言い放つ。
「はは、大変だぞ」
俺はセレスに対して苦笑いをしながら、そう答えていると教師が入ってくる。
「皆さん、おはようございます」
教師がそう挨拶すると、教室にいた生徒が各々挨拶をする。
「今日の授業ですが、まずその前に皆さんに伝えたいことがあります。 実は最近、学園の近くにてダンジョンが発見されたようです。そこで数日分の授業を使い、ダンジョン攻略をやってみたいと思っています」
その言葉を聞いたクラスメイト達は興奮し始める。
ダンジョンは基本的には財宝などが手に入る場所だ。
魔物の素材や貴重なアイテム、マジックアイテムなどが手に入ったりもする。
ただ魔物の住処にもなっている為、危険は多い。
「Aクラスの皆さんは魔力数が平均より高いですので、座学よりも実際に魔法を使う方が身につくでしょう。その為、ダンジョンを攻略していきたいと思います。」
そう説明し終わると教師はダンジョンについて話し始める。
だが俺は原作の知識でダンジョンは知っていたので、特に何も思う事なく聞いていた。
原作だと、このダンジョンイベントはかなり重要だ。
(ダンジョンのお宝は魔王と戦う為の素材があるからな)
ダンジョンは魔物の住処になっているが、普通じゃ入手できないような素材、武具などが手に入る。
魔王と戦うには、このダンジョンで手に入る素材が必須だ。
だがしかし、このダンジョンにはある問題がある。
(このダンジョン、原作だと攻略がかなり難しいんだよな)
なんせダンジョンの奥底に行かないと見つからないから、どのルートが正解かは分からない。
それに加えて魔物も強く、出現する魔物も普通のダンジョンとはレベルが違うのだ。
「これで説明は終了になります。今回のダンジョンは立候補制ですので、攻略に参加しない人は学園で自習です。リーダー、チーム編成については決まり次第私に伝えてください」
そう教師が話し終わると皆が一斉に動き出す。
「ロラン、私と一緒に組まないか?」
そう声をかけてくるのはセレスだ。
正直、セレスがいればかなり心強い。
「俺は構わないが、リアをリーダーにしてもいいか?」
俺はそう提案する。
するとセレスは少し考えるような素振りをした後、口を開く。
「ああ、そういうことか。確かに、その方がいい」
流石はセレス、俺の意図をすぐに理解してくれたようだ。
今回のダンジョン攻略に成功したら、間違いなくリアの株が上がる。
俺はそう考えて、リアにダンジョン攻略のリーダーを任せる。
「それじゃあグループは俺を含めてリアとクレハ、そしてセレスの4人だな」
「ロラン師匠といれば安心ですね!」
そう喜んでいるのはクレハだ。
まあ今回のダンジョン攻略は正直、一筋縄ではいかないだろう。
だがクレハとセレスの存在がこの攻略をかなり有利に進めさせてくれる。
俺はそんなことを思いながら、教師にグループとリーダーを告げるのだった。
529
お気に入りに追加
1,561
あなたにおすすめの小説
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件
エース皇命
ファンタジー
前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。
しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。
悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。
ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語!
※小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。-俺は何度でも救うとそう決めた-
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング第1位獲得作品】
---
『才能』が無ければ魔法も使えない世界。
生まれつき、類まれな回復魔法の才能を持つ少年アスフィは、両親の期待を背負い、冒険者を目指して日々を過ごしていた。
しかし、その喜びも束の間、彼には回復魔法以外の魔法が全く使えないという致命的な欠点があった。
それでも平穏無事に暮らしていた日々。しかし、運命は突然、彼に試練を与える。
母親であるアリアが、生涯眠り続ける呪いにかかってしまう。
アスフィは、愛する母を目覚めさせるため、幼馴染で剣術の使い手レイラと共に、呪いを解く冒険の旅に出る。
しかしその旅の中で、彼は世界の隠された真実に辿り着く――
そして、彼の『才能』が持つ本当の力とは?
---------
最後まで読んで頂けたら嬉しいです。
♥や感想、応援頂けると大変励みになります。
完結しておりますが、続編の声があれば執筆するかもしれません……。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります
まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。
そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。
選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。
あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。
鈴木のハーレム生活が始まる!
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる