上 下
4 / 21
序章

第4話 魔法で手助け

しおりを挟む
よし、魔法で服装、髪色も変えたし、これなら俺がアレンってバレないだろう。

流石に俺の名前は悪名高いからな、変装をしないと注目を浴びてしまう。

そんな事を考えながら、俺は周りの街並みを見て感動してしまう。

「ここが……王都」
 
 俺はフィオガルラ王国の王都、「リバーン」の街並みを見て、心が躍るのを感じていた。

 モニター越しに見る画面とはまるで違う、リアルな景色。

 俺は賑わう街の喧騒を背に、人々の熱気を感じながら噴水がある広場へと足を進めていく。

「てか、こうやって見ると色んな種族がいるんだな」
 
 フィオガルラ王国には、動物と人間の特徴を持ち合わせる獣人族、尻尾が生えた可愛らしい種族まで、実に多彩な住民が共存している。

 この世界には数え切れないほどの種族が存在していて、それぞれが独自の魅力を持っているのだ。
 
 そんなことを考えながら広場へ向かうと、背後から突然声を掛けられる。

「す、すみません! ここ周辺で黒色のバッグを見ませんでしたか?」
 
 振り向くと、そこにいたのは冒険者のような服装を纏った女性。

 彼女の背には煌びやかなマントを羽織り、水色の髪と水のように澄んだ瞳を持っている。

「すまないが、俺は見ていない。ここら辺で落としたのか?」
 
 「そ、それが……つい数時間前、冒険者ギルドから報酬を貰いまして、ここ王都で色々買い物をしていたのですが、目を離している間に私のバッグが盗まれてしまいまして……」

「盗まれたのか、それは災難だったな。そのバッグは一人で探しているのか?」
 
 「いえ、一応私のメンバーも手分けして探してくれています」
 
 (話を聞く限り、この人は冒険者のクランに所属しているのか。ただ、この広い王都を数人で探すには無理があるな)

「俺も探すのを手伝いますよ。ちなみに、バッグの中には何が入っているんですか?」
 
 「バッグの中には銀貨数枚と「赤い宝石」が入っています。宝石は最近、A級魔物を討伐した際にドロップしたアイテムでして、余りにも綺麗だったので売らずに持っていたんですよ」
 
 その言葉に、俺の心がざわめく。

 赤い宝石、それは間違いなく「レッドストーン」だ。

 確か魔物から低確率で入手できるアイテムであり、プレイヤーたちの間では非常に危険なものとして知られている。

 なぜなら「レッドストーン」を持っている者は、恐ろしい組織「黒神」に狙われる運命を背負うことになるからだ。

 その組織は、ある神を崇拝し、その神を召喚するために「レッドストーン」を何百個も必要とするという。

「分かりました、では手分けして探しましょう」
 
 「ありがとうございます! あ、そういえば自己紹介をしてませんでしたね。私の名前はユキと言います。冒険者をしていまして、「雪」というクランに所属しています」
 
 「冒険者だったのですね。俺の名前はアレンです」
 
 「ではアレンさん、情報が集まり次第、皆と合流したいので、あの噴水に3時間後、集合で良いですか?」
 
 「ええ、構いませんよ」
 
 「ありがとうございます! ではまた後で!」
 
 ユキは明るい笑顔を残し、情報収集のために別の場所へと移動していく。

(さて、あの能力を使った方が早そうだな)
 
 レッドストーンには莫大な魔力が宿っている。

 なら魔力の場所が分かる、3級魔法《アルカナクラス》を使えば、その場所がわかるだろう。

 ただ、少々時間がかかるため、あまり使われない魔法ではあるのだが。
 
「まあ、人助けだと思って使うか……」
 
 俺は人気のない場所へと移動し、《アルカナクラス》の魔法を発動させる。

 王都は広大なので、探すのに少々時間を要するだろうが、あの魔力を感知することが出来れば一発で見つけられるはず。

 そんなことを思いながら、俺は魔法陣を展開し、盗人の居場所を探すのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

男女比1対999の異世界は、思った以上に過酷で天国

てりやき
ファンタジー
『魔法が存在して、男女比が1対999という世界に転生しませんか? 男性が少ないから、モテモテですよ。もし即決なら特典として、転生者に大人気の回復スキルと収納スキルも付けちゃいますけど』  女性経験が無いまま迎えた三十歳の誕生日に、不慮の事故で死んでしまった主人公が、突然目の前に現れた女神様の提案で転生した異世界で、頑張って生きてくお話。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!

こはるんるん
ファンタジー
気づいたら大好きなゲームで俺の大嫌いだったキャラ、ヴァイスに転生してしまっていた。 ヴァイスは伯爵家の跡取り息子だったが、太りやすくなる外れスキル【超重量】を授かったせいで腐り果て、全ヒロインから嫌われるセクハラ野郎と化した。 最終的には魔族に闇堕ちして、勇者に成敗されるのだ。 だが、俺は知っていた。 魔族と化したヴァイスが、作中最強クラスのキャラだったことを。 外れスキル【超重量】の真の力を。 俺は思う。 【超重量】を使って勇者の王女救出イベントを奪えば、殺されなくて済むんじゃないか? 俺は悪行をやめてゲーム知識を駆使して、強さがすべての魔法学園で1位を目指す。

処理中です...